ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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エミちゃん……遂に此処まで来たね!Byみほ        血の封印を解かれたみほ、勝てる気がしないByエリカ      勝率は0%ですね♪By小梅


Panzer187『準決勝!幼馴染同士の激突です!』

Side:みほ

 

 

ベルウォールと知波単の試合はベルウォールが制し、そして大洗もヴァイキングを下した事で、準決勝の第一試合は、エミちゃん率いるベルウォールと、私が率いる大洗の対決になった訳か。

ふふ、エミちゃんとガチンコで戦うのは初めてだからとってもワクワクして来るよ――何よりも、大洗以上の貧弱な戦力でベスト4にまで駒を進めて来たって言うのは、普通に脅威だからね。

 

 

 

「確かに貴女の言う通りだわみほ。

 ベルウォールの主力にはティーガーⅠ、ヤークトパンター、エレファント、T-44て言う一線級の戦車が揃ってるけど、それ以外は自爆特攻の戦車プレス以外では決定打を持たないⅡ号でしょ?

 そんな貧弱なチームであるにも関わらず、此処まで来たのは驚異でしかないわ……次の準決勝、どうやって戦う心算かしら?其れを聞かせてもらっても良いかしら?」

 

「勿論だよエリカさん。」

 

エミちゃんは私にとっては一番古い友人で、そして一番古いタンクメイトだから、エミちゃんのやって来そうな事は大体分かる――って言いたい所だけど、事実上戦力になるのは四輌って言うチームで準決勝までやって来たエミちゃんの実力は計り知れないからね?

だから私も出し惜しみなんて一切しないよ?

幸いと言うかなんて言うか、準決勝のフィールドには市街地があるから其れを最大限利用して行こうかなって思ってるから――市街地戦は、私の十八番だから其れを使わない手はないし!

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「麻子、今のみぽりんの戦車力は?」

 

「ドレだけ低く見積もっても、最低7000万はかたいだろうな。」

 

「其れって、みぽりん最強って事?」

 

「並の戦車乗りの戦車力が大体12万あれば強いと言われているから、数字の上では間違い無く最強だ。

 因みに逸見さんが狂犬モードで最低6500万、赤星さんと副隊長が最低でも5000万と言った所だな。

 沙織は……たったの5か。ゴミめ。」

 

「麻子、ひっどい!?」

 

 

 

麻子さん、通信士はどうしても影が薄くなるからと言っても幾ら何でも戦車力5は酷過ぎると思うよ?

其れに、試合での活躍は余りなくても、沙織さんは試合以外の部分で色々頑張ってるし、後輩からの受けもいいし、面倒見も良いんだから、それをプラスαしたら……

 

 

 

「其れでも純粋な戦車力は変化しないだろう?」

 

「そうだね。女子力、先輩力、コミュ力は間違い無く夫々が最低でも1000万超えてるかもしれないけど、純粋な戦車力は変わらなかったね。」

 

「みぽりん、其れは褒めてるのか落としてるのか分からない!って言うか、麻子の影響受けちゃダメ!!」

 

 

 

アハハ、冗談だよ沙織さん。

沙織さんの事は通信士として、そしてチームのメンタル面でのよりどころとして頼りにしてるから、今度の準決勝でも何時も通りお願いするよ。

 

 

 

「任せてよみぽりん!!私、頑張るから!!」

 

「……沙織、チョロ過ぎるぞ。悪い男に引っ掛からないか心配だ。」

 

 

 

準決勝前でも、何時もの遣り取りが出来るのが大洗女子学園の良い所であり最大の強みだね。

さぁ、私達は既に最高のコンディションを完成させているよエミちゃん……エミちゃん達の方は如何?最高の状態に仕上げて来てくれる事を願ってるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer187

『準決勝!幼馴染同士の激突です!』

 

 

 

 

 

 

 

Side:エミ

 

 

三回戦で知波単を辛くも撃破して、次はいよいよ準決勝……みほ率いる大洗との一戦。アタシにとっては待ちに待った試合なんだけど――

 

「行き成りだけど、現状勝つためのプランが一切浮かばないわ!!」

 

「マジか?知波単戦の時みたいに良いアイディアが出ねぇのかよマネージャー?」

 

「出てたら悩まないわよ!」

 

って言うか、知波単の場合はやって来る事が大体予想が出来たから其れに対しての一手を考える事が出来たけど、大洗が相手の場合其れは無理なのよ。

だって、大洗の戦い方には特定の型が、こうだって言う勝ちパターンが存在しないんだもの。

全国大会に限って言うのなら、奇策搦め手裏技上等な戦術で相手を攪乱して、相手が気が付いた時にはフラッグ車撃破待ったなしな戦い方だったみたいだけど、大学選抜戦の映像を見る限りでは、寄せ集めとも言えるチームを、敢えて纏める事はせずに夫々のやり方に任せる事で最大のパフォーマンスを発揮させるって言うトンでも技やってたし、今大会の一回戦では奇策も搦め手も一切ない正攻法で勝ったでしょ?

一体全体みほが、大洗が何をしてくるのか一切予想が付かないから、アイディアも浮かばない――加えて、準決勝のフィールドに市街地があるって言うのも大きいわ。

みほの中学時代からの試合の映像を全部見てみたんだけど、市街地戦におけるみほの強さは、それ以外のフィールドの時よりも数倍になってる上に使ってくる戦術のエゲツなさも可成りのモノなのよ。

 

 

 

「うん、アレはエゲツ無いねエミちゃん……下手すればトラウマになるよ。」

 

「一緒に見た貴女には分かるわよね瞳……」

 

「オイオイ、そんなにやべぇのか?」

 

 

 

ヤバいどころじゃなくて、ヤッベーすら通り越したハイパーデンジャラスナイトメアエクストラヘルモードだわアレは。

市街地を利用した待ち伏せは当たり前、死角の多さを利用したトリックプレイ――追いかけていた戦車が十字路を右に曲がったから自分も右に曲がったら突然後ろから攻撃されるなんて事もあるみたい。

更には頭上注意ね。

みほとの市街地戦では、上から信号機、積み上げられてたコンテナ、歩道橋、戦車といろんなモノが降って来るからね。

 

 

 

「真豪鬼?」

 

「『愚か者めい!』って違うわよ!確かにアレも上から降ってくる技持ってるけど!

 真豪鬼じゃなくて信号機だから。殺意の波動に目覚めて、鬼の様な厳つい顔と鍛え上げられた身体と使い込まれた紫の胴着が特徴な最強の隠しキャラじゃないから。」

 

じゃなくて、兎に角準決勝はみほの方が圧倒的に有利なのよ。

フィールドだけじゃなくて、保有戦車にしてもね――アタシ達の保有戦車が八輌なのに対して、大洗の保有戦車の最大数は全国大会の時点で十輌……無限軌道杯では新たなチームが参戦してた事を考えると、多分十一輌。

しかも、大洗の保有戦車は最強の中戦車と名高いパンターが二輌、実戦投入された戦車の中では間違いなく最強と言われるティーガーⅡ、中戦車としてはパンターには劣るけど、幾多の改造を行う事で性能を向上させて行ったⅣ号のF2とH型、低い車高と破壊力抜群の主砲を備えたⅢ突って言う一線級の戦車があるでしょ?

この他にもそれなりの性能を備えた戦車があるわ……何よりも驚くべきは、史上最強の欠陥戦車と言われているポルシェティーガーを実戦投入してるって事だわ。

それも、レギュレーションには抵触しないレベルで魔改造を施した上でね……まさか、ポルシェティーガーが戦場で戦う姿を拝めるとは思わなかったわよ。

 

まぁ、ぶっちゃけ何が言いたいのかって言うと……

 

「アタシ等と大洗の戦力差がハンパない!!」

 

「あんだよ、たった三輌じゃねぇか?」

 

「数だけ見てんじゃないわよこのバカちんが!!大洗の保有戦車と、ベルウォールの保有戦車じゃ質に差があるのよ!

 確かに数だけで言えばたった三輌の差だけど、こっちは八輌中四輌が戦車戦性能皆無のⅡ号でしょ!……つまり実質的な大洗との戦力差ってのは七輌なのよ!!」

 

「「「「「「「「「「なんだってーー!?」」」」」」」」」」

 

 

 

幾ら何でも此れは流石に無理ゲーでしょ?

みほとは本気で戦いたいし、アタシだって全力を尽くしたいけど、此れじゃあ其れも望めない――アタシの持てる力を全て注ぎ込んでもみほに、大洗には及ばない。

そうなれば、その先に待ってるのは無様な敗北……其れだけは絶対に嫌!

そんな事になったらみほに失望される!……みほに失望されたら、其れこそアタシは自分の道を見失っちゃうわ……だって、みほとの約束があったからこそ、アタシは此処まで来れたんだから。

でも、このままじゃ――

 

 

 

「……成程、やる気はあるようですが戦車が足りないと言う事ですか……今回は、貴女の勘が当たりましたねお母様?」

 

「カッカッカ、ワシを甘く見るでないわしほ。

 みほの戦車道が黒森峰を打ち倒した事で、ワシの中に巣食っていた戦車道の暗黒面はすっかり霧散したおかげで勘も現役時代より冴えておるわい。

 加えて最近元気での?このエネルギーを発散しようとフィットネスクラブに通ったらこの通りよ!見よ、このボディ!!」

 

「齢七十を超えて、其の肉体美には敬意を表しますよお母様。」

 

 

 

と悩んでた所で現れたのは、西住しほさんと……性格最悪の婆さんか。――しほさんは兎も角、何しに来たのかしらお婆さん?

ってか、何なのよその老人にあるまじき肉体は……シニアボディビルダーにでもなる心算なの?……ってか、何だか前に会った時とは随分と雰囲気が違う気もするけど……改めて何の御用でしょうか?

 

 

 

「此れは此れは大分嫌われたの?……まぁ、其れも仕方なかろうな。お前さんの知るワシは、性格最悪のババアだったろうからのう。

 じゃが、今は警戒せずとも良い――みほが大洗を率いて黒森峰を打倒したその時に、ワシの中にあった戦車道の闇は浄化されたからの――今では、家督を娘に譲ったババアじゃて。」

 

「え……誰?」

 

「エミさん、その反応は正しいわ。私だって、今のお母さまは『誰だお前?』と言う感じなのですから。」

 

 

 

ですよね。ってか、あの婆さんの闇を浄化するとか、アンタ凄すぎるわよみほ……今の婆さんからは、好々爺ならぬ好々媼のオーラ全開じゃない。

この婆さんなら嫌いじゃないわね。

それで、今日はどのような用件で此処に来たんですかしほさん?

 

 

 

「そうね……其れは、口で説明するよりも見て貰った方が早いわ――宜しいですかお母様?」

 

「オウとも。やってしまえしほ。」

 

 

 

しほさんが真面になったっぽい婆様に了解を求めて、其れが了承された次の瞬間には、戦車を釣り下げた自衛隊のバートルが上空に現れた!?

其れも七機も!

あの、此れは一体如何言う事でしょうかしほさん?

 

 

 

「此れ等の戦車は、西住流の訓練で使われていたモノですが、新たに買い替えるにあたって下取りに出そうと思っていたモノです。

 ですが、可成り使い込まれた戦車なので下取りに出した所で二束三文……寧ろ手間賃の方が掛かる始末です――なので、貴女達さえ良ければ、此の七輌の戦車を全て譲ろうかと思ったのだけど、如何かしら?」

 

「へ、マジですか!?」

 

「本当に良いんですか!?」

 

「マジかオイ!!」

 

 

 

まさか、中古品とは言え戦車を譲ってくれるとは思わなかったわ!

しかもバートルが運んできた戦車は、ティーガーⅠが二輌、パンターG型とⅢ突F型が一輌ずつ、そしてⅢ号L型が三輌……ドレも信頼できる戦車ばっかり!

此の七輌を加えれば、準決勝で使える最大車輌数の十五輌になる!此れなら、みほと互角に戦う事も出来る――否、ダメね。

戦車だけ増えても乗組員が居なきゃどうにもならないわ――此れからメンバーかき集めたって、試合までに戦車を動かせるようにはならないわ。

 

「しほさん、戦車は有り難いんですけど、ウチには隊員がもう居ないんで、宝の持ち腐れになっちゃうんですけど……」

 

「まぁ、そうでしょうね。

 ですが、隊員が足りないと言うのならば増やせば良いだけの事でしょう?――生憎と、持って来たのは戦車だけではないの。」

 

「そう言う事!アタシ等も混ぜて貰えないかな、ベルウォールの皆さん!」

 

「かの有名な隻腕の軍神と戦う事が出来る!こんな機会滅多にないんだから、私達も一緒に参加させてよ!!」

 

「新参校で唯一勝ち進んでるベルウォールに、私達も力を貸したいって気持ちがあるからね。」

 

 

 

しほさんが言った次の瞬間、今度はバートルから人が下りて来た……って、貴女達は全員、ウチ等と同じく無限軌道杯から参加した新参校の戦車乗り達じゃない!

ちょっと、貴女達も参加するって如何言う事!?

 

 

 

「彼女達は、今日付でベルウォールに短期転校したと言う事になっています。

 娘自慢ではないけれど、みほは戦車乗りにとっては憧れの存在であると同時に、一度は戦ってみたい相手であると言えるでしょう――彼女達もみほと戦える事を夢見て大会に参加したようですしね。

 ですが、全員が惜しくも一回戦で敗れてしまい、みほと戦う事は叶いませんでした――な、の、で!ベルウォールを除く新参校十四校から夫々二人ずつベルウォールに短期転校して貰い、一時的な隊員になって貰ったのですよ。」

 

「はぁ!?短期転校で!?」

 

いやまぁ、其れなら確かにベルウォールの隊員として参加できるし、こっちとしても譲って貰った戦車を使う事が出来るから有り難いんだけど、何でこんな事をしてくれたんですかしほさん?

 

 

 

「みほの親友である貴女には、全力でみほと戦ってほしかったからですよエミさん。

 黒森峰を、まほを倒し、大学選抜を、島田愛里寿さんを倒したみほは、今や日本で最強の戦車乗りと言っても良いでしょう――親バカかもしれませんが、今のみほと互角に戦う事の出来る戦車乗りなんて片手の指で足りる程しか居ないでしょう。

 そして、其の中の一人が貴女ですエミさん。

 事実上、四輌で準決勝まで勝ち進んできたと言うのは、一回戦がシードだったと言う事を考えても賞賛に値します――ですが、その戦力ではみほとは十全に戦う事は出来ないでしょう?

 貴女には持てる力の全てをもってしてみほと戦って欲しいし、みほもまた全力の貴女と戦う事を望んでいるでしょうから、少しお節介をさせて貰いました。

 何よりも、みほと互角に戦えるであろう実力を秘めている貴女が、戦車の数と言うモノで負けてしまうのは勿体ないと思ったのですよ。」

 

「しほさん……」

 

「何よりも、貴女にはみほとの試合で後悔を残して欲しくなかったのです――みほにとって、初めての戦車での友人である貴女にはね。」

 

 

 

しほさん……その心遣いに感謝します!

此れならアタシはみほをがっかりさせないで済みます……みほと思い切り戦う事が出来ます!……本当にありがとうございます!!

 

 

 

「カッカッカ、礼など要らんわい。

 詰る所、ワシもしほもみほとお前さんのガチンコ勝負が見たかっただけじゃからな……そうさな、礼と言うのならば言葉よりも、みほとの好勝負を見せてくれる事の方が礼じゃわい。

 中須賀エミよ、お前さんとみほの試合、楽しみにしておるぞ。」

 

「……お母様、最後の最後で美味しい所を持って行かないで下さい。

 だけど、お母様の言うように貴女とみほの試合を楽しみにしていますよエミさん――最高の戦車道を見せてくれる事を期待していますよ。」

 

「はい!その期待に応えられるように全力を尽くします!!」

 

何よりも、此処まで御膳立てされた以上は、やるしかない!ってか、やらなかった嘘でしょ!!

なら、早速やるべき事をやるわよ!

短期転校組をどの戦車に振り分けるのかを決めなきゃならないし、作戦も確り練らないとだからね……思わぬ事が起きたけど、そのお陰で貴女とは最高の試合が出来そうよみほ!

試合では、ぶつけ合いましょう――アタシと貴女の戦車道をね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

さてと、遂にやって来ました準決勝の日が!

今日も今日とて観客席は超満員札止め状態……ジャイアントキリングを連発して全国制覇を成し遂げた大洗と、新参校の中で唯一勝ち残ってここまで来たベルウォールの試合は注目だろうからね。

こう言ったら何だけど、準決勝のもう一試合の黒森峰vsプラウダよりも、こっちの方が盛り上がるかもだよ。

 

 

 

「Wunderbar!最高だぜ!盛り上がってるじゃねぇかオラ!

 みぽりんが幼馴染とのガチンコ勝負だ!盛り上がらねぇとか有り得ねぇだろ!俺達も全力で応援して盛り上げるぞ!大洗の試合だけ見てりゃ良いんだ!アイムチョーノ!!」

 

 

 

そして、観客席では今日も蝶野さんが絶好調みたいだね……って言うか、何だか試合の度にnOsのメンバーが増えてるような気がするのは私の気のせいなのかな?

 

 

 

「いえ、貴女の気のせいじゃないわみほ。確実に増えてるわよ?

 初期のメンバーに加えてプロレスラーを中心に増え続けてるわ……今回は、新たに『日本一怖い親父』と言われてる天龍源一郎が加わってる。

 それから、『ドラゴン』こと藤波辰爾、『革命戦士』長州力の姿も見えるわね。」

 

「これで、龍が如くに登場した、悪徳不動産『武藤不動産』の社長の武藤敬司さん、武藤不動産と手を組んで暗躍するマフィア『カラーズ』の総帥である蝶野正洋さん、『地上げ三銃士』である長州力さん、藤波辰爾さん、天龍源一郎さんが揃いましたね♪」

 

 

 

小梅さん詳しいね?

そう言えば、小梅さんの持ち物の中に龍が如くのソフトがあったっけか……実は結構やり込んでたりするのかな?

 

 

 

「其れはもうやり込んでますよ!主人公のモデルが、TOKIOの長瀬智也さんなのもポイント高しですし……義理人情溢れる任侠ヤクザは最高だと思いませんかみほさん!」

 

「うん、其れはちょっと分かる気がする。」

 

小梅さんがヤクザモノ好きだったのは意外だったけどね。

まぁ、其れは其れとして、此れだけ会場が試合前から盛り上がってるなら、その盛り上がりに応えるだけの試合をしないとだね――だから、最高の試合をしようかエミちゃん!

 

 

 

「えぇ、最高の試合を、戦車道をしましょうみほ。」

 

「うん、私達の戦車道で会場を熱くしよう。」

 

小梅さんとの会話を終えて、梓ちゃんと共にやって来た試合前の挨拶の場で、エミちゃんと軽く遣り取り――なんだけど、エミちゃん、戦車の数が増えてない?

其れと隊員の数も……

 

 

 

「此れはしほさんがやってくれた事よ。

 アタシが貴女と存分に戦う事が出来るようにって、西住流でお役御免になった戦車を七輌も譲ってくれたのよ――更には、一回戦で敗退した新参校から二人ずつ選出してベルウォールに短期転校なんて事までやってくれたわ。」

 

「……お母さん、色々と突っ込み所が多い事をやってくれたみたいだね。」

 

でも、やってくれた事自体は感謝かな?

戦力が充実してるなら、エミちゃんも全力を出し切る事が出来るだろうから、私も其れに対して全力で迎え撃つ事が出来るからね……何よりも、お母さんが此処まで御膳立てしてくれたんだから、その期待には応えないとだよ!

 

「エミちゃん……私の戦車道が、貴女を叩きのめす!」

 

「みほ……アタシの戦車道で、貴女を焼き尽くすわ!」

 

 

「西住隊長と中須賀さんの視線がぶつかって火花放電が起きてる!?」

 

「みほちゃんもエミちゃんも少し落ち着いて!!」

 

 

 

おっと、気持ちが昂り過ぎたみたいだね……瞳ちゃんと梓ちゃんにも少し怖い思いをさせたみたいだから、其処は反省だけど、私もエミちゃんも試合の事を考えると、戦車乗りの闘気を抑える事が出来ないんだよ。

此れはもう、戦車乗りの本能って言うモノかも知れないね。

 

 

 

「其れは分かります。私もツェスカと対峙したら、自分の闘気が抑えられませんから!!」

 

「其れが分かれば一流の仲間入りだね。」

 

そして其れこそが、ライバルと戦う事に歓喜してる証でもあるからね――

 

 

 

「其れでは、此れより無限軌道杯準決勝第一試合、ベルウォール学園vs大洗女子学園の試合を始める!お互いに、礼!」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

 

 

そして、此処で蝶野教官の号令で試合開始!!

六年ぶりの再会が、戦車道の大会だったって言うのは、何処か運命を感じるモノがあるけど、再会の喜びも全部戦車道に込めて戦おうかエミちゃん!言葉では伝えきれないお互いの六年間を、戦車で伝えよう!

 

だから、初っ端から全力で行く――私の六年間、受け止めて貰うよエミちゃん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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