ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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こう来たか……やるね、理子さん?Byみほ        直下の奴……やるわねマジでByエリカ      相手にとって不足なし、ですねBy小梅


Panzer192『開始と同時にクライマックス?です』

Side:みほ

 

 

無限軌道杯の決勝戦、相手は理子さん率いる黒森峰――なんだけど、此の決勝戦の黒森峰のオーダーは火力重視の物から一転して、火力はソコソコで機動力を重視して来たみたいだね?

準決勝のプラウダ戦まで、今までの黒森峰スタイルだったから、此れはちょっと驚かされたよ――理子さんは、私達と戦う為に、切り札を此処まで温存していたって言う事で、其れは同時に切り札を温存してもプラウダを、カチューシャさんを制する事が出来るだけの力を理子さんは持っている事になるからね。

 

カチューシャさんに勝てる戦車乗りなんてザラに居ないと思ってる私にとって、理子さんがプラウダを下したって言うのは結構衝撃的な事なんだよ。

カチューシャさんを倒すって言う事は、お姉ちゃんと同レベルにあるって言う事になるからね――否、お姉ちゃんと近坂先輩の指導を受けて、五回の脱皮を経験した理子さんは、お姉ちゃんをも上回ってる可能性もあるか。

 

「理子さんは、侮れない相手だね。」

 

「えぇ、アイツは侮れないわ――去年よりも格段にレベルアップしてるのは間違いないみたいだし、何よりも今の黒森峰では、直下は貴女の戦い方って言うモノを誰よりも知っているでしょう?

 手の内がバレている相手程やりにくいモノは無いわよ?」

 

 

 

うん、普通に考えれば理子さんの方にアドバンテージがあるのかも知れないけど、手の内が知られてるって言っても其れは去年までの事でしょ?

最新のモノでも大学選抜戦の物までで、無限軌道杯で曝した手札はまだ拡散されてないから、理子さんも私が何をしてくるか、ある程度予想は出来ても確定には至らない。

その隙を突く。

 

 

 

「本来ならば見逃しそうな隙をですか……案外、其れは行けるかもしませんが――直下さんの履帯を切った方が早くないですかね?」

 

「小梅さん、その意見には賛同するけど、今の理子さんには『隊長補正』が入ってるから、履帯を斬るのは略不可能だよ――隊長補正で、理子さんのティーガーⅠの履帯は絶対に切れない様になってるから!」

 

「隊長補正?」

 

「うん、深くに気にしちゃダメだよエリカさん♪」

 

まぁ、理子さん率いる黒森峰は一筋縄でいく相手じゃないってのは間違いないけど、其れだけに燃えて来る――まさにバーニングソウルだね!

新生黒森峰が如何程か、見せて貰うよ理子さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer192

『開始と同時にクライマックス?です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

無限軌道杯の決勝戦は、夏の全国大会と同様に大洗女子学園vs黒森峰女学園――ぽっと出の無名校が、絶対王者を打ち破ったと言う事で、実際に戦ったのは、僅か一試合だったにもかかわらず、『黄金カード』『ドル箱カード』と称されているカードだ。

大洗の隊長は夏に引き続きみほの大洗に対し、黒森峰は代替わりをて直下理子が新たな隊長になっていると言うのも大きいかも知れない。

無限軌道杯が始まった当初、みほ率いる大洗が決勝に残るのは誰も疑ってなかったが、代替わりをして、隊長がまほから理子にバトンタッチされた黒森峰の前評判は決して高いとは言えなかった。

 

誤解なきように言っておくと、理子は決して弱くない――現在の高校戦車道の名選手ランキングを作ったら、まず間違いなくトップ10にはランクインするだろう。

だが、そうであっても前隊長であるまほの存在が余りにも大きく、結果として理子はまほと比べて劣ると判断されてしまったのだ。

加えて、理子は一部から『繰り上がり隊長』と言う不名誉な呼ばれ方もしている――みほ、エリカ、小梅の三人が大洗に行ってしまったから、理子が隊長を務める事になった。もしもその三人が黒森峰に残っていたら、新体制はみほが隊長で、エリカと小梅が副隊長で、理子は隊長職に掠りもしなかっただろうと。

余りにも失礼過ぎる評価だが、其れ自体は理子自身も少なからず思って居る事なので、さして気にしていなかった。

いや、気にしていない所か……

 

 

「だからこそ、美味しいんだよねぇ此の状況。」

 

 

ティーガーⅠのキューポラから上半身を出しながら、理子は薄く笑みを浮かべていた。

前隊長のまほに劣ると言う評価は元より分っていた事だし、みほ達が居たら自分が隊長になる事など絶対に無かった事も分かり切っている――だからこそ、面白いのだ。

前評判を覆し、カチューシャ率いるプラウダを準決勝で下して決勝戦まで駒を進めて来た……その決勝で、みほ率いる大洗相手に互角以上の戦いをして、更に勝ったとなればどれ程痛快だろうか?

『胸を借りる』等と言う格上に対して挑む姿勢ではなく、理子は『五回も脱皮した自分はみほと同等!』との思いで此の試合に臨んでいるのである。

 

 

「だ~れも、私がみほに勝てるとは思ってない……そんな中で私がみほをぶっ倒したらどうなるよ?――考えるだけでワクワクじゃん。

 其れじゃあ、作戦開始!――先ずは、こっちから仕掛けさせて貰うよ、みほ!」

 

 

笑みをより深くし、理子は部隊全体に命令を下す。――その姿は、黒森峰の隊長に相応しい、堂々とした物であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の大洗は、試合開始と同時に部隊を五つに分けて散開させていた。

基本は二輌ずつ、みほの部隊のみ三輌編成の極小隊に分けてだ――その編成はみほの指示ではなく、『二輌で組んで』と言われて自然に出来たモノだと言うのだから驚く他ない。

加えて、みほ、エリカ、小梅、梓の経験者がモノの見事にバラけてるってんだから、大洗の面々の直感はハンパないだろう。

因みに、みほの部隊に居るのは、お銀率いるサメチームと典子率いるアヒルチーム……全くの偶然ではあるが、機動力に定評のある戦車が集まった一団になっていた。

 

 

「ふむ、相手の数は倍近いと言うのに部隊をバラけさせたのは何でだい隊長さん?

 もしも相手も部隊をバラけさせていたとしたら、総数で此方の方が不利になるだろう?此処は部隊を纏めておくべきじゃなかったのかい?」

 

「お銀さんの言う事も一理あるけど、此れは理子さんのレベルを測る為の一手って所かな?

 今までの黒森峰だったら、足並みを揃えて進軍するのが常套手段だったから、逆に小分けにした部隊から包囲されると思わぬ苦境に陥る事があった――其れを理子さんがどう克服したのかを先ずは見ようと思ってね。

 お姉ちゃんと近坂先輩の地獄のトレーニングを生き抜いて、五回も脱皮したって言う理子さんだったら、此れまでとは違う黒森峰の動かし方をして来るんじゃないかって期待もあるし。」

 

「隊長ー、もしもあんまし変わってなかったらどうするんですか?」

 

「典子さん、そんなの決まってるじゃないですか……軍神の名の下に、『滅殺♪』するだけですよ?」

 

「……隊長さんの背後に、拳を極めた者の幻影が見えた。」

 

「しかも胴着は暗い紫色で髪は白……神・豪鬼だね。」

 

 

そして何かやってた。

其れは兎も角、みほが部隊を散開させたのは、先ずは理子が如何出てくるかを確かめる為のモノだったようだ――此れまでの黒森峰ならば弱点を突かれたような形となる布陣に対し、どう対処して来るのかが楽しみなようだ。

尤も、期待を裏切るようであるのならば、全力で叩き潰す気満々な辺りが若干恐ろしいモノではあるのだが。

 

 

 

『大洗女子学園、ソミュアS35行動不能。』

 

「「「え?」」」

 

 

 

だが、だからこそ突然響いた、撃破放送に目が点になってしまった。

アリクイチームのソミュアS35が撃破されたと言うのだ。

 

 

「行き成り!?――猫田さん、大丈夫!?」

 

『西住隊長……やられてしまったのにゃ~~――黒森峰の部隊が見えたから攻撃しようと思ったら、上から岩が降って来たのにゃ……副隊長はなんとか逃げおおせたけど、僕達は此処までにゃ。

 何の役にも立てなくて済まないのにゃ……』

 

「ううん、無事なだけで充分だよ――それに、今のを聞いて理子さんが何を仕掛けて来たのか、大体分かったからね。」

 

 

すぐさま通信を開き、ねこにゃーこと猫田に無事かどうかを確認すれば、如何やら無事であり、タッグを組んでいた梓も撃破されずに離脱したとの事だったが、其れ以上にみほが気になったのは『上から岩が降って来た』と言う事だ。

いや、この場合岩ではなく、他の何かが降って来てもみほは気になっただろう――何故ならば、『上から何かを降らせる』のは自身の常套手段であるのだから。

『奇策上等』『裏技大歓迎』のみほの常套手段を、『王道』を行く所の黒森峰が使って来たのだ。

恐らくは誰も予想していなかった事態に、客席がざわめいたのは至極当然の事だろう。

 

 

「黒森峰が搦め手を使った?――王道を捨てたってのか、大洗に勝つ為に!」

 

「だけど、此れは悪くない一手だと思うわ――普段自分がやってる事をやり返されるって言うのは心理的ダメージが大きいと思うからね。」

 

「ガッデーム!知ったかぶってんじゃねぇぞ俄か共が!

 アレはなぁ、去年みぽりん率いる遊撃隊に居た直下だからこそ出来る事なんだよ!エリリンとうめリンを除けば、誰よりもみぽりんの戦いを見て来た直下だからこそ出来る事なんだオラァ!分かったかファッキン!」

 

 

そして黒のカリスマは絶好調だった。――黒のカリスマと握手して、写真を撮る事が出来たのは、作者の一生の思い出ですマジで。――今更ながらに、ケンカキック喰らってる状態かSTF掛けて貰ってる状態の写真を撮って貰えばよかったかもだぜマジで。

其れは其れとして、黒のカリスマの言って居る事は間違いではない――直下が掟破りの逆みほ流を出来たのは、今の黒森峰では誰よりも『西住みほ』の戦車道を知っていたからだ。

 

『中学時代二年間一緒だった凛の方が知ってんじゃね?』と思うかもしれないが、凜は同じチームではあったが常に一緒だった訳では無いのだ。

それに引き換え、去年の理子は遊撃隊のメンバーとして常にみほと共に行動していたから、そう言う意味では凛以上にみほの戦い方と言うモノを熟知していたのだ。

だからこその逆みほ流なのである。

 

 

「あらあら、まさかの搦め手ねしほちゃん……王道を自負する黒森峰的に、此れってありなのかしら?」

 

「貴女の言わんとしてる事は分かるわちよきち――だけど逆に問うけど、『王道』って何?」

 

「え?……え~っと、言われてみれば、王道の定義ってないわね?」

 

「圧倒的な火力と整然とした部隊運用で黒森峰は勝ち続けていたから、何時しかそれが王道と呼ばれるようになったけど、もしも勝ち続けて居たのが、みほの様に搦め手や裏技を駆使する所だったら其れが『王道』と呼ばれていた可能性は充分にあるでしょう?

 『王道』なんて言うのは、所詮競技者以外の誰かが言った事であり、何の意味もない事なのよ。」

 

「成程……王道に決まった型はない、か――言われてみれば、現役時代の好子ちゃんは『茨城の王道』って言われたけど、私達から見たら破天荒そのモノだったからね。」

 

「そう言う事よちよきち。」

 

 

そして試合を観戦していた西住流と島田流の家元は、『王道』についての彼是を語っていた――『勝ち続けた者の戦い方が王道となる』とは、何とも深い言葉だろう。

要するに、王道に定義はない――故に、夏の大会で十一連覇を逃し、絶対王者でなくなった黒森峰が搦め手や裏技を使ったとしてもマッタク問題はないのである。

つーか、言わせて貰うのならば、本気で勝ちたいのなら『伝統云々』とかの戯言をぬかすOG会は即刻居なくなれである――伝統は確かに大事な物かも知れないが、伝統で勝てれば苦労しないのだ。

伝統だけでは勝てないから、新しいやり方を取り入れるのである――其れが分からないパープリンはさっさと隠居しやがれだ。

 

まぁ、何が言いたいのかと言うと、今の黒森峰は火力至上の制圧部隊ではなく、搦め手や裏技も使える柔軟なチームであると言う事――搦め手や裏技を得意とする大洗にとって、これ程やり辛い相手は無いだろう。

自分達の得意技を、相手が使って来るのだから。

 

 

「成程、そう来たか……クククク……ハハハハハ……ハァ~ッハッハッハッハ!!」

 

 

其れでもみほは怯む事なく、キューポラの上に立って、どこぞの赤毛野郎の如く、見事な三段笑いを披露していた――隻腕の軍神は、どんなポーズも様になるから不思議である。

 

 

「私相手に搦め手や裏技で来るとはやってくれるね理子さん……うん、此れは本気で予想外だった。

 部隊を分けるだろうとは思ってたけど、まさか私の十八番である上からの落下物を使って来るとはね……此れは完全に火が点いちゃったかな?」

 

 

――轟!!

 

 

如何やら理子の奇策はみほの琴線に触れたらしく、みほは即時に軍神招来&スーパーみほ状態に。

この状態のみほを引き出した理子は、ハンパないと言えるだろう。――だが、同時に此れはみほが全力の先の全力を出した状態に他ならない。

 

 

「梓ちゃん、私と合流するのには最短でドレ位掛かる?私達が居るのは○×地点だけど。」

 

『私達が居るのが□○地点なので、最短ルートを行けば大体三~四分って言う所だと思います。』

 

「OK、其れじゃあ最速で合流してくれるかな?待ってるから♪」

 

『了解です!』

 

 

すぐさま副隊長の梓に合流するように指示を出す……大洗の隊長&副隊長コンビとか何だか凄く強い気がする。ってか絶対に強い。

全国大会や大学選抜戦、無限軌道杯でも此処まではみほと梓がコンビを組んだ事はない――隊長と副隊長と言う立場だけに、固まっているよりもバラけた方がより広く戦局を見る事が出来ると考えていたからだ。

だが、此処でまさかの師弟コンビ結成!理子の『逆みほ流』は、みほに師弟コンビ結成を決意させる程のモノだったらしい。

無論それで終わりではない。

 

 

「お銀さんと典子さんは、コンビを組んだまま進軍して。」

 

「了解!サービスエース決められたお返しに、バッチリ殺人スパイクかましてやりますよ、根性で!!」

 

「やられっぱなしってのは船乗りの性には合わないからねぇ?やられた分はキッチリやり返してやるさ。

 だから、隊長さん……敵戦車を見つけたら――」

 

「やっちゃって下さい。見敵必殺、サーチ・アンド・デストロイです。」

 

 

サメチームとアヒルチームには此れより別行動を指示すると共に、『敵戦車を見つけたら取り敢えず攻撃しろ』と言うトンデモナイ命令を下す――否、大洗の面々にとって、この程度は全然トンデモナイ命令には入らないだろう。

だって、必要なら歩道橋ぶっ壊したり、橋を落としたり、落とし穴作ったりしちゃうんだよ?そんなトンでも戦術を普通にやっちゃう大洗の面々にとってサーチ・アンド・デストロイをやれなど、余裕のよっちゃんイカなのである。

 

 

「見敵必殺、吶喊上等!根性ーーーーーーー!!」

 

「ヤレヤレ、彼女達は暑苦しいねぇ……でもまぁ、あぁ言うノリは嫌いじゃないよ?彼女達に負けない様に、私達もどん底魂を見せるとしようかね!」

 

 

命令を受けたアヒルチームとサメチームは即発進して黒森峰の部隊を探し始める……何と言うか、結果はどうあれ、彼女達に発見されてしまった黒森峰の戦車乗り達に、一抹の同情を禁じ得ない。

 

其れを確認したみほは車内に身を沈めると、スマホを取り出して誰かにLINEメッセージを送る。その内容は……

 

 

みほ@ボコ:やってくれたね理子さん?まさか、私の十八番をやって来るとは思わなかったよ。

 

 

である。

送った相手は理子――試合中にLINEとかして大丈夫かと思うだろうが、車内の様子はオーロラヴィジョンには映らないのでマッタク持って問題ないのだ。

其れ以前に、車内までオーロラヴィジョンに映っていたら、作戦とか話してるのが丸聞こえで、試合に出れなくて会場で応援している相手チームの選手に其れを試合メンバーに伝えられてしまうから、車内の映像だけは絶対に無いのだ。

 

で、このメッセージには直ぐに返信が来た。

以下、LINEでのみほと理子のやり取りである。

 

 

履帯子:そりゃ此れ位やらないとみほには通じないっしょ?――如何よ、自分の十八番を喰らった気分ってのは?

 

みほ@ボコ:最高にハイってやつだ!――ってのは冗談だけど、流石に予想外だったから少し驚いた。

 

履帯子:なら僥倖ってね。みほに火力は通じないし、単純な機動力勝負でも通じないから、搦め手を使わせて貰ったわ。

 

みほ@ボコ:大胆な選択をしたと思うけど、それって黒森峰のOG会的には大丈夫なのかな?

 

履帯子:勝てば官軍って言葉知ってる?

 

みほ@ボコ:いや、ぶっちゃけすぎでしょ其れ……

 

履帯子:だって事実だし。――其れよりもみほ、このままで終わりじゃないでしょ?ってか、態々LINE送って来たのは、何か提案があるからでしょ?

 

みほ@ボコ:ふふふ、流石に分かるよね?

      其れじゃあ、単刀直入に言うよ理子さん――決勝戦の会場は全国大会と同じだから、市街地が存在してる……市街地戦で決着を付けるって言うのは如何かな?勿論、受けるかどうかは理子さんに任せるけど。

 

履帯子:市街地戦ねぇ……普通ならみほの土俵に上がるってのは拒否したい所なんだけど、此処は敢えて乗らせて貰うわよみほ――市街地ならだって切れる手札が増える訳だからね。

 

みほ@ボコ:其れじゃあ決まりだね♪――そうだ、折角だから競争しない?

 

履帯子:競争?

 

みほ@ボコ:そう。どっちが先に市街地に辿り着けるか競争……先に市街地に入った方が有利になるのは、理子さんも分かるよね?

 

履帯子:そう言う事か……上等、機動力重視の編成舐めんなよ!

 

みほ@ボコ:機動力だけで先に辿り着けると思ったら大間違いだよ。

 

 

 

以上である。

何とまぁ、LINEの遣り取りで市街地戦での決着を決めてしまったよこの隊長達は――しかも其れだけじゃなくて、市街地までのタイムアタック競争までやるとか、ドンだけフリーダムだ?フリーダム通り越してストライクフリーダムか?

裏技搦め手上等の大洗と、裏技搦め手を使う事に躊躇が無くなった黒森峰の市街地戦とか普通にトンデモナイ事になる予感しかしない――連盟よ資金の貯蔵は充分か?間違いなく、戦車道史に残るであろう被害が出るのは間違い無いからな。

 

 

「全軍市街地に向かって下さい!黒森峰よりも一輌でも早く!」

 

『『『『『『『『Jawohl!』』』』』』』』』

 

 

「全軍市街地に!大洗に後れを取るんじゃないわよ!」

 

『『『『『『『『『『『『『『『Jawohl!!』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

 

みほも理子も部隊全体に指示を出し、大洗と黒森峰は市街地目指して夫々進軍――その最中で遭遇したら、其れは間違い無く戦闘状態になるだろうが、其れは其れだ。

ともあれ無限軌道杯の決勝戦は、市街地戦での決着を付ける事になった――果たしてどんな試合になるのか、マッタク予想できない展開になって来た事だけは間違い無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

まさか、私の十八番を逆に使って来るとは、やってくれるよ理子さん……しかも、其れだけじゃなくて市街地戦での決着まで受け入れてくれるとは思わなかったからね。

うん、五回脱皮したって言うのは間違いないみたいだよ――今の理子さんは、私が率いてた遊撃隊に居た頃の理子さんじゃなくて、新生黒森峰を率いる隊長だよ。

此れは市街地戦でも簡単には行かないかも知れないね?

 

 

 

「そうかも知れませんけど、西住隊長は簡単に行かない事を望んでるんですよね?」

 

「梓ちゃん……正解。

 簡単に行く試合程ツマラナイ物はないからね……簡単に行かない試合程面白いし燃えて来るモノだよ――理子さんは、私がそう思えるレベルに到達した訳だから、全力で楽しませて貰うよ。

 そう言う訳だから、市街地戦、頼りにしてるよ梓ちゃん♪」

 

「如何言う訳なのか若干分からないんですけど、頼りにしてくれるのであれば、其れには応えるだけですよ西住隊長――軍神を継ぐ者の力、存分にお目に掛けますよ。」

 

 

 

あは、其れは頼もしいね梓ちゃん♪

其れじゃあ決戦の地である市街地に向かおうか――私相手に市街地戦を選んだのは中々の奇策だったけど、果たしてその奇策は本当に私に通じるモノだったのか、確かめさせて貰うよ理子さん、そして黒森峰!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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