ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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引退した戦車の代わりが来たよ!Byみほ        さて、どんな戦車が来たのかね?Byエリカ      其れはとっても楽しみですねBy小梅


Panzer198『此れが大洗の新生戦車隊です!』

Side:みほ

 

 

引退した戦車達は、無事に大洗シーサイドステーションに設けられた『大洗女子学園戦車道記念館』に運び込まれて、引退後の隠居生活を始めたみたいだけど、此れは静かな隠居生活は難しいかな?

SNSには連日のように記念館を訪れた人達の写真がアップされて、其れが更に人を呼んで、大洗女子学園戦車道記念館は連日超満員になってるらしいからね。

『戦車には自由に触れてOK』っていう事もあってか、戦車に乗っての写真が多いのも訪れる人が多い要因だとは思うけど、決定打なのは間違いなく高レベルのレイヤーさんの存在だと思うな。

夫々の戦車の搭乗員のコスプレをした人達の投稿写真は『いいね』の数が半端ないからね……小梅さんのコスプレをした人とⅣ号の写真は1時間で1万いいねされてるとか凄すぎるよ。

で、この記念館が出来てから大洗を訪れる人の数は大幅に増えて、町の財政は潤いまくってるって事だから、其れは普通に喜ばしい事だよね♪

 

さて、本日は千代小母様が引退した戦車に代わる戦車を持って来てくれる事になってるんだけど、一体どんな戦車を持って来てくれるのか、楽しみで仕方ないよ。

全部同じ物は揃えられないって事だったけど、Ⅲ突かヘッツァーは有って欲しいかな?回転砲塔こそないけど、低い車高を活かした待ち伏せ戦術は大洗の十八番の一つだからね。

 

 

 

「そうね、Ⅲ突とヘッツァーは欲しいわね。

 後は、大洗の戦術を支える機動力のある戦車が欲しいわ……パンチ力は強力でなくても、Ⅲ号やⅣ号F2級の機動力のある戦車があれば最高。」

 

「引退したフランス戦車2台の代わりが、ARL-44だったら素晴らしいですね。」

 

 

 

うん、其れは素晴らしいね小梅さん。

だけを千代小母様は、きっと大洗にとって最も必要な戦車を見繕ってくれると思うんだ――小母様は、私と大洗の事を大層気に入ってるらしいから。

だから、此れだけの支援をしてくれるわけだしね。

 

 

 

「だな~……かーしま、お前あの時の発言は、ガチで大洗の危機を誘発してたっぽいぞ~~?」

 

「其れは言わないで杏ちゃん~~!!」

 

 

 

『西住お前が転校しろ!』ですね……まぁ、私はもう気にしてないので、桃ちゃん先輩も気にしないで、そして杏さんも傷口に唐辛子味噌塗りこまないでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer198

『此れが大洗の新生戦車隊です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと、そろそろ約束の時間なんだけど、千代小母様はまだ来ない……時間ギリギリって事はしない人なんだけど、何かあったのかなぁ?……否、何かあったら必ず連絡を入れて来る筈だから、何か問題が起きたとは考え辛いんだけど――

 

 

 

「西住殿!アレを!!」

 

「優花里さん?」

 

って、学園艦に向かって超巨大な飛行機が降下して来てる?此れは、学園艦に着艦する心算なんだろうけど、あれは一体?なんだか見た覚えがある気がするんだけど……優花里さん、分かる?

 

 

 

「アレはサンダースのC-5M輸送機、ギャラクシーであります!!大洗が文科省の謀略で廃校なった時に、大洗の戦車を一時的に運んでくれた輸送機であります!!」

 

「あぁ、あの時の。」

 

思えば、此れが無かったら、大洗の戦車は文科省に接収されていたかもしれないんだよね……ホント、サンダースには感謝しかないよ。ギャラクシーで来てくれたからこそ、大洗の戦車を護る事が出来たんだから。

だけど、なんでサンダースのギャラクシーが大洗の学園艦に?サンダースとは何も予定が入ってない筈だけど……華さん、生徒会の方に何か連絡とか来てないかな?

 

 

 

「いえ、何も。

 今日の予定は、島田流の家元がいらっしゃるだけだったと記憶してますが……」

 

「そうだよねぇ?ケイさんがサプライズで遊びに来たとか……でも、其れなら普通の飛行機で来ればいいだけだし……ま、まさか!!」

 

 

 

――ズズゥゥゥゥゥン……!

 

――ウィ~~~~ン

 

 

 

「ふぅ、遅れて申し訳ないわねみほさん。そして大洗女子学園戦車隊の皆さん。」

 

「こんにちわ、みほさん。」

 

「千代小母様!それに愛里寿ちゃんも!!」

 

「如何して島田流の家元がサンダースの輸送機で来る訳?戦車を運ぶにしても、別の輸送機があったと思うんだけど……其れこそ、OG権限で聖グロの輸送機使えば良いと思うんだけど。」

 

 

 

千代小母様が乗ってたとは……しかも愛里寿ちゃんも一緒に。ミカさん……は、一緒じゃないんだ。ちょっと残念。何となくだけど、継続の戦車隊を次に任せたミカさんは、其れこそ風の向くままに放浪してる気がする。カンテレを奏でながら。

それにしても千代小母様、如何してサンダースのギャラクシーで来たんですか?エリカさんの言う様に、OG権限で聖グロに輸送を依頼した方が面倒が無かったと思うんですけど。

 

 

 

「其れはね、マスコミ対策よみほさん。

 私が20年前の聖グロでアールグレイを名乗っていたのは当時の戦車道関係者なら誰でも知ってるし、今の戦車道の報道に関わってる人達だって其れ位の事は調べてる筈でしょう?

 最初は島田の輸送機を使う予定だったのだけど、もしも其れが激写されたら三流週刊誌に何を書かれるか分からないからNGで聖グロの輸送機の場合も私がアールグレイだった事から島田がみほさんのいる大洗を支援してると推測されるからダメ。

 だけど、島田とは一切関係ないサンダースのギャラクシーなら、もし着艦する所を写真に撮られても『サンダースが大洗の学園艦で練習試合をする為にやって来た』位にしか思わないでしょう?」

 

「成程、そう言う事でしたか。」

 

私が卒業した後なら兎も角、私が在学中に『島田流が大洗を支援している』って言う事は可能な限り秘密にしておきたい所だからね……学園艦に住んでる人と、大洗町の人は大体知ってる事なんだけど、其れに関しては町長命令で緘口令が敷かれてるから多分大丈夫だと思うけどね。

まぁ、こんな太平洋のど真ん中まで取材に来るマスコミ何て先ず居ないと思いますけど……費用対効果がどうやっても見合いませんから。

 

 

 

「念には念を入れてと言う事よみほさん。」

 

「石橋を叩いて渡るじゃないですけど、確かに其れは言えてますね……其れで、愛里寿ちゃんは何で一緒に?」

 

「みほさんに会いたくなったから……じゃ、駄目?」

 

 

 

……何この可愛い生き物?

エリカさん、小梅さん、此れはもう愛里寿ちゃんお持ち帰りしちゃって良いよね?お持ち帰りしてボコの着ぐるみパジャマ着せて一晩中愛でちゃっても問題はないよね?って言うか命を懸けても愛でねばならん!戦車女子として!隻腕の軍神として!!

 

 

 

「ダメに決まってんでしょうがぁ!

 みほが島田流の次期後継者をお持ち帰りしたとか、其れこそメッチャスキャンダルになる以外の何物でもないでしょうが!と言うか、お持ち帰りして愛でるって、何をする心算よみほ!」

 

「愛里寿ちゃんを少女から女にするとか如何でしょう?」

 

「いや、真顔で何言ってんの貴女?」

 

「……みほさんなら、良いよ?」

 

「アンタも何言ってんの島田流次期後継者。」

 

 

 

うん、今日も今日とてエリカさんの突っ込みは冴えわたるね……だけどねエリカさん、何処から取り出したのか突っ込むのは野暮だから突っ込まないけど、そのどこぞの鉄槌の騎士もビックリな巨大なハンマーはしまって欲しいかな?

流石の私も其れでぶん殴られたら一撃でお釈迦様とご対面する事になっちゃうから。

 

 

 

「いや、貴女なら此れ位は滅殺剛昇龍で迎撃できるでしょ?」

 

「殺意の波動には目覚めてないから、昇龍裂破か神龍拳だね。」

 

さてと、悪ふざけは此処までにして――千代小母様、一体どんな戦車を持って来てくださったんですか?

 

 

 

「取り敢えず、Ⅲ突とヘッツァーは同じ物を揃える事が出来たけれど、他は同じ物が見つからなかったから、私の独断と偏見で5輌を選ばせて貰ったわ。気に入ってくれるといいんだけど……」

 

 

 

 

千代小母様がそう言うと同時にギャラクシーから戦車が降ろされて来たんだけど……此れは、また何とも個性的な戦車ですね?

大洗が得意とする待ち伏せで力を発揮するⅢ突とヘッツァーがあるのは嬉しい事ですけど、それ以外の5輌は、チャーフィー軽戦車、四式中戦車、コメット巡航戦車、VK3002DB、ARL-44か。

チャーフィー、コメット、ARL-44は性能的に信頼できる戦車ですけど、VK3002DBと四式中戦車とは中々にマニアックな戦車をチョイスしましたね千代小母様?

四式は知波単が採用してるかもですけど、VK3002DBを使ってる学校は先ず無いと思いますよ?

 

 

 

「だからこそよ……どの学校も使ってない戦車を使っているからこそのインパクトと言うモノがあるでしょう?

 そもそもにして、大洗は他の学校の何処も採用してないポルシェティーガーを実戦投入してる唯一の学校だから、此の試作機を投入しても良いかなと思ってね。

 みほさんなら、此れを完璧に使いこなす事が出来ると思ったし。」

 

「そう来ましたか……なら、その期待には応えるだけの事ですよ。」

 

新しい戦車、有り難く頂戴します。

所で千代小母様、愛里寿ちゃん、この後は時間ありますか?時間があるなら学園艦を回りませんか?大洗の学園艦を見学してみませんか?

 

 

 

「其れは魅力的ね……お願いするわみほさん。愛里寿も良いわよね?」

 

「うん、異論はないですお母様。」

 

 

 

其れじゃあ決定だね♪

其処からは島田親子と一緒に大洗の学園艦を回ったんだけど、お好み焼き喫茶『道』さんの学園艦出張所は特に気に入ってくれたみたいでよかったよ――お好み焼きじゃないけど、大洗名物のたらし焼き(大洗流もんじゃ焼き)は満足してくれたみたいだしね。

プラスαで、ブリアンの学園艦出張所で買ったガルパンも気に入ってくれたようで何よりだよ……愛里寿ちゃんが、ブリアン出張店の店長に、『ボコパン』を要求したのには驚いたけどね。

 

「そう言えば愛里寿ちゃん、何処の高校に編入するか決めた?」

 

「その話なんだけど、色んな高校を見て回って満足しちゃったから、引き続き大学に残る事にした。と言うか、メグミとアズミとルミに泣いて大学に残る様に説得されたのが大きい。

 そして同時に思ったから、あの三人は私が居ないとダメなんだなって。」

 

「うわぁ……其れはある意味キッツいねぇ。」

 

アズミさん、ルミさん、メグミさん、成人したいい大人が年齢的には中学生の愛里寿ちゃん相手に何やってるんですか?と言うか、ドンだけ愛里寿ちゃんラブですか?ラブよりもLove?(。・ω・。)ノ♡って顔文字付けちゃう感じなんですか?

好きなのは別にいいと思いますけど、其処は加減を覚えないと……何時の日か愛里寿ちゃんに捨てられますよ?

 

 

 

「ん?」

 

「如何したの愛里寿ちゃん?」

 

「メグミとアズミとルミが盛大に恐怖を感じたような気がする……何故だろう?」

 

さて、何故だろうね?

その後、千代小母様は華さんが用意してくれた旅館に泊まり、愛里寿ちゃんは私とエリカさんと小梅さんの部屋に泊る事になって、エリカさんが作った目玉焼き付きハンバーグにご満悦だった。……まぁ、エリカさんはハンバーグには妥協しないで徹底的に拘って作るから、ファミレスとかは目じゃないレベルだからね。

そして、お風呂の後はボコのDVDを心行くまで楽しんだ。勿論愛里寿ちゃんにはボコの着ぐるみパジャマを着て貰って。

なお、この日見たボコが喰らった攻撃は、全部でRush333Hitって感じだった……アレだけタコ殴りにされても死なずにまた頑張るボコ……あぁ、ボコはやっぱり良いなぁ。

 

 

「「うふふふふ♪」」(うっとり)

 

「……エリカさん、みほさんと愛里寿さんが怖いので何とかしてください。」

 

「いや、無理に決まってんでしょ小梅?この状態の二人を何とか出来る訳ないじゃない。

 何だって日本の戦車道の二大流派の娘が仲良く同じ趣味なのよ?……もしもこれでまほさんまでボコ好きだったら笑えない状況になってたんじゃないの?」

 

「其れはとっても怖い事になった様な気がします。」

 

 

 

エリカさんと小梅さんが何か言ってるけど、し~らないっと♪

ボコの魅力は分かる人にだけ分ければ良いんだから――ふふ、機会があればベルウォールの渚さんも呼んで、私と愛里寿ちゃんと渚さんの三人でボコ女子会とかやってみたい感じだね。

 

 

 

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・・・

 

 

 

千代小母様から大洗に新たな戦車が送られた翌日には、どの戦車をどのチームに振り分けるかを決める事に。

Ⅲ突とヘッツァーは、そのままカバチームとカメチームが使うとして、残り五輌を如何するか……戦車は五輌だけど、残るは四チームだから、其れを考えてだね。

うん、チャーフィーは小梅さんのオオワシチームだね。

軽戦車としては破格の性能を誇るチャーフィーなら、Ⅳ号よりも小梅さんの能力を活かせると思うから、お願いしても良いかな?

 

 

 

「勿論ですみほさん。チャーフィー、有り難く拝領します。」

 

「うん、任せるよ。」

 

続いてARL-44。

フランスの戦車だから、アリクイかカモに任せる事になるんだけど、此処はアリクイだね。ARL-44は強力だけど、その分戦車砲弾がハンパなく重いから、パワーのあるアリクイじゃないとその運用は難しいからね。

 

 

 

「了解!任せるのにゃ!」

 

「ちょっと西住隊長!それじゃあ私達カモチームはどうなるの?」

 

「カモチームは、コメットをお願いします。

 コメットは機動力に優れた戦車ですが、その分操縦に高いスキルが必要になるので、ゴモヨさんの操縦の腕前に此の子を託します。」

 

「成程ね……なら、頑張りなさいよゴモヨ!」

 

「う、うん。頑張るよそど子。」

 

 

 

決まりだね。……それにしてもそど子さん、麻子さんにそど子って呼ばれるのは嫌がるのに、風紀委員の仲間にそど子って呼ばれるのは良いんだ?

若しかして、そど子って言う呼び名は、風紀委員の中でだけ許された特別な呼び名だったりするのかな?……だったら、そど子さんの麻子さんに対しての対応も納得だけど、逆に風紀委員内にどんな規則があるのか気になる感じだね。

 

……気を取り直して最後にアヒルチームだけど、VK3002DBをお願いして良いかな?

千代小母様が持って来てくれた戦車の中では唯一の試作戦車だけど、だからこそその可能性は未知数……そして、その未知数の可能性を100%引き出せるのはアヒルチームしか居ないと思うんだよね?

持ち前の気合と根性で、何とか出来るよね磯部キャプテン。

 

 

 

「勿論だよ西住隊長!

 我らバレー部は、気合と根性があれば大概の事は何とか出来る!だから、気合と根性でその試作戦車も性能を限界まで引き出して見せようじゃないか!

 気合と根性があれば何でもできる!気合と根性があれば、廃校だって阻止できる!そうだな!?」

 

「「「はい、キャプテン!!」」」

 

「バレー部ファイトー!行くぞぉぉぉ!1!2!!3!!!」

 

「「「「ダーーーーーー!!」」」」

 

 

 

何故アントニオ猪木?いや、別に良いんだけどね……そう言えば物まね芸人のアントキノ猪木さんは茨城出身だったっけか。

さて、此れで戦車の分配は完了だね。四式戦車は来年度入ってくるであろう新人さん達に使って貰う事になるけど――其れじゃあ、先ずは夫々の新しい戦車を動かしてみようか!!

 

 

 

「良いね~~?早速動かした方がいいかもだからね。

 時に西住ちゃん、其れとは別にちょ~~~っとお願いがあるんだけど聞いてくれっかい?」

 

「お願いって何ですか杏さん?聞くかどうかは、内容によりますけど……『大洗から北海道まで泳いで往復して来い』とか言う、無茶振りを通り越して拷問としか思えないお願いなら全力で拒否しますから。」

 

「いや、民法のバラエティだって其処までの罰ゲームはやらねーでしょ?やったらやったで絶対に訴えられること間違いねーし。

 アタシのお願いってのはさ、アタシ達三年の壮行試合、所謂『追い出し試合』をやってくれねーかなって事。

 アタシ等三年は、あと少しで学園艦とさようならする事になるから、最後に盛大な思い出って奴が欲しいもんなんだよ――全国大会優勝、大学選抜戦勝利、無限軌道杯制覇も勿論盛大な思い出なんだけど、其れをも上回る思い出が欲しいんだ。

 ぶっちゃけて言うと、西住ちゃんとのガチバトルの思い出が欲しい。校内模擬戦は何度もやってけど、その時は西住ちゃん全力じゃなかったっしょ?

 アタシとしては、学園艦を去る前に本気の西住ちゃんと勝負したいんだわ……ダメかな?」

 

 

 

杏さん、そう来ましたか……ダメな筈ないじゃないですか。

其れが望みだと言うのならば、私は其れに応えるだけです――でも、本気の私と勝負したいと言うのならば、覚悟は出来てると見て良いんですよね杏さん?

ガチでやるなら、本気の本気で一切の手加減なしで勝ちに行きますからその心算で居て下さいね?隻腕の軍神の真の力、たっぷりと味わわせてあげますので、覚悟していて下さい。

 

 

 

「もっちろん覚悟はとっくに決めてるさ!

 一切の手加減がなくなった西住ちゃんとのガチバトル、楽しみにしてるからね!」

 

「はい、私も楽しみにしてますよ杏さん。」

 

三年生との壮行試合を行う事になるとは思ってなかったけど、やる以上は全力で戦わないとだね――三年生が居るチームとなると、カメ、カモ、アリクイ、レオポンか。

割と火力のある構成だね……だったら在校生チームはあんこう、オオワシ、アヒル、カバの構成で行くのがベストだよ。

壮行試合、楽しませてあげますよ杏さん。

 

 

 

「うん、期待してるよ西住ちゃん。」

 

「期待していてください杏さん。」

 

生涯忘れる事のない戦車道の試合にしてあげますからね――最高の追い出し試合にしてあげます。だから目一杯楽しんで下さい、隻腕の軍神の戦車道ってモノをね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

西住流の次期後継者としての力を付けるべく、ドイツに短期留学して己の力を磨こうと思ったのだが……この程度ではハッキリ言って私の相手としては役者不足も良い所だ。

ドイツの戦車道は世界的に見ても高水準だと聞いていたので期待したのだが、正直な事を言うと拍子抜けとしか言いようがない……こんな温い環境で、よくツェスカの様な人材が育ったのだと感心するよ。

戦車乗りとしての見聞を広めるためにドイツに留学したが、此れならば日本に残って、凛と共に黒森峰のOGをやっていた方が良かったかもだ……其れなら、後進の指導も出来たからね。

 

何よりも辛いのはみほと連絡が取れない事だ。

留学前ならば頻繁に連絡を取る事が出来たが、日本とドイツでは国際通話になるから頻繁に連絡を取る事も出来ないからね……国際電話の料金ってのは高いのも大きいな。

はぁ……本格的にミホニウムが不足してきた感じだ。

 

 

 

――電話だよ。電話だよ。

 

 

 

っと、スマホに着信が。誰だろうか?……もしもし。

 

 

 

『もしもし……お姉ちゃん?』

 

「みほ?あぁ、私だ。お前の姉である西住まほだ。」

 

如何したんだこんな時間に?

 

 

 

『特に理由は無いんだけど、お姉ちゃんと話をしたくなっちゃって……若しかして、迷惑だったかな?』

 

「何言ってるんだ、迷惑な筈が無いだろう?」

 

寧ろ愛する妹と話が出来ると言うのは、今の私にとっては最大級のご褒美以外の何物でもないさ……みほの声を聴いただけでも、其れだけで後百年は戦える感じだからね。

その後、みほとは沢山喋って英気を養う事が出来た……此れで、また暫くは頑張れそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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