ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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だから、此処がこうなって、最後にはこうなるんだよByみほ       ゴメン、全然分からない。Byエリカ


Panzer19『合宿2日目は、割と盛沢山です』

Side:ナオミ

 

 

 

合宿2日目の、早朝5時半。毎日の日課の早朝ランニングに繰り出そうと思ったんだけど、今日は中々の大所帯でのランニングになりそうね?

 

 

 

 

「おはよう、ナオミさん。」

 

 

「君も早朝ランニングか?感心だな。」

 

 

「ま、身体作りは戦車乗りの基本だからね?」

 

 

 

 

みほにまほさん、其れと近坂部長に、つぼみと、それから黒森峰の逸見と赤星まで一緒なんだから。……って言うか、此処にいる全員が早朝ランニングが日課になってた訳か。

 

其れを熟してから、ヘリで通学してるみほって、一体どれだけタフなのか、ちょっと怖くなって来たわ……深く考えない方が良いわね此れは。

 

と言うか、昨日の『フィジカルトレーニング』を考えると、早朝ランニングであっても西住姉妹はとんでもない距離を走るんじゃないかと思うわ。

 

 

ねぇみほ、貴女は普段早朝ランニングでドレだけ走ってるのかしら?

 

 

 

 

「その日によるけど、大体1km~2kmくらいかなぁ?

 

 此れ位なら大した負担にはならないし、終わったころに丁度朝ごはんの時間になるからね♪」

 

 

「そう、其れ位なら安心したわ。」

 

 

もしも、早朝ランニングから、あの頭狂ってるとしか思えないような距離を走るとなったら流石に一緒にという訳にはいかないモノね……本当に西住流は半端じゃないわ。

 

 

何にせよ、合宿2日目も気合を入れて行くわよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer19

 

『合宿2日目は、割と盛沢山です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

という訳で、早朝ランニングを熟した訳だけど……やっぱり隊長も西住妹も普通じゃないわね?

 

昨日のフィジカルトレーニングと比べれば、格段に楽だったとは言え、およそ1.5kmを走り切って平気な顔してるって、幾ら何でも有り得ないわよ……私達だって、倒れるほどではないとは言え、息は荒くなってるって言うのに……一体どれだけのスタミナを有してるのか。

 

 

でも、昨日のトンでもない物を経験したお蔭で、早朝ランニングに参加したメンバーは誰もへこたれなかったわね……合宿2日目にして、その効果が出て来たのかも知れないわ。

 

 

でもって、起床時刻になったから全員を起こすんだけど……まさか、こう来るとは思わなかったわ。

 

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

 

目覚まし代わりに、戦車の空砲を撃つとはね……確かにこの轟音なら、余程の寝坊助でない限りは目を覚ますでしょうね。

 

実際に私も、ランニングの疲れが吹き飛んで、改めて目が覚めたのだから。

 

西住流起床術の効果は、馬鹿に出来ないモノがあるわね?……此れが、西住流公認であるかどうかは別としてだけれど。

 

 

 

 

『おはよう、合宿に参加している諸君。起床の時間だ。』

 

 

『朝ですよ~~?

 

 起きて、顔洗って、着替えたら大広間で朝ごはんにしましょうね~?其れが終わったら、今日の訓練開始です。今日も頑張りましょう!♪』

 

 

 

 

で、西住姉妹からの起床の呼びかけ……此れはもう、戦車乗りとしては贅沢の極みね。……拡声器使ってるのは兎も角として。

 

だからこそ、この合宿で己を伸ばす事が出来ないと嘘だわ――最高に尊敬できる隊長と、最高のライバルが一緒なんだから、伸びて然りって言うモノなんだから。

 

 

 

 

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で、午前中の訓練は明光大でやってるって言ってた、ボードゲームを応用してのシミュレーション。ダイスの目で行動が決定されるから、即座の判断力を鍛えるのにはもってこいね。

 

 

使うサイコロは白と赤の2つを使い、白が移動を、赤が攻撃の判定になってるみたいね。

 

何方も目が大きい程、いい結果になる訳で、移動で6が出れば問答無用にダイスロール前に宣言した目的地点への到達となり、攻撃で6が出ればダイスロール前に攻撃対象にした敵部隊の戦車の撃破となる。(同じ部隊で3回撃破判定を受けると、部隊壊滅。)

 

逆に1だった場合は、行動失敗となる訳ね――他の目は、夫々の数で移動距離が伸びたり、敵戦車への被ダメージが異なったりって感じね。

 

……攻撃ダイスの5の目が、装甲破損じゃなくて、履帯断裂なのは妙に納得してしまったけれど。

 

まぁ、そう言う訳で相手の行動の結果を見て、自分のターンでどの部隊をそのターン行動させるかが重要になって来る訳だわ。

 

 

そして、今戦ってるのは、西住隊長と、明光大の近坂凛部長。

 

最初の対戦の組み合わせはクジで決めたんだけど、2回目以降は好きな相手を選んでのフリー対戦。で、隊長が明光大の部長を指名したと。

 

だけど、隊長と明光大の部長の戦いはほぼ拮抗状態と言っても過言じゃない位の互角の戦いだわこれ。

 

 

この訓練に慣れてる明光大の部長と互角の戦いをしてる西住隊長が凄いのか、それともシミュレーションとは言え西住隊長と互角に渡り合えてる明光大の部長が凄いのか……多分両方ね。

 

 

 

 

「私のターン、このターンはB小隊を行動させる。ダイスロール!……出た目は、行動、攻撃ともに5!攻撃対象は、まほのC小隊。

 

 よって次のターン、攻撃を受けたあなたの部隊の行動ダイスの結果は出た目の数に関わらず1となる。」

 

 

「履帯を斬られては、移動できないからな……加えてこの盤面では……参ったな、ダイスの目に嫌われたとは言えこうなってしまってはお手上げだ。

 

 西住流に撤退の文字はないとは言え、打つ手がないのではどうしようもない……私の負けだ凛。」

 

 

「だけど、いい勝負だったわね。」

 

 

 

 

だけど後半、隊長はダイスの目に嫌われて良い目が出ずに攻めあぐね、逆に明光大の部長はダイスで良い目が出て一気に攻勢に出て勝利をもぎ取ったって感じね。

 

ダイスの目って言う『運』の要素が絡むから必ずしも実力通りの結果になるとは限らないのが、このシミュレーションの面白い所なのかも知れないわ……にも拘らず、既に黒森峰相手に5連勝してる西住妹は、本気でドンだけだって言いたくなるけどね!!

 

西住妹は、運を引き寄せる力もハンパじゃないのかも知れないわ。

 

 

私は私で其れなりの結果だったわね……黒森峰の生徒相手には全勝で、明光大相手には1勝2敗……慣れの差が出たわね此れは。

 

小梅も、殆ど同じ結果だったみたいだから、此れは黒森峰の弱点が完全に浮き彫りにされたわね?――隊長も、西住妹にはギリギリで競り負けてしまった訳なんだから。

 

 

だからこそ、私はアナタに戦いを申し込むわ、西住みほ!

 

 

 

 

「私を指名してくれるとは……光栄だよ、逸見さん?」

 

 

「シミュレーションとは言え、アナタには負けたくないのよ私――アナタを超える事が、私の目標の一つだしね。」

 

 

「そっか……なら、尚の事負ける事は出来ないね?――行くよ、逸見さん!」

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

「その掛け声は、流石に違うんじゃねーかオイ?」

 

 

 

 

いや、なんとなく『言っておかなきゃいけない気がした』のよ……大体にして、このゲームは先攻ターンは攻撃出来ないんだから、ある意味完全な間違いとは言えないでしょ?

 

という訳で、先攻は貰うわ。

 

私はこのターン、A小隊を行動させるわ。先攻ターンは攻撃出来ないから、移動ダイスをロール……結果は6。目標地点到達ね。

 

 

 

 

「行き成り稜線を取られちゃったか……此れは結構痛いなぁ?

 

 だけど、まだ始まったばかりだから、此処からだね?私のターン!このターンはB小隊を行動させます。」

 

 

 

 

稜線に近いC小隊じゃなくて、少し離れたB小隊を行動させるって事は、C小隊の援軍に向かわせて、稜線を取った私のA小隊を叩く心算ね?

 

普通だったら、行き成り稜線を取られた事に動揺して、稜線にほど近い自分の部隊を行動させようとするものだけど、流石に隊長を務めてるだけあって、状況判断は冷静そのものだわ――

 

 

 

 

 

 

 

――で、結果だけ言うと、私の負けだったわ。

 

負け惜しみじゃないけど、状況判断能力其の物には大きな差があったとは思わないわ。少しだけ、西住妹の方が上だったのは認めるけどね。

 

だけどそれ以上に、この子は恐ろしいまでに『勝負強い』んだわ。

 

大事な場面や、窮地の場面では略確実に行動・攻撃ダイス共に6の目を出して、最高の結果を残してしまったのだから、此れは間違いない。

 

 

的確な判断力に加えて、勝負強さまで備えてるとなると、此れはトンデモナイ戦車乗りじゃないのかしらね?

 

準決勝の時に、倒木があの子の戦車を襲ったのは、死ぬほど性格の悪い気紛れの女神が、勝利の女神に眠り薬でも盛って動けなくした上で悪戯をしたんじゃないかって思ってしまうわ。

 

 

でも、だからこそ、其れだけの相手に挑むのは価値があるわ。

 

例え勝てなくても、戦った経験は絶対に無駄になる事はなくて、全てが自分の血肉となって、そしてレベルアップする事が出来る訳だからね。

 

其れを分かってるから、私の後で小梅が挑戦した訳だし。

 

 

 

 

「やれやれ、ウチの隊長さんは人気者ね?」

 

 

「しょうがないんじゃない?ウチの隊長を倒した相手ともなれば、ウチの子達は挑みたくもなるわよ。」

 

 

「ふ、違いない。」

 

 

 

 

アナタは、西住妹が乗るパンターの砲手の吉良ナオミだったわね?

 

 

 

 

「ナオミで良いわ。そっちの方が呼ばれ慣れてるし、名字で呼ばれるのは、ちょっと違和感を感じるからね。」

 

 

「だったら、私もエリカで良いわ。

 

 ちょっと気になったんだけど、アナタの砲手としての腕前は黒森峰でもレギュラー張れる位だと思うんだけど、其れだけの腕を持ちながら、如何して明光大を選んだの?

 

 結果としてはベスト4になったけど、去年までは毎年1回戦負けの弱小校だった訳でしょ?……其処に好き好んで入学するなんて……」

 

 

「其れは私の意地であり、私が戦車道を続ける為にかな?

 

 ぶっちゃけて言うと、私の両親は私が戦車道をやる事には反対してて、事あるごとに『辞めろ』って言ってきて、正直ちょっと頭に来てたの。

 

 で、売り言葉に買い言葉じゃないけど『万年1回戦負けの明光大を、私の在学中に優勝させる事が出来たら文句言わないで』って啖呵切って、此処に来た訳よ。

 

 流石に、言い過ぎたかとは思ったんだけど、みほが居てくれた事で、自分の言った事が現実に出来る可能性が一気に高くなったからね。

 

 私は私の戦車道を続ける為に明光大に入学し、そしてみほがその道を繋ぐ可能性を示してくれた、大体そんな所ね。」

 

 

 

 

親に反発って、大胆な事をしたもんだわ…上流階級暮らしに飽き飽きして、逸見の家を飛び出した私が言える事じゃないかも知れないけど。

 

でも、その最終目標に至れるかもしれないと思わせる西住妹は、若しかしたら隊長以上のカリスマ性を備えてるのかも知れないわ……矢張りアナタは、私の最大のライバルである事は変えようがないわね。

 

 

今は未だ負けてるけど、必ず追い付いて、そして追い抜いてやるわ……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

 

ヤレヤレ、慣れてるとは言え、午前中のボードゲームは、殆どみほの一人勝ち状態だったな?

 

自他関係なく、どんな目が出ても其れに即座に対応できると言う、鋭い状況判断能力は私をも上回っていたからね……準決勝の試合の終盤も、あの倒木がなかったら、勝っていたのはみほだっただろうからね。

 

 

ジュニアユースの代表選手と言う事で、メディアに出る機会が多いから、私の名は知られているだろうが、みほは正に無名の軍神だな。

 

ハッキリ言って、同じ条件でもう一度試合をしたら、きっと私は勝てないだろうね……みほの潜在能力は、私を遥かに凌駕するのだからね。

 

 

 

 

其れは其れとして、午後の訓練は同車輌でチームを組んでの訓練だ。

 

同車輌同士での訓練と言うのは、己が乗る車輌の長所と短所を浮き彫りに出来るから、より部隊内での効果的な運用を出来るようになる訳だ……其の後で、各部隊との調整は必要になるけれどね

 

 

にしても、凄いな凛は?

 

 

 

 

「私の勝ちだ!!」

 

 

 

 

私が参加してないとは言え、ティーガーⅠでのバトルロイヤルで最後まで勝ち残った訳だからね……マッタク持って、大した腕前だな凛。

 

私が黒森峰のスカウトだったら、間違いなく黒森峰にスカウトしている所だ――君程の戦車乗りは、早々に居ないだろうからね………………

 

 

君と共に合宿が出来たと言うのは、私にとっては途轍もない幸運だったのかも知れないな。

 

 

 

 

「其れは私もだわ、まほ。

 

 うぅん、私だけじゃなくて、明光大のメンバー全員にとってこの合宿は大きな物だと思うのよ?……確実にレベルアップ出来る訳だからね♪」

 

 

「そうか、其れならば良かった。

 

 時に、君はみほの事をどう評価している凛?遠慮なく言って欲しい。」

 

 

「行き成りねオイ。

 

 まぁ、アナタの妹は、戦車道に於いては間違いなく最強と言っても過言じゃないと思うわ――校内の紅白バトルロイヤルでは、何も出来ずに撃破されちゃったからね?

 

 悔しいけど、貴女の妹さんは途轍もなく強い。明光大の部長として太鼓判を捺しても良いわ。」

 

 

 

 

そうか。貴方ほどの人でも、みほにはその評価を下すのだな。

 

だが、みほが強いのは戦術眼が優れているとか勝負強いとか、それだけじゃないんだ――あの子は、みほは『自分を護らない』事が出来る。

 

 

 

 

「自分を護らない……ですって?」

 

 

「そうだ。多くの人は、自分の身に危険が迫った時には己の身を護ろうとするのだが、みほは其れをしない事が出来る――だから、己の身を顧みずに行動する事が出来るんだ。

 

 そして、それが結果として自チームの勝利を呼び寄せる原動力にもなっているのさ。」

 

 

「そんな、どうしてそんな事が出来るのよ?」

 

 

 

 

みほの身体の事は知って居るだろう?あの子には左腕がない……事故で失ってしまったからね。

 

怪我の功名としか言いようがないが、死者が出てもオカシクない事故に巻き込まれて左腕一本で済んだのは御の字だったが……意識を失うその瞬間まで、みほは暴走した車が突っ込んで来る様を見ていた――死の恐怖を体感した。してしまったんだ。

 

 

だからみほは、大抵の事では驚かなくなってしまったんだ……戦車道を続ける者としては、予想していなかったプラス効果だった訳だがな。

 

自分を護らずに、仲間のために行動できる――それがみほの強さの根幹なんだ。ともすれば、危険なね。

 

 

 

 

「自分を護らないって言う、一種の狂人の考えがみほの強さを支えている訳か……言われてみれば、あの子は進んで矢面に立つ事が多かったような気がするしね。

 

 自分を護ることが出来ないって言うのは、確かに諸刃の剣だから、貴女が危惧するのも分からないじゃないけど、少なくともみほは、其れをちゃんと使いこなしてると思うわよまほ?

 

 己が矢面に立っても、決して無茶はしないで生き残る事を第一に考えて行動してる所があるからさ。

 

 確かにあの子は、自分を護らない事が出来るかも知れないけど、だけど其れが出来るのは仲間が居るからでしょう?……だから大丈夫だと思うわよまほ?――仲間が居る限り、あの子が道を踏み外す事は絶対にない。」

 

 

 

 

そうか、それを聞いて安心したよ凛。

 

其れでは午後の訓練を開始しようとするか!

 

攻守共に最高レベルのティーガーⅠだが、機動力には難があるので、其れを踏まえた上で色んな状況下で訓練をして行こうと思うのだが、くれぐれも体力を使い果たしてくれるなよ?

 

 

この訓練が終わったら、マラソンがないとは言え、昨日の『西住流フィジカルトレーニング』を行うからね。

 

 

 

 

「マラソンなしとは言え……マジでやるのアレを!?」

 

 

「マジだ。『本気』と書いてマジだ。拒否権はない。

 

 何よりも、この合宿のプログラムは9割方みほが製作して、其処に菊代さん――うちの家政婦だが、その人が修正を加えただけのものだから、難易度で言うならS・Hardレベルなんだ……だから諦めろ。」

 

 

「おうふ、神は死んだ。」

 

 

 

 

その気持ち、少しだけ分かるよ凛。

 

幼い頃からのトレーニングで慣れてる私とみほは兎も角、慣れてない者にとって、あのフィジカルトレーニングは拷問以外の何物でもないからな……寧ろ、初日に脱落者が出なかったのが不思議なくらいだ

 

 

だが、アレを熟せない様では所詮はその程度だ――この先何処まで行っても二流止まりだろうさ。

 

この世界に、二流三流の戦車乗りは必要ない!求めるのは、一流の強者のみ!!――その一流のぶつかり合いこそが、戦車道の本領だと私は思っているからね。

 

 

そう言う意味では、みほが明光大に進んだのは間違いじゃなかったのかも知れないな。

 

戦車長となり、信じられる仲間も出来たみたいだからね?……この環境は、みほにとって最高な環境だったのかも知れないな……まぁ、思い出話はこの辺にして、訓練を行うとしようか?

 

 

精々、私のティーガーⅠに撃破されない様にしてくれよ?

 

 

 

 

「まほ、アンタ其れは敵に対しての死刑宣告だわ?」

 

 

「なにぃ?聞こえんなぁ?」

 

 

という訳で全軍前進!!――悪いが、殲滅させて貰うぞ凛!!覚悟は出来ているな?出来ていなくても、殲滅するがなぁ―――!!!!

 

 

 

 

「鬼!悪魔!!高町なのは!!!」

 

 

「ふ、何とでも言うが良い!!」

 

 

さっきのゲームで負けた仕返しではないが、思い切りやらせてもらうぞ凛……居るかどうかも分からない神に、精々祈るがいいさ。

 

さぁ、行くぞ?

 

 

 

 

「くっそー……後でみほに言いつけてやる!!」

 

 

「あ、其れだけは止めてくれ。」

 

 

其れは私にとっての死亡フラグに他ならない…本気で怒ったみほには、お母様ですら太刀打ちできないのだからね……だから辞めてくれ凛。

 

 

 

 

「アンタの妹はドンだけよまほ?」

 

 

「戦車道は兎も角、プライベートで敵に回したら間違いなく死ぬな。」

 

 

「あ、其れ間違いないわ。」

 

 

 

だろう?だから、みほの目が届く範囲で滅多な事は出来んよ……まぁ、元よりやる心算は無いけれどね。

 

まぁ、この話はここまでにして、ソロソロ訓練の続きを始めるとしようか?…君がドレだけティーガーⅠを操ることが出来るのか見せて貰うぞ!

 

 

 

 

「なら、貴女の期待には応えるわまほ。」

 

 

「シミュレーションでは負けたが、実戦では負けん……行くぞ!!!」

 

 

 

 

その後の激しい模擬戦で、私も凛もレベルアップしたのは間違いない――もっと言うなら、合宿に参加している全員のレベルが上昇した筈だ。

 

きっとこの合宿が終わる頃には、黒森峰も明光大も、格段に強くなっているだろうからな……合宿最終日の模擬戦が、今から楽しみで仕方ないよ……色んな意味でな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:しほ

 

 

 

合宿2日目が終わった訳なんだけど……まほとみほ以外の合宿参加者は大丈夫なのかしら?可成りのハードトレーニングをして居たみたい

 

だから、気になるのだけれど……

 

 

「菊代、其の子たち息してる?」

 

 

「心臓は動いてますけど、呼吸は微弱……正に『死んだように眠る』の状態ですよ。」

 

 

「嘘でしょう!?」

 

 

まさか、それ程とは予想外だったわ……流石のトレーニングをしたみたいね、まほもみほも。……何て言うか、勝てる気がしないわ此れは。

 

だけど、だからこそこの合宿の意味があるわ――どんな結果になろうとも、明光大と黒森峰が発展するのは間違いないでしょうからね?

 

 

 

 

――だからこそ思うわ……何時の日にか、黒森峰の一強状態が終わりが来るんじゃないのかって……正に『盛者必衰』の言葉だけれどね。

 

 

 

 

みほとまほの提案を受けて、私が設定したこの合宿……一瞬たりとも目が離せないわね――戦車道の家元としても、一人の母としてもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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