ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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ペコさん…そう来なくちゃ面白くないよ!Byみほ        火が点いたわね、軍神に!Byエリカ       此れは燃えますね!By小梅     完全燃焼上等ね!Byエミ


Panzer204『燃えて燃えまくる練習試合です』

Side:オレンジペコ

 

 

みほ様率いる大洗女子学園との練習試合……柄にもなく心が熱くなっているのが自分でも分かります――地の利は大洗女子学園にある上に、みほ様には、隊長としての経験値、切れるカードの数、咄嗟の閃きとドレを取っても今の私では敵いません。

ですが、そんなみほ様と戦ってこそ、私は私を超えられる――其れに、卒業されたアッサム様に頼んで計算して頂いた勝率は、たったの0.01%と言う、一万回に一回しか勝てないと言う結果でしたけれど、勝てない訳ではないのです。ヴぃ

ならば、其の一回をこの練習試合で引き寄せてみようと思っても誰も悪いとは言わないでしょう……と言うか、勝てないまでも引き分けて、私が隊長である事が気に入らない『二軍』の先輩方を黙らせたいと思っているのも事実ですが。

『ダージリン様に媚を売った』、『ダージリン様に推薦されたから調子に乗ってる』、『紅茶格言の腰巾着』等々、まぁ、随分と好き勝手な事を仰られてるみたいですからね……そんな事ばかりやってるから、三年間レギュラーになれなかったのではないかと愚考しますが。

あの手の輩は、口で言うよりも実際に実力を見せつけるのが一番だと、ダージリン様も仰られていましたので、其れに倣うとしましょう。

 

 

 

「それにしても、今回の大洗は随分と大人しい編成で来たな?

 私は、今回もてっきり尖った性能の戦車で固めた変態編成で来ると思ったんだけど……此れは、また騙されたか?」

 

「お~~~~っほっほ!みほさんがやっちまう事を、所詮は凡人である私達が見切る事なんて、ぜってーに不可能でございますわよルクリリさん!

 みほさんは常識には非常識を、非常識には常識をぶつけて勝利をぶんどって行きやがる、ヴィクトリーハンターであらせられます事よ?勝利の女神が勝利を与えようとした相手から、勝利を盗むのだって大得意なのですわ!」

 

「お前、中学時代の戦友に対して言い過ぎじゃないか?」

 

「此れでも抑えている方ですのよ?

 みほさんの凄さとトンデモなさを本にしようとしたら、ラノベ十冊分くらいは、余裕のよっちゃんいか(おつまみイカなんこつ)ってとこですわ!因みにKAD○KAWA発行で、定価は税込みで一冊四百八十円と言った感じでごぜーましょうか?」

 

「……戦術参考書としても使えるって事を考えると、ワンコインで買えるのは破格のバリュープライスだな。」

 

 

 

ルクリリ様とローズヒップ様は、何時でも平常運転なのである意味頼りになりますが、この方達を通常の指揮系統に組み込むのはもう諦めて、いっその事、好きにやって貰おうと考えてる私が居るのが否定出来ないですね……どうせなら、試してみましょうか其れ?意外とイケるかも知れませんし、みほさんも流石に聖グロリアーナがそんな戦術を執るとは思わない筈ですから、虚を突く事が出来るかもしれません。

 

ですが、其れとは別に、ルクリリ様が仰っていた大洗のオーダーは確かに気になりますね……隊長車と、無限軌道杯から副隊長車になったパンターが居るのは当然として、それ以外はティーガーⅠとⅣ号F2と言う手堅いオーダーは、みほ様と言うか大洗らしからぬ編成です。

勿論去年の大洗のオーダーは、二十年前に戦車道が廃止された際に売れ残った戦車に、みほ様が持ち込んだパンターとティーガーⅡをねじ込んだ故のちぐはぐ編成だった事は理解していますが、無限軌道杯でも使用車輌は増えたモノの、其れは変わらなかった。

ですが、今回は手堅い編成な上に、全てドイツ戦車で統一されている……もしや、ティーガーⅠとⅣ号F2の乗組員は、今年入った一年生なのではないでしょうか?

 

……普通に考えれば有り得ない事ですが、みほ様ならば充分に有り得る。

今年入ったばかりの一年生、其れも戦車道の経験が浅い人達に実際の試合を経験させる意図があったのだとしたら、あのオーダーも一応は納得が出来ますね……最強の重戦車と名高いティーガーⅠと、Ⅲ号戦車と同様に、尖った性能がない代わりに全ての性能が高水準のⅣ号F2を選んだのは納得出来ます――特にⅣ号F2は防御力は高くありませんが、高い攻撃力と其れなりに高い機動力を備えた、Ⅳ号戦車のバリエーションの中では『マークⅣスペシャル』として恐れられた戦車ですから、経験の低い人でもそれなりに扱えますから。

ですが、そうであるのならば、みほ様が得意とするトンでも戦術は使い辛いのではないでしょうか?……去年の大学選抜戦の際に実際に知る事になったのですが、みほ様の常識破れの戦術は、戦車道経験者でも『無茶振りすんなコラ( ゚Д゚)!』と言いたくなりましたから。

其れを今年入った、其れも戦車道経験の浅い人が出来るとは思えません……が、みほ様だとそんな私の考えすら覆してしまうのでしょうね――ダージリン様ではありませんが、下手な考え休むに似たりと言う言葉もありますから、彼是考えるよりも、先ずはぶつかってみましょう。細かい事は、全部其の後でです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer204

『燃えて燃えまくる練習試合です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

ペコさん率いる聖グロとの練習試合……いやぁ、実に楽しみだねぇ?

地の利は勿論、戦車の火力、隊長としての経験値も大洗の方にあるんだけど、隊長車と副隊長車以外の戦車の搭乗員の練度は、ティーガーⅠの車長のエミちゃんを除いて聖グロの方が上――その利点をペコさんが如何生かすかが楽しみだよ。……まぁ、自分達が勝ってる点がある事に気付けるか如何かが大前提だけど。

 

 

 

「ペコならきっと気付きますよ西住隊長。」

 

「梓ちゃん、その心は?」

 

「ペコの師匠はダージリンさんだからです。あの紅茶格言がペコに隊長の座だけを渡したとか絶対に有り得ません――最悪の場合、周囲に格言や諺を言い散らかすと言う、傍迷惑でともすればブッ飛ばしたくなる特技を伝授しているかもしれません。」

 

「……根拠はマッタクないけど、なんだか凄く納得――ペコさんが『こんな格言を知ってる?』って言いだすのは、中々の悪夢な気がするよ、うん。」

 

「ペコがそんな事言ったら、私とツェスカのクロスボンバーで正気に戻すので安心してください。」

 

「マスク狩り?」

 

「其れとも、家元合体奥義のダブルキン肉バスターが良いでしょうか?……否、此処は人気のツープラトンであるNIKU→LAPを選択すべきですか?」

 

 

 

其れは作者が大好きな技だからねぇ……『夫々の必殺技を合体させたツープラトンはキン肉マン史上初』って感激してたし、二世の最終奥義の『マッスルキングダム』にはガチ感動だったからね。

 

 

 

――そして、新章ではキン肉マンとアタル兄さんの『リアルマッスルブラザーズ』見たいっすマジで。後、キン肉マンとスーパーフェニックスの主人公とラスボスのタッグも見たいです!

 

 

 

うん、なんか聞こえたけど其れは無視して……エミちゃん、首尾は如何かな?

 

 

 

『上々よみほ。

 Ⅳ号は商店街の各地に配置して、アタシは海岸前の大鳥居下でスタンバイ完了……高校戦車道界で四強の一角とされる聖グロ相手に如何戦うのか、お手並み拝見させて貰うわ。』

 

「ふ、ならその期待には応えるよ!」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「軍神招来か……しかも今回宿したのは自らを毘沙門天と称した『上杉謙信』とは――本気だな西住さん。」

 

「ふふ、私は何時だって本気だよ麻子さん……まぁ、幾ら上杉謙信を宿したとは言っても陣羽織とかを着こもうとは思わないし、あの頭巾みたいなのを被ったりはしないから。」

 

「惜しむらくは、武田信玄のポジションになる相手が居ない事だな。西住さんに勝てる戦車乗りなど世界中探しても居るかどうかだろう?……居るとしたら、其れは恐らく西住さんの戦闘パターンを全て叩き込んで、リアルタイムで学習するAIを搭載したサイボーグか何かだろうな。」

 

「未来から来た殺人サイボーグかな其れは。」

 

「みぽりんも麻子のなんの話?」

 

 

 

何だろうね?

取り敢えず、部隊の配置は完了……去年とは違って、キルゾーンに誘い込む事はせずに最初から市街地戦を仕掛けてみたけど、果たしてペコさんは如何出てくるかな?

ダージリンさんと同様の広い視野を持ってるならこの仕掛けには乗って来ない筈だけど、ダージリンさんの広い視野にはカタログスペックより上の力を出す事は出来ないって言う弱点もある。

だけどダージリンさんの戦い方を間近で見て来たペコさんならその弱点は分かってるからきっとそれを克服しようとする筈……だから、乗ってくる確率が高い――まぁ、乗ってこなかった乗って来なかったで別の戦法に切り替えるだけだから無問題だけど。

 

 

 

「西住殿の頭の中には一体何通りの戦術が存在しているのでありましょうか?」

 

「古今東西ありとあらゆる戦術を頭に叩き込んだし、更に其処からの発展戦術に、私が考えた戦術が有るから……多分だけど、最低でも六千通りは下らないと思う。

 下手したら一万超えてるかも。」

 

「みぽりんって、歩く戦術指南書!?」

 

 

 

ん~~、其れは否定出来ないかな沙織さん。……数ある私の二つ名の中には、『歩く戦術指南書』って言うのもあるみたいだからね。――でも、私は隻腕の軍神だよ。

これこそが私を最も的確に言ってるからね……そして、軍神と称される以上は負ける事は出来ないよ。勝利に固執する心算はないけど、楽しむ事が大前提だとしても、負けるよりも勝った方が楽しさは倍増するのは否定出来ないからね。

もしも勝てない時は引き分けに持ち込めれば其れで良し――黒森峰と言うか、戦車道の暗黒面に堕ちてた時のお祖母ちゃんは勝つ事こそが常勝不敗だと思ってたみたいだけど、真の常勝不敗って言うのは勝ちは当たり前だけど負けない事が大前提だから、実力で勝る相手にも勝てないまでも引き分けに持ち込む事が出来るのが真の常勝不敗なんだよね。

地上最強の鉄人と言われたルー・テーズも驚異の不敗伝説を持ってるけど、その不敗の中には引き分けも多いからね……何よりも王者に必要とされてるのは『勝つ事』じゃなくて『負けない事』だからね。

『負けなければ良い』って思えば、『絶対に勝つ』よりも、大分気が楽なんだよねぇ……勝てなくても負けなければ良いんだから。――だから、練習試合は物凄く気が楽だね。

だって、練習試合は絶対に勝たなければイケないモノではない――ぶっちゃけて言えば、今回の練習試合に関して言えば、負けてもマッタク問題はないからね。

勝つか引き分けなら、強豪相手に頑張れたって事で戦車道をより楽しく思うだろうし、負けたら負けたで、全力を尽くした楽しさを感じつつ、負ける悔しさを知る事も出来るから、その悔しさを二度と味わわない様に精進するだろうからね。

ぶっちゃけ、この練習試合その物が、結果に関わらず新人達の成長を促すモノなんだよ。大洗にとっては、メリットだらけ――

 

 

 

『に、西住隊長!』

 

 

 

っと、此処で通信が――通信相手はⅣ号の子だね?如何したの?

 

 

 

『聖グロのクルセイダーと、マチルダ一輌がこっちに向かって爆走して来てるんです!特にクルセイダーのキューポラから身を乗り出した、赤毛の車長がハンパなく怖いっす!』

 

「……は?」

 

クルセイダーはローズヒップさんだろうけど、それ以外にマチルダが一輌……って、まさかルクリリさん!?

聖グロでは異端と言えるローズヒップさんとルクリリさんだけど、聖グロの伝統的な、芸術とも言える隊列を離れて独断行動って言うのは何とも大胆な事をしてくれたモノだね?

試合後にOG会からのお説教があるんじゃないのかな――って言うか、ペコさんが独断専行を許すかな?

普通に考えたら、隊長命令を無視した独断専行は、聖グロだからこそ考え辛いんだけど……クルセイダーの実戦投入に踏み切ったダージリンさんの弟子であるペコさんだったら容認する可能性も――ないか。

ダージリンさんは聖グロの改革を行ってはいたけど、命令無視の独断専行は許さなかった――去年のエキシビションマッチの時だって、クルセイダー部隊はダージリンさんの指示の下に別行動をしていた訳だからね。

と言う事は若しかして……今のローズヒップさんとルクリリさんは、私がエリカさんに言う『好きにして』状態なのかも!独断専行はアウトでも、隊長から『好きにして』と言われたのなら命令違反ではないから、グレーゾーンのギリギリセーフだからね。

ペコさん、あの二人の手綱を握るのは難しいだろうとは思ってたけど、『手綱を握り切れないなら放しちゃえ』と来るとは予想外だったよ……私に予想外をやって来るとは、想像以上に成長してるみたいだね。

 

ふふふ……此れだよ。こう言った事があるから戦車道は面白いんだよね!――良いよペコさん、その大胆な采配に応えさせて貰うよ!

 

「落ち着いて。

 無理に撃破しようとはせずに商店街の中を兎に角逃げ回って下さい――如何にクルセイダーが機動力に優れているとは言え、其れはあくまでも直線コースに限っての事です。

 路地も狭く、曲がり角も多い商店街ではその利点を生かす事は出来ない上に、地の利は此方にあります……確か貴女は大洗出身でしたよね?」

 

『は、はい!生まれも育ちも大洗です!』

 

「なら、商店街の地形は頭に入っているでしょう?

 兎に角今は逃げの一手に専念しつつ、立体駐車場前に待機しているⅣ号の所まで誘導して下さい――運が良ければクルセイダーはその道中で自滅する可能性がありますから。」

 

『自滅?』

 

「ローズヒップさんはスピード狂だから。」

 

『あ~~……』

 

 

 

『速さに命を懸けてる』ローズヒップさんは、大洗永町商店街の起伏が激しくて曲がりくねった道に対応しきれずに何処かの店に突っ込んで白旗判定になる可能性は充分にあるからね。

 

「沙織さん、立体駐車場で待機してるⅣ号と通信を開いて、○○○○○せよって伝えて。」

 

「了解だよみぽりん!確かに其れは、有効かもしれないからね!」

 

 

 

まさかの奇襲には驚いたけど、本番は此処からだよペコさん……新生大洗女子学園の底力、ゲップが出る位味わって貰うからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

通常の指揮系統から外されたローズヒップとルクリリの強襲を受けた大洗だが、其処は流石の軍神と言うべきか、即思考を切り替えて最善の策を選択して、強襲部隊に対応する――この柔軟さも大洗の強みと言えるだろう。

 

 

「オ~~ッホッホ、逃がしませんわよ!!」

 

 

だがしかし、みほの予想に反して、ローズヒップのクルセイダーは、『路地を曲がるのなんざめんどうきわまりねーですわ!』と言わんばかりに、主砲で曲がり角にある家やら店舗を主砲で破壊しながら可能な限り直線的に進んで行く……ナンボ連盟が直してくれるとは言え、其れは如何なのよ?

いや、中学時代にみほと一緒だったからこそ出来る事なのかも知れないけどね?……隻腕の軍神はトンデモナイ操縦士を誕生させましたってか!

何にせよ、こんな力業と使われたら、みほが言った自滅は期待できないと思うだろうが……甘いぜ!

 

 

 

――ガコン……

 

 

「ほわぁぁ!?な、何でごぜーますの!?」

 

 

強引な前進を続けていたクルセイダーの進撃が突如止まってしまったのだ……此れにはローズヒップも何事かと思いキューポラから身を乗り出して状況を確認すると、何と履帯が切れていた。

クルセイダーは機動力はある物の、決して足回りが強い訳ではない――此れまでの強引な進軍で履帯が遂に限界を迎えてしまったのだろう。奇しくもみほの読み通りになったのだ。

そして其れだけではない。

 

 

「スピードを重視する者はスピードに泣く……みほの言った通りだったわね!」

 

「貴女は!!」

 

「みほの最古の戦車仲間の中須賀エミよ……その名を頭に刻みつけておきなさい!悪いけど、貴女は此処で退場よ!撃て!!」

 

 

大鳥居下で待機してたエミのティーガーⅠが動けなくなったクルセイダーを強襲し、必殺のアハトアハトを叩き込む――みほは、エミにも指示を出して商店街に向かわせていたのだ。

何で、此の場所が分かったのか疑問に思うだろうが、逃げるⅣ号と通信を開いて今何処に居るかを確認していたのである――其れが功を奏してこの状況を作り出したのだ。

 

クルセイダーは機動力は高いが、防御力に関しては紙なので、ティーガーⅠのアハトアハトの牙を、其れも近距離から突き立てられたら堪ったモノではない。

砲撃を喰らったクルセイダーはド派手にブッ飛ばされ、二転三転した末に白旗判定となり、戦闘不能に――普通だったら、鞭打ち確定の状態でありながら、クルセイダーの搭乗員は煤塗れになってるだけで済んでいるのだから、特殊カーボンの防御力ハンパないわマジで。

 

まぁ、何にしても先手を取ったのは大洗だ。

如何に練習試合とは言え、先手を取る事が出来たのは大きいだろう――みほの戦車道は先手を取ってこそその真価を発揮する事が出来ると言っても過言ではないのだから。

と言っても、後手に回っても何とかしちゃうんだからハンパないわ……大学選抜戦も、先手は取られてもその後で確りリカバーしてたからな。

 

そして、其れに続き……

 

 

「また立体駐車場か……馬鹿め、そう何度も同じ手に引っ掛かるか!前はフェイク、後もフェイク、今度はサイドもフェイク……なら今度一周して、前が本命だな!」

 

 

立体駐車場では、ルクリリが此れまでの事を振り返って、本命は正面と考え、シャッターが上がり始めた正面の出庫口に狙いを定め、シャッターが上がり切ったらその瞬間に撃破できる態勢を作っていたのだ。

 

 

「うん、大当たり♪」」

 

「はぁ!?何でお前が其処に居る西住みほぉぉぉぉ!?」

 

「其れは企業秘密です。」

 

 

確かにルクリリの予想は当たり、正面の出庫口から戦車は現れた――但し、彼女が予想したⅣ号ではなく、今や戦車道界隈で伝説となっている『アイスブルーのパンター』だったが。

そして其れだけではなく、後部の昇降台からはⅣ号がせり上がって来ていた――完全なる挟み撃ち……此れこそがみほの狙いだったのだ。如何にルクリリと言えど、三度同じ手には引っ掛からないだろうと考え、その末に此れまでルクリリが体験した事を全部ぶっこむと言うトンデモナイ作戦をやったのである!

 

 

「華さん!」

 

「任せて下さいみほさん……花を生ける時のように集中して――行きます!」

 

 

結果として、ルクリリは完全にみほの策に嵌ったのだ――そして、策に嵌ったが最後、逃げる術はない……マチルダの正面に、パンターの超長砲身75mmが炸裂して、ルクリリも此処でゲームオーバー!……コンティニューする時は百円入れてね!

 

兎も角此れで残存車輌は大洗が有利になったのだが、そう簡単に行かないのが聖グロだ――

 

 

 

『大洗女子学園、Ⅳ号F2、一号車、三号車、行動不能!』

 

 

 

クルセイダーとマチルダが倒された直後に、今度は大洗のⅣ号が連続撃破されてしまい、数ではイーブンだと言えるだろう――オレンジペコはローズヒップとルクリリに好き勝手させておきながらも、確りと進軍して商店街に潜むⅣ号を密かに喰い散らかして見せたのだ。

 

だが、こんな事を見せられて、みほが黙っているだろうか?――否!断じて否だ!!

 

 

「ローズヒップさんとルクリリさんに好きにやらせて、此方の動揺を誘いながら、その裏で本隊が打って出て来るとは……完全にやられたなぁ?だけどやられっぱなしって言うのは好きじゃないから、今度は私の方から仕掛けるから覚悟してねペコさん!」

 

 

 

――轟!

 

 

 

「西住殿オーラが青くなって、オーラも青くなってであります!」

 

「混乱してるぞ秋山さん。若干意味が分からん。

 だが西住さんは、遂にスーパーサイヤ人ブルーに至ったみたいだな――西住さんは軍神なのだから、此れ位の事は必ず出来ると思ってたぞ。

 流石だな西住さん。」

 

「大した事じゃないよ……でも、出し抜かれたのは悔しいから、其れは倍返しだよ!」

 

 

 

如何やら練習試合は、此処からが本番であるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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