ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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へへ、燃えたろ?Byみほ        アンタじゃ燃えないわByエリカ       私達の、勝ちです!By小梅


Panzer205『Burning Tank Fighting!です!』

Side:みほ

 

 

大洗も二輌撃破、聖グロも二輌撃破、結果として残存車輌は五分だけど……先ずはしてやられた感があるね此れは?――ローズヒップさんとルクリリさんに気を取られた事でペコさん率いる本隊への注意が疎かになっていたってのは否めないからね……此れは大いに反省だね。

だけど、私の注意を疎かにさせたペコさんは凄いね……ローズヒップさんとルクリリさんを生贄にして、大洗の戦車を二輌も狩ったんだから――此れだけでも、ペコさんにとっては大きなステータスになるだろうね。

でも、此れで満足して貰ったら困るんだよね……梓ちゃん、一発かまそうか?

 

 

 

『そうですね、一発行きましょう!』

 

 

 

通信で梓ちゃんに問いかければ、如何やらノリノリみたいだね……其れじゃあ行くよ!

 

 

 

――ダン!

 

 

 

キューポラに右足を踏み乗せ、右手は天を指さし私は言う!!――乙女と戦車と二つの道が、捻じって交わる戦車道!

 

 

 

『鉄のニオイで己を磨く、油のニオイで敵を砕く!』

 

「お前等私を!」

 

『私達を!』

 

「『一体誰だと思っていやがる!!』」

 

 

 

――ドッガーーン!!

 

 

 

「よっしゃー!最高だぜ!みぽりん、梓ちゃん!全力で行け!」

 

 

 

大成功!客席の黒のカリスマにも好評だったからね――ふふ、本番は此処からだよペコさん?ダージリンさんの戦術を受け継ぎつつも、其れに独自のアレンジを加えたペコさんだけの戦車道を見せて貰おうか?

ダージリンさんの後継者で終わるか、其れとも聖グロの歴史に名を残す隊長になるのか……どっちになるのかの分かれ道がこの練習試合になるのかも知れないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer205

『Burning Tank Fighting!です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

ローズヒップとルクリリを撃破して先手を取ったのは大洗だが、その直後に聖グロもオレンジペコ率いる本隊がⅣ号F2を二輌撃破して、残存車輌は両校とも四輌と言う状況だ。

だが、残存車輌数だけならば同じだが、戦車スペック的に有利なのは大洗の方だろう。

パンターもティーガーⅠもⅣ号F2も攻撃力、機動力共に聖グロの残存車輌であるチャーチルとマチルダを大きく上回っているだけでなく、チャーチルとマチルダの主砲ではⅣ号F2は撃破出来てもパンターとティーガーⅠの撃破は略不可能と言う状況なのだから。

まぁ、撃破するだけなら戦車砲で撃破しなければならないと言うルールがある訳ではないので、やりようによっては撃破は可能だ――と言うか、みほは真面な戦車戦で相手を撃破する事の方が少ないからな。

『戦車道の裏技』とか言う本を出したら爆発的に売れる様な気がしてならない。

 

 

「西住ちゃんの作戦も見事だけど、ローズヒップちゃんも大分無茶な事すんね~~?……手綱握っとくの楽じゃなかったっしょダージリンも。」

 

「もう、ダージリンではないわよ杏。

 そうね、楽ではなかったけれど其れまでの聖グロには居なかった存在だから楽しくはあったわ……何よりも、彼女を聖グロに招いたのは私なのですから。」

 

「成程ね……にしても、西住ちゃんの戦い方は兎も角、西住ちゃん相手に囮作戦を成功させるだなんて、中々優秀な後継者みたいだね?」

 

「ふふ、ペコは手塩にかけて育てましたもの……みほさんが相手でもおいそれとやられなくてよ?」

 

 

序盤戦の攻防を見ながら、特設観客席で元大洗女子学園生徒会長の角谷杏と、元聖グロリアーナの隊長ダージリンこと大後琳(たいしりりん)はこの練習試合は話していた。

母校の練習試合があると聞いて、観戦に訪れたのである――杏の片手には干し芋の袋、琳の片手にはペットボトルになったとは言え紅茶が存在しているのは御愛嬌か。

 

 

「成程ねぇ~?だけど、西住ちゃんに勝つのは難しいんじゃないかぁ?

 世に言う『大洗の奇跡』で、西住ちゃんの実力と名前は一気に有名になったし、五十鈴ちゃんに聞いた話だと西住ちゃんと澤ちゃんの母校の中学から戦車道の選手が大分入って来たらしいし、それ以外の新入隊員も有望な新人だったって話だからね……Ⅳ号F2に乗ってるのが新人達であったとしても、西住ちゃんの指揮下だと化け物になるかもだよ?……アタシだって、その化け物の一匹だしね?」

 

「説得力があるわね……確かに、殆ど素人集団であった大洗を僅か一年で強豪校へと育て上げてしまったみほさんならば、今年入って来た新人を短期間で『試合に使えるレベル』にしてしまう事は可能だと思うわ。

 でも、だからこそⅣ号F2の乗員が全員新人であるとするのならばペコが付け入る隙があるのよ……試合に使えるレベルの新人では、みほさんの常識何て言うモノはゲームから除外すると言わんばかりのトンでも戦術を実践する事は略不可能。

 信号機落としや、歩道橋雪崩は兎も角として、常軌を逸した軌道からの一撃や、伝家の宝刀戦車プレスが出来るとは思えない……たった其れだけの事でも、ペコには充分なプラス要素になるわ。」

 

「こりゃまた大きく出たね?

 なら、一丁賭けない?この練習試合、どっちが勝つか――アタシは勿論、大洗が勝つに賭けるよ。序に、誰も予想しなかった形で勝つってのも追加しとくよ。」

 

「其れも一興ね……ならば私は当然聖グロの勝利に賭けるわ。チップは如何するの?」

 

「きらきらクレープの干し芋クレープか、ブリアンさんのガルパン、お好み喫茶道さんのたらし焼き、めんたいパークのジャンボ明太おにぎりの何れかでどうよ?」

 

「妥当な所ね。」

 

 

杏も琳も、母校が勝つと譲らず、ちょっとした戦車道トトカルチョが始まっていた。

 

 

「どっちが勝つだぁ?大洗の勝利一択に決まってんだろオラァ!みぽりんが負けるだぁ?寝言言ってんじゃねぇぞガッデメラ!最高だぜ、戦車道!!」

 

「いやぁ、相変わらず元気だねぇ黒のカリスマ……干し芋食う?」

 

「貰っとくぜ、ありがとよ!」

 

 

で、黒のカリスマも参戦してた……無限軌道杯の時は、バミューダ三姉妹のトトカルチョを咎めてたと思ったのだが、その時の気分で咎めるか乗るのか変わるのだろう――プロレスには臨機応変さが必要なのさ。

にしても、nOsの面子は今日は特に豪華だなぁ?nWoの始祖である『超人』ハルク・ホーガンをはじとした元祖nWoのメンバーにTEAM2000のメンバーにガキ使いでお馴染みの芸人に、各種スポーツ界から著名な人が集結してるからねぇ……この黒い応援団が何処まで成長するのか、ちょっと見ものではある気がするね。

 

 

さて、そんな観客席での一幕は兎も角として、大洗市街地での戦いは今もまだ継続中だ。

先ずは互いに二輌ずつ撃破した事で、五分の戦果と言った所だが、オレンジペコからしたら一度きりの戦術を使った末のⅣ号F2二輌撃破だったので結構ギリギリ感が強かった――戦果としては悪くないが、欲を言うのならばこの囮作戦でみほのパンターを撃破したかったと言うのが本心だろう。

殲滅戦なので相手チームを全滅させる必要があるのだが、其れだけに隊長の撃破と言うのは大きいのだ――隊長が撃破されてしまえば司令塔がなくなってチームの指揮系統はズタズタになるのだから。

みほさえ倒してしまえば、大洗は総崩れ――副隊長の梓も可成り強いが、其れでもみほと比べたら、あくまでもみほと比べたらまだ御しやすい相手であるだろうしね。……つっても、梓だってみほの才能によるところが大きな戦術をマニュアル化して明光大付属中の基本ドクトリンにしちゃった化け物なんだけどな!みほの一番弟子舐めんな!でもって、梓ちゃん主人公のスピンオフは何時の日か出来るのか?期待してます!!

 

 

「(さて、如何しましょうか……一番良いのは、此方は此れ以上撃破されずにみほ様のパンターを撃破する事ですけれど、其れは現実的に不可能であると言わざるを得ない――下手したら、みほ様のパンターを撃破する為に此方の残存戦力を磨り潰す事になりかねませんからね。

  だからと言って、聖グロの伝統戦術ではみほ様には届かない……であるのならば、伝統など宇宙の彼方のブラックホールに投げ飛ばして、型破りな戦いをしつつ、みほ様の誘いには乗らないのが最上策ですね。)

 全軍反転!大洗駅の前に移動してみほ様達を迎え撃ちます!」

 

「し、正気ですか隊長!?

 駅前は開けていながらも西住様が得意とする戦術が取り易い場所なのですわよ!?――そんな場所に部隊を移動するなど自殺行為ですわ!!」

 

「自殺行為ですか……確かにそうですが、だからこそ効果があるんです。

 きっとみほ様は此れまでの経験で、『自分が有利になる場所に誘い込む阿呆は居ないだろう』と無意識に思っている筈――そして、其れが正しければ、此れはみほ様に予想外を突き付ける事が出来ます。

 如何に隻腕の軍神であっても、完全な予想外を突きつけられれば必ず隙が出来る筈――その隙を突けば、勝つ事は難しくないんです。」

 

 

オレンジペコの下した命令に異を唱える隊員も、独自の理論をぶつける事で強制沈黙させる――因みに今意見して来たのは三年生なのだが、其れを黙らせるとは、見事である。

ダージリンが後継者に選んだのも納得と言うモノだ。――ダージリンはオレンジペコが隊長の器だと見抜いていたのだろう。マジで見事な眼力です。

そんな訳で、聖グロの部隊は大洗駅前で大洗の部隊を待ち受ける事に――頼むから、駅前に掲揚された全国大会優勝時の『祝!大洗女子学園全国制覇』の横断幕と、無限軌道杯制覇時の『祝!大洗女子学園無限軌道杯優勝』の横断幕は壊さないでね?此ればかりは代えが無いし作り直しも出来ないから。

 

直ぐに此処には来ないだろうと思い、オレンジペコはチャーチルのキューポラに腰かけてロイヤルミルクティーを楽しんでいたのだが――聖グロがこの場所に来てから五分後に其れは現れた。

アイスブルーのパンターを先頭に、パールホワイトのパンターに、デザートイエローのティーガーⅠ、ジャーマングレーのⅣ号F2……大洗の部隊だ。

其れだけならば特に問題ないが、キューポラから身を乗り出した車長が凄かった!新人オンリーのⅣ号F2を除き、みほも梓もエミも、何時着替えたのか、衣装が『黒のカリスマ』になって、みほはグラサンを襟の喉元に引っ掛け、梓はグラサンを首掛けにし、エミはグラサンを額掛けにし、更にみほはキューポラに右膝を立て、其れに右肘を置いて体勢で、梓はキューポラに両肘を引っ掻け、エミは腕を組んでのメンチギリ……うん、迫力がマジパナイな此れ。並の戦車乗りだったら、此れを見ただけで戦意喪失の敵前逃亡間違いねぇわマジで。

 

 

「随分と大胆な事をしたねペコさん……まさか、本気で私に勝つ心算なのかな?」

 

「その心算ですが、何か問題ありますか?」

 

「ううん、無いよ――本気で私に勝つ心算だなんて、エリカさんと小梅さんとエミちゃん以来だから私も燃えて来るしね。……けど、私に勝つには、まだ実力不足だよ。

 ローズヒップさんとルクリリさんを囮にしてⅣ号F2を二輌撃破したのは見事だったけど、その次が無かったらね。」

 

「だからこそこの作戦です――敢えてみほ様の土俵に上がらせて頂きます!」

 

「上等!此れまで私の策に乗って来た人は幾らでも居たけど、自ら私の土俵に乗って来た人は居なかったからね……ダージリンさんの後継者ってだけじゃないのを、見せて貰おうか?」

 

「言われるまでもありません!」

 

 

だがオレンジペコは怯まずに戦車戦を開始!たった一年とは言え、あの紅茶格言に事あるごとに格言や諺を聞かされて鍛えられたメンタルはハンパなモノではないのだ。頑丈さで言うのなら、ダイヤモンドすら凌駕するかもしれない。

とは言え、戦車スペックで劣る以上、先ずは確実に撃破出来る戦車から撃破して行くと言うのは当然の流れだろう――なのでオレンジペコは部隊を分散させ大洗の部隊の分断を狙う。

分断してしまえば新人が乗っているであろうⅣ号F2を孤立させる事が可能になり、そうなれば撃破するのは容易であるのだから。

 

 

「成程……悪くないけど、そうは問屋が卸さないよ?エミちゃん、梓ちゃん!」

 

「合点承知よ!」

 

「お任せ下さい西住隊長!」

 

 

だが、聖グロの部隊が散開したのを見たみほは、其れに付き合わず、Ⅳ号F2をティーガーⅠとパンター二輌で囲うように陣形を変え、聖グロの攻撃から新人達を護る形に。

殲滅戦では一輌の損失がそのままディスアドバンテージに繋がるので、撃破されないようにするのが大事なのだ――まぁ、Ⅳ号F2の新人達も護られるだけじゃなく、護られながらも攻撃をしているのだから悪くないと言えるだろう。

同時にこの陣形は大洗にとって有利とも言える――先程も言ったがチャーチルとマチルダの主砲ではパンターとティーガーⅠを撃破するのは、それこそゼロ距離攻撃でも行わなければ不可能なのだから。

だが逆に大洗の戦車は、マチルダならば何処に当てても撃破出来ると言う状況な上、二輌のパンターの砲手は高校戦車界トップ2砲手の一人である華と、砲手としての才能の蓋を開けたあゆみと言う命中率がハンパない連中なのだ。

此の状況を維持されたらジリ貧になるのは聖グロの方だろう。

 

だが――

 

 

「戦車戦で勝てないのならば、それ以外の方法を使うまで――行きますよみほ様!」

 

 

此処で何を思ったのか、オレンジペコが叫んだ瞬間二輌のマチルダが大洗に向かって突撃し……駅前に停めてあった乗用車をジャンプ台替わりにして大ジャンプ!

そして、其のまま二輌のマチルダはⅣ号F2とティーガーⅠに降り注ぎ……

 

 

――ガッシャーン!……キュポン!×2

 

 

『大洗女子学園、Ⅳ号F2、ティーガーⅠ行動不能。』

 

 

ティーガーⅠとⅣ号F2を撃破!

まさかの掟破りの逆戦車プレス!軍神の必殺技を逆に仕掛けるとは、オレンジペコの強心臓たるや見上げたモノであると言えるだろう……此れは如何みても完全にみほに喧嘩を売ったとしか言えないのだから。

 

 

「ご自分の必殺技を喰らった感想は如何でしょうか?……取り敢えず、私達はここ等で失礼しますね。」

 

 

マッタク予想外の事態に虚を突かれたみほ達を他所に、オレンジペコは戦車プレスを行ったマチルダを部隊に戻すと、そのまま市街地の方に去ってしまった。

大洗にしてみれば、完全にしてやられた感じだろう――特にみほにとって、自分の必殺技で二輌もやられたと言うのは屈辱以外の何物でもない筈である。

 

 

「フフフフフ……アハハハハハ……ア~ッハッハッハッハ!!やってくれるよペコさん!まさか私に戦車プレスを使って来るとは思わなかった!

 良いね、最高だよ!こうもあからさまに私に喧嘩を売って来た戦車乗りはエリカさん以来かな……だったらその喧嘩は買うよ――売値の倍額で!

 やられたらやり返す!倍返しだ!」

 

「半沢直樹か?」

 

「我は戦車を極めし者……うぬらが無力さ、その身を持って知るが良い!」

 

「殺意の波動にも目覚めたか……超サイヤ人ブルーに軍神招来に殺意の波動――西住さんのマックス戦車力は通常時の4000万倍はあるな。」

 

「麻子、其れってドレ位?」

 

「マックス状態の西住さんだったら、フリーザをデコピンで粉砕できる。」

 

「みぽりん、人間だよね?」

 

「いや、軍神だろう?」

 

「なにそれ、やだもー!」

 

 

はい、名言頂きました!原作中では一度も言ってないけどね。

取り敢えずみほと梓のパンターは市街地に向かった聖グロの部隊を追って市街地に――逆戦車プレスで完全に火が点いたみほはマジで手が付けられない戦車乗りだから、聖グロの部隊にとって本番はこれからだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、試合は大詰めを迎えていた。

駅前よりも使えるギミックが多い市街地では、みほと梓は鎖の切れた猛獣の如き大暴れを披露して聖グロを追い詰めて行った――信号機落としや歩道橋落としだけでなく、商店街でデッドヒートを行って、急カーブにある旅館に突っ込ませると言った手段を駆使して次々とマチルダを撃破していったのである……軍神と軍神の一番弟子ハンパないわマジで。

そして遂に残存車輌は大洗は二輌のパンター、聖グロはチャーチルのみと言う状況なった。

 

 

「(あそこから逆転されるとは流石はみほ様……ですが、此の状況で勝つには、先ずはみほ様を倒す――梓さんも強敵ですが、みほ様と比べればまだ勝負になりますからね。

  勝負は一瞬ですね。)」

 

 

状況は不利となったオレンジペコは先ずはみほの撃破に集中する事にした――副隊長の梓も強敵であるのは間違いないが、其れでもみほと比べれば差があるし、自分が勝てない相手ではないのだからこの選択は悪手ではないだろう。

大学選抜戦の再現よろしく、パールホワイトのパンターが空砲を放ち、アイスブルーのパンターが其れを受けて急発進してチャーチルに向かい、正面ギリギリで急旋回の戦車ドリフトを行ってチャーチルの側面を取ろうとするが、オレンジペコはその動きに付いて行き、砲塔を回転させてパンターを追い、パンターが停止した所でターレットリングに主砲をブチかます――如何にパンターが優秀な戦車であったとしても、弱いターレットリングを狙われたら堪ったモノではなく……

 

 

『大洗女子学園、パンターG型行動不能。』

 

 

アイスブルーのパンターは白旗判定なってしまうが、パンターはもう一輌居る事を忘れてはならない!アイスブルーのパンターが白旗判定になった瞬間にパールホワイトのパンターはチャーチルに突撃して主砲を無防備な回転砲塔の後面に向けると、必殺の超長砲身75mmを叩き込む!

如何に防御力に優れるチャーチルであっても、弱点である後面に近距離から75mm砲弾をブチかまされたら堪ったモノではない……

 

 

『聖グロリアーナ、チャーチル行動不能!

 大洗女子学園残存車輌一、聖グロリアーナ残存車輌ゼロ――大洗女子学園の勝利です!』

 

 

その結果、チャーチルは撃破判定となり大洗女子学園の勝利となった。

 

 

「ふぅ……結構追い詰められたかな?見事だったよペコさん。」

 

「西住隊長に此処まで食い下がるとは思わなかったよペコ――凄いじゃん?」

 

 

だがその直後で、オレンジペコも観客も驚く展開が待っていた――アイスブルのパンターから梓が、パールホワイトのパンターからみほが降りて来ただから。

 

 

「みほ様!?梓さん!?――此れは一体?」

 

「私のチームと西住隊長のチームを丸ッと入れ替えたんだよペコ――隊長車であるアイスブルーのパンターを撃破させる事で生じる隙を確実に突く為にね。」

 

「バレるかもしれなかったけど、結果的には巧く行ったね。」

 

 

何とみほと梓は市街地に向かう前に丸ッと戦車を入れ替えていたのだ――そして、オレンジペコはまんまと其れに乗せられたのだ……アイスブルーのパンターを撃破した事で生じる隙を作り出されて居たのだ。

 

 

「みほ様……まさか、最後の最後でこんなトリックがあったとは、完敗ですね。」

 

「そうだね……だけど、此の試合は楽しむ事が出来た――何よりも、ペコさんの成長を見る事が出来たからね。――それに、うちの新人達にとってもいい経験だったからね。

 結果は私達の勝ちだったけど、ペコさんも強くなったでしょ?」

 

「はい、其れは実感しました……全国大会で当たったその時は今度は勝たせて頂きますよみほさん。」

 

「ふ、其れは楽しみにしてるよ。」

 

 

結果は大洗の勝ちだったが、みほを追い詰めたオレンジペコの名も世に知らしめる事が出来ただろう――もっと言うのであれば、隻腕の軍神のみほと此処まで戦う事が出来たのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

練習試合は勝つ事が出来たけど、ペコさんが予想以上に成長してて少し驚いたよ――今のペコさんは間違いなくダージリンさんを超えてるって言って過言じゃないね。

此れは、今年の全国大会は中々面白い事になるかもだよ。

ふふ、今年の大会は去年以上に荒れるのは間違いないね…・・・・荒れれば荒れるだけ面白いから、とことんまで荒れると良いよ。――荒れに荒れた方が見てる側としても興奮するからね。

 

練習試合が終わったばかりだけど、もう全国大会を考えてる私が居る――結局は、私も戦車に魅せられてもうやめられなくなったって事なんだろうね多分。

 

でもって、練習試合後は此れまで以上のトレーニングを行って、フィジカル面を大幅に強化してあげた――此れなら、何時試合に出ても問題ないからね。

そして、怒涛の日々が過ぎて――遂に全国大会の抽選の日がやって来た。……果たして一回戦の相手はどこなのか?楽しみだよ!

最後の高校戦車道、悔いを残さないように戦う……全力でね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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