ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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……………!Byみほ        ……………!!Byエリカ       みほさんもエリカさんも、怖いから無言で闘気高めないで下さいBy小梅


Panzer208『隻腕の軍神vs突撃の戦乙女です』

Side:みほ

 

 

開始直後のゲリラ戦……此れは予想の範疇だったから問題なく対応出来るけど、この試合のフィールドの特徴を考えたら地の利は知波単に有利と言うのは否定出来ないね――ゲリラ戦を展開できる場所が多いからね。

突撃だけじゃなく、突撃を最大に活かすためにゲリラ戦を磨いたって言うのは正直に評価できる事だよ西さん――此れまでの石頭の知波単の隊長だったら、きっと思いつく事すらなかっただろうからね。

……と言うか、旧日本軍ロールプレイな学校なのに、此れまでゲリラ戦を誰もやった事が無いって言うのは如何なんだろう?突撃よりも、寧ろ森林地帯のゲリラ戦こそ旧日本軍の得意技だったって言うのにね。

 

 

 

「大戦末期の神風特攻のイメージではないかと思うのですが、如何でしょうか西住隊長?」

 

「梓ちゃん、其れ絶対に真似しちゃダメなヤツだと思う。……ニュードリュアやボマー・ドラゴンでの自爆特攻は有効な戦術だし、命懸けじゃないゲームだからOKだけど。」

 

それにしても、この短期間で会得したにも関わらず、知波単のゲリラ戦はレベルが高いね?

此方をある程度攻撃したら雑木林に隠れて移動し、此方の背後や横っ腹からまた仕掛けてくる……大洗の被弾率の低さは全国でもトップクラスだから撃破されずに済んでるけど、此れが並の学校だったらとっくに何輌か撃破されてるだろうね。

或いは知波単の所有戦車がスペックの低い日本戦車じゃなくて、シャーマンクラスの性能のある戦車だったとしたら……待ち伏せに最適なⅢ突やヤークトパンターがあったらと考えるとちょっと恐ろしい気がする。

 

 

 

「やってくれるじゃないの西の奴……このゲリラ戦、可成りのレベルよ?

 アイツ、なんで知波単なんかに行った訳?正直、大学選抜戦の後から本格的に改革に乗り出したにしても、この短期間で此処までレベルアップさせるとかハンパないわ……推薦枠でもっと良い学校有ったんじゃないの!?」

 

「知波単の学園長に泣き落としされた可能性があるんじゃない?西ってそう言うのに弱そうだし。」

 

 

 

う~~ん、其れは若干否定できないかもしれないかなエミちゃん。

でも、西さんが知波単に行ってくれたおかげで楽しい試合が出来る訳だから、結果オーライ――とは言え、此のままゲリラ戦を続けさせたら試合の流れを持っていかれるかも知れないから、この辺で一手打たせてもらうよ。

エリカさん、久々にお願いするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer208

『隻腕の軍神vs突撃の戦乙女です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

試合の序盤は知波単がゲリラ戦を仕掛ける事で流れを引き寄せようとしていた――撃破こそされていないモノの、ゲリラ戦に対して散開して対処した大洗は、知波単のゲリラ戦のレベルの高さに少しばかり苦戦を強いられていたのだ。

此のままでは流れは完全に知波単に持っていかれてしまうだろう。

 

 

「エリカさん、大学選抜戦以来だけどお願いできるかな?」

 

「了解よみほ。久々に腕が鳴るわ!」

 

 

此処でみほはエリカに何かを『お願い』したのだが、一体何をお願いしたのだろうか?大学選抜戦以来となると可成り久々になる訳なのだが……

 

 

「ふぅん……結構やるじゃないの知波単――ついこの間まで突撃しか能のなかった三流学校とは思えないわ。このゲリラ戦、見事と言ってあげるわ。

 だけどねぇ、ゲリラ戦ってのは格下が格上を倒す為の戦術とも言えるのよね?……つまり、アンタ達はゲリラ戦を行う事で自ら『自分達は大洗よりも下だ』って認めてるって事分かってる?」

 

 

其れはこの挑発だった……確かに随分久しぶりだ此れ。最近はリミッター解除による狂犬化が多かったからね。

いやはや、久しぶりに発動した挑発だけど、あの冷静なダージリンをブチ切れさせただけあって言葉だけじゃなくて態度もムカつく事この上ないわマジで……右の口角だけ少し上げて、腕を組み、見下した様な目で見る――うわぁ、普通に殴りてぇわ。

 

 

「弱虫毛虫挟んで捨てろとはよく言ったモノだわ。

 あ、弱虫だったら突撃なんて出来ないか……実力で劣る突撃馬鹿が正しかったわね、間違えて悪かったわ、謝るわ、メンゴメンゴ、ゴメンネー。」

 

 

でもって煽る煽る。マッタク謝罪の気持ちが入ってない謝罪の言葉がマジでムカつくってもんだろう……其れこそ、露骨な挑発と分かっててもムカつくのを抑えるのは土台無理ってもんだ。

そして、そんな露骨な挑発を受けた知波単が黙っていられる筈もなく……

 

 

「逸見ーー!そこを動くな!!」

 

「キングタイガーぶっ殺す!!」

 

 

雑木林から飛び出して来た!

飛び出して来た全員が額に青筋を浮かべている辺り、完全にブチ切れているのだろう……エリカの挑発恐るべし!何処ぞの世界の青髪の生徒会長と組んだら恐るべき挑発部隊が出来上がる事だろう。――と、副管理人のネタをぶっこんでみる。ピクやハーメルンの住人には若干分からんかもしれないがな。

 

 

「動くなと言われて動かない馬鹿が居る訳ないでしょ?其れと殺せるもんなら殺してみなさいよ?

 この漆黒のティーガーⅡは結構な魔改造がされてるから、そんじょそこ等の戦車じゃ……其れこそ低スペックな日本戦車程度は相手にならないわよ冗談抜きで。

 でも、私はアンタラと真面に遣り合うつもりはないから、ここは行かせてもらうわ!アディオース!」

 

「便乗してアタシも離脱するわ。アバヨ、とっつぁーん!」

 

 

っと、此処でエリカとエミがこの場から離脱し、ゲリラ戦を行っていた知波単の部隊は其れを追って行ってしまった……去り際に、エリカはハンカチを振っていたが、エミも何処から取り出したのか手持ちの旗を振っていたのが、知波単を余計にムカつかせたのだろう。

 

 

「……自分で言っといてなんだけど、挑発中のエリカさんは味方ながらに殴りたくなる時があると思わない小梅さん?」

 

「殴りたくなるそのドヤ顔って所でしょうか?――まぁ、エリカさんはボクササイズで鍛えているのでそうそう殴る事は出来ないと思いますけれど。

 其れで、ここから如何するんですかみほさん?」

 

「私と梓ちゃん以外は二輌一組になって散開して索敵して。

 知波単の部隊とエンカウントしたその時は、無理に撃破せずにその場から離脱して――ただし、フラッグ車とエンカウントした時には他のチームに通信を入れてフラッグ車を狙う様に。

 フラッグ戦はフラッグ車を倒せばそこで終わりだからね。」

 

「フラッグ車を見つけたその時は、倒してしまっても良いと言う事ですねみほさん?」

 

「うん、其の通りだよ小梅さん。」

 

 

でもって、このエリカの挑発もまたみほの作戦だったのだから驚きだ――エミが参加したのは独断のアドリブだったのだが、結果として知波単のゲリラ部隊を全て引き出して本隊から遠ざける事に成功したのだから良い働きだっただろう。

にしても、若干違うが、小梅のセリフはアーチャーのアレのオマージュだ……汎用性高いなあのセリフはマジで。

 

でもって、みほの命令を受けた大洗の面々は、即座にツーマンセルの組み合わせを作って散開し、索敵行動を開始!……小梅率いるチャーフィーとエルヴィン率いるⅢ突のコンビが若干恐ろしい感じだ。

 

 

「其れじゃあ梓ちゃん、準備しようか?」

 

「そうですね。此れはきっと、西さんには効果抜群だと思いますので。」

 

 

ツーマンセルの組み合わせが散開したのを見届けたみほと梓は何かやるらしい……何をやるのかは分からないが、この軍神師弟がやる事が普通である筈がない。

寧ろこの二人が戦車道の常識に則った事をしたら、雨や雪を通り越して戦車砲弾が降り注ぐってもんよ!

天性の才能で次々と突拍子もない戦術を生み出すみほと、其れをマニュアル化してしまった梓……いやもう本気で、コイツ等色々ヤッベーわ。

ぶっちゃけ、みほ以上に実は梓の方がヤバい……みほの才能によるところが大きかった明光大付属中の戦車道をマニュアル化しちまったんだから。

みほが『直観の天才』ならば、梓は『理論の天才』なのかも知れない――最高の直感と最高の理論は同じ結果に到達すると言われるが、みほと梓はまさにそんな感じなのだろう。――って言うかそうじゃなかったらみほの戦術をマニュアル化する事とか出来ねぇし!

 

まぁ、何にしても軍神師弟が仕掛ける一手がこの試合の切り札になるのは間違い無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ゲリラ戦で先手はとったが撃破数は0……矢張り、そう簡単には勝たせて頂けませんか西住隊長)」

 

 

先手を取ったにも関わらず大洗の戦車を撃破出来ていないと言う報告を受けた此の状況、先代までの知波単の隊長ならば、痺れを切らして突撃命令下して自滅していただろう。

だが、現隊長の絹代は至って冷静だった――相手は自分よりも格上なだけでなく、無限軌道杯で自分を下したエミまで新隊員として加えているのだから元より自分の思い通りに試合が展開するとは思ってないのだ。

 

 

「(しかし、逸見殿の挑発に乗ってゲリラ戦が出来る場所から離れてしまうとは何たる愚策……突撃癖は何とか直す事が出来たが、もっと我慢の精神を身に付けさせる必要がありそうだな此れは。

  それはさておき、さて如何したモノか……逸見殿と中須賀殿以外の大洗の面々の動きが分からない――斥候を出して戦況を確認すべきか?)」

 

 

エリカの挑発に乗ってしまった部隊に少々頭を痛めつつ、此処から如何するかを考える……兎に角みほ率いる大洗は、何処で何を仕出かしてくれるか全く分からない上、最近は副隊長の梓もみほに匹敵するレベルになっているため、次の一手は徹底的に吟味して打たねばならないのだ――軍神師弟、マジで恐るべし。

 

 

『西隊長、此方細見。

 現在雑木林に潜伏中なのだが、大洗の戦車を発見。アレは……Ⅳ号F2が二輌だな。』

 

『此方玉田、大洗の戦車を発見。ヘッツァーとコメットだ。』

 

 

そんな中、細見と玉田から大洗の戦車を発見したとの通信が入った――場所は違えど、どちらも発見した戦車は二輌の様だ。

 

 

「(二輌?……もしや西住隊長は、二輌一組に部隊を細分化している?……となれば、其の二輌を的確に潰していけば此方が有利になるが――否、そう簡単に行く相手ではない。

  寧ろ部隊を細分化しているのならば、フラッグ車の護衛も少なくなっている筈だから、フラッグ車が現れた所にゲリラ戦を仕掛けて足止めをし、その間に部隊を集結させてからの突撃で仕留めるのが上策!)

 此方に気付いて居ないのならばそのまま無視しろ。だが、フラッグ車が現れたその時は、其れを報告した上でゲリラ戦を行いその場に足止めをするように。その間に他の部隊を呼び寄せて一気にケリを付ける!」

 

『『了解!!』』

 

 

其処から大洗がどんな作戦を取ったのか予想した絹代は、細見と玉田に指示を飛ばすと、自身もまた雑木林に身を潜めてフラッグ車が目の前に現れるのを待つ。

無限軌道杯でベルウォールにやられた『待ち』を形を変えて今度は絹代が使う……有効と思った戦術は取り敢えず取り入れてみると言う柔軟さと言うのも絹代の武器なのだろう。――まぁ、そうじゃなかったら突撃馬鹿の知波単の改革なんぞ出来なかっただろうけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ゲリラ戦部隊の一つを盛大に挑発したエリカと、其れに便乗したエミのコンビはと言うと……

 

 

「ハッハー!如何したの?此れだけやっても掠り傷一つ付けられない訳?

 所詮は貧弱な旧日本軍が使ってた骨董品じゃ、最強の重戦車であるティーガーⅠとティーガーⅡには掠り傷一つ付ける事も出来ないみたいね?

 まぁ、旧日本軍が使ってた戦車なんて、戦闘力五程度の雑魚だから仕方ないけどぉ?

 あ、怒った?怒っちゃった?短期は損気よ、カルシウム足りてないんじゃない?牛乳飲みなさい……って、そんな上等な物がある訳ないか。だったら煮干し食っとけ煮干し。」

 

「逸見、流石に牛乳くらいはあるでしょ?」

 

「甘いわよエミ、戦時中の日本において牛乳は貴重品だから、全部軍に回されて国民の口に入る事はなかったのよ――乳製品であるヨーグルトやチーズなんかもね。」

 

「だったら尚の事、旧日本軍ロールプレイの知波単には牛乳があるんじゃない?」

 

「知波単みたいな経済的に苦しい学校が、学園艦の住人を賄う事が出来るだけの牛乳を確保出来る乳牛を飼育出来ると思う?」

 

「あ~~……其れは無理だわ。極貧流、哀れ。」

 

 

バッチリと挑発してました。

エリカの挑発にエミが突っ込みを入れながらも、其れにエリカが反論し、エミが其れに納得すると言う手の込んだ漫才的な挑発をして煽りまくっているのだからマジでムカつく事この上ない。本気で殴りたいわ。

勿論挑発された知波単の部隊は果敢に攻撃を仕掛けるも、火力が低い日本戦車では最強クラスの性能を誇るティーガーⅠとティーガーⅡの装甲を抜く事は出来ない……そして、其れが更に知波単の部隊をイラつかせるのだ。

 

 

「さて、そろそろね……行くわよエミ!」

 

「そうね……やるわよ逸見!」

 

 

だが此処で煽りまくっていたエリカとエミが戦車を反転させて知波単の部隊に向かって突撃していった――其れは完全なカウンターであり、知波単の部隊は対応する事が出来なかった。

まぁ、散々自分達を煽りながらも攻撃してこなかった相手が突如攻勢に出たとなったら、虚を突かれて対応が遅れるのは当然なのだから。

 

 

 

――ドゴン!!

 

――パシュン!!

 

 

 

『知波単学園、九五式二輌、行動不能!』

 

 

 

ティーガーⅠとティーガーⅡの88mmが炸裂し、知波単は二輌の九五式が白旗判定となり、先ずは大洗が先手の撃破を成し遂げた――如何に勇敢な犬狼でも、猛虎の爪牙には成す術がなかったようだ。

だが……

 

 

「みほ達と合流するわよ!……って、動かない?」

 

「此れは、履帯をやられた!!」

 

 

知波単の部隊はタダではやられず、撃破される直前に放った砲撃で、ティーガーⅠとティーガーⅡの履帯を切る事に成功していた――白旗判定にはならなかったが、この二輌の履帯を切ったと言うのは大きいだろう。

ティーガーⅠもティーガーⅡも、その大きさから履帯も可成りの重さがあるので修理には時間が掛かるから、一時的とは言え大洗最強の火力封じが出来たのだから。

 

 

「転んでも只では起きないか……そう来なくちゃ面白くないわ!エミ、速攻で履帯を直してみほ達と合流するわよ!」

 

「言われるまでもないわ逸見……アタシ達を手負いの虎にした事を後悔させてやるわ!」

 

 

だが、其れを喰らった『ドイツ系クォーターガチンココンビ』は獰猛な笑みを浮かべながら履帯の修理に取り掛かっていた……いや、美人が怒ると怖いって言うけど、正にその通りだわ。

獰猛な笑みを浮かべたエリカとエミの口元には若干『牙』みたいな物が見えた気がしたが、其れは多分気のせいだろう。……気のせいだと思いたい。

何にしても最強の虎と虎の王が再び行動出来るようになったら、知波単の部隊は只では済まないだろう――虎は、己に牙を向けた相手を絶対に許さないのだから。

 

 

「「その首洗って待ってろ西絹代――!!」」

 

 

銀髪と赤毛、のドイツ系クォーターガチンココンビは知波単の隊長である絹代を次のターゲットに決め、其の闘気を高めて行ったのだった……どうにもドイツの血が入ると、喧嘩っ早くなるみたいだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:絹代

 

 

九五式を二輌失ったのは痛手だが、ただ撃破されただけでなく、逸見殿と中須賀殿の戦車の履帯を切る事が出来たのならば上出来だ――ドイツ戦車は攻撃力と防御力は信頼出来るが、足回りが不安要素だからな。

一時的ではあるが、大洗の最大の火力を封じる事が出来たのは大きい――なれば、この好機を逃さずに大洗のフラッグ車を叩かねば!!

 

 

『此方玉田!コメットとヘッツァーに、フラッグ車の白いパンターが合流した!』

 

『此方細見、Ⅳ号F2二輌にフラッグ車が合流したぞ。』

 

 

そう思った矢先に入って来たのは玉田と細見からの通信なのだが、何方にもフラッグ車が合流したとは一体如何言う事だ?――フラッグ車は試合ごとに一輌と定められているのだから、二輌のフラッグ車が存在する事はない。と言うかそんな事になったらフラッグ戦の在り方が問われてしまうだろうからな。

 

と言う事は何方かはフラッグ車に偽装した西住殿の青いパンターか!

だが、どうやってそれを見極めるか……キューポラから身体を出してくれれば一目瞭然なのだが、其れでは偽装の意味がなくなるから、其れは期待出来ないだろう。

よもや、こんな偽装工作を行ってくるとは思いませんでしたが、同時に西住隊長の底の知れなさを実感させて頂きました――ならば、私も全力を尽くして応えるのみ!

何方が本当のフラッグ車かは分かりませんが、面倒なので両方撃破する事にします――それが巧く行けば、私達の勝利に一歩近付けるのだから。

西住隊長、貴女の策、力ずくで突破させて頂きます!!

 

真なる知波単魂、其れを存分に味わって貰いますよ西住隊長――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

此れが今回の私達の切り札――『フラッグ車の偽装』だけど、果たして西さんは何方が本物か見極める事が出来るかな?……まぁ、見極めた所で如何にか出来るモノじゃないんだけどね此れは。

当たったら当たったで、梓ちゃんに倒されるし、外れたらその時は私に倒される――どっちに転んだ所で倒される一択なんだからね。

 

 

 

「どっちに転んでも敗北しかない二択を用意するとは中々に鬼畜だな西住さん?」

 

「鬼畜だなんて酷いな麻子さん……私は最高に楽しんで勝つ事が出来る作戦を実行してるだけだよ?――まぁ、逆に言うなら、楽しむ事が出来ればどんな戦術も迷わずに選択するけどね。」

 

「……訂正しよう、西住さんは鬼畜じゃなくて外道だな。いい意味でだが。」

 

 

 

麻子さん、良い意味での外道って如何言う事?若干分からないんだけど……麻子さんは天才タイプだから、天才独特の表現ってやつなのかもしれないね。

だけど何にしても、この策を超えて私達を倒せるかな西さん?――突撃のヴァルキリーの真髄を、見せて貰うよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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