ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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決着を付けようか、ペパロニさんByみほ       お前の敗北を持ってな!!Byペパロニ


Panzer217『決着を付けようぜ八神!です!』

Side:しほ

 

 

『二十五分間は私は動ない』と言った上で、アンツィオを追撃するとは流石だわみほ……二十五分間は、貴女は動かなくとも、大洗の他の部隊は動か無いとは言ってないから嘘は言ってないからね。

言葉もまた兵法――西住流の裏技も、みほはキッチリ会得しているみたいだわ……本当にあの子は、西住流始まって以来の天才であるのは間違いないでしょうね。

そしてその稀代の天才は、努力も怠らなかった……けれど、アンツィオはそんなみほが率いている大洗と互角の戦いをしている――安斎さんの後を継いだペパロニさんもまた相当な実力者ね。

みほが市街地に入ったらまた試合の展開も変わるのかも知れないけれど、みほが市街地に入った事を知ったら、ペパロニさんは他は一切無視して、みほを倒す為に残存戦力を集中するでしょう――其れが、みほを撃破する為に最も効率的な方法でもあるから。

 

 

 

「アンツィオがそんな作戦を使って来る事位、みほちゃんなら分かってると思うけど……?」

 

「えぇ、分かっているでしょうね。

 でも、分かっていても、あの子の場合は自分が集中攻撃された場合の対処が他の戦車乗りとは異なるのよ――勿論、私や貴女達ともね。」

 

「あん?そりゃどう言うこったしほ?」

 

「其れじゃあ問題よ好子。

 貴女だったら自分が相手に集中攻撃された場合、どう対処するかしら?」

 

「如何って……そりゃお前、味方に支援を要請した上で、何とか巻いて態勢建て直すに決まってんだろ?つーか、それ以外の方法って普通無いぜ?」

 

 

 

そう、其れが普通の対処の仕方。

だけどあの子は、みほは自分が集中攻撃された場合でも自力で何とか出来てしまうだけの実力がある――事実あの子は、一対十と言う状況でも勝利して見せた事があるのだから。

でも、其れは逆に言うと戦車を酷使する事を意味しているわ。

ドイツ戦車同士で模擬戦を行う事が多い西住流や黒森峰ならば、機動力戦になる事は多くはないから、其処まで戦車の足回りに負荷は掛からないけれど、機動力重視のアンツィオ相手に其れをやったら、最悪途中で履帯が悲鳴を上げてしまうわ。……ペパロニさんの狙いは其れ。

そして、此れがみほの最大の弱点ね――あの子は危機的状況に遭った場合、仲間を頼る事はしても、自分の安全を考えずに目の前の相手を倒す事が出来てしまう。自分の身を守らない事が出来てしまう。だから、集中攻撃されても自分で群がる相手を撃破する事を選択してしまう幼くして死の恐怖を体感してしまった事で、みほの恐怖心は極端なまでに麻痺してしまっているからね……『身を守らない事が出来る』と言う、生き物として最悪の欠陥――ペパロニさんが其処を突いて大洗を倒すのか、みほがその弱点を理解した上で対処するのか、勝負の分かれ目は其処ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer217

『決着を付けようぜ八神!です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

市街地に無事に到着した訳なんだけど……此れは此れは、梓ちゃん達は中々派手に暴れたみたいだねぇ?家屋は殆どが半壊状態になってるし、ガードレールはひん曲がり、歩道橋は階段だけしか残ってなくて、交差点には真・豪鬼――じゃなくて信号機が散乱してるからね……いやはや、私が居なくても、派手にやらかしたね皆。

 

 

 

「まるでゴーストタウンだな。……連盟が一体どれだけの諭吉さんをリリースするのか分かったモノじゃないぞこの有様は?

 と言うか、常々疑問だったんだが、戦車道の試合で破壊された一切合切は戦車道連盟が保証してくれるって、連盟は一体どれだけの財力を持っているんだ?」

 

「冷泉殿、其れは聞いてはいけない事であります。

 一説には戦車道連盟は『アラブに油田を持ってる』、『金やダイヤモンドなんかが採掘できる鉱山を幾つも所有してる』、『海底の奥底にあるレアメタル や、液化天然ガスを採掘して売買してる』、『大人気の戦車女子のブロマイドやグッズを高値で販売してる』と言った噂がありますが、真相は謎のままであり、下手に真相を暴こうとするとベーリング海峡の蟹漁船に乗る事になるとかならないとか。」

 

「ゆかりん、其れヤバいって。連盟の闇が深いよ?」

 

「あらあら沙織さん、その程度の闇、五十鈴家の闇と比べれば大した事ありませんよ?」

 

「え?ちょっと華、五十鈴家の闇って……」

 

「私が学園艦の最深部に張られていた有刺鉄線を華道用の鋏を使って一瞬でバラバラにしたのを覚えているでしょう?……アレは、五十鈴家に代々受け継がれてきた暗殺術を応用したモノなんです。

 実は五十鈴家は戦国時代から時の権力者に使えて来た暗殺を家業とする一族でして、太平の世となった江戸時代に素性を隠す為に華道を始めたと言われているんです。

 ですから、私にも暗殺者としての血が流れている訳で……」

 

「嘘!?思った以上に闇が深い!!」

 

「まぁ、全部嘘なんですけれど。」

 

「嘘って、やだもー!!」

 

 

 

あはは……華さん、其れは流石にない――とは言い切れないよね?

あの鋏での一閃は一朝一夕で出来るモノではないから、きっと幼少の頃から仕込まれて来た筈……五十鈴家が実は暗殺を家業としていたって言うのはマッタクの嘘ではない気がする。って言うか、下手したら歴史の裏で西住家や島田家とも事を構えてた可能性もあるかもね。

 

 

 

「うふふ、さて如何でしょう?……其れよりもみほさん、此れから如何しましょうか?」

 

「そうだね……先ずは適当に市街地を回って、アンツィオの戦車を見つけたら速攻でオープンコンバット。交戦中の所にエンカウントしたら、問答無用で乱入って所かな。」

 

「フラッグ車は探さないのか?」

 

 

 

麻子さん、確かにフラッグ戦である以上フラッグ車を探し出して撃破するのが一番効率が良いんだけど、市街地でフラッグ車を探すって言うのは簡単な事じゃないんだよ。

去年の黒森峰と言うか、戦車道の暗黒面に堕ちた西住流だったら相手のフラッグ車を思う様に誘導する事も楽なんだけど、ペパロニさんは『論理を蹴り飛ばして感性で行動する人』だから余計にね。

論理をすっ飛ばして感性で行動する人って言うのは、次の一手が全く読めないから、此方の思い通りに誘導するのは難しい上に、当たりを付けて探し出すってのも可成り難易度が高いから、ペパロニさんの方からやって来てくれる状況を作るのが最善なんだよ。

私が大暴れしてるって事を知ったら、ペパロニさんは必ずやって来るだろうからね……いや、ペパロニさんだったら必ず来るよ――ペパロニさんは、こう言ったらなんだけど『火事と喧嘩は江戸の華』を地で行く部分があるからね。

 

 

 

「ペパロニ殿は割と喧嘩っ早いとの噂もありますからね……っと、行き成り来たみたいでありますよ西住殿!!」

 

「だね。」

 

 

 

市街地に入った私達あんこうチームの前に現れたのは、カルロヴェローチェの集団……機動力を生かして私達を攪乱し、あわよくば履帯を切ろうって事なんだろうけど、戦車戦性能皆無の豆戦車で、大戦期最強の中戦車と謳われたパンターに挑むなど、愚の骨頂!笑止千万!!身の程を知れい!!

 

「麻子さん、華さん、優花里さん……行くよ!」

 

「おうよ。」

 

「お任せ下さい。」

 

「了解であります西住殿!」

 

「みぽりん、私は?」

 

「他のチームと連絡を取って、状況を確認して。」

 

「ん、了解!」

 

 

 

其処からは電光石火の攻撃開始!

麻子さんの超人的な操縦と、華さんの正確な砲撃と、優花里さんの高速装填で、私達に群がって来たカルロヴェローチェの一団を一撃必殺!速攻滅殺!!粉砕、玉砕、大喝采!!

 

 

 

 

――カキーン!

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

「西住殿の背に『戦』の文字が輝いているであります!」

 

「戦車の瞬獄殺、完成だな。」

 

 

 

戦車道の瞬獄殺って……まぁ否定出来ないけどさ。

でも、此れでカルロヴェローチェは全て撃破した……だけど、大洗の方も被害は甚大みたいだね――現状で生き残ってるのは私と梓ちゃん、エリカさんと小梅さんとエミちゃんか。

其れに対してアンツィオはペパロニさん以外にも生き残ってる戦車がいて、残存車輌は大洗よりも上だね……戦車の性能を加味すれば、略五分って言えるかもだけど、残存車輌の全てをフラッグ車に向ける事が出来るだけアンツィオが有利って感じかな。

だけど、私は此の試合でまだ切り札を切ってないっていう事を忘れちゃいけない――そして今こそ、その切り札を切る時!エリカさん、此処からはエリカさんのやりたいようにやって!

 

 

 

『その言葉を待っていたわみほ……ぐおあぁぁぁぁぁぁぁ……キョォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!』

 

 

 

はい、安定の暴走状態っと。

……今更だけど、自分の意志で暴走できるエリカさんって可成り凄いよね?だって其れは、理性と本能を完全に自分でコントロール出来てるって事になる訳だからね。

さて、本番は此処からだよペパロニさん――この戦い、勝利は譲らないよ、絶対に!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

みほが市街地に到達したのと同時に試合は動いた。

CV-33の集団攻撃を皮切りに、アンツィオは徹底してみほ率いるあんこうチームを狙って来たのだ――其れこそ、あんこうチーム以外には眼中にないと言わんばかりの勢いでだ。

普通なら、集中攻撃をされた事で焦る場面だが――

 

 

「甘い!温い!!雑魚めがぁぁぁ!!」

 

 

次から次へと現れるアンツィオの戦車を、みほは来る端から撃破して行く――その結果、アンツィオの残存車輌は減って行き、遂に残存車輌は一桁になってしまったが、其れでもアンツィオは執拗にあんこうチームを狙って来る。

 

 

「あぁ、もう本当にしつこいなぁ……麻子さん!華さん!!」

 

「おうよ。」

 

「一発必中……!!」

 

 

だが、そんな相手も麻子の超人的操縦テクニックと、華の針の穴をも抜くレベルの正確な砲撃で次々と撃破して行く――正にあんこうチーム無双と言った所だ。

いや、実際にあんこうチーム無双だろう。

大洗女子学園のあんこうチームは世界的に見ても最強のチームであり、あんこうチームを凌駕できるのはみほが中学時代の時の伝説の青パンターチームだけとすら言われているのだからね……このあんこうチームを凌駕する旧青パンターチームがチートな気がするけどな。

 

さて、徹底的にあんこうチームを狙っているとは言うが他のチームだって放っておいて良いと言う訳ではない――寧ろ暴走エリカとか放っておいたら速攻でペパロニを叩きのめしに行っているだろう。

だが、今現在その様な状態にはなっていない。何故か?

 

 

「「「デコイだらけでどれが本物か分からない!!」」」

 

「ギョォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

其れはアンツィオがあんこうチームへの集中攻撃を始める前に、市街地のいたる所に配置した大量のデコイのせいだった。

去年の試合でも使われたマカロニ作戦だが、今年のデコイは只の書き割りだけでなく、立体的に組み立てられたモノもあるので攻撃するまで本物か偽物かマッタク区別が付かないのである――だから、梓達は思う様に動く事が出来ていないのだ。

偽物か本物かの二択を常に迫られる上に、デコイとのエンカウントは割と頻繁に起こって居るので精神的にも大分キッツいモノがあるのだ……まぁ、暴走してるエリカだけは、デコイか本物かなんぞ関係なく『目の前に現れた敵戦車は取り敢えずブッ飛ばす』感覚で攻撃してるので精神的ストレスなんぞマッタクないだろうけどね。

 

 

「此れじゃあ埒が明かない……こうなったらイチかバチか!

 此れからエンカウントしたアンツィオの戦車は全部無視して西住隊長と合流しようと思います。赤星先輩と中須賀さんは如何しますか?」

 

『そうですね……確かにこのままでは埒が明きませんから私とエミさんもみほさんとの合流をしようと思います。良いですよねエミさん?』

 

『そうね……取り敢えず、沙織に今何処に居るのか聞いてみるわ。』

 

 

だが此処で梓が大胆な決断をした――此れからエンカウントするアンツィオの戦車はみほと交戦中以外のモノは全てデコイだと斬り捨てて無視してみほと合流する事を選んだのだ。

其れを聞いた小梅とエミも同意し、エミが沙織に通信で今何処に居るのかを聞き出してその場所へと全速力で向かう――エリカは暴走状態で真面にコミュニケーションが取れる状態ではないので除外した。……桂利奈は何で暴走エリカの言ってる事が出来るのか今更ながらに謎過ぎるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

次から次へと『増殖するG』の如く現れたアンツィオの戦車と戦車戦を行っていたあんこうチームだが、連戦に次ぐ連戦を行ってもマダマダ元気一杯だった……いや、多分身体は疲れてるんだろうけど、脳が疲労を感知してないんだろうね此れは。

パンツァーハイで、アドレナリンが大量に分泌された状態なのだろう――精神が肉体を凌駕してれば、ドレだけ身体が疲れてたとしても脳が其れを感じなければ疲れたとは思わないからね……パンツァーハイ、色々やべぇな。

 

そんなあんこうチームの周りには、白旗判定になったアンツィオの戦車が大量に……たった一輌で群がってくるアンツィオの戦車を全て返り討ちにしたのである。軍神やっぱりハンパない。

 

 

「流石だなみほ、集中攻撃すりゃ撃破出来ると思ったんだけどそう簡単には行かねぇか?」

 

「ペパロニさん……数の暴力で私を倒す事は出来ないよ?

 其れに、私に全ての戦力を割り振ったのは間違いだったね――アンツィオは残るはペパロニさんだけ。そして対して大洗はあんこうチームを含めて残り五輌。

 しかもエリカさん以外は此方に向かって来てる――まぁ、此れだけ派手に市街地壊しちゃったから此処に到着するには時間が掛かるかも知れないけど、状況的に有利なのは私達の方だよ。」

 

「確かにな――だが、逆に言うなら援軍が到着する前にお前を倒せばアタシ等の勝ちって事だ。援軍が到着するまで、タイマン勝負と行こうぜみほ!」

 

「望むところだよペパロニさん!」

 

 

其処にペパロニが現れ、少し言葉を交わした後にフラッグ車同士のタイマン勝負開始!

P40は重戦車と言われているが、その性能はⅣ号F2に近くスペックは中堅クラスの中戦車レベルであり、スペックではパンターには遠く及ばないが、其処は戦い方ってモンだ。

そもそもにして、みほもペパロニも正攻法の戦い方なんぞ、知らぬ、存ぜぬ、省みぬ!!最後が違う気もするが、普通の戦車道の戦い方なんぞしないのだ。

だから、タイマン勝負が始まってからは、歩道橋が粉砕され、信号機が落ち、コンビニは爆破炎上し、高層ビルのガラスが全て割れ、ビジネスホテルが1フロア戦車砲で貫通して、バスターミナルのバスが全車廃車になると言うトンでもバトルが繰り広げられているのだ。……此れ、全部弁償したら一体ドレだけの額になるのか想像したくねぇ。国家予算並みになるんじゃないかと思うねマジで。

 

だが、此れだけ無茶苦茶な戦いをしてると言う事は、戦車に掛かる負担もハンパない訳で……

 

 

 

――バチン!!

 

 

 

「な、履帯が!!」

 

 

此処でパンターの履帯が切れた。

しほが予想した通り、機動力重視のアンツィオの戦車と連戦を行ったパンターは、履帯に掛かる負荷が限界を超えてしまったのだ。

 

 

「……如何やら、アタシの勝ちみたいだなみほ?

 巧く行くかどうかは半々の確率だったんだが、アタシは賭けに勝ったぜ――みほ、お前が『自分の身を守る事が出来ない』ってのを利用させて貰ったぜ?」

 

「自分の身を守る事が出来ない?私が?」

 

「なんだよ気付いてなかったのか?

 お前は、普通の人間だったら反射的に防御するような攻撃を受けても、その攻撃を防御しないで攻撃する事が出来る――生き物だったら本能的に備わってる自己防衛をやらねぇ事が出来るんだ。

 でもって、其れは戦車道でも発揮されててな……さっきみたいな集中攻撃を喰らっても、お前は仲間と合流するよりも敵を撃破する事を優先できるんだよ。

 普通なら仲間と合流して態勢を立て直すのが上策であってもな――ま、お前の実力がハンパないから出来る事でもあるんだが、だが其れって逆に言えば、戦車への負担は度外視してるって事にもならぁ。

 だからアタシは、徹底的にお前のパンターに負担を掛けるようにしたんだ……援軍が到着する前に履帯が切れちまう様にな。」

 

「……ペパロニさん、そんな高度な考えが出来たんだ!?」

 

「馬鹿でも脳味噌フル回転させりゃ、此れ位の事は考えられんだよ!」

 

 

此れはあんこうチームにとっては最大のピンチだろう。

完全なクリスティ式が採用されている戦車ならば履帯が切れても走行する事が可能だが、そうでない戦車は履帯が切れたら走行する事は出来ない――白旗が上がってないのでまだ戦う事は出来るが、砲塔が動くだけの的と化したパンターでは、自由に動けるP40に撃破されるのは時間の問題だろう。

 

 

「此れで終わりにするぜみほ。」

 

 

ペパロニはパンターの後方に移動し、最も装甲の薄い車体後面に狙いを合わせる。

みほもパンターの砲塔を回転させて狙いを合わようとするが、回転砲塔の動きよりも戦車の動きの方が速いので後手に回ってしまう……みほの不敗神話も遂に終わる時が来た――誰もがそう思っただろう。

だが、この局面においてもみほは口元に笑みを浮かべていた――敗北寸前で苦し紛れの笑みを浮かべている訳ではない純粋な笑みが。

 

 

「決着にはまだ早いわよペパロニィ!!」

 

「んな、エリカ!?」

 

 

何と、このギリギリのタイミングでエリカのティーガーⅡがパンターとP40の間に割って入り、P40の砲撃を弾いてみせたのだ――さっすがティーガーⅡの装甲厚はハンパない。

だが、エリカは暴走状態だった筈だが、今は理性を取り戻している……どういう事だ此れ?

 

 

「お前……暴走したって聞いてたのに!!」

 

「えぇ、暴走してたわよ――但し、あくまでも表面上だけね。」

 

「此れが真の切り札――エリカさんには本当に暴走して貰ったんじゃなく、暴走したふりをして貰ったんだよ。

 暴走したエリカさんは凶暴で強いけど、理性が吹っ飛んでるから正常な思考は出来ない――だから、マカロニ作戦を行えば簡単に無力化出来るって考えると思ってね。

 そしてこの作戦を知るのは私とエリカさんだけ……大洗の他のメンバーですら知らなかった、正に極秘作戦だよ。」

 

「つまり。私は暴走するふりをしながら最初っから此処を目指してたって訳よ――最後に勝つ為にね!」

 

「そんな……みほ、お前まさか!!」

 

「うん、知ってたよ私の異常性なんてとっくにね。

 そして其れが最大の弱点であるって事も――其処をペパロニさんが突いて来るんじゃないかって事もね。だから私は其れを逆に利用した、させて貰った。

 全ては、此処に集約させる為の試合展開だったんだよ――序盤のアレには驚かされたけどね。

 何にしても此れで終わり!エリカさん!!」

 

「喰らえや、おんどりゃぁぁぁぁ!!」

 

 

 

――ズガァァァァァァァァァン!!

 

 

――キュポン!!

 

 

 

『アンツィオ高校、フラッグ車戦闘不能!大洗女子学園の、勝利です!』

 

 

 

割って入ったティーガーⅡの超長砲身88mmがP40に炸裂し、P40は一撃で白旗判定に……如何に傾斜装甲を採用したとは言え、50mmの厚さではティーガーⅡの砲撃に耐える事は出来なかったのだ。

 

 

「クッソー、負けちまったか……勝てると思ったんだけど、お前はアタシの予想を遥かに超えてたって訳かみほ。」

 

「そう言う事だよペパロニさん……だけど、とっても楽しい試合が出来た。

 ともすれば、去年の決勝戦以上に楽しかったよ……高校最後の大会で此れだけの楽しい試合が出来た事に感謝だよペパロニさん。」

 

 

決着が付いた其の後は、みほもペパロニも戦車を降りて、互いの健闘を称える握手を交わしたのだが、更にみほは楽しい試合が出来た礼にと、ペパロニの頬にキスしやがりましたよ!?

頬へのキスは親愛の証とは言っても、其れは観客席のオーロラヴィジョンにもバッチリ映し出されたからね?

 

 

「おぉっと、中々やるなみほちゃん?」

 

「しほちゃん、私にもほっぺにチューして?」

 

「千代、其れ本気で言ってるなら殴るわよ?」

 

 

でもって、客席が若干カオスになったのはある意味で当然だったと言えるだろう――黒のカリスマが背後で蝶野ビンタを芸人にかましていたのはきっと見間違いではないだろうけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

閉会式も無事に終わり、大洗が真紅の優勝旗を手にした訳なんだけど、アンツィオが決勝の相手だった以上は、此れで終わりじゃないよね?

 

 

 

「閉会式は終わったが、アンツィオの戦車道はまだ終わってねぇ!試合後のパーティは欠かせねぇから!」

 

「だよね♪」

 

其処からはあっと言う間に大宴会が開催され、大洗とアンツィオだけじゃなく、決勝戦を観戦に来てた各校のメンバーや黒のカリスマ率いる応援団をも巻き込んだ大宴会になって多いに楽しめたよ。

 

「取り敢えず、最高の決勝戦をありがとうペパロニさん。」

 

「其れは言いっこなしだぜみほ?アタシも楽しめたからな……最高の試合が出来た事に乾杯ってな。」

 

「そうだね。」

 

私とペパロニさんんはワイングラス(中身はブドウジュース)で乾杯して、そして目一杯この宴会を楽しんだ――ペパロニさんが考えた、あん肝を混ぜたトマトソースを塗ってチーズとアンチョビを散らしたピザは最高だったよ。

で、この宴会で盛り上がった私は、其のままエリカさん、小梅さん、エミちゃん、ペパロニさんと夜の戦車道を行う事になりましたとさ……此れもある意味で良い経験だったのかもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

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