ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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此れは、最高のチームを得たのかも知れないね?Byみほ       私達の命、貴女に預けるわ西住妹Byエリカ


Panzer22『合宿最終日・最後の模擬戦です!』

Side:みほ

 

 

 

5日目に、お祖母ちゃんの無用な乱入は有ったけど、それ以外はマッタク持って順調に合宿は執り行われたから、明光大は勿論、黒森峰だって、地力の底上げが出来たのは間違いないんじゃないかって思うね。

 

 

特に逸見さんと赤星さんは、黒森峰の中でも特出した成長値を見せていたからね……そう遠くない未来に、間違いなく最高レベルの戦車長になるだろうね?……若しかしたらお姉ちゃんレベルにも辿り着くかも知れないから、今から楽しみで仕方ないよ♪

 

 

 

 

「やれやれ、本気で楽しそうだねみほ?」

 

 

「うん!楽しいよお姉ちゃん。って言うか楽しむなって言うのが無理だよ。

 

 私のパンターのクルーは最高にして最強だって思ってるけど、同じ学校で同じチームじゃ戦う機会は無いからね――だけど、黒森峰との合同合宿ならと思ったんだけど、逸見さんと赤星さんとなら、楽しむ事が出来そうだから♪」

 

 

「……まぁ、逸見と赤星は、今年の黒森峰のホープだからな。

 

 何よりも、2人の可能性を信じて、私が直々に鍛えてやっているんだ、並の同世代など相手にもならないだろう――其れを学年別バトルロイヤルで鎮圧してしまったお前の事が、ちょっぴりだけ怖いけれどなみほ。」

 

 

 

 

怖いって……だって、如何すれば良いかが瞬時に頭の中に浮かんできて、それに従っただけだから、怖い事なんて何もないと思うんだけど?

 

大体にして、此れを怖いって言ってたら、戦車道に携わる大概の人が、化け物になっちゃうんだけど……

 

 

 

 

「それは……確かにそうだな。

 

 だが、それだけに明日の最終日に行われる、模擬戦には不安しか感じないよみほ――お前が一体何をしてくるのか、其れが全く分からないのだからな――私の戦車道史上、最強の相手だよお前は。」

 

 

「それは、とっても光栄だよお姉ちゃん。」

 

 

でも、だからと言って負ける心算は無いし、花を持たせるなんて言うのはもってのほか!――そんな事をしたら、お姉ちゃんの顔を潰す事になるだけだからね?……全力を持ってして、勝つ!最終日の模擬戦で、私に出来るのは其れ位だよ。

 

 

 

 

「ふふ……それは私もだよみほ。

 

 何れにしても、明日の――最終日の模擬戦は、此れまでとは一線を画すモノになるが故に、細心の注意を払い、だが大胆に行くとしよう!」

 

 

「異論無し!!」

 

 

合宿最終日の模擬戦は、若しかしたら全国大会の決勝と同じか、あるいはそれ以上に激しいものになるのは、間違いないかもしれないね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer22

 

『合宿最終日・最後の模擬戦です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

物凄く濃い内容だった合宿も、今日でいよいよ最終日――僅か7日、されど7日、この合宿が私にとって大きな物であったのは間違いないわ。

 

そして、最終日の1年vs2・3年の模擬戦……マッタク持って上等以外の何物でもないわ!合宿とは言え、隊長と戦えるわけだしね。

 

 

でもまぁ、先ずは1年チームの隊長を決めないとだわ。

 

――隊を指揮する人間が居なくては、ドレだけ優れた人間が何人集まろうとも、其れは烏合の衆に過ぎず、簡単にやられてジ・エンドだしね。

 

とは言え、誰が隊長をやるかで不毛な言い争いが起きるのは、時間の無駄であり徒労だわ。

 

 

だから、私は西住妹を、1年生チームの隊長に推すわ。

 

 

 

 

「ふぇぇ!?ちょ、逸見さん、なんで?」

 

 

「なんでって、当然の事じゃないかしら?

 

 学年別のバトルロイヤルでも勝ち残ったのは貴女でしょ?しかも、最高の撃破数を記録した上でね――此れだけの人を隊長に推薦しない理由があるかしら?

 

 少なくとも、私は無いと思うわ――赤星も、そう思うでしょ?」

 

 

「はい!1年生チームの隊長は、西住さん以外にはあり得ません!

 

 西住隊長とは違いますけど、西住さんなら隊長として過不足ありません――と言うか、このチームでは貴女以外の隊長はありえません!!」

 

 

 

 

OK、言いきったわね赤星?

 

だけど、赤星の言った事は、私達の思いでもあるのよ――だから、このチームを率いてくれないかしら西住妹?……出来るでしょ、貴女なら。

 

 

 

 

「……其処まで言われたら、やるしかないじゃないですか!

 

 分かりました、1年生チームの隊長を、私に出来る範囲で務めさせて貰います――私としても、非公式とは言えお姉ちゃんにリベンジする機会を得た訳ですからね?

 

 だから、この模擬戦は勝ちに行きます!!」

 

 

 

 

――轟!!

 

 

 

 

「!!!」

 

 

途端に目つきが変わったわね?――その目つき、正に『軍神』の化身であると言っても過言じゃないわ。いえ、軍神其の物よ!!!

 

この子が隊長なら、誇張抜きで勝つ事が出来るかも知れない……あの西住隊長を相手に回したこの状況でも、そう思えてしまうわ本気で!

 

 

「西住妹……勝てる?」

 

 

「勝ちますよ、逸見さん。」

 

 

 

 

言いきったか……最高だわ!!

 

あの隊長を、西住まほを相手に回して、こうもハッキリと『勝つ』と言える戦車乗りが、果たしてどれだけ存在するか……だけど、西住妹は当たり前のように、言いきった!勝つって言った!

 

 

なら、其れを現実にする為に、私達は動くだけだわ。

 

 

 

 

「よっしゃー!2・3年混合チームにぜってー勝ーーーつ!下剋上だーーーー!!」

 

 

「下剋上……燃えるじゃない!やってやるわよ、おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

……って、貴女の発言を聞いてテンションが変な方向に上がってるのが2名ほど居るんだけど、アレってあのままで良いの西住い……隊長?

 

 

 

 

「青子さんと椿姫さん……あのテンションなら大丈夫ですよ。アレがあの2人の『パンツァー・ハイ』みたいなものですから。

 

 序に言っておくと、あの状態の青子さんは装填速度が通常状態の1.25倍になり、椿姫さんは車長の能力に+25%の修正が入りますよ?」

 

 

「え、何それ怖いんだけど。絶対に敵に回したくない感じね其れ。」

 

 

「でも、味方だとこの上なく頼りになる。ですよね?」

 

 

 

 

ま、そうとも言えるわね。と言うか、貴女が味方で隊長である時点でそうだったわ。

 

尤も、貴方の場合は、味方なら頼もしいのは当然として、敵であっても全力で戦ってみたいと思わせるものがあるんだけど……或は、そう思わせる時点で、貴女は凄いのかも知れないわね。

 

 

何にしても、この模擬戦では頼りにしてるわよ『西住隊長』。

 

 

 

 

「あはは……はい、頑張ります!

 

 あ、其れじゃあ逸見さんには副隊長をお願いして良いですか?と言うか、隊長権限で逸見さんを副隊長に任命します。異論は認めません。」

 

 

「はぁ!?ちょ、何で私が副隊長なの!?」

 

 

「なんでって……黒森峰の1年生で一番なのが逸見さんですよね?それで、赤星さんが僅差の2位。

 

 歯に衣着せずに言わせて貰うと、幾ら短期間で急成長したとは言え、明光大の1年生で逸見さん以上の人って居ないんですよ現時点では。

 

 もっと言わせて貰うなら、逸見さんなら――小学校の時と、この前の全国大会で私と戦った逸見さんなら、私のやる事も察してくれるんじゃないかって思ったからです。」

 

 

「!!!」

 

 

この子、其処まで私を見ていたって言うの?

 

この間の準決勝は兎も角として、小学校の大会なんて覚えてる人は殆ど居ないって言うのに、あの戦いを覚えていた…覚えていてくれたと言うの貴女は!?

 

 

 

 

「覚えてますよ、小学校の時で一番楽しい戦いでしたから。」

 

 

「そう……そうだったのね。」

 

 

正直な事を言うと、私が一方的にライバル視してるだけで、実際にはあなたの歯牙にもかかって居ないんじゃないかって思っていたのよ。

 

でも、その言葉を聞けただけでも、私にとってはプラスだったわ――貴女は、私の事を覚えていてくれた。強敵として認めてくれてたんだから。

 

 

だけど、そう言う事なら、貴女から直々に下された『副隊長』の件を蹴る訳には行かないわね?――上等、副隊長として貴女を補佐するわ!

 

 

 

 

「期待してますよ、逸見さん?」

 

 

「その期待を上回ってあげるわ、西住隊長。」

 

 

まさか、副隊長に指名されるとは思わなかったけど、指名された以上は己のすべき事をやるだけだわ!!2・3年合同チームに一泡吹かせてやろうじゃない?――私達なら、貴女となら其れが出来るかも知れないわね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

 

「……何だか、最強のコンビが1年生チームで誕生した気がする。」

 

 

「は?何を言ってるの、まほ?」

 

 

 

 

いや、相手の1年生チームなんだが、みほと逸見と赤星が一緒と言うのは、若しかしなくても最強レベルのチームになるんじゃないかと思ったんだよ凛。若しかしたら、この7日間の模擬戦の中で、一番強い相手かも知れないな。

 

 

 

 

「アンタにとってはそうかも知れないけど、まほとみほと昨日アンタ達姉妹と同じチームだった人以外は、昨日の模擬戦の相手が最強よ?

 

 幾ら姉妹だからって、あそこまで連携できる普通!?ハンドサインとアイコンタクトだけで通じるってどんだけよ!?西住姉妹パネェわ!!」

 

 

「まぁ、幼い頃から戦車に囲まれて暮らしていたからな。」

 

 

思えば、みほとどこかに遊びに行く時もⅡ号戦車を私が運転したからね。

 

其れこそ、小学校に上がる前から私もみほも戦車に触れていたし、2人とも小学校に上がってからは、毎日のようにお母様から戦車道の訓練を受けていたんだ、あれ位は出来るようになるさ。

 

 

 

 

「正に『戦車道における年季が違う』って訳ね――で、合宿最後の模擬戦は、どんな作戦で行くの隊長?」

 

 

「そうだな……如何行った物か。」

 

 

さて、最終日の模擬戦――1年生vs2・3年生の模擬戦で、2・3年チームの隊長は、天城さんと凛の強烈な推しも有って私に決定した。

 

そのお返しではないが、凛を副隊長に指名して(天城さんは頼んだ所で断られるのは目に見えていたので言わなかった。)作戦会議の最中なんだが……1年vs2・3年という事で、見事に車輛が分かれてしまったな?

 

2・3年チームは、攻撃力と防御力に優れた重戦車がチームの殆どであるのに対し、1年チームは機動力に長けたパンターとⅢ号の中戦車と突破力のあるⅢ突とラングの組み合わせで、戦力のバランスとしては1年チームの方に分があるか。

 

 

此方の強みは『相手の何処に当てても撃破出来る』だけの攻撃力だが、みほが相手である以上は、そう簡単には撃破させてくれないだろう。

 

まして、逸見と赤星が居るのならば尚更だし、我が黒森峰の1年も、明光大の1年も、この合宿で相当成長しているだろうから、どんな結果になったとしても、苦戦するのは間違いないだろう。

 

 

特に、ルールがフラッグ戦である以上、みほは徹底してフラッグ車を狙ってくるだろうからな。

 

だが、そうなると事前に作戦を立てるのは、若しかしたら無意味なのかも知れないな?――みほが相手では、此方の作戦を思い通りに遂行するのは難しいだろうからね。

 

ならば、下手に作戦を立てるよりも、相手の出方を見て対処するのが上策だと思うのだが……如何思う副隊長?

 

 

 

 

「其れが良いと思う。って言うか、其れしかないんじゃない?

 

 こう言っちゃなんだけど、みほは何をしてくるか全く分からないし、戦車道の常識をアッサリ引っくり返すようなトンでもない作戦を思いつくから事前に如何するかを考えるのが徒労だわ。

 

 ぶっちゃけて言うと、全国大会での『ドッカン作戦』だって、普通はあんな作戦思いつかないわよ!

 

 幾ら上からの攻撃には意識が向かなくなりがちだからって、相手の頭上から砲弾落とす?――普通は、その発想には思い至らないわよ!」

 

 

「だろうな。――だが、其れがみほなんだ。」

 

 

普通では思いつかない事でも、みほは其れが有効だと思ったなら、前代未聞の作戦でも、それを選択して、そして実行する事が出来るんだ。

 

其処に『迷い』等と言うモノは一切存在していない――其れは、みほが心の底から戦車道を楽しんでいるからだ。勝敗など二の次にしてな。

 

楽しんでいるからこそ、思いついた作戦を実行する事が出来る……其れは、勝利のみを求めて居たら絶対に出来ない事だ――確実に勝利を得るためには、不確定要素を排除した、確実な作戦のみが選ばれるのだからね。

 

 

だが、それがみほの強さだ。

 

不確定要素のある作戦でも、迷わずにそれを選択することが出来ると言うのは、危険と隣り合わせではあるが、しかし逆を言うのならばどんな状況でも柔軟な対応が出来る事の証明であるとも言えるからな。

 

 

故に、この模擬戦は気が抜けないよ。否、この合宿での模擬戦で気を抜いた事は1度たりともないけれどね。

 

だが、恐らく1年生チームの隊長はみほになるだろうし、その配下に逸見と赤星が居ると言うのを考えると、ある意味でみほは最強クラスの戦力を得たと言っても過言ではないからね……ハッキリ言って、自信をもって『勝てる』とは言えない相手だよ。

 

 

 

 

「でも、負ける心算は無いんでしょまほ?」

 

 

「あぁ、勿論だ。

 

 何よりも、強敵を相手にして逃げると言う選択肢は西住流にはない。相手が誰であろうとも、逃げずに真正面から戦ってこその西住流だ。」

 

 

尤も、其れは『誰が相手であっても正々堂々と戦え』と言う事であって、搦め手など使わずに猪武者の如く蹂躙しろと言う物ではないのだけれどね……お祖母様は、如何にも其処を履き違えている気がするけれどな。

 

 

まぁ、何にしても此れが合宿最後の模擬戦だ、悔いの残らないように全力を出して戦おう。

 

黒森峰も明光大もない……此れが、今日の私達のチームなんだ。強気で挑んで来るであろう1年生チームの鼻っ柱を圧し折ってやろうじゃないか!――出来るだろう、私達なら。

 

 

 

 

「異論無しよまほ。貴女が隊長だと、みほとはまた違った安心感があるわね?

 

 みほが『コイツと一緒だったら、取り敢えず何とかなるかも』って言うのに対して、まほは『コイツと一緒なら多分大丈夫』って思えるからね。

 

 みほが『可能性』だとしたら、まほは『安定感』って言った所かしら?――何にしても、頼りにしてるわよ、まほ隊長。」

 

 

「任された。」

 

 

この合宿の集大成とも言える、最後の模擬戦……模擬戦であるにも拘らず、心が躍って来たよ。

 

其れはみほが相手だからなのか、それとも逸見と赤星が敵に回ったからなのかは分からないが、此処まで気分が昂って来たのは全国大会で、みほや安斎と戦った時以来だ。

 

或は、みほの下では逸見や赤星が如何動くのかと言う事にも心が昂っているのかも知れないな。

 

 

見せて貰うぞみほ、お前が黒森峰の1年と、明光大の1年をどう動かして私達に挑むのかを。お前が、急造のチームを何処まで指揮出来るのかを含めてね。

 

合宿の最後を飾る模擬戦……全力で行くぞみほ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

予想通り、2・3年チームの隊長はお姉ちゃんで、副隊長は近坂部長だったね。

 

十中八九、隊長はお姉ちゃんが務めるだろうと思ってたし、お姉ちゃんが隊長になったら、略間違いなく近坂部長を副隊長に指名するだろうって思ってたから、予感的中かな?

 

 

お姉ちゃんと近坂部長のコンビは、若しかしたら最強のコンビかも知れないけど、私達だって負けないよ?

 

この模擬戦は、きっと物凄く楽しい物になるだろうけど、善戦じゃきっと満足出来ないだろうから――この模擬戦は、絶対に勝たせて貰うよ?

 

 

 

 

「上等だ、其れ位の気概がなくては面白くないからな。――其れに、逸見も同じ気持ちなのだろう?」

 

 

「……僭越ながら、勝たせて頂きますよ隊長――!」

 

 

「ふ、そう来なくては……お前達との戦い、楽しませて貰うぞ。」

 

 

 

 

言いきって、パンツァージャケットを翻しながら背を向けるお姉ちゃん……何て言うか、所作の一つ一つが物凄く絵になるよねお姉ちゃんは。

 

でも、そんなお姉ちゃんが相手だから負けたくない――うぅん、勝ちたい!

 

 

「逸見さん……!」

 

 

「えぇ、勝ちに行くわよ!

 

 確かに相手は最強の隊長だけど、私達が力を合わせれば隊長を超える事だって出来る筈よ――だから、絶対に勝ちましょう西住隊長!」

 

 

「西住さんと一緒なら、きっと出来ると思います――だから、遠慮しないで命令して下さい。

 

 私も逸見さんも、ううん、1年生チームの全員が、西住さんに自分を預けています。だから、どんな命令でも遂行して見せます。例え、其れが戦車道の常識から外れた物であったとしてもです!」

 

 

「まぁ、みほの無茶振り命令には慣れてっけどな~~♪」

 

 

「無茶振り?…違うわよ青子、みほは私達なら出来るって信じてるから、命令を下すことが出来るのよ。

 

 だから、無茶振りでも何でもないわ。」

 

 

「何よりも、みほさんの考える作戦は、その局面で極めて有効な物ばかりだから、遂行する側としても安心して行う事が出来るわ。」

 

 

 

 

逸見さんに赤星さん、そして青子さんにナオミさんにつぼみさん……此れだけの期待を寄せられたら負ける事は絶対に出来ない!寧ろ、勝たなかったら嘘だよ!

 

 

相手は最強のお姉ちゃんが指揮する部隊だけど、私達だって負けてないから、全ての力を出して、出し切って戦いましょう!

 

私達だったら、きっと勝てる筈です!!

 

 

「だから、行きましょう!!Panzer Vor!!」

 

 

「「「「「「「「「「Jawohl!(了解!)」」」」」」」」」」

 

 

 

 

合宿最終日の模擬戦、勝たせて貰うよお姉ちゃん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:しほ

 

 

 

ふふ、始まったわね、合宿最終日の模擬戦が。

 

1年生vs2・3年生チームとしたことで、戦力には夫々利点に偏りが出来てしまったけれど、まほとみほが夫々指揮する部隊としては理想の戦力バランスになったと言っても過言ではないわ。

 

まほは、圧倒的な火力を武器にして相手を圧倒する『力』の戦車道だから、攻防力が高い重戦車を率いてこそ、其の力を発揮できるわ。

 

逆にみほは、火力よりも機動力が武器の中戦車を主力にした『技』の戦車道を得意としているから、パンターやⅢ号がメインの此の部隊編成なら、其の力を120%生かす事が出来る。

 

 

つまり、この模擬戦では、まほもみほも、己の能力を略100%に近い形で発揮する事が出来る――だからこそ、結果は予想できないわね。

 

 

 

 

「楽しそうですね奥様?」

 

 

「えぇ、実際に楽しいわ菊代。」

 

 

手塩にかけて育てた娘達が、夫々大事な仲間を得た上で新たなステージへの階段を上って居るんですもの。

 

西住流の師範としても、あの子達の母親としても、これ以上に嬉しい事はないわ――この私の気持ちは、貴女にだって、分かるでしょう菊代?

 

 

 

 

「えぇ、分かります。

 

 まほお嬢様とみほお嬢様は、私にとっても娘みたいなものですから、奥様の気持ちは良く分かります……だからこそ、私もこの模擬戦は、とても楽しみなのですよ。

 

 現役時代、奥様と共に戦場を駆け抜けた私でも、この模擬戦の結果は予測できませんから。」

 

 

「菊代もそうなのね?……私もよ。」

 

 

西住流師範の私が予測できないとなると、まほもみほも私と同レベルになってるのは間違いないでしょうね――そして、そう遠くない将来、私を超えるのでしょう。

 

 

でも、其れで良いのよ。

 

次世代が、前の世代を追い抜くのは早い方が良い――其れが、その道の発展に繋がっていくのだからね。

 

 

けど、其れは其れとして、貴女達の全力の模擬戦、其れを見届けさせて貰うわ、まほ、みほ。

 

若しかしたら、この模擬戦は、全国大会の準決勝以上の姉妹対決になるのかも知れないけど、そうだとしても遠慮せずに思い切りやりなさい。

 

 

この模擬戦が、黒森峰にとっても、明光大にとっても最高の経験になるのは間違いないのだから。

 

 

「時に菊代、お母様は?」

 

 

「何となく乱入して来て彼是言いそうな気がしたので、マッサージと称してテキサス・クローバー・ホールドで絞め上げて行動不能にしました。」

 

 

「OK、良い仕事をしたわね菊代。」

 

 

「お褒めに預かり恐悦至極です奥様。」

 

 

 

 

自分の母親が締め上げられたって言うのは、本来なら怒る所なんでしょうけど、そんな気は微塵も起きないわね……歪んだ『西住流』を絶対と考えてるお母様だからなのかも知れないけれどね。

 

 

でもまぁ、菊代が締め上げたなら、少なくとも夕方まで目を覚ます事はないだろうから、この模擬戦は普通に行われるわ。

 

 

何方が勝ってもオカシクないこの模擬戦……勝利の女神はまほとみほの何方に微笑むのか――其れを、最後まで見届けさせて貰うわよ?

 

 

 

 

「「Panzer Vor!」」

 

 

 

 

模擬戦開始……!

 

非公式とは言え、この模擬戦は、中学戦車道最強の戦いであると言っても過言ではないかもしれないわ――いえ、間違いなく最強の戦いよ。

 

 

娘達への贔屓目を成しにしても、私はそう言いきれるわ。――だって、観戦する側なのに、現役時代の時の様に、血が湧いて来るのだから。

 

 

だから見せて頂戴、まほ、みほ――貴女達の中に眠っている最高の力と言うモノを!!西住流の未来を導くであろう、其の力をね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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