ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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1回戦からフルスロットルで行きます!Byみほ      おっしゃー、上等だ!!By青子      それじゃあ、ブチかまそうか?Byナオミ


Panzer31『1回戦から撃滅!爆裂!大爆殺です!』

Side:みほ

 

 

 

こっちの戦術を読んでいた……とは言えないかもしれないけど、美佳さんは、兎に角此方の先発隊に対して完璧な先制攻撃を仕掛けて来た

 

んだから、その洞察力は侮れないよ。

 

恐らくは、此れまで戦う機会がなかっただけだろうけど、美佳さんとお姉ちゃんが戦ったら、勝敗は兎も角として、お姉ちゃんは美佳さんの事をライバルとして認めていたかもしれない――そう思う位の物だったからね、私からしてみれば。

 

 

でも――

 

 

 

 

『索敵がバレました!なので、此れより先発隊は、敵戦車との交戦に入ります!――無理はしないで、撃破されない事を優先にして!!』

 

 

「うん、それでいいよ梓ちゃん。」

 

 

『隊長達が来てくれるまで、何とか持たせて見せます!』

 

 

「うん、その意気や良し!すぐに行くから待ってて!!」

 

 

先発隊の指揮を任せた梓ちゃんは落ち着いているみたいだね……此れなら大丈夫かも知れないかな。

 

出鼻を挫かれた先発隊が混乱に陥って、其のままの状態になっているのだとしたら相手チームのカモになるだけだけど、落ち着きを取り戻して、反撃できているのなら、直ぐ撃破される事はないだろうからね。

 

 

何よりも、梓ちゃんは、私が直々に鍛えたんだから、そう簡単にやられるとは思えない――私が指導したって言う事は、私を育ててくれたお母さんとお姉ちゃんのドクトリンも受け継いでいるって言う事だからね。

 

 

さて、其れじゃあ行きましょうか?

 

つぼみさん、履帯が切れず、エンジンがオーバーヒートしない範囲で飛ばしたとして先発隊との合流はドレ位で出来そうですか?

 

 

 

 

「5分もあれば充分よ!

 

 東雲工場で魔改造されたティーガーⅡなら、余程事がない限りは履帯も切れないしエンジンがオーバーヒートする事もないのだから!!」

 

 

「なら、全速力で先発隊が白百合と交戦している地点に向かって下さい!!」

 

 

「了解よ、みほさん!!」

 

 

 

 

出鼻を挫かれる結果にはなりましたが、此処からはそうは行きません――今度は、私のターンですよ美佳さん!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer31

 

『1回戦から撃滅!爆裂!大爆殺です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

 

明光大の先発隊を発見した白百合は、出鼻を挫くべく砲撃を開始するが、しかしながら明光大の戦車を撃破するには至っていなかった。

 

まぁ、明光大の先発隊がパンターとⅢ号と言う、足回りに定評があり、最高速度も中戦車の中で屈指の速度を持つ戦車であったのではあるが、それでもこの被弾率の低さは凄まじいものがあるだろう。

 

 

決して砲撃が当たってない訳ではないが、その全てがギリギリで回避され、或は白旗判定にならない場所に着弾した事で、たった1輌さえも撃破出来ないでいたのだ、

 

尤も、その原因の最たるものは、みほ率いる隊長車と模擬戦を行う事で、自動的かつ強制的に、明光大の回避能力が超人的に底上げされていたからなのだが――因みに、梓のチームの操縦士も、その境地に辿りつつあるのだ。

 

 

 

「ふむ……少しは慌ててくれるかとも思ったのだけれど、如何やら思った以上の効果は得られなかった様だね?

 

 だけど、この場に居る相手の戦車数と、私達の戦車数では数が違うからね――兎に角、どの戦車でもいいから撃破するように。」

 

 

 

そんな相手を前にしても、白百合の隊長である美佳は何時ものように車長席に腰を下ろし、カンテレを奏でながら試合の様子を見て、そして隊員に(相当に大雑把ではあるが)指示を飛ばしていく。

 

その指示は大雑把ながらも的確で、梓達先発隊が何か行動を起こした瞬間にそれを潰しにかかっている――梓も頑張って先発隊を指揮しているが、此れは経験の差が大きいと言わざるを得ないだろう。

 

 

それでも、交戦開始から10分が経って、1輌も撃破されていないのは大した物だと思うが……

 

 

 

――ズガン!!

 

 

――ズドン!!

 

 

――パシュ!!×2

 

 

 

『明光大付属、Ⅲ号戦車2輌行動不能。』

 

 

 

此処で遂に、Ⅲ号が2輌とも撃破されてしまった――否、今までよく戦ったというべきだろう。

 

Ⅲ号は、Ⅳ号やパンターと共にドイツが誇る中戦車であり、白百合の部隊に対してもヘッツァーとクルセイダーに対しては絶対的に有利…なのだが、マチルダとは略互角で、シャーマンに対しては装甲を抜く事が出来るがやや不利、T-34とパンターに至っては完全不利なのだ。

 

美佳の乗る隊長車でありフラッグ車であるT-34/76と、副隊長車であるT-34/85が、明光大のⅢ号を2輌撃破したのは、T-34ショックその物であると言えるだろう。

 

 

同時にⅢ号が撃破されたというのは、梓にとっては非常に拙い状況であった。

 

元々先発隊の数は、白百合の部隊の半分であるのに、そんな状況で2輌失うのは痛すぎる――如何に残った3輌がパンターであったとしてもだ。

 

と言うか、相手の部隊には、大戦期最強と称された中戦車であるパンターとT-34がいるのだ……如何考えたって分が悪い所の話ではないだろう。

 

 

此れには梓も歯噛みする。

 

自分は憧れのみほから直に指導を受け、ティーガーⅡが隊長車となった際には、アイスブルーのパンターを任されたのに、其れなのに眼前の相手には全く歯が立たないのだから。(とは言え、此処まで持ち堪えたのは普通に凄いのだが。)

 

 

 

「止まらないで下さい!止まったら良い的です!

 

 兎に角、兎に角撃破されないように足を止めないでください!!」

 

 

 

それでも、これ以上の損害を出さない様にと動き回り、更に梓率いるアイスブルーのパンターは回避行動をしながらも砲撃を敢行して白百合の部隊に少しでもプレッシャーを与えようと奮闘する。

 

 

飛び交う砲弾に包囲される陣形……もはや此処までかと思った、その時だった。

 

 

 

――ドッガァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

――パシュン!

 

 

 

 

『白百合中学校、T-34/85行動不能。』

 

 

 

梓の目の前で、白百合で最高の攻撃力を持つT-34/85が、文字通り吹っ飛んで白旗判定になったのだ。

 

此れには梓のみならず、美佳ですら目が点になってしまった……全く予想していなかった砲撃によってT-34/85が撃破されたのだから。

 

 

だが、其れは明光大にとっては希望であり、白百合にとっては有り難くない存在だった。

 

 

 

「間に合った……Ⅲ号を2輌失ったのは痛いけど、損害が其れだけなのは御の字……よく持ち堪えてくれたね梓ちゃん!」

 

 

「西住隊長……!!」

 

 

 

其れは明光大の後発部隊。

 

進行速度をティーガーⅠに合わせていた為に時間がかかったが、白百合の部隊を発見すると同時にみほ率いるティーガーⅡと、凛率いるティーガーⅠが白百合のT-34/85を砲撃し、88mmのダブルアタックで吹き飛ばしたのだ。

 

 

 

「すみません西住隊長……Ⅲ号が――」

 

 

「大丈夫、此れは想定の範囲内だから――寧ろ、被害がⅢ号だけで済んでよかった……パンターが撃破されたら流石にキツイからね。

 

 一度陣形を立て直します!各車、白百合を牽制しつつ後退して下さい!」

 

 

 

此処で、此の土壇場でみほが合流したのは大きいだろう。

 

何とか生き残ったパンターのクルーは、頼れる隊長の合流に安堵し、しかしみほにつられるかのようにその闘気が上昇しているのだから。

 

更に、隊長であるみほが合流した事で、明光大は本来の力が発揮できる状態となったのだ。

 

 

これ以上此処での交戦は無意味と言うかのように、明光大は白百合を牽制しながら後退を始める。

 

逃げるのではない……此れは、最後に勝つための戦略的撤退と言うのが正しいだろう――西住でありながら、此れを迷わず選択できるのがみほの強さなのだが、当然それだけではない。

 

 

 

「喰らえ、スモークボンバー!!!」

 

 

「は?」

 

 

 

――ボウン!!!

 

 

――モクモクモク…

 

 

 

去り際に発煙筒を投げつけ、煙幕で白百合の視界を奪う。

 

発煙筒の煙と言うのは割と強力で最低でも1分待たなければ視界は開けない、そして1分間動きが止まるのであれば、明光大が後退するには充分な時間があると言えるだろう。

 

 

 

「まさか、視界を奪いに来るとはね……でも、随分と私の心を熱くしてくれるものだ。

 

 熱くなる事は戦車道に必要なのかと思って来たけれど……強者相手との試合では必要不可欠なのかも知れない……だから面白いよ。

 

 各員に通達、煙幕が晴れると同時に追撃を開始するから、何時でも発進出来るようにしておいておくれ。」

 

 

 

それでも美佳は、慌てる事なく指示を飛ばしていく。

 

彼女自身もトリッキーな戦術を得意としているだけに、少しばかり驚きはしたものの冷静さを欠くには至らなかったのだろう――それでも、内心は柄にもなく熱くなっている様ではあるが。

 

 

 

「しかし、向こうのⅢ号2輌と、こっちのT-34/85か……ハッキリ言って対価が見合わないかな?せめて、パンター1輌は撃破したかった。

 

 此方の残存戦力で、向こうのフラッグ車であるティーガーⅡの装甲を抜く事が出来るのはパンターだけ…其れも後部装甲だけだからね?

 

 逆に、向こうの残存戦力は此方の戦車の何処に当てても撃破出来るか――まぁ、性能だけが全てじゃないから、其処は腕だね。」

 

 

 

とは言え、T-34/85を失ったのは白百合にとっては非常に痛いと言えるだろう。

 

元より重戦車を持ち合わせていない事で、火力では劣っていたのだが、唯一搭載砲が80mmを超えるT-34/85が撃破されたとなると、その火力の差は更に大きくなるのだから。

 

尤も、美佳は火力の差と言う事で負ける気はない様だが。

 

 

 

「さて、ソロソロ煙幕も晴れて来た……良い風も吹いて来たし、行くとしよう。」

 

 

 

暫くすると、僅かに風が吹いて来て、其れが煙幕が晴れるのを早め、白百合の部隊は視界を取り戻す事が出来た。尤も、既に明光大の姿は何処にも見当たらないのだが……

 

しかし、そんな事を気にする様子もなく、美佳はカンテレを一鳴らしすると、部隊を進めて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、煙幕を張ってその場から離脱した明光大の部隊は、白百合の部隊から十分に距離を取った所で、残った8輌を3つの部隊に分けた上で散開していた。

 

部隊編成は、フラッグ車であるティーガーⅡとアイスブルーのパンター、そしてティーガーⅠ、パンター、Ⅲ突の組み合わせが2組である。

 

 

 

「何とか陣形を立て直せましたけど……発煙筒ってアリなんですか西住隊長?」

 

 

「アリだよ梓ちゃん。

 

 そもそも発煙筒や照明弾は、緊急事態を知らせる時の為に搭載が義務付けられてる物だからね?

 

 で、ルールで持ち込みが許されている物を試合で使っていけないって言う規定はないから合法なんだよ。発煙筒で戦車を撃破するなんて言うのは、流石に不可能だから。」

 

 

「成程、そう言う事ですか。」

 

 

 

そうして部隊分けをした中で、みほと梓は岩陰に身を潜めながら、こんな話をしていた。

 

さっきの発煙筒を使った煙幕攻撃は、梓にとっては衝撃だったのだろう……去年は照明弾を武器として使ったみほだったが、実際にこう言う『裏技』を目の当たりにすると衝撃的だったのだろう。

 

だがしかし、其れもキッチリ『合法』と言われれば納得するしかないだろう。

 

 

 

「それにしても、まさかこんな作戦を思いつくとは思いませんでした……流石は西住隊長です!」

 

 

「ん~~……美佳さんはこっちがどんな作戦でぶつかって行っても、即それに対応しちゃうような人みたいだから、正攻法も搦め手もそれ程効果が望めないからね。

 

 だけど、流石に『予想外』が連続して起こったら、幾ら何でも即対応って言うのは難しいと思うんだ。

 

 尤も、此れに全部対処されたら、ティーガーⅡの圧倒的な攻防力に物を言わせて正面から粉砕する以外はなくなっちゃうんだけれどね。」

 

 

 

さて、部隊分けをしたのには勿論意味があった。

 

先程の白百合との攻防で、美佳の対応能力の高さは嫌と言うほど分かった――其れが、島田流であるのならば尚更だろう。

 

だからみほは、美佳の対応能力をショートさせる事を思いついたのだ……果たして、其れが何であるのかは明光大のメンバーのみが知ると言った所であろうが。

 

 

 

『こちら凛。予定の場所に到着した、何時でも行けるわよみほ。』

 

 

『こちら千尋、白百合の部隊を捕捉、準備完了よ隊長!』

 

 

 

そんな中で、別動隊の指揮を執る部長の凛と、副隊長の千尋から準備OKの連絡が入る。(梓は先発隊の指揮を任されただけで副隊長と言う訳ではない。)

 

その連絡を受けたみほは、笑みを浮かべる。全ての準備は整ったのだと。

 

後は自分の作戦が上か、それとも美佳の対応力がみほの想像を超えて高かったかになるのだろう。多分、恐らく、きっと。

 

 

 

「それでは此れより『ビックリ箱作戦』を開始します!」

 

 

「了解!!」

 

 

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

 

 

いざ作戦開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、明光大を追っていた白百合だが、進めど進めど明光大の戦車が見えない事に少しばかり疑問を抱いていた。

 

今回のフィールドは、砂地と岩場に高台が点在していると言う場所であるために、身を潜める事が出来る場所は少ないし、身を潜める事が出来る場所も岩陰である為に、待ち伏せにはあまり向かない。

 

それだけに、明光大の車輌が見当たらないと言うのはオカシイのだ――オカシイのだが……

 

 

 

――ズドン!

 

 

――パシュン!!

 

 

 

『白百合中学校、ヘッツァー行動不能。』

 

 

「何だって?」

 

 

 

突如砲撃が炸裂し、ヘッツァーが撃破された。

 

一体何処から?……いや、探す必要もなかった――ヘッツァーを撃破した相手は白百合の後方から現れたのだ。千尋が率いる小隊が!!

 

 

 

「成程……此方に追わせる形を取らせておいて、その実は追い抜かせての背後からの奇襲か……マッタク、西住流の次女は、姉とは全然違うお転婆なお姫様みたいだね?

 

 だけど、此の程度で私を超える事が出来ると思ったら大間違いだよ?風は、気紛れだからね。」

 

 

 

――ガァァァン!!

 

 

――パシュン!

 

 

 

『明光大付属、Ⅲ号突撃砲行動不能。』

 

 

 

しかし美佳は慌てず、自身の乗るT-34/76を即座に起動させ、流れるような動きからⅢ突の側面を撃ち抜いて見事に撃破!!

 

其れのみならず、同時にパンターのクルーにも指示を飛ばし、明光大のパンターと相討ちにもつれ込む事に成功していた。

 

恐るべき対応力と言えるだろう。

 

 

だが――

 

 

 

「空からこんにちわ!!!」

 

 

「そして此方は地上からこんにちわです!」

 

 

 

そこで今度は、みほのティーガーⅡブラックと、梓のアイスブルーパンターが戦線に加わる。

 

パンターは側面からの奇襲だったが、ティーガーⅡは岩場をジャンプ台にしての空からの奇襲!と言うか、鋼鉄の虎のダイビングボディプレスで、登場と同時にマチルダを圧殺!

 

如何に強固な装甲を誇るマチルダとは言え、重戦車に上から突撃されたのでは堪らない――敢え無く白旗判定となったのだった。

 

 

 

「上から来るとは……本当に君は、お姉さんとはまるで違うんだね?

 

 まほさんとは練習試合で戦った事があるし、勿論彼女との試合は面白かったけれど……君はそれ以上だよみほさん。君の様な戦車乗りとは、初めて戦ったよ。」

 

 

「お褒めに預かり光栄です美佳さん――私も、此処まで対応力の高い人とは初めて戦いました。でも、だからこそ負けたくありません!!!

 

 ううん、私は勝ちたい!!勝って、優勝して部長達を送り出したいんです!!」

 

 

「その気持ちはとても尊いものだとは思うけれど、私も此れが中学最後の大会だからね……負けたくないんだよみほさん。」

 

 

 

そしてそのまま、ティーガーⅡとT-34/76はフラッグ車同士の戦いに突入!

 

火力と防御力では圧倒的にティーガーⅡが有利だが、如何に足回りとエンジンにギリギリの魔改造を施したとは言え、機動力では圧倒的にT-34/76の方が上回る。

 

 

だが其れでも、ティーガーⅡの超長砲身88mmは余程の相手でなければ何処に当てても撃破出来る程の破壊力があるだけに、美佳は大胆な動きをしながらも、慎重な戦いをしていた。

 

それでも、仲間達がパンターとティーガーⅠを抑えてくれていれば何とかなると思ったのだが……

 

 

 

「行くわよ……おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

此処で、最後の別動隊が合流し、椿姫率いるⅢ突がシャーマンを強襲してこれを撃破!!

 

しかし、美佳の対応力も負けることなく、すぐさまパンターに指示を出し、Ⅲ突と2輌のパンターを撃破させる。此れで、明光大の残存戦力は、ティーガーⅡが1輌、ティーガーⅠが2輌、パンターが1輌。

 

対する白百合は、T-34/76が1輌、シャーマンが1輌、パンターが2輌、クルセイダーが2輌と数の上では有利である。

 

 

だがしかし――

 

 

 

「ティーガーⅠが1輌足りない?」

 

 

 

此処で美佳は、明光大のティーガーⅠが1輌足りない事に気付いた。

 

すぐさまどこに居るのかと探し始めるが、みほのティーガーⅡとの交戦状態にあっては、探すのも楽ではない……と言うか集中して探せる筈がないだろう。

 

 

 

「今だよ梓ちゃん!!」

 

 

「行きます!!」

 

 

「!!本命はそっちか!!」

 

 

 

そして、交戦の中で、みほは梓に指示を出し、美佳のT-34/76に攻撃を仕掛ける。

 

完全に側面からの攻撃だけに、如何に美佳であっても対応が遅れるが――

 

 

 

――ガキィィィン!!!

 

 

 

其処に、白百合のパンターが割って入り、アイスブルーのパンターの進行を妨げる。こうなればみほの目論見は潰れたと言える。

 

パンター同士ならば決着にも時間がかかるだろうから、その間に何とかティーガーⅡの後部を取って……と、美佳は考えたのだが、其れは叶う事が無かった。

 

 

 

「部長!!」

 

 

『目標を……狙い撃つ!!』

 

 

 

――ドゴォォォォォン!!!!

 

 

――パシュン!!

 

 

 

『白百合中学校、フラッグ車行動不能!明光大付属中学校の勝利です。』

 

 

 

突如として放たれた砲撃がT-34/76の装甲をぶち抜き、白旗を上げさせたのだ。

 

其れを行ったのは、1輌で高台に陣取っていた、凛のティーガーⅠ!美佳が足りないと思った鋼鉄の虎は、トドメを刺す為に息を潜めていたのである。

 

 

全ては、此の為の仕込に過ぎなかったのだみほの作戦は。

 

ビックリ箱作戦の名の通り、背後や側面からの時間差での奇襲は、其れその物が美佳の判断力を少しでも鈍らせる事が目的であり、そして鈍った所を、ティーガーⅠの88mmで仕留めるのが本命だったのである。

 

 

 

「あんな場所から……マッタク参ったね、完敗だよみほさん。

 

 君の作戦に対応してる心算だったけれど、3連続の奇襲に加えて、射程外からの一撃と言うのには流石に対応できなかったみたいだね?

 

 本当に面白いな君は。」

 

 

「美佳さんは対応力が凄いので、此れ位じゃないと通じないと思いましたから――でも、良い試合でした。楽しかったです美佳さん!」

 

 

「あぁ、そうだね……私もとても楽しかった。

 

 其れに、負けたのにとても清々しい気分だよ……ふふ、本当に強い相手との試合では、勝ち負けと言うのはあまり重要ではないのかも知れないね?

 

 でも、私達に勝ったのだから優勝しておくれよみほさん?そうでなくては、負けた私達が惨めになってしまうからね。」

 

 

「はい!勿論です!!」

 

 

 

そして、試合が終われば、共に戦車乗り同士だけに、そこには友情や絆が生まれるものだ。

 

みほと美佳も、互いの健闘を称えてがっちりと握手し、戦車娘の絆を紡いだようだ――此の絆は、きっと何処かで力を発揮するのだろう。

 

 

其れは兎も角、奇しくも『西住流vs島田流』の構図となった1回戦第1試合は、みほの勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:しほ

 

 

 

ふふ……ふふふ……勝った、みほが勝ったーーーー!!

 

相手が相手だけに、苦戦はしたけれど、みほは勝ったわ!!――如何やらみほは、貴女の長女を凌駕しているみたいね千代?

 

 

 

 

「何時から私がいるって気付いてたのかしら?」

 

 

「大分最初からよ……あの子が出ている試合を、貴女が見に来ない筈がないからね――間違ってないでしょう千代?」

 

 

「まぁ、否定はしないわ。――それにしても、相変わらず凄いわねみほちゃんは。

 

 左腕を失う前とはまるで別人……何と言うか、みほちゃんの中に眠っていた戦車乗りとしての魂が覚醒した感じがするわ……まさか、美佳が負けるとは思わなかったものね。」

 

 

 

 

……あの事故のせいで、みほは『死の恐怖』を乗り越えたから、其れが戦車道にはプラスに働いているのよ。

 

そして、同時に貴女の予想も外れてはいないわ千代――確かにみほは、左腕を失ってから、急速に戦車乗りとしての能力を開花させて行ったのだから。

 

 

何にしても、あの子はマダマダ伸びるわ――貴女の娘のおかげで、さらに伸びる事が出来たからね千代?

 

 

 

 

「みほちゃんチート過ぎよ流石に。

 

 でも、みほちゃんが居てくれれば、美佳は兎も角として愛里寿にとっては良い壁になるかも知れないわ――成長の為のね。」

 

 

「愛里寿……次女だったかしらね?……だけど、みほの壁は簡単には超えられないわ――そしてまほの壁もね。

 

 西住流は、隙を生じぬ二段構え……負けないわよ千代。」

 

 

「其れを言うなら、島田流だって美香と愛里寿の二枚扉……簡単には負けなくってよしほちゃん?」

 

 

「しほちゃんて言うな!!」

 

 

 

――ガバァ!!ギリギリギリ!!

 

 

――西住流奥義:拷問卍固め

 

 

 

 

「ギブギブギブ!!参ったわしほさん!!」

 

 

「ならいいのよ。」

 

 

でも千代、私達の娘がいる限り、戦車道の未来は明るいわ――みほもまほも、美佳さんも愛里寿さんも、きっとこれからの戦車道には、欠かせない人物となるでしょうからね。

 

 

何にしても、見事な戦いでしたみほ。

 

この勝利に慢心せずに次の戦いに臨みなさい?…貴女ならばきっと、中学戦車道の世界に新たな風を巻き起こしてくれるでしょうからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

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