ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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話しがあまり進んでないかな?Byみほ         今回は繋ぎ回。次回から飛ばすわよ。Byナオミ


Panzer3『始動する戦車道なのです』

Side:みほ

 

 

じゃじゃ馬と言われてたアイスブルーのパンターを、私達がモノの見事に動かしたのが原因だとは思うんだけど、何て言うか私達以外の1年生達から、『戦車乗りたい』『戦車動かしてみたい』コールが上がってるね?

未経験者が、そう簡単に動かせるものじゃないんだけど……如何しますか、近坂隊長?

 

 

 

「普通の隊長だったら、此処でストップを掛ける所なんでしょうけど……良いじゃない、実際に戦車がどんな物かを体験して貰うって言うのも!

 そもそもどんな人だって初心者から始める訳だから、一番最初に実物に触れておくって言うのは、決して悪い事じゃないと思うのよ?

 幸いにして、ティーガー2輌と、もう1輌のパンターに乗るのは私達2年になるから、貴女達以外の1年には、必然的にⅢ号かⅢ突に乗って貰う事になるでしょ?

 で、Ⅲ号は比較的扱いやすい戦車だし、Ⅲ突も自走砲の中では格段に動かしやすい車輌だから、初心者でも動かし方を教えてあげれば動かせない事は無いと思うしね。……流石に、砲撃とかはさせないけれど。」

 

「だってよ!!聞いたかテメー等!!隊長さんが、戦車に乗せてくれるってよーーーー!!!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「やったーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

あらら、近坂隊長の言葉を聞いてた青子さんが、盛大に皆にぶっちゃけちゃった……しかも、滅茶苦茶盛り上がってるし。ある意味当然だけど。

 

 

 

「まぁ、良いんじゃないか?やる気が有るのは良い事だし、実際に動かしてみて、戦車の楽しさとかそう言うのを感じて貰えれば僥倖じゃない?」

 

「物事は、聞くよりも先ずは体験するのが一番よ♪

 青子さんが巧く乗せてくれたおかげで、皆やる気は充分ですもの!この機会に、戦車道の面白さを知って貰うのは、絶対にプラスになるわ。」

 

 

 

やっぱりそうですよね。どんな事でも、先ずは其れの楽しさを知らない限りは、絶対に巧くなりませんから。

ならこの戦車への初搭乗は、きっとこの学校の戦車道にとってプラスになる筈!!――なら、未来に向かって、ぱんつぁーふぉー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer3

『始動する戦車道なのです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、言う訳で簡単な説明と、教導用のビデオで動かし方を一通り習ってから、試しに練習場を自由に走ってみるって事になったんだけど………

 

「此れは流石に予想外だったかも……」

 

「教導ビデオと説明だけじゃしょうがないけど、流石に悪戦苦闘してるわね?……其れでも、辛うじて動かせてはいるけれど。

 或は戦車を動かす事が出来るって言うテンションに後押しされて、更に搭乗戦車が比較的扱いやすい戦車だったから動かせてるのかしら?」

 

「あ?細け~事は気にすんなナオミ!取り敢えず動かす事が出来たんなら、何も問題ねーだろ?

 今は辛うじてでも、慣れればもっと楽に動かせるだろうし、砲撃とか装填とかは後から如何にでも出来るだろうから、最初は此れでOKだろ?」

 

「装填に関しては、青子さんの様な力自慢が居れば、解決できるけれどね。」

 

 

 

確かに、ナオミさんの言うように、悪戦苦闘して辛うじて動かせているレベルだけど、青子さんの言うように、操縦レベルは後から幾らでも上げる事は出来る訳だからね。

 

 

 

「正直な事を言うなら、幾ら扱いやすい戦車でも本当に動かせるとは思わなかったわ。辛うじてとは言えね。

 だけど、大会まではまだ時間が有るから、練習の仕方如何では、大会までに実戦で使える位のレベルに引き上げる事は充分に可能だわ!」

 

「ですよね♪――あ、終わったみたいですよ?」

 

お疲れ様。初めて乗ってみた戦車は如何だった?

 

 

 

「む……難しかった~~~!!

 西住さん達がアッサリ動かしたから、私達も出来るだろうと思ってたんだけど、全然認識が甘かったよ~~!思うように動いてくれなかった。」

 

「動かすのも大変かもしれないけど、如何動くのか指示を出すのも難しかったわ。

 『如何すれば良い』って聞かれても、自分が如何すれば良いのか全く分からないから、指示の出しようがないし。車長って大変なんだね~?」

 

 

 

うん、初めて乗ったんだから、其れは寧ろ普通だよ。

私とお姉ちゃんみたいに、小さい頃から、2人で戦車に乗って近所に遊びに行ってたなら兎も角、そうじゃなかったら慣れてなくて当然だから♪

 

って、如何したの?皆で……近坂隊長達まで驚いたような顔して。

 

 

 

「みほさん、小さい頃からと言っていたけど、具体的にドレ位の時にお姉様と2人で戦車に乗っていたの?」

 

「え~~~と、私が小学校1年生で、お姉ちゃんが2年生の時には、2人で乗って遊びに行ってたよ、つぼみさん?」

 

「幾ら何でも、有り得ないわ其れ。小学生から戦車道を始めると言っても、普通は4年生のクラブ活動からでしょ?少なくとも、私はそうだった。」

 

「私もよ?」

 

「普通はそうなんだろうけど、家は『西住』だから、極端な事言うと生まれた時から戦車が身近にあって、普通に生活の一部になってるの。

 赤ん坊の頃の写真で、お母さんが私を抱いて戦車に腰掛けてるのとか有ったし、菊代さんの運転するⅡ号戦車で、お母さんの試合見に行ったりしてたもん。」

 

「つまり、文字通り『戦車と共に歩んできた人生』って訳か~~~!そりゃ、スゲェ!正に戦車道の申し子って事だな、みほは!!」

 

 

 

申し子かどうかは分からないけど、確かにずっと戦車と一緒の13年間だったから、此処に居る誰よりも戦車の事は知ってるって自負してるよ。

じゃなくて、戦車の扱いは簡単じゃないって言うのは分かったと思うけど、だけど実際に動かしてみて如何思った?只難しいだけだった?

 

 

 

「そんな事ないわ!

 確かに難しかったけど、だからこそ此れを自在に動かす事が出来るようになったら、きっと物凄く爽快なんじゃないかって思えたもの!!」

 

「で、操縦士に的確に指示を与える事が出来たら、車長ってカッコイイよね!!」

 

「正直言って、あのスコープで狙いを付けてって、無理かと思うけど、それでもそれが出来るようになって、相手の戦車撃破出来たらと思うと!」

 

「あの重い砲弾を、コンマ0.1秒単位で装填出来たら、絶対注目の的だよ!!」

 

 

 

うん!難しいだけじゃなくて、戦車の魅力も感じ取る事が出来たみたいですよ近坂隊長?

不思議な物で、戦車の魅力を知ると、もっと先を見てみたいって言う感覚が働いて、気が付けば戦車道の虜になってるから、今年の新入部員は、これにて全員確保ですね♪

 

 

 

「確かに、戦車をちゃんと動かして、そして砲撃を的に当てる事が出来た時の喜びは半端な物じゃないからね。

 加えて、其処に至るまでには、車長の指揮能力、装填士の装填速度、砲撃手の命中精度も高くないとだから、其れが出来た時に、初めて戦車乗りとして認める事が出来るのよね。」

 

「だから、この子達は伸びるわよ、隊長。」

 

 

 

うん、大会までには、間違いなく其れなりの戦車乗りになってくれると思うよ。

経験が無いって言う事は、裏を返せば変な癖が付いていないって言う事でもあるから、逆に鍛えやすい部分もあるって、お母さんから聞いたし。

 

 

 

「其れは真理ね。

 さてと、其れじゃあ予定外の事になったけど、今日は此処までにしておきましょうか?――って言うか、本来だったら今日は新入部員の歓迎会で終わらせる心算だったんだけどね……」

 

 

 

そうだったんですか?……其れがこんな事態に……何故でしょうね?

 

 

 

「なんでかな、つぼみ?」

 

「何ででしょうね、青子さん?」

 

「分からねーーーーー♪」

 

「アンタ達のせいでしょうがーーー!!!

 辛唐以外は経験者が集まったとは言え、倉庫の肥やしと化してたアイスブルーのパンターを、アレだけ見事に動かして見せたら、誰だって戦車動かしてみたくもなるでしょうに!!

 更には、辛唐が盛大に煽ってくれたから余計に火が点いたし!!いや、結果としては全然OKだったけどね!?」

 

「「「「なら、無問題。」」」」

 

「4人揃って、見事なタイミングでサムズアップするな!!」

 

「「「「これぞ、チームワーク!!」」」」

 

「違う!いや、間違ってはいないけど、やっぱり違う!!

 って言うか、貴女達だってこの学校に来て知り合った仲でしょ!?何でそんなに、仲が良いのよ!?有り得ないでしょう、普通に考えて!!」

 

 

 

戦車道経験者は、互いに引き寄せ合うモノなんです。宛ら磁石のS極とN極の様に。だから、人間的に合わないとかでない限りは、大体こんな感じで即座に仲間に成れるんです!

此れこそ『戦車が結んだ強い絆』って言うモノなんです!!

 

 

 

「其処まで言われたら何も言えないわね。ま、其れだけのチームが居るって言うのは、ウチにとっては嬉しいのは事実だからね。

 さてと、其れじゃあ歓迎会を始めましょうか?

 流石に、中学だとそんなに出資できないから、ハンバーガーとかフライドチキンとか、後はポテトと飲み物しかないけど、存分に楽しんで頂戴。」

 

 

 

うわ、戦車を動かしてる間に、何時の間にか格納庫がパーティ仕様に!!!……此れは、相当に気合い入れましたね近坂隊長。

寧ろ、此処まで用意できたのは凄いと思いますから、有り難く歓迎会を楽しませて貰います!!――何よりも、楽しまないのは損だからね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:青子

 

 

ぷは~~~!喰った喰った~~~!ファストフードとは言え、やっぱし日本の店は優秀だな?思った以上に美味かったしな~~~!!

こんな歓迎なら、毎日でもして貰いたいもんだぜ!――いや、毎日やったら破産しちゃうかもしれないけど、そう思う程のモンだったからな!!

 

ま、今日は此れで終わりだから、後は寮に帰るだけだな。

この中学は、県外入学者の為に寮が用意されてるから、アタシ等みたいな県外入学者は、寮に入ってマッタリとってモンだ――贅沢だよな。

 

そんでみほ、お前はどの部屋なんだ?

アタシは1111号室なんだ、一緒になれると良いよな!!!!

 

 

 

「あ、其れは無いよ。私は、自宅から通学だから。」

 

「え、そうなの?」

 

「うん。私は熊本出身だけど、毎日自家用ヘリで登下校をする事になってるから。

 寮に入る事は出来るけど、其れだと逆に同室の人の負担が増えるから、其れを回避する為に、ヘリでの登校なの……分かってくれたかな?」

 

 

 

あぁ、良く分かった……てか、自家用ヘリで登下校とか、半端ねぇなみほは、マジで!?

西住流ってのが、戦車道の一大流派だって事は分かったが、其処までの財力まで持ってるとは、幾ら何でも思わなかったっての!!マジか!

『本気』と書いて『マジ』かオイ!!

 

 

 

「マジです。」

 

「「「西住流、恐るべし!!」」」

 

 

まぁ、其れだけに頼りになるとも言えるけどよ。

 

 

 

――バラバラバラバラ……

 

 

 

で、迎えが来たみたいだぜみほ?

 

 

 

「だね。縄梯子も降りて来たし。

 じゃあ、また明日ね、青子さん、ナオミさん、つぼみさん!――明日も、戦車頑張ろうね♪」

 

「言われるまでもないわよみほ。

 寧ろ今日の事で、貴女に惚れたわ――貴女の指示なら、どんな相手でも撃ち抜いてあげるから、此れからも宜しく頼むわ、私達の車長様。」

 

「みほさんの指揮ならば、自分の実力以上の力が発揮できるかも知れないもの!!

 中学校での戦車ロード、貴女と共に歩ませて貰うわみほさん!貴女は、私の操縦士としての全てを預けるに値する人ですもの!!」

 

 

 

って、勝手に経験者だけで盛り上がんなよな?

アタシは未経験者だけど、腕力には自信があるから、装填士として充分に働く心算だから、その心算で居てくれよなみほ?場合によっちゃ、コンマ5秒での装填だってしてやらぁ!!

 

 

 

「その時は頼りにしてますね青子さん。……でも、私達の戦車ロードは、始まったばかりですから、焦らずに行きましょう。

 それじゃあ、また明日!!」

 

「「「お疲れ~~~!!」」」

 

 

 

――バババババババババババババババババ!!!

 

 

 

行っちまったか……まぁ、明日になればまた会えるけどな。

だけど、其れは其れとして、ヤッパリみほはスゲェ!!未経験者のアタシでも、分かる程の戦車道人のオーラを感じたからな…ハンパ無いぜ!

これなら、今年の大会はって思うけど、みほに頼りきりじゃいけねぇから、アタシ等も出来る事をちゃんとやっておかないとだよな!!

 

 

 

「だな。取り敢えず、静止射撃で1000m先の的を撃ち抜けるようにならなくちゃ、みほと同じ土俵に立つ事は出来ないからな。」

 

「みほさんの指示を、可能な限り100%で叶える為には、更なる操縦技術の向上が求められるから……私ももっと頑張らなくちゃだわ!!」

 

 

 

だよな!

みほと一緒に、歩むためにも、もっと頑張らないとだぜ!――そうと決まれば、今日から装填力強化の為に、筋トレをやってやろうじゃねぇか!

其れ位しないと、みほと一緒の戦車に乗る資格は無いだろうからよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

「随分と、機嫌が良いように向けられますが……学校で、なにかいい事でもありましたかみほお嬢様?」

 

「良い事だらけだったよ菊代さん。」

 

私のクラスメイトの青子さんが、未経験者ながらも天性のノリと勢いでパンターの装填をしてくれたし、砲撃手のナオミさんは一発必中で、百発百中だし、

操縦士のつぼみさんは、私の要求を完全に熟してくれる操縦士だし……まさか、こんないいチームと巡り合う事が出来るとは思ってもいませんでした。

 

 

 

「そうですか……ですが、みほお嬢様が、其処までの評価を下した仲間が居ると言うのは、間違いなく今年のダークホースになるでしょう。

 まほお嬢様も、そして奥様も、みほお嬢様が所属している学校が、今大会のダークホースになるだろうと、仰っていましたので……」

 

 

 

なるだろうじゃなくて、なる一択だよ。

私の学校が、弱小って称されるのは、今年でお終いだからね……其れを現実にするために、絶対に負けないよ!!

 

 

 

「その言葉、奥様や、まほお嬢様が聞いたら、きっと喜びますよ?――いっその事、御二人の目の前で披露されてみては?」

 

「其れはダメ。」

 

何となく、其れをやったら、お母さんもお姉ちゃんもポンコツになり下がる感が半端じゃありませんので……なので、内緒の方向で、如何か一つお願いします。

 

 

 

「ふふふ……承知しておりますよ、みほお嬢様。」

 

「お願いしますね、菊代さん!!」

 

幾ら何でも、ポンコツ状態のお母さんとお姉ちゃんは誰にも見せたくないからね?

……まぁ、何処かでお母さんとお姉ちゃんの耳に入る可能性っていうのは、否定できない物もあるけれど、その時はその時でしょうがないかな。

 

でも、其れは其れとして、私の戦車道を見つける切っ掛けを手にする事が出来るんじゃないかって言う事を、物凄く実感できた一日だったよ!

 

私だけの戦車道を見つける――その為の未来を、この手で切り開いていくよ……弱い心を捨ててね!!

 

 

 

「みほお嬢様……逞しくなられましたね。」

 

「うん!」

 

だけどマダマダだから、もっと頑張らないとダメだよね!!――そして、必ず辿り着いてみせるよ、中学戦車道の頂点の座に、絶対にね!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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