ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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3学期最大のイベント卒業式!Byみほ      おっしゃ、忘れられない卒業式にしようぜ!By青子      異論はないわ。Byナオミ


Panzer45『此れが最高の卒業式です』

Side:みほ

 

 

 

3学期の一大イベントである『バレンタイン』が終われば、あっという間に学年末考査が行われて、そして短い2月が終われば卒業式が待ってる……在校生代表の送辞を読む事になってるから頑張らないとね。

 

 

 

 

「でもって答辞は前部長……此れって、間違いなく狙ってやってるよな?」

 

 

「狙ってるんじゃない普通に。

 

 全国優勝を果たした戦車道部の隊長の送辞と、部長の答辞って言うのは、魅せる要素も大きいから、学校側が設定したとしてもオカシクないんじゃない?……戦車道を、学校の宣伝に使われるみたいだから、あんまり好きじゃないけど。」

 

 

「でも、そのお陰でみほさんが在校生の最高の役目を行えるんだから其れで手打ちにしましょうナオミさん。」

 

 

 

 

私が送辞で、凛さんが答辞って言うのは、流石に作為的な何かを感じるけど、確かに学校側としては、全国制覇した凛さんの功績を讃えた上で、私の価値を誇示できるから、私の送辞と凛さんの答辞は最高の組み合わせなのかも知れないけどね。

 

 

でも、だからと言って其れで終わりにはしないのが戦車道だよ♪

 

最後のサプライズは着々と進行してるから、楽しみにしていてね――各員、準備をしておいてください。卒業式が終わった後の、見送りの『花道』を派手に飾りましょう!

 

 

 

 

「りょ~かい。此れは、きっと忘れられねぇ卒業式になるだろうな!」

 

 

「其れが目的だからね♪」

 

 

「なら、全力で行くわ。」

 

 

「私達で最高の卒業式を作り上げましょう!」

 

 

 

 

勿論その心算です!

 

だから頑張りましょう!部長達卒業生に、『最高の卒業式だった』って思って貰う為にも全力で。――大丈夫、私達なら出来るよ。

 

この、最高のチームなら絶対にね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer45

 

『此れが最高の卒業式です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてやって来ました卒業式!

 

結構厳しめな練習をこなして来たから、間違える事は想像出来ないよ――其れ以前に、卒業生を送る卒業式でトチったら、其れこそ末代までの恥になりかねないからね。

 

 

大舞台の時ほど頭を冷静に……お姉ちゃんとお母さんに教わった事が役に立った。おかげで、全く緊張してないからね。

 

 

 

でも、其れでも退屈なのは否定できないかな?

 

入場や、各方面からの祝辞は兎も角として、『卒業証書授与』はある意味で拷問だよ……クラス毎に呼ばれた順で返事して立つのは良いとして、なんで全員に手渡しするかな!?

 

この人数だったら、普通は名前だけ呼んで、後は代表者一名が全員分を受け取るシステムだって言うのに、何で一人一人に渡すって言うのを採用してるんだろうね?

 

無駄に長くなるから、在校生にとっては結構暇な時間――だからって寝ちゃダメだよ青子さん。

 

 

 

――ズビシ!

 

 

 

「おぉ!?……って、そうか卒業式だったっけ。

 

 あんまりにも退屈なんで寝ちまったぜ~~~……お蔭さんで、卒業式が終わるまではパワーが持続するからマッタク問題なしだけどな♪」

 

 

「あ、復活した。」

 

 

「まぁ、青子が寝るのも仕方ないんじゃない?

 

 1クラス30人以上で、其れが3年生だけで6クラスもあるんだから、人数にして200人は居るでしょ?……其れを全員に手渡ししてたら、退屈にもなるわ。」

 

 

「此れは、来期の生徒会に頼み込んで、卒業式の仕様変更を学校側に申し入れた方が良いかも知れないわね。」

 

 

 

 

ナオミさんとつぼみさんもそう思うよねぇ?

 

1クラス25人程度で5クラス以下なら兎も角、30人以上6クラスでのこの方式は、在校生にとっては――否、待たされる卒業生にとっても割と辛いモノがあるんじゃないかと思うんだよね?

 

 

此れから授与される人は兎も角、既に貰った人の中には手持ち無沙汰にスマホを弄ってる人も居るみたいだし。まぁ、幾ら退屈だからって、卒業式の最中にスマホを弄るのは如何かと思いますけれど。

 

 

 

 

『近坂凛!』

 

 

「はい!!」

 

 

 

 

っと、今度は近坂先輩の番だね。

 

戦車道の試合では頼りになる仲間だったけど、こう言う式典の時とかでも、近坂先輩は名前の通り、凛としてて格好良かった――うん、卒業証書を受け取る姿も、誰よりも様になってる感じだよ。

 

 

高校は、お姉ちゃんに誘われて黒森峰に行くって事だったけど、此れはお姉ちゃんと近坂先輩は大人気になるかもね?お姉ちゃんと近坂先

 

輩はどこか似てる所があるし、2人共見た目はクール系だから、女子高でもファンはつくだろうからね。

 

 

 

 

「共学の明光大でも、みほとナオミの同性からの支持率がめっちゃ高い件について。」

 

 

「愚問よ青子さん。

 

 隻腕の軍神と、冷徹なるスナイパーは、男子のみならず女子の心もガッチリと鷲掴み。この支持率の高さは、なるべくして

 

なった物だと、私は思ってるわ。」

 

 

「言われてみりゃ、其れもそうだな♪」

 

 

 

 

……この前のバレンタインで大体分かってた事だけど、やっぱり私とナオミさんて、女子のファンも多いんだ?

 

ちょっと複雑だけど、女子のファンなら、男子のファンよりもある意味では扱い易いから良いかな?――余程の事がない限り、男子ファンの中に偶にいる『狂愛者』は出て来ないからね。

 

 

 

 

「其れは其れとして、異性よりも同性にもてるって、女子として如何なの此れ?」

 

 

「ナオミさん、戦車女子は女子にもてるんですよ?

 

 お姉ちゃんは言うに及ばず、お母さんも現役時代は同性にもてたって言ってたから。……そんな中で、お母さんのハートをブレイクしたお父さんは凄いと思うよ?」

 

 

「しほさん以上に常夫さんが凄かったか……でもまぁ、人に好かれるってのは悪い事じゃねぇよな♪」

 

 

 

 

ま、そうなんだけどね。

 

人に嫌われるようじゃ、何をやったって結局は巧く行かずに頓挫する未来しか待ってないからね?――そう言う意味では、私は得なのかも知れないよ。

 

お姉ちゃんもお母さんも『みほには人を引き付ける力がある』って言ってたからね。

 

 

 

 

『送辞。在校生代表、西住みほ。』

 

 

 

 

っと、いつの間にか卒業証書の授与が終わって、送辞が来たね。

 

 

「はい!」

 

 

送辞は、在校生の見せ場だから頑張らないとね。

 

……来賓や保護者から、何かひそひそ話が聞こえるけど、十中八九、私に関してだよね?――まぁ、片腕の生徒が送辞を送るなんて言う事は、予想もしてなかっただろうからね。

 

 

でも、誰に何を言われても関係ないよ。――私は私だから!!

 

 

「送辞。

 

 深々と大地に根を伸ばし、じっと冬に耐えてきたタンポポも、今太陽に向かって花開こうとしています。

 

 雲梯に寄り添うように立つ桃も健気に花を咲かせ、春の香りが漂い始めました。

 

 この素晴らしい日に明光大付属中学校を旅立たれる皆さま、ご卒業まことにおめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。」

 

 

「卒業生の皆さまのことを考えると、体育祭、文化祭、委員会活動等で頼りがいのある姿が次々と思い出されます。」

 

 

 

 

ふぇ、ナオミさん!?

 

なんで壇上に…

 

 

 

 

「そのなかでも、卒業生の皆さまと最も多く過ごした時間は部活動でした。

 

 部活動という厳しい世界で、自分はうまくやっていけるのか、私達1年生2年生は一様に不安でした。

 

 しかし、先輩方の真摯に取り組む姿、果敢にチャレンジする姿、なにより私たちに厳しくも温かく接してくださった姿に、私達は励まされてきたと思います。」

 

 

 

 

更につぼみさん!?

 

若しかして、私にも内緒のサプライズ考えてたの!?

 

 

 

 

「先輩方を頼りにし、また憧れながら、私達はいつの間にか学年の垣根を超えて一致団結し、共に高い目標を目指してきたと思います。

 

 体育祭の応援合戦では、先輩たちの熱いご指導のもと、私たちは一つになって闘い合いました。あれほど胸が高鳴ったことはありません。

 

 合戦後に先輩方とグラウンドで円陣を組み、健闘を称え合ったことは、私たちの誇りです。

 

 卒業生の皆さま、私たちを導いてくださり、ありがとうございました。次は私達が新2年生を、そして新入生を導く番です。

 

 先輩方のたくましく、果敢で、心優しい姿を目に焼き付け、しっかりと志を継いで参りたいと決意しています。」

 

 

 

 

青子さんも。――此れは、私にも内緒だったのは確定だよ。

 

でも、此れは最高の送辞になるかも知れないね。

 

 

「四月から高校生となられる卒業生の皆さま。新しい環境で困難に直面することもあると思います。

 

 しかし、明光大付属中学校で様々な困難を乗り越え、私たちを立派に纏め上げた先輩方なら、きっと力強く前に進まれる事と信じています。

 

 卒業生の皆様の新たな一歩が光り輝き、未来まで明るく照らされますよう、在校生一同心からお祈りしております。

 

 在校生代表、西住――ううん、明光大付属中学校戦車道部・隊長チーム一同!」

 

 

「「「「卒業、おめでとうございます!!」」」」

 

 

 

 

――パチパチパチ!!

 

 

 

 

ちょっと驚いたけど大成功って言う感じだね?――何やらひそひそ話してた人達も、拍手をしてるからね。

 

だけど、此れをやるなら事前に教えて欲しかったよ3人とも。おかげで少し、驚いちゃったんだから。

 

 

 

 

「わりぃわりぃ。

 

 でも、秘密にしといた方が、みほにも良いかと思ってさ?――アタシ達が、こんな事を考えてたなんて事は予想してなかっただろ流石に?」

 

 

「完全に予想外だったよ。」

 

 

「だからこそ、サプライズになるのよ。

 

 みほが予想外なら、大抵の人にとっては予想すらしてなかった事態になる訳だからね。」

 

 

「今回は青子さんの読み勝ちね♪」

 

 

 

 

青子さんの勘は鋭いからなぁ。その勘が冴え渡ったら、私でも戦車道で勝つのはちょっと難しいかな?

 

――って言うか、その勘を駆使したプレイングでゲームセンターでは常にランキングの上位に名を連ねてるんだけどね。

 

 

 

 

『其れでは、続いて答辞。卒業生代表、近坂凛。』

 

 

「はい。」

 

 

 

 

と、今度は近坂先輩の答辞だね。

 

流石に、私達みたいな事はしないだろうけど、近坂先輩の答辞はちゃんと聞いておかないとね。

 

 

 

 

「答辞。

 

 卒業の時を迎えた今では、中学生活のそんな側面は非常に魅力的であるように思われます。

 

 自分の居場所を自分で見つけようとするうちに、どれほどたくさんの人たちにめぐり逢う事が出来たか、そしてその人達との出逢いが自分自身にとってどれほどの糧になったか。素晴らしい出逢いの数々に思いを馳せると、明光大付属中学校で過ごした時間は自分自身の人生にとって欠く事の出来ない1ページであったという事に、疑いの余地はありません。

 

 最後になりますが、未熟な私たちにいつも適切な助言を与えて下さった諸先生方、また様々な場面で私たちを支えて下さった職員の皆様に改めて御礼申し上げるとともに、中学卒業を迎えた今日まで私たちの成長を見守り続けてくれた家族に感謝します。

 

 そして、明光大付属中学校の一層の発展を願い、答辞とさせていただきます。

 

 卒業生代表、近坂凛。――ありがとう、皆。」

 

 

 

 

――パチパチパチパチパチ!

 

 

 

 

お見事。流石、近坂先輩は部長を務めてただけあって、大勢の前での挨拶とかが凄く様になってる。何て言うか、お姉ちゃんとはまた違った格好良さがあるよ。

 

感極まって泣いちゃうなんて言う事もないし、凄くカッコイイ答辞だったよ――私は、小学校の卒業式の答辞で泣いちゃったからね。

 

 

其れからも式は滞りなく進行。

 

無駄に長い来賓挨拶や、校長先生の挨拶は最早誰も聞いてなかったって言うのはある意味でお約束だね?青子さんは思いっきり夢の世界に旅立っていたから。

 

 

其れから校歌を歌い、最後に卒業生が『仰げば尊し』を歌って式は閉会。

 

『蛍の光』の演奏で卒業生が講堂から退場して、此れで終了!――だけど私達在校生には、卒業生を送る最後の大仕事が待ってるから、此処からがある意味では本番!

 

 

戦車道部全員準備開始!

 

部長達卒業生の花道を、戦車道部らしく派手に彩るよ?準備は良いね?それじゃあ、パンツァーフォー!!

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「Jawohl!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

忘れられない卒業式の花道を卒業生にプレゼントだね♪

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

と言う訳で、卒業生が校門までの道を歩いて行く、卒業式の最後の花道。

 

吹奏楽部の演奏が花道を盛り上げてるけど、其れを更に盛り上げるのが私達戦車道部だよ。既に準備は完了してるからね……其れでは全車『卒業おめでとう作戦』を開始して下さい!

 

 

 

『『『『『『『『了解!』』』』』』』』』

 

 

 

 

――ドン!!×9

 

 

 

作戦開始と同時に、全車一斉に主砲発射!

 

ティーガーⅠ2輌、ティーガーⅡ1輌、パンター3輌、Ⅲ突3輌の同時発射は流石に迫力があるなぁ~~~?この日だけの特別編成チームだ

 

けど、本来担当じゃない戦車に振り分けられたチームも見事に任務達成だね♪

 

 

 

 

「くおらぁ、戦車道部!何をしておるか何をーーー!!

 

 卒業式の日に戦車を持ち出して、更には主砲を撃つとは何事かーーーー!学校を破壊する気なのかお前達はーーーーー!!!」

 

 

「そんな事する筈がないじゃないですか教頭先生。此れは祝砲ですよ祝砲♪

 

 特殊なスモーク花火弾で、卒業生の皆さんをお祝いしてるんですよ――何よりも、戦車乗りとしては、戦車無くして卒業生を送る事なんて出来ないんですよ。」

 

 

「だからと言って戦車を持ち出すのは……」

 

 

「問題ないわ、校長先生から許可は得てるから。」

 

 

「何を許可してるんですか校長ーーーー!!!!」

 

 

 

 

あはは……まぁ、校長先生も昔は戦車女子だったらしくて、割とあっさり許可出してくれたんだよねぇ?まぁ、そのお陰でこんな事が出来た訳なんだけど♪

 

 

其れよりも、皆様空に注目!

 

今のは只の祝砲に在らず!特殊スモーク花火弾は、空にメッセージを描き出します!!

 

 

 

 

「此れは……やってくれるじゃない戦車道部!!」

 

 

「ちょっとびっくりしたけど、此れは見事ね?……流石、全国制覇した部活はやる事のスケールが違うわ。

 

 ――此れは、一生心に残る卒業の花道になるわね。」

 

 

 

 

驚いてくれましたか?

 

私達の祝砲は、特殊スモーク花火弾で、空に『卒業おめでとうございます』の文字を描くためのモノ。――此れならインパクトは絶大だし、戦車が卒業式の花道に現れたって言う事と相まって、絶対に印象に残ると思ったからね♪

 

 

 

 

「貴女の事だから、絶対に卒業式で何かしてくるとは思ったけど、まさか戦車を持ち出してくるとは思わなかったわみほ。

 

 其れに、此のスモーク花火をつかったメッセージも見事な物だった――マッタク、此れは最高の卒業の思い出になったわよ大馬鹿者共!」

 

 

「大馬鹿者上等です!って言うか、褒め言葉ですよ♪

 

 でも、戦車道部の先輩達には此れだけじゃないんです。有波さん、持って来てもらえますか?」

 

 

「まだ何かあるの?」

 

 

 

 

はい、此れは絶対に先輩達に貰ってほしかったので。

 

受け取って下さい、私達から先輩達への卒業の贈り物です。

 

 

 

 

「有波の家は写真屋だから、安くやって貰ったんすよ。」

 

 

「此れは――!」

 

 

「私達、明光大戦車道部が全国優勝した時の集合写真を引き伸ばしたパネル!!」

 

 

 

 

万年1回戦負けの弱小校と言われていた明光大が全国を制覇した時の記念の1枚を、是非先輩方に持っていて欲しかったんです。私達と一緒に戦った証としても。

 

 

 

 

「そう……そうよね。

 

 思えば万年1回戦負けの弱小校って言われてたのが、みほ達が入学してきた年にはベスト4に躍り出て、そして今年度の大会では優勝をしたんだもの……私達卒業生にとっては感慨深いわ。

 

 改めて、貴女には感謝ねみほ?――もしも貴女が居なかったら、私はきっと不完全燃焼のまま中学生活を終えてただろうし、まほともライバルになる事もなかったし、そのまほに誘われて黒森峰に行く事もなかったと思うから。

 

 だから、ありがとうみほ。」

 

 

「私の方こそありがとうです近坂先輩。

 

 先輩達の様に戦車道に真剣に向き合ってる人達が居たから、私は明光大の戦車道を作り上げる事が出来たんだと思いますから。

 

 先輩達と、気心の知れた同輩と、成長著しい後輩が居たから、今年の全国制覇は成し遂げられたって、私はそう思ってますから♪」

 

 

「至言ね。

 

 でも、このパネルは一生モノの宝物だわ――ありがとう皆!私は、私達は、明光大付属での戦車道の日々を決して忘れないわ!

 

 私達は卒業するけど、弱小校の汚名を返上して、王者になり上がった明光大の戦車道をこれからも伝えて行きなさい?黒森峰と肩を並べるだけの戦車道名門校になる事を、願ってる!」

 

 

 

 

黒森峰と肩を並べられるかどうかは分からないけど、少なくともベスト4の常連校位にはする心算ですよ近坂先輩。其れ位にならないと、今年

 

度の優勝は『まぐれだ』って言われちゃうからね。

 

 

尤も、お母さんが言うには『戦車道にまぐれ無し。あるのは実力のみ。』って言う事だから、明光大は全国制覇する実力が有るって事だけど。

 

 

まぁ、其れを本当にする為にも、益々精進していきますよ近坂先輩。

 

それこそ、先輩達が高校で『明光大出身』だって言う事を誇れる位に強くなってやります!何よりも、私達はまだまだ伸びる!って言うか、自分で限界を決めなければ、何処までも伸びる事が出来ますから!!

 

 

 

 

「おっそろしい暴論だけど、貴女達を見てると、あり得ないと言えないのが怖いわね?

 

 それだけに、貴女の言ってる事は只のビッグマウスと切り捨てる事は出来ないわ――期待してるわよみほ?」

 

 

「はい、任せて下さい!

 

 此れだけの仲間が居るんですから、きっと大丈夫です!!」

 

 

「ふふ、そうね。」

 

 

 

 

皆が居るからね♪

 

ともあれ、お疲れ様でした近坂先輩及び卒業生の皆さん!改めて、卒業おめでとうございます!!皆様の、高校での活躍を期待してます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

今日は黒森峰も卒業式で、式そのものは順調に進んだわ。

 

私と小梅が在校生代表として送辞を述べ、西住隊長……もとい、西住先輩が答辞を述べて、校歌を歌ってね――私としては、みほから『卒業式でお姉ちゃんが泣いたら、写真に撮って送ってね♪』ってメールが来てた事に驚いたけどね。

 

 

まぁ、確かに西住先輩の泣き顔を拝む機会なんてそうそうないでしょうから、其の写真が欲しいって言うのは分からないでもないけど、普通は姉の泣き顔の写真を求めないでしょ!?

 

 

尤も、西住先輩が泣くなんて事はないから、此れはそもそもミッションが不可能だったんだけどね……後で、答辞を述べる西住先輩の写真でも送ってあげるとしましょう。

 

 

 

で、今は卒業生を送る花道――卒業おめでとうございます、西住先輩。

 

 

 

 

「おめでとうございます。」

 

 

「エリカ、小梅……うん、ありがとう。

 

 高校も黒森峰に行くから、それ程感慨はないと思っていたのだが、自分が3年間過ごした中学校を離れると言うのは、思った以上に心に来る物があるよ。

 

 泣くほどではないが、此れが卒業の感動と言う物なのだろうね。」

 

 

「そうだと思います――私も、小学校の時はそうでしたから。」

 

 

「私は、小学校の時は其れを感じる事もなかったのだが――そう感じるのは、此処での3年間が充実していたからなのだろうな。

 

 特にエリカと小梅が入学してからの2年間は、とても充実していたよ……みほの明光大と死闘を演じ、安斎の愛和と激闘を繰り広げた訳だしね?……本当に充実していた。

 

 だからエリカ、小梅、お前達も中学最後の1年を悔いの無いように過ごせ――それが、前隊長として、お前達に下す最後の命令だ。」

 

 

 

 

西住先輩……はい、その命令、承りました!!

 

私も小梅も、中学最高学年となる来年度を悔いの無いように過ごし、その上で大会の優勝旗を黒森峰に持ち帰ります!貴女に約束します!

 

 

 

 

「卒業の日に、其れを誓います!!」

 

 

「ふ……そう来たか。

 

 ならば楽しみにしているぞ2人とも?必ず真紅の優勝旗を持ち帰れ。そして、その実績を携えて黒森峰の高等部に進んで来い!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

 

必ずや、この約束を果たして見せます!――例え、みほが目の前に立ち塞がっても絶対に勝って、そして優勝旗を黒森峰に持ち帰ります!

 

だから楽しみにしててください!!

 

 

 

 

「ふふ、期待しているぞ?」

 

 

「「はい!!」」

 

 

 

其れは其れとして、お疲れ様でした西住先輩――そして、改めて卒業おめでとうございます!高校での活躍もお祈りしています!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

『卒業おめでとうございます』……で、送信と。

 

お姉ちゃんには電話で卒業おめでとうを伝えたけど、美佳さんと蛍さんと安斎さんにはメールでね。直接言う事は出来ないけど、逆にメールなら確実に届ける事が出来るから。

 

 

でも、此れで激戦を行った人達は、皆卒業して高校に行っちゃうんだ――そして、今度は私達が最高学年として、下を引っ張って行く立場になるんだよね?……此れは、益々頑張らないとだよ!!

 

 

既存メンバーのレベル上げは当然だけど、来年度の新一年生も4チーム分は戦車道部に来て欲しいって言うのが本音だから、部活勧誘の策も練らないとね♪

 

 

 

 

 

 

そして、あっという間に3月は終わり(学年末テストは何時もの方法で青子さんがトップだった)、桜が舞う4月に。

 

私達の中学校最後の1年が、いよいよ始まろうとしていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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