ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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いざ大会開催だね!Byみほ      気合会入れ行こうぜみほ!狙うは優勝だぜ!By青子      私達の力、見せてあげましょう!By梓


Panzer50『全国中学校戦車道大会開幕です』

Side:みほ

 

 

 

そんなこんなで始まった全国中学戦車道大会。

 

1回戦の第1試合は、新隊長の西さんが率いる愛和学院が、正攻法と搦め手を大胆に組み合わせた戦術で見事な勝利を収めた。

 

西新隊長は、安斎さんの遺産を自分なりにアレンジして愛和の新たな戦車道を作ったみたいだね。

 

 

続く第2試合と、第3試合も見事なモノだったって言う他はないよ。

 

明光大、黒森峰、愛和の3校以外は勢力がガラっと入れ替わった今大会だけど、其れだけに去年までとは違った戦いが展開されていてたおかげで、中学大会であるにも拘らず、物凄い盛り上がりを見せてたからね。

 

 

そして、今日は1回戦前半の最後の試合である4試合目だったんだけど……

 

 

 

 

『海聖第一中学校、フラッグ車走行不能。黒森峰学園の、勝利です。』

 

 

 

 

エリカさん率いる黒森峰が大勝利!

 

お姉ちゃんみたいな完全殲滅ではないけど、エリカさんはスマートに、徹底してフラッグ車を狙って、海聖の部隊を半壊させつつ、自軍の損害はゼロっている、お姉ちゃんとは違うパーフェクトゲームをなし得た――此れは、決勝で当たるのが楽しみだよ。

 

 

 

 

「自軍損害0でフラッグ車を討つ……フラッグ戦ルールでは、最高の勝ち方ね。

 

 まさか、エリカが其れを出来るまでの力を付けて来ていたとは予想外だったわ――エリカの強さを知っていたとしても、此れは流石に、ね。」

 

 

「予想外……じゃないよ私にとっては。

 

 エリカさんは、兎に角ストイックに戦車道に係わってたから、若しかしたら自分の戦術を――西住まほをなぞるんじゃない戦術を確立するんじゃないかって思ってたからね。」

 

 

副官に小梅さんが居るのも大きいかもね。

 

動のエリカさんと、静の小梅さんの組み合わせは最高だからね――多分、お姉ちゃんも其れを考えて、エリカさんを隊長に、小梅さんを副隊長に任命したんだろうけれど。

 

 

でも、其れだけに相手にとって不足なし――決勝で待っててね、エリカさん、小梅さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer50

 

『全国中学校戦車道大会開幕です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、黒森峰にあれだけ見事な試合を見せられた以上、私達も無様な戦いは出来ないので、試合の作戦を立てて行きましょう。

 

ナオミさん、1回戦の相手である『横浜アドヴァンス中学』はどんな戦車を使ってくるのか、情報を掴む事は出来ましたか?――少々、無理を

 

言ったかもですけれど。

 

 

 

 

「無理はしてないから安心しなさいみほ。

 

 横浜は、戦車の統一性は無いけど、10輌全てを、最高性能を誇る中戦車である、パンターG型5輌と、T-34/76を3輌、T-34/85が2輌って言う布陣になってるみたいね。

 

 特出能力はない代わりに、高いレベルで纏められた中戦車軍団て言うのは中々厄介な相手だと考えるわ。」

 

 

「其れは、確かに厄介ですね。」

 

 

大戦期最強の中戦車と謳われたパンターと、T-34が手を組んだら、攻守速に於いて隙のない最強の中戦車部隊が出来上がる訳だから。

 

とは言え、此方もパンターが5輌に、最強重戦車ティーガーⅠが3輌、待ち伏せさせたら他の追随を許さないⅢ突が2輌の編成だから、不利とは言えないかな?

 

寧ろ、ティーガーⅠが有る分だけ此方が火力と防御力では上回ってると言った所だね。

 

 

 

 

「だな。

 

 向こうは特化してる能力が無いけど、アタシ等の方は最強の88mm搭載してるティーガーⅠが有るんだから火力では負けねぇし、パンターも5輌有るから、機動力でも引けは取らねぇだろ!

 

 つまり総じて戦えば、6:4でアタシ等が有利だ!更に、こっちはみほが隊長なんだ、余程の相手じゃねぇ限り負ける気がしねぇ!!」

 

 

「いや、其れは如何かなぁ?私よりも凄い隊長さんは居ると思うんだけど……」

 

 

「甘いわよみほさん!確かに去年までなら、島田さん、支倉さん、安斎さんにまほさんと、みほさんと同等か僅かに上の人達は居たわ。

 

 だけど、今年は逸見さんと赤星さん、其れから愛和の新隊長の西さん位しかみほさんとタメ張れる隊長は居ないわよ!――残る学校は未知数ですけれど、少なくとも前半戦を見る限り、みほさん以上の人は居なかったわ。」

 

 

 

 

だからと言って、後半ブロックに居ないとは限らないから油断は禁物だよ、青子さん、つぼみさん。

 

其れに、使用戦車は分かっても今年初めて出て来た学校だから実力は未知数で戦うまで分からないのに、相手は此方の詳細なデータを持ってるって言うのは、逆に燃えるモノが有ると思わない?

 

 

 

 

「分かります西住隊長!

 

 徹底的に研究されたにもかかわらず、其の研究を越えて行くのが良いんですよね!」

 

 

「うん、分かってるね梓ちゃん。

 

 大体にして、黒森峰以外の学校が持ってるデータは、去年の大会までの物だから、明光大と黒森峰に限っては事前情報何て言う物は有って無いようなモノだよ。

 

 去年の大会の時の私達と、今年の私達じゃ全然違うし、新入生のデータは未知数な訳だからね。」

 

 

そもそもにして、大会後に『あの』合宿を行った時点で、私達の戦車乗りとしての能力は相当に引き上げられたのは間違い無いんだもん。

 

西住流フィジカルトレーニングを生き残ったって言うのは伊達じゃないんだよ――今だから言うけど、去年の合宿での脱落者が居なかったって言うのは、信じられない事だったからね。

 

 

でも、梓ちゃんの言うように、研究された上で其れを越える事が楽しみなのは確かだよ。其れが出来れば、成長してる証になるからね。

 

其れでナオミさん、後半戦最初の試合になる第5試合の会場はどんな感じなんですか?

 

 

 

 

「此れはラッキーとしか言いようがないんだけど、海外線の市街地よ。

 

 住宅地や商店は元より、浜辺まで戦闘区域に指定されてる場所――みほの十八番である市街地戦が出来るフィールドよ。」

 

 

「それは、確かにラッキーですね。」

 

 

市街地戦は私の最も得意とする所だし、障害物の多い市街地なら余程慣れてない限りはパンターもT-34もその機動力を存分に生かす事が出来ない上に、私達はⅢ突を隠せる場所が多い――圧倒的なフィールドアドバンテージを得た感じだよ。

 

 

勿論それで全てが決まる訳じゃないけど、アドバンテージを取れたのは間違いないからね?……大事な初戦だけに、必ず勝つよ!!

 

此処で勝って弾みをつけて、決勝戦まで一直線一択!

 

何よりも、エリカさんと小梅さんと戦う為には決勝戦まで駒を進めないとならないんだから、絶対に負ける事なんて出来ないよ!……特にエリカさんとは、小学校では私が勝って、中学校では1年次にエリカさんが勝ったから、3年次の今年が決着戦になるからね。

 

 

 

 

「ライバルとの決着戦か?そいつは確かに燃えるよな!

 

 なら、1回戦を圧倒的に勝って、黒森峰の銀髪と天パに見せてやろうぜ!『西住みほ』はこれほど強くなってるって言う事をさ!」

 

 

「勿論その心算だよ青子さん。」

 

 

尤も、エリカさんも小梅さんも、其れに怯む人じゃないけどね。あと、愛和の新隊長の西さんも怯まないだろうね。

 

 

何にしても、中学校最後の大会だから、最高の形で終わりたいからね――3日後の1回戦、勝って弾みを付けて行きたい所だよ。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

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・・・

 

 

 

 

其れで試合当日。

 

去年の優勝校が出るって事もあって、会場は大賑わいで、ちょっとした縁日状態になってる感じだね?屋台も其れなりに出てるみたいだし。

 

取り敢えず試合前に力を付けておきたいので、ジャンボカルビニンニク串を4本下さい。

 

 

 

 

「お嬢ちゃん、明光大の隊長さんだろ?

 

 去年の優勝は見事だったから、今年も良い試合を見せてくれる事を期待してるぜぇ?

 

 ジャンボカルビニンニク串が4本って事だったが、お嬢ちゃん達の勝利を願って、特別にジャンボ豚バラネギ串もおまけしといた!優勝してくれよ?俺は明光大のファンなんだ!」

 

 

「はい、頑張ります♪」

 

 

「グハァ!!……そ、その笑顔は反則だぜ……」

 

 

 

 

あれ?倒れちゃった……大丈夫ですかオジサン?おーい……聞こえてますか?

 

 

 

 

「狙わずに、素であれとは……みほ、恐ろしい子。」

 

 

「私、何かしたっけ?別に恐ろしい事はしてないと思うんだけどなぁ?」

 

 

「まぁ、気にすんな。みほが可愛かったってだけの話だからよ。」

 

 

「其れよりも、熱いうちに食べちゃいましょう!折角おまけまで付けてくれたんだから、冷めちゃったら勿体ないわ!」

 

 

「其れもそうだね。それじゃあ……」

 

 

「「「「いただきまーす!!」」」」

 

 

 

 

ん~~~、美味しい!此れは、試合前にバリバリ力が湧いてくる感じがするよ!

 

うん、此れなら試合が長引いてもスタミナ切れを起こす事はないだろうね!……あ、でも試合前にブレスケア飲んどこうね?幾ら火を通したとは言え、ニンニクはニンニクだから。

 

 

 

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

「試合前でも余裕綽々ねみほ?調子は上々って所かしら?」

 

 

「どんな時でも自然体なのが、明光大隊長チームの強さの秘訣なのかも知れないですね。」

 

 

「エリカさん!小梅さん!見に来てくれたんですか!」

 

 

「当然でしょ?貴女達が1回戦を観戦してたように、私達だって他校の試合を観戦するわ。偵察を兼ねてね。

 

 その序で来てみたんだけど、調子が良さそうで安心したわ――でも、実を言うと只会いに来たって訳じゃないの。」

 

 

「あん?如何言うこった銀髪?」

 

 

 

 

只会いに来た訳じゃないって……若しかして、対戦相手の横浜アドヴァンス中学の事で何かあるんですか?

 

確か、4年ぶりに全国大会に出場して来た学校で、中戦車で固めた部隊を使ってるみたいだけど、それ以外は特に特徴はない感じだったんだけど、態々エリカさんが来るって言うのは何かあるんだよね?

 

 

 

 

「偶々思い出した事なんだけど、向こうの隊長には気を付けなさい。

 

 横浜の隊長『樋宮アリサ』は、勝つ為なら手段を選ばない所が有るからね――小学校の時に何度か対戦した事があるけど、『ルールで禁止されてないけど、合法ともされてないグレーゾーン』を平気で使ってくるような奴だから、何をしてくるか分からないのよ。

 

 貴女が遅れを取る様な相手ではないけれど、場所が市街地だけに仕掛けを設置する場所は多いから、くれぐれも気を付けなさい?」

 

 

「うん、肝に銘じとくよエリカさん。」

 

 

勝つ為に手段を選ばない選手はいるけれど、其れはあくまでも『ルールで合法とされてる範囲』で手段を選ばないだけ――私が使う煙幕や閃光の目暗ましや、フィールドにある物を倒して攻撃するとかも其れに該当するけど、ルールのグレーゾーンを使ってって言うのは感心出来る物じゃないよ。

 

 

『禁止されてないから使っても良い』ってなったら、極論を言うなら戦車長がキューポラから身を乗り出して、バズーカ砲撃って攻撃してもOKって事になっちゃうからね。

 

 

戦車道はあくまでも武道でありスポーツだから、ルールを守った上で勝たないと意味はない。

 

ルールに抵触しないからって、ギリギリの事をして勝っても虚しいだけなのに……なら、横浜の隊長さんに、本当の戦車道を教えてあげないとだね?

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「……みほの闘争本能が覚醒したわね。こりゃ勝ったわ、相手が何をしてきた所で絶対に。」

 

 

「エリカさん、みほさんの背後に不動明王が見えます。」

 

 

「そう。私は背後にラーの翼神竜・ゴッドフェニックスが見えるわ――まさかその身に神を宿してるとは驚きよみほ。」

 

 

 

 

……不動明王は兎も角、ラーの翼神竜って私から何を感じ取ったのかなエリカさんは?まぁ、そんな物を幻視する位に私の気合が入ってるのは間違い無いけどね!

 

1回戦、全力で行くよ皆!

 

 

 

 

「「「おーーーー!!!」」」

 

 

 

「この調子なら、大丈夫そうね。」

 

 

「はい、相手が誰でもみほさんは、明光大の皆さんは負けないと思いますエリカさん。」

 

 

 

 

うん、絶対負けないから見ててねエリカさん、小梅さん!

 

相手を過小評価する気はないけど、グレーゾーンな事を普通にして来るって言うのは、勝つ為なら手段を選ばないと言うよりも、裏を返せば『そうでもしないと勝てない』ってとる事も出来るからね。

 

 

だったら、私はギリギリのグレーゾーンを使ってきた戦術を真っ向から切り伏せて戦うだけ――悪いけど、横浜の隊長さんには、隻腕の軍神の二つ名をとくと味わってもらうよ!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

そして、いよいよ試合開始!

 

 

 

「此れより、明光大付属中学校と、横浜アドヴァンス中学校の試合を開始する。互いに、礼!」

 

 

「「よろしくお願いします!!」」

 

 

 

横浜の隊長、樋宮アリサさん……赤茶の髪をツインテールにしたそばかすが印象的な人だね。外見だけ見るなら、なりふり構わず勝ちに来るような人には見えないんだけど、エリカさんが嘘を言うとは思えないから油断は禁物だね。

 

 

 

 

「隻腕の軍神、西住みほさん……噂は聞いているわ。

 

 万年1回戦負けの超弱小校である明光大を優勝にまで導いたその力、見せて貰うわよ?――その上で、言わせて貰うわ、勝つのは私達だってね。」

 

 

「私も負けませんよ。

 

 何よりも、去年の優勝校が1回戦敗退なんて言うのは笑い話にもならないですからね。」

 

 

「ふ、そう来ないと面白くないわ。」

 

 

 

 

でも、握手を交わしたアリサさんの瞳は奥が見えなかった……勝ちに固執して濁った感じがしてた。

 

あの目は、お祖母ちゃんに通じるモノが有るから、あんまり好きになれないなぁ?……願わくば、此の試合であの曇りが晴れてくれる事を願うだけだよ。

 

 

って、如何したの梓ちゃん?何やらお怒りの様子だけど。

 

 

 

 

「西住隊長は気付いてなかったかも知れないですけど、あの人、西住隊長の事見下してましたよ?

 

 要約するなら『所詮は片腕の隊長だから、大したことない』って!絶対許せません!隊長は好きで隻腕になったんじゃないのに、其れを嘲笑う様な態度を取って!!」

 

 

 

 

あ~~……何か悦に入ってる感じがしたのはそう言う事だったんだ。

 

どうにも私は、この身体の事で色々言われた経験が有るから、片腕に対する偏見とか言った物が鈍感になっちゃってるみたいだね?思えば1年生の時も、綾南の隊長が片腕ってだけで見下して来たからね。

 

 

でも、梓ちゃんは其れを感じ取って、私の為に怒ってくれたんだね?それは、正直に嬉しいかな。

 

 

 

 

「隊長、私あの人にだけは負けたくありません!絶対に勝ちましょう!!」

 

 

「元よりその心算だよ。

 

 何よりも、戦車道の本質を忘れて勝ちに固執した人に負ける心算は毛頭ないからね――全力を持ってして、勝ちに行くよ。」

 

 

戦車道の本髄、其れを教えてあげないとだからね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

 

いよいよ試合が開始され、去年の優勝校である明光大付属中学校の1回戦が始まった。

 

両校のオーダーは、

 

 

 

明光大付属中学校

 

 

・パンターG型(アイスブルーカラーリング、隊長車)×1

 

・ティーガーⅠ(パールホワイトカラーリング、副隊長車兼フラッグ車)×1

 

・ティーガーⅠ(オキサイドレッドカラーリング)×2

 

・パンターG型(オキサイドレッドカラーリング)×4

 

・Ⅲ号突撃砲F型改(G型仕様)×2

 

 

 

 

横浜アドヴァンス中学校

 

 

・パンターG型×5(うち1輌は隊長車兼フラッグ車)

 

・T-34/76×3

 

・T-34/85×2

 

 

 

 

という布陣。

 

総合的なバランスで言うならば、最高性能の中戦車を揃えた横浜アドヴァンスが勝っているだろうが、逆に明光大は、重爆が出来る重戦車と機動戦が出来る中戦車、待ち伏せに向いた突撃砲が揃っている事で、多様な戦術を取れるのが強みだ。

 

 

更に言うのならば、試合会場は市街地であり、みほが最も得意とする市街地戦が出来る場所なのだ。

 

其れを考えるのならば、フィールドアドバンテージは明光大に有ると言っても過言ではないだろう――公式記録には残らない西住流道場での試合ではあるが、市街地戦を模した模擬戦では、まほですらみほには只の1度も勝った事はないのである。(市街地以外のフィールドではまほの方が勝っているので、総合成績は五分であるが。)

 

 

また、みほ自身も、己が最も得意とするのは市街地戦であると理解しているから、その得意フィールドで負ける事は断じてできないだろう。

 

 

 

「其れでは行きます!Panzer Vor!!」

 

 

「「「「「「「「「Jawohl!」」」」」」」」」

 

 

 

試合開始と共に、部隊を4つに分けて市街地に散らばらせた。

 

みほが率いる隊長車含めた計3輌のパンターで構成された隊長チームがこれまで通り進軍し、梓率いる副隊長車を含めたティーガーⅠ3輌で構成された副隊長チームが、隊長チームが進軍する道路と平行に走っているバイパスを通って進軍し、Ⅲ突とパンターで構成された2つの部隊が大回りして横浜の側面を取る形で進軍して行く。

 

 

 

 

其れに対して横浜は部隊を散開させず、全車輌で進軍を進めていた。

 

固まっていた方が撃破されにくいとか、或は敵の遊撃部隊が出て来た時に対処しやすいなど、理由は幾らでもあるだろうが、市街地戦に於いて、全部隊が固まって動くのは得策でない事を考えると、少し奇異な部隊配置と言えるだろう。

 

 

 

「去年の決勝を見る限り、西住みほは市街地戦を最も得意としてるのは間違いないわ。

 

 だからと言って、此方に分がないのかと言われれば其れは否……ルールで禁止されていない事は、裏を消せば無言で合法って言う事も 出来るから、其れを存分に使わせて貰うわ!」

 

 

 

だが、横浜の隊長であるアリサは、黒い笑みを浮かべると、手元の謎の装置をスイッチオン!

 

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

 

その瞬間、市街地に存在するアパートが爆発し、そこを通りかかっていたみほ達の車輌に瓦礫が降りそそぐ。

 

瓦程度の物ではパンターの装甲に傷をつける事は出来ないが、其れでも行き成りアパートが爆発したとあっては、驚かない方がおかしい。

 

 

 

 

「緊急回避!!」

 

 

「「了解!!」」

 

 

 

それでも、見事な操縦により、瓦礫の雨を回避すると、再び進軍開始!!

 

 

だが今の爆発は少し不自然だったのは否めない――アパートは、戦車砲が直撃した訳でもないのに殆ど全壊状態になっていたのだから。

 

ならば、何故アパートは爆発したのか?

 

 

 

「此れは、確かにルールで禁止されてはいないけど、此れは絶対やっちゃダメな事だよ――スイッチ式の地雷でアパートを吹き飛ばすなんて、普通は思いついたってやらないのに、それを軽々選ぶなんて……此れは、徹底的に教えてあげないとだよ、本物の戦車道をね。」

 

 

 

其れは試合開始までの僅かな時間を使って、アリサが部下達に命じて市街地戦の会場の至る所にリモコンで起爆できる爆弾を仕掛けていたからである。

 

 

確かにルールで禁止されている事ではないが、此れはみほにとっては許せない。

 

みほも市街地戦では派手に街を破壊するが、其れはあくまで戦車の武装で行う事であって、ルールで許されているモノだが、事前に爆弾を仕掛けておいて爆破するなどと言う事は、ルールで禁止されてないとは言え、戦車乙女にはあるまじき行為と言っても過言ではないのだ。

 

 

 

だがしかし、この行為がみほの中に存在している『西住の魂』と『眠れる本能』を呼び覚まさしたのは間違いないだろう。

 

 

 

「こんな事をしてくるなんて、戦車道を馬鹿にするにも程があるよ――梓ちゃん、敵を発見したら思い切りやっちゃって!

 

 機動力では劣るとは言え、攻撃力と防御力に関してはティーガーⅠの方がパンターやT-34を圧倒的に上回るから、早々やられるって言う事はないだろうから。」

 

 

『了解しました西住隊長!

 

 接敵即撃滅……サーチ・アンド・デストロイで任務に当たります!』

 

 

「うん、そっちは任せるね!」

 

 

 

最大級の警戒をしつつ、みほは進軍している。

 

明光大の1回戦は、行き成りの相手のグレーゾーン攻撃に対して、真っ向勝負を仕掛けると言う、実にみほらしい戦いが展開されようとしていた。

 

 

1回戦は、此処からが本番と言っても過言ではないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

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