ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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決勝戦前に一息だねByみほ      体を休ませんのは大事だからなBy青子      確り休んで英気を養いましょうByナオミ


Panzer56『決勝戦直前です!全力で行きます!』

Side:まほ

 

 

 

大体予想はしていたが、今年の中学戦車道の全国大会の決勝は、みほ率いる明光大と、エリカ率いる黒森峰の頂上決戦となったようだな?

 

こう言っては手前味噌かもしれないが、みほの戦車乗りとしての能力は同世代では間違いく最強であるが、逆にエリカと小梅もまた稀有の才能の持ち主であり、中学時代は私が徹底的に鍛えてやったから相当に強くなってるだろう。

 

 

だからこそ此の決勝戦は目が離せない物になりそうだ。

 

 

 

 

「楽しそうねまほ?やっぱり気になるわよね中学戦車道全国大会も。」

 

 

「あぁ、其れは私でも気になるさ――愛しい妹と、可愛い後輩達が頑張っているのだからね。

 

 特に今年の決勝は、何方を応援すれば良いのか 分からなくなる組み合わせだからな。」

 

 

「私の古巣であり、みほが隊長を務める明光大と、貴女から隊長の座を引き継いだ逸見率いる黒森峰の戦いだからね?何方か一方を応援するのは幾ら貴女でも出来る事じゃない――なら、どっちも応援してあげればいいのよまほ。

 

 『どっちも頑張れ』なんていう言葉がある位だもの。」

 

 

 

 

……成程、両方を応援と言うのは盲点だったな。

 

双方を応援すれば、何方かを贔屓にしていない事は明白だからな――何にせよ頑張れよみほ、エリカ、小梅。私も必ず高校大会で優勝して真紅の優勝旗を黒森峰に持ち帰り、9連覇を達成してみ見せる。

 

 

ふふ、大会が終わって実家に帰ったその時は、結果が如何であっても、みほ率いる明光大が、どんな活躍をしたのか聞かせて貰うとしよう。

 

取り敢えずみほもエリカも小梅も、悔いが残る戦いだけはしないでくれ――此の試合を高校大会の都合で、生で見る事が出来ないのが残念だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer56

 

『決勝戦直前です!全力で行きます!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

本日の戦車道の時間は、明後日に決勝戦を控えてるから当日のオーダーと、試合に出る選手を決めるミーティングだけにしておいた。

 

ギリギリまで練習をするのも良いけど、今日と明日は戦車に乗った練習はお休みにして、確りと体を休めた方が良いからね。

 

 

私の隊長車と、梓ちゃんの副隊長車はポジションが固定されてるけど、他はその都度その都度メンバーが変わってるから、意外と試合のオーダーを決めるのは楽じゃないんだよね此れが。

 

 

黒森峰の伝統は重戦車の圧倒的な火力で、相手チームを蹂躙する戦い方だから、普通に考えるならこちらはいっそ重戦車を全てオーダーから外して、パンターとⅢ号で構成された『厚い皮膚より速い足』を体現したオーダーで行くのがベスト。

 

だけど、『エリカさんの黒森峰』は、『勝つ為には伝統なんて只の足枷』とでも言うかのように、1回戦から準決勝まで重戦車と中戦車で構成された、攻守速に隙のない隊編成だったから、足回りの重い重戦車へのセオリーは、略間違いなく通じないよね……

 

 

となると……よし!

 

 

「決勝戦、隊長車はティーガーⅡとし、同時に此れをフラッグ車にしようと思います。」

 

 

「パンターじゃないんですか隊長?

 

 黒森峰のフラッグ車は1回戦から一貫して隊長車のティーガーⅠだったので、てっきり此方のフラッグ車は機動力で勝るパンターで行くと思ったんですけれど……」

 

 

 

 

うん、其れは私も考えたよ梓ちゃん。

 

だけど、エリカさんは一昨年の準決勝と、2回の夏休み合宿を通して『パンターに乗った西住みほ』を相当に知ってるし、同時に研究もしてると思うから、パンターで出るのは逆に悪手なんだよ。

 

と言うか、エリカさんだけでなく、小梅さんも、もっと言うなら合宿に参加してた黒森峰全員が、アイスブルーのパンターにはこの上ない警戒をしてると思った方が良い。

 

そうなると、パンターで出た場合、相手の対抗策に潰される可能性があるんだ。

 

 

 

 

「みほだったら、その対抗策すら超えるんじゃねぇかと思う奴挙手~~。」

 

 

「「はい!!」」

 

 

「「「はい!はい!!」」」

 

 

「「「「はい!はい!!はい!!!」」」」

 

 

 

 

……青子さん、その質問は如何なの?そして、それに対して隊員全員が手を上げてるってどういう事!?

 

確かに私は戦車乗りとしては優秀なのかも知れないよ?自分では分からないけど、お母さんもお姉ちゃんも、果ては菊代さんまでそう言ってくれるからそうなんだと思う。

 

特にお母さんなんて『今のみほと菊代が戦ったら、10回中9回はみほが勝つんじゃないかしら。』って言う位だしね。

 

 

だけど、今度の決勝はそうは行かないんだよ。

 

何て言ったって、黒森峰の隊長はエリカさんで、副隊長は小梅さんなんだから。

 

 

多分、一昨年までならエリカさんと小梅さんの2人を相手にしても、多分私は勝つ事が出来たと思うけど、2度の合宿で、エリカさんと小梅さんは、他の黒森峰の生徒とは比べ物にならない位にレベルアップしてるから、タイマンなら兎も角、1vs2の状況に持ち込まれたら、一昨年の準決勝みたいには行かないと思うんだ。

 

だから、決勝戦は機動力では劣るけど、圧倒的な攻撃力と防御力を有するティーガーⅡで行くのがベターだと思うんだ――其れに、此の子は今大会1度も使ってないから、最後の舞台で花を持たせてあげたいんだ。

 

 

 

 

「戦車への愛情も忘れずに。みほらしいわ。でも、そのみほがそう言うならそうなんでしょうね。

 

 何よりも、エリカも小梅もまほさんが引退前に直々に隊長と副隊長に任命したって言う事を考えれば、その実力が生半可な筈ないわね。」

 

 

「でも、だからこそ燃えて来るわよね!」

 

 

「レベルアップした銀髪と天パ……楽しめそうじゃねぇか♪」

 

 

 

 

確実に削り合いの潰し合いみたいな戦いになると思うんだけど、だからこそ楽しみなんだ私も。

 

削り合いの潰し合いは、両チームの実力に大きな差がなく伯仲しているからこそ起こる事だと思うからね?――それに、去年から加入した新戦力のツェスカちゃんも可成りの実力者だから、楽しみにするなって言うのが無理だよ。

 

 

梓ちゃんもそうだよね?

 

 

 

 

「はい!実を言うと、ツェスカと戦うのが楽しみで仕方ないんです!

 

 去年の合宿での模擬戦では私が勝ちましたけど、ツェスカだってアレから間違いなく強くなってる筈だから、改めて戦ってみたい……自惚れ かも知れませんけど、多分ツェスカもそう思ってくれてると思いますから。」

 

 

「其れは自惚れじゃなくて、ライバルの事を信じてる証拠だよ梓ちゃん。

 

 自分のライバルが自分と戦いたいって思ってくれてるって思う事は、同時に貴女のライバルも同じ事を思っている証だからね?――だから、決勝戦の舞台で、ツェスカちゃんと一騎打ちの機会が訪れたら、其れを優先して良いから。」

 

 

「――!ありがとうございます、隊長!!」

 

 

 

 

ライバルとの真剣勝負は、私も楽しみたいからね。

 

何よりも、梓ちゃんにとってライバルとの真剣勝負は、私が教える事以上の価値があるかも知れないもん。結果が勝ちであっても負けであってもね。

 

 

それじゃあ、決勝戦のフラッグ車が決まった所で今日は解散。

 

明日の練習はお休みにするので、各自確り休んで、決勝戦に向けて英気を養って下さい!……それで良いよねナオミさん、先生?

 

 

 

 

「そうね、其れが一番だわ。

 

 試合の前は確りと休んで、試合当日に最高のパフォーマンスが出来る体にしておかないとよ。」

 

 

「OKよみほちゃん。ナオミちゃんもこう言ってる事だし、明日の練習はお休みにしちゃいましょう。

 

 どんな結果になっても、明後日の決勝が今大会最後の試合になるから、悔いの残らない様に全力出し切って戦っちゃいましょう!!」

 

 

「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

ふふ、相変わらず皆ノリが良いなぁ♪

 

 

さてエリカさん、私の方は試合に出す戦車と選手を決めたよ?決勝戦、一体エリカさん率いる黒森峰がどんな布陣で来るのか、楽しみにしてるからね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

次の決勝戦、オーダーはこんな感じで行こうかと思ってるんだけど、貴女は如何思う小梅?意見が有れば遠慮なく言ってくれて構わないわ。

 

此れが、私的には最もベターなオーダーだと思うんだけど……

 

 

 

 

「確かに悪くないと思います。

 

 隊を構成してる戦車は3種類ですが、其れが却って黒森峰が伝統としている悪しきドクトリンを崩す形になっています――此の戦車オーダーなら、みほさんも驚くかもしれませんね?」

 

 

「驚かす事が出来たら僥倖よ小梅。」

 

 

まほさんから聞いた話だけど、みほは左腕を喪失する程の大事故に遭ったせいで、私達が普通に持ち合わせてる『恐怖』と『驚愕』の感情が極端に麻痺してるらしいのよ。

 

だから、大概の事には驚かないし、恐怖も覚えない――そんな相手を驚かす事が出来たら、凄い事だって思わない小梅?

 

 

 

 

「其れはそうですけど、驚かすだけじゃ勝てませんよね?」

 

 

「確かに其の通りね。

 

 悔しいけど、今の私とみほの間にはハッキリとした実力差がある――其れは、貴女と力を合わせても埋めるのは簡単じゃないわ小梅。」

 

 

だけど、ほんの1秒でも虚を突く事が出来れば、其処から好機が生まれるかも知れないでしょ?

 

大凡黒森峰の伝統から逸脱してるし、王者らしからぬ戦いだって言うのは自覚してる――だけど、伝統を重んじて王者の戦いをしてたら、どうやったって、みほに勝つ事は出来ない!

 

私は、みほに勝ちたい――みほに勝って黒森峰を王者に返り咲かせたいのよ!

 

だから、その為には私はどんな策だって考えるわ――其れが、例え『机上の空論』だって馬鹿にされてもね!!

 

 

 

 

「……分かりました。エリカさんの覚悟と思い、この赤星小梅、確かに受け取りました!!

 

 なら、思い付く手を全て使って行きましょう!寧ろ、其れ位しないとみほさんが率いる明光大に勝つ事なんて出来ないと思いますから!!」

 

 

 

 

小梅……ありがとう。貴女が副隊長で良かったわ。

 

それにしても、何だって黒森峰はこんな大火力で押せ押せのドクトリンを伝統にしてる訳?

 

西住流の影響を色濃く受けてるのと、ドイツの重戦車は軒並み強力だからって言われたら其れまでだけど、黒森峰の歴代隊長全部が、蹂躙戦術を得意としてた訳じゃないと思うんだけど……

 

 

 

 

「保有する重戦車が強力で、細かい事を考えなくても勝ててしまっていたからかもしれませんね。

 

 圧倒的な火力を持ってして、ローラー作戦よろしく相手部隊を磨り潰して行けば、先に疲弊するのは相手の方ですから……だから、この様なドクトリンが伝統となってるのかも知れません。」

 

 

「だとしたらアホくさいわね。

 

 相手がソコソコの相手なら、一流半の隊長でも其れで勝てるかもしれないけど、相手がみほみたいな選手だったら其れは通じない――と言うか、あのまほさんですら去年は安斎さんに負けちゃった訳だしね。」

 

 

まぁ、アレは蹂躙戦術が通用しなかったと言うよりも、安斎さんがまほさんの性格を巧く利用した上での事だったけれど。

 

其れでも此れを伝統として掲げておきながら、今年の私のやり方に文句が付かないのは、この伝統が悪しきものだと気付いたからなのか、それとも、私のやり方で今の所勝っているから何も言わないのか……何にしても、決勝戦まで余計な口出しが無かったのは有り難いわね。

 

 

ん~~~……結構時間経ってるわね。

 

お疲れ様小梅。何時も試合前は付き合って貰って悪いわね?

 

 

 

 

「副隊長ですから。

 

 ところでエリカさん、少し早いですけどこの後一緒に晩御飯食べに行きませんか?最近見つけた、美味しいお店が有るんですよ。」

 

 

「いいわね?小梅が美味しいって言うのなら期待が持てるわ。」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

で、小梅に連れて来られてのは、ちょっと路地を入った所にある、煉瓦造りの味のある店。

 

小梅の話によると、本格的なドイツ料理が食べられる店らしくて、更に店長の拘りで店内の椅子やテーブルはドイツ製なだけじゃなく、調度品なんかもドイツのアンティークを使ってるみたい。……ドンだけ拘ってんのよマッタク。

 

でも、店内の雰囲気は確かに悪くないわ。照明も落ち着いた色だし、BGMとして流れてるバラード系の音楽も落ち着いていて良いわ。

 

 

 

 

「でしょう?エリカさんなら気に入ってくれると思ったんです。」

 

 

「えぇ、気に入ったわ店の雰囲気はね。

 

 だけど問題は料理の味……貴女のお勧めを注文して貰いましょうか小梅?」

 

 

「勿論その心算です♪」

 

 

 

 

で、小梅が頼んだのはヴィーナー・シュニッツェル(ウィーン風子牛のカツレツ)。

 

日本でドイツ料理って言うと、ソーセージかアイスバインが筆頭に上がる中で、この料理がお勧めとなると、この店のレベルは決して低くないのは確実ね。

 

 

オーダーしてから待つ事10分弱、出てきたわ出来立て熱々のシュニッツェルが!

 

香ばしく焼かれたジャガイモが添えられて、何とも食欲をそそるじゃない!……それじゃあ、頂きます!……こ、これは!!

 

 

 

 

「如何ですかエリカさん?」

 

 

「此れはもう、何て言うか、美味しい以外の感想が言えないじゃないの!

 

 人は本当に美味しい物を食べると、余計な事が言えなくなるって言うけど、本当ね此れは!細かい感想なんてどうでも良い!美味しい!」

 

 

何此れ、今まで食べたシュニッツェルの中で一番美味しいんですけど!やばい、本気で舌がとろけてほっぺが落ちそうだわ。

 

こう言っちゃなんだけど、此れなら何枚でも行けそうだわ。マジで旨いです此れ!!

 

 

 

 

「気に入ってもらえて良かったです♪

 

 この味のシュニッツェルに、ライ麦パンとカルトッフェル・スッペ(ドイツ風ジャガイモのスープ)が付いてお値段980円なんですから、物凄く安いですよね。」

 

 

 

 

其れは確かにそうかもね。

 

それで、なんでこの店に私を連れて来ようと思ったの小梅?ただ、お勧めの店を紹介したかっただけって事でもないんでしょう?

 

 

 

 

「分かります?

 

 まぁアレです、よく有るゲン担ぎですよ。シュニッツェルはドイツのカツレツ、つまりカツ。決勝前にカツを食べて試合に勝つってやつです♪」

 

 

「成程、納得したわ。」

 

 

なら、今度の決勝戦は絶対に勝たないとね?

 

こんなに美味しいシュニッツェル――カツを食べて勝つ事が出来なかったら格好が付かないし、この店を教えてくれた貴女に申し訳が立たないもの。

 

 

厳しい戦いになるのは確実だけど、勝つわよ小梅!!

 

 

 

 

「はい、勿論です!!」

 

 

 

 

西住流の次女であるみほが、西住流の影響を色濃く受けている黒森峰の決勝戦の相手として立ち塞がると言うのは、少し皮肉かも知れないけど、私にとっては有り難いわ。

 

もしもみほが黒森峰に来てたら、試合で戦う機会はなかったでしょうからね。――貴女との最高の頂上決戦、楽しみにしてるわみほ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

「さて、いよいよ明後日が決勝戦ですが、調子は如何かしら?」

 

 

「上々っすよしほさん!

 

 アタシ等は絶対に負けねぇっすから!黒森峰が相手だって勝ってやるっすよ!!てか、アタシ等の目標は優勝只一つ!寧ろ優勝一択!」

 

 

「其れは頼もしいわね。」

 

 

 

 

青子さん……まぁ、実際その心算だから否定はしないけどね。

 

 

只今隊長チーム全員+お母さんとお父さんで晩御飯の真最中。

 

本当なら連中後に何時もの様に放課後を楽しんでから帰る心算だったんだけど、お母さんから『今日は貴女のチームメイトを連れて来なさい』って言う電話を貰った事で、こんな事態に……ま、合宿で面識があるから緊張とかはないから良いんだけどね。

 

 

と言うか、久しぶりだねお父さん?仕事が忙しくて、中々家に居ないからね。

 

 

 

 

「僕としてはもっと家に居たいんだけど、整備士として彼方此方飛び回ってると中々そうも行かないんだよね……特に高校の戦車道チームから、戦車の整備を頼まれると学園艦を転々とする事になるから、こっちに戻って来るのは1シーズンに1回なんて事になっちゃうからね。」

 

 

「でも裏を返すと、其れだけ忙しいって事は、お父さんの整備の腕が確かだって言う事だから、私としては其れが誇らしいかな?」

 

 

だけど、仕事も良いけど可能な限り家には帰ってきてね?お父さんが居ないと、お母さんも寂しいみたいだし♪

 

 

 

 

「え?そうだったの?……ゴメンねしほちゃん、今の仕事が一段落したら少し暇になるから、その間は家に居るから。」

 

 

「つ、常夫さん!?と言うか、何を言ってるのよみほ!!」

 

 

 

 

何って、事実をありのままに述べただけだよお母さん。

 

もっと言うなら、お母さんは普段西住流の師範として色々気を張ってるから、お父さんが居る時くらい思いっきり甘えちゃっても罰は当たらないんじゃないかと思うのです。

 

 

 

 

「~~……その心遣いには、少し感謝しておきますみほ。」

 

 

「僕も感謝するよみほ。おかげで、可愛いしほちゃんが見れたからね♪」

 

 

「常夫さん!!」

 

 

 

 

「オカシイ、カツカレーが甘いぜナオミ。」

 

 

「安心しなさい青子、私もそう感じるわ。」

 

 

「みほさんのご両親は、今もラブラブなのね。」

 

 

 

 

まぁ、お母さんとお父さんは万年新婚状態だから、2人が一緒に居ると大体こんな感じだよ……お姉ちゃんなんて『お父様とお母さまが年中一緒に居るなら西住家に砂糖は必要ない』って言った位だからね。

 

両親仲良きことは良き事だから文句は無いけど。

 

 

所で菊代さん、今日のメニューは何でカツカレー?

 

私の友達が来るって事なら、もっと凝ったメニューになるのかと思ってたんですけど。

 

 

 

 

「決勝前なので、敵に勝つのゲン担ぎですよお嬢様。

 

 黒森峰は西住流がバックに居る学校ではありますが、それ以上に私が望むのはお嬢様達の勝利です……決勝戦での活躍を期待していますお嬢様。」

 

 

 

 

そう言う事か……なら、勝たないとね♪

 

エリカさんと小梅さんが相手だから簡単に勝つ事は出来ないだろうけど、私は絶対負けませんよ菊代さん!――何よりも、私には此れだけの仲間が居るんだから負けるヴィジョンは想像すら出来ませんから!!

 

 

 

 

「おうよ!誰が相手でもぜってー負けねー!!」

 

 

「やる前から負けるのを考えるのは、勝つ事を諦めるのと同じだからね。」

 

 

「必ず優勝の栄光をもぎ取ってあげるわ!!」

 

 

 

「ふふ、頼もしいわね?

 

 ならば、これ以上言う事はありません――みほ、貴女の戦車道で優勝をもぎ取りなさい。黒森峰が西住流の援助を受けているなんて言う事を考えずにね。」

 

 

 

 

うん、勿論だよ。

 

如何に西住流の援助を受けてる黒森峰が相手だからって、戦うとなったらそんな事はマッタク関係ないからね。――だから、決勝戦でも私は私の戦車道を貫く……と言うか、其れが出来なきゃ何も出来ないからね。

 

 

私は私の戦車道で勝つ!――そして優勝するから!!

 

 

 

 

「その意気や良し!頑張って来なさい。」

 

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

 

 

なはは……青子さん達も私と一緒に頭下げちゃったか――だけど、此れもチームワークが抜群の証と言えばそうだから、悪い事じゃない。

 

さぁ、最高の決勝戦を戦おうかエリカさん、小梅さん!!絶対に優勝は譲らないかからね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

 

こうしてこうして、それで、このボタンを押してメール送信完了と……普段はあまりやらないから、少し疲れたが、此れ位はしても良い筈だ。

 

 

 

 

「まほ?貴女がスマホと弄ってるのは珍しいわ……何処かに連絡してたの?」

 

 

「其れで正解だ凛。

 

 みほとエリカと小梅に激励のメールを送ったんだよ。」

 

 

試合其の物を見る事は出来ないが、激励のメール位は送っても罰は当たらない筈だ――何よりも、此の決勝戦は、中学戦車道史上に残る戦いになるのは間違いないだろうからな。

 

 

それこそどちらが勝ってもおかしくない試合になるだろう――だから頑張れみほ、エリカ、小梅。

 

 

どんな結果になっても悔いがない様に戦え――其れが、一番大切な事だからね。

 

 

尤もそんな事は分かり切ってるだろうから、今更私が言う事でもないかも知れないがな――一体どんな決勝戦になるのか、ワクワクして来たよ――見せて貰うぞ、お前達の戦車道と言う物をな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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