ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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合宿だと思った?残念、打ち上げだよ♪Byみほ      となると、此れってタイトル詐欺?Byエリカ     詐欺とは違うと思いますけど…By小梅


Panzer63『夏休みは明黒の合同合宿です』

Side:みほ

 

 

 

全国大会も終わって、あっという間に時が過ぎて、気が付けば夏休み目前だね。

 

全国大会は、エリカさん率いる黒森峰と、両チーム全滅の末のダブル優勝って言う結果になったんだけど、其れが逆に明光大の新聞部にとっては、良いネタだったらしくて、決勝戦後の月曜日には、掲示板にでかでかと『明光大、壮絶な痛み分けの末に、同点優勝にて二連覇達成』って言う見出しの新聞が張られてただけじゃなくて、校門前では新聞部の人達が『号外』を配ってたからね。

 

 

お陰で、7月は、色々と濃い期間だったよ――まさか、隊長チームと副隊長チーム全員が新聞部のインタビューを受ける事になるとは思わなかったしね。

 

まぁ、インタビューに応じて、其れが新聞に掲載されたお陰で周囲の反応はある程度軽減したけど、其れでも1学期中は、私をはじめとした隊長チームに対しての視線は結構多かったよ。

 

 

後で聞いた話だけど、梓ちゃん率いる副隊長チームも其れなりの人気を獲得していて、特に同学年である2年生からの賞賛は凄いみたい。

 

 

 

 

と、其れは其れとして、学生の身としては、夏休み前の何とも有り難くないイベントである、期末考査なんだけど、此れは例によって例の如く、青子さんがテスト範囲を全て丸暗記するって言う裏技を使って、今回も500点満点の栄冠に輝きました!

 

 

そして、其れだけではなく、総合2位が私で、つぼみさんとナオミさんが同率の3位――トップ5を、戦車道の隊長チームが取ったよ!!

 

 

此れなら、安心して夏休みを迎える事が出来そうだね!!

 

 

 

 

「1人だけ補習って言うのは見てて哀れになるからね……青子がトップ通過って言うのは、最早突っ込んだら負けなのでしょうね絶対に。」

 

 

「聞いちゃいけない事なのよきっと……!!」

 

 

 

 

あはは……あんまり聞かないでいてくれると助かります。

 

ともあれ、1学期のイベントは全て終わりました――そして、此れから待っているのは、とっても楽しい夏の一大イベント『夏休み』!!

 

今年も合宿が設定されているから、濃い夏休みになるのは決定しているし、何よりも、黒森峰との合同合宿はとっても楽しい物だからね♪

 

 

今年の夏休みも、きっと楽しい物になるのは間違いないよ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer63

 

『夏休みは明黒の合同合宿です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言う訳で夏休みに入って、そして直ぐに熊本に有る西住の家で、明光大と黒森峰の合同合宿は行われたんだけど、今年の合宿は様々な事を学ぶ事が出来る場だったよ。

 

私が黒森峰を、エリカさんが明光大を率いて戦った『隊長交換戦』では、お母さんも感嘆する位の攻防が展開されてたって事だったしね。

 

 

そして、今年の1年生vs2・3年チームの戦いは、此れまで以上の戦いだったかな。

 

去年に引き続き、2・3年連合の隊長は、私が勤めたんだけど、2・3年チームには、私の他にエリカさんと小梅さん、梓ちゃんとツェスカちゃんが居るから、負ける事はなかったけど、1年生チームも中々どうして頑張ってくれたからね。

 

3輌がかりで来られたとは言え、梓ちゃんとツェスカちゃんが撃破されて、直下さんには最早お約束になってる履帯切りを喰らわせたみたいだったし。

 

最終的には、エリカさんと小梅さんのティーガーⅠが、1年生チームのフラッグ車の護衛を吹き飛ばした上で、私のパンターがフラッグ車を撃破して勝ったけれどね。

 

だけど、このチームは私にとって最高のチームだったかな?

 

副隊長として任命した、エリカさんと小梅さんはバッチリ私をサポートしてくれたし、1つずつ小隊を任せた梓ちゃんとツェスカちゃんも、確りと自分の役目を果たしてくれた訳だからね。

 

 

この合宿で、両校の地力が底上げされたのは間違いないよ。……戦車道全体の底上げを考えると、明光大と黒森峰だけじゃなくて、もっと色んな学校が、合同合宿とかやっても良いのかも知れないね?

 

今度、お母さんに提案してみようかな?お母さんなら戦車道の為に了承してくれるだろうし、若しかしたら千代おばさんも協力してくれるかもだからね♪

 

 

 

そして、その合宿も遂に最終日。

 

その最終日に、私達は何処に来てるかと言うと……

 

 

 

 

「「「「「「「「「「海だーーーー!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

絶賛、熊本の海水浴場!しかも、西住のプライベートビーチ!!

 

……此れだけの土地をプライベートビーチに出来るとか、今更ながら、西住流の力は果たしてドレだけなのかな?……そして私とお姉ちゃんが子供の頃に海水浴に来てたのって此処だったんだね……

 

 

ま、そんな事よりも今は此の海水浴を目一杯楽しまないとね!!

 

 

さて、海となれば皆水着な訳だけど、隊長チームは結構華があるね?

 

ナオミさんはシンプルな黒のビキニで、つぼみさんはパレオ付きの真紅のセパレートで、青子さんは青と白のボーダー模様のタンキニと、夫々とっても良く似合う水着だよ。

 

 

 

 

「隊長、如何ですかこの水着?」

 

 

「梓ちゃん?……良いんじゃないかな?良く似合ってるよ♪」

 

 

で、梓ちゃんは清純なパレオ付きの白のビキニ。セクシーさよりも、可愛らしさの方が押し出されてるのが梓ちゃんらしいね♪――エリカさんに水着を見せてるツェスカちゃんは、背中の大きく開いたスポーツタイプを着用してるみたいだね。

 

そのエリカさんは、肩紐がないビキニトップと、鋭くV字に切れ上がったアンダーって言うセクシーさ大爆発の水着!言うなればこれは『童貞を殺す水着』って言う所かな?

 

 

 

 

「貴女ね……まぁ、可成り気合い入れたのは間違いないけど、貴女だって可成りなモノだと思うわよみほ?

 

 トップがネックタイプなのは片腕だから通常のビキニトップじゃ水着がずれるからなんでしょうけど、胸元はハート型に抜けてるし、アンダーだって、私に負けず劣らずのVカットじゃないのよ!

 

 お世辞抜きにして、雑誌のグラビア飾れるレベルよ此れは!!」

 

 

「そう言う話があったら、エリカさんも一緒が良いなぁ♪」

 

 

「そうね、もしもそんな事があったら考えてあげるわ……って、違うでしょ!!てか、貴女、人を乗せるのが恐ろしい位に巧いわね!?」

 

 

「隊長ですから♪」

 

 

「……其れで納得しちゃった私に吃驚だわ。」

 

 

 

 

なはははは……だけどエリカさん、私もエリカさんも、小梅さんに比べたら相当に大人しいと思うんだけどなぁ?

 

小梅さんなんて、ビキニなのは兎も角として、トップだけじゃなくてアンダーも紐ですよ!?より分かり易く言うなら紐パンですよ!?

 

其れだけでも破壊力は青眼の究極竜レベルなのに、更に色は此れでも可って言う位に色気を醸し出す暗めの銀色――此れは、絶対に中学生がチョイスする水着じゃないと思います。

 

 

 

 

「……大人しそうに見えて、小梅は時々ぶっ飛んだ事してくれるのよ――この水着も、多分そう言う事なんでしょうね。

 

 だけど、それ以上に凄いのは、貴女のお母様にして西住流師範と、その側近である菊代さんだと思うんだけど、その辺は如何よ、みほ?」

 

 

「出来ればノーコメントで。」

 

 

小梅さんも相当に刺激的な装いだったけど、お母さんと菊代さんはその上を行くからね。

 

お母さんは際どい黒のビキニだし、菊代さんは胸にはサラシを巻いて、下は褌(六尺や越中ではなく祭りとかで使われてる紐パン的なやつ)って色々水着を勘違いしてるんじゃないかって思うレベルだよ!――何よりも問題なのは、其れが滅茶苦茶似合ってるって事だよね!?

 

って言うか、2人共歳考えて欲しいんだけど……

 

 

 

 

「……此れが、西住流?」

 

 

「其処は否定したいよエリカさん……って言うか、此れが西住流なら、私は其れを全力で否定したいから。」

 

 

「まぁ、そうよね。

 

 取り敢えず、師範や小梅の水着姿は置いておくとして、ビーチバレーでも如何かしらみほ?貴女なら、右腕一本でも充分にプレイできるんじゃないかと思うんだけど……」

 

 

 

 

其れはまぁ、多分大丈夫だと思うよエリカさん?

 

自慢じゃないけど、世間的には身体障害者の私だけど、両腕を使わなくても良い競技に限れば、スポーツテストでも全国トップ5に名を連ねてるし、幅跳びと50m走と、ソフトボール投げと、シャトルランでは全国トップですので。

 

勿論、ビーチバレーでも、充分に動ける自信はあるよ?

 

 

 

 

「なら安心したわ……だから単刀直入に言うわみほ、私と組みなさい。

 

 私と貴女が組めば、誰が相手であろうとも負ける気はしないわ――特に、小梅のチームと、澤とツェスカが組んだチームには負けたくない。

 

 黒森峰の隊長である私と、明光大の隊長である貴女が組めば、最強だって言う事を示してあげようじゃない!!」

 

 

「成程、そう言う事なら拒否する理由がないよエリカさん――隻腕の軍神と、孤高の銀狼が力を合わせたらドレだけなのかって言う事を、戦車道以外でも、教えてあげようか……!!」

 

 

 

――ギン!!!

 

 

 

「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」

 

 

「「私達に勝てると思ってるなら、かかって来な。」」

 

 

 

ふふ、楽しいビーチバレー大会の開幕だね♪

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

そのビーチバレー大会の決勝戦は、私とエリカさんのコンビvs梓ちゃんとツェスカちゃんのコンビって言う、明光大と黒森峰の隊長vs明光大副隊長&黒森峰の次期隊長の図式になったのは、偶然とはいえ運命的なモノを感じるかな。

 

 

 

――バン!!

 

 

 

「ナイスアタック、ツェスカ!」

 

 

「アズサのトスが良かったからよ。」

 

 

 

 

で、コンビとしても中々いいかんじかな。

 

梓ちゃんがトスを上げて、ツェスカちゃんが的確にスパイクを打ち込むって言うスタイルは悪くないと思う。今ので、3連続ポイントだからねぇ?

 

此れで、5対6……逆転されちゃったね。

 

 

梓ちゃんの的確なトスと、ツェスカちゃんの鋭いスパイクは見事だけど、3連続ポイントって言うのはちょっと良くないよねエリカさん?

 

隊長としてやられっぱなしなのも如何かと思うから……

 

 

 

 

「そうね、反撃するわよみほ。

 

 次のサーブを拾ったら、其処からはずっと私達のターンよ!!」

 

 

「連続5ポイントで、一気に勝負を決めに行こうか!!」

 

 

「勿論その心算よみほ!――軍神と狂犬が本気を出したらどうなるか、見せてやるわ!!」

 

 

 

――た~たたた~たたた~~~~~~~(クリティウスの牙の前奏)

 

 

 

「……お母さん、ずっと私達のターンって言ったからって『クリティウスの牙』流さなくても良いからね?

 

 って言うか、何処から持って来たの、その無駄に本格的なオーディオセット……それ以前に、さっきまで何処にもそんな物なかったよね?」

 

 

「ビーチに音楽があった方が良いかなぁと思って、貴女達が熱戦を繰り広げてる間に、常夫さんに持って来て貰ったのよ。」

 

 

 

 

お父さんも何してるの!?

 

って言うか、本気でBGMはいらないから。梓ちゃんもツェスカちゃんも、下劣な蟲野郎じゃないから、ライフが尽きても滅多斬りにするなんて言う事はしないから。

 

そもそも、此れビーチバレーだからね!?

 

 

 

 

「あら、残念。」

 

 

 

 

……時々、お母さんの考えが分からなくなるんだけど、私にも確実に同じ血が流れてるんだよね……あ、半分はお父さんの血だけど。

 

兎に角、此処から一気に行くよエリカさん!!

 

 

 

 

「了解……来たわね!よっと!!」

 

 

「そぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

――バスン!!

 

 

 

梓ちゃんのサーブを、エリカさんが拾って、ボールを浮かせたところで私がスパイク!

 

自分で言うのもなんだけど、砂の上とは思えない程のジャンプから放たれたスパイクには、梓ちゃんもツェスカちゃんも反応する事が出来なかったみたいだね。

 

 

 

 

「今のは……!!」

 

 

「隊長、自分の身長と同じくらい飛んでた……!!!」

 

 

 

 

ふふふ、踏ん張りが利かない砂地でも、足腰が強ければ此れ位は出来るんだよ?まぁ、こんな事が出来るのも西住流フィジカルトレーニングのお陰だけどね。

 

 

 

 

で、其処からはエリカさんが宣言した通り、ずっと私達のターン。

 

此方のサーブを梓ちゃんが拾ってツェスカちゃんにボールを上げるも、ツェスカちゃんのスパイクは必ず私かエリカさんの何方かが拾って、そして、私の高角度スパイクか、エリカさんの超高速スパイクで一気に4連続ポイントで9対6になって、私達のマッチポイント!!

 

 

 

 

「一気に4連続ポイントでマッチポイントって……なんで、私のスパイクが全く決まらないのよ……」

 

 

「確実に決まる場所に打ってる筈なのに……隊長と逸見さんは、身体が自然に動く超反応でも会得してるのかな……」

 

 

 

 

流石にそんな物は会得してないよ。

 

 

まぁ、ツェスカちゃんのスパイクに反応で来てるのは、態と打ち込みやすい場所を作って其処に打たせてるからだよ。言わないけどね。

 

打ち込まれる場所が分かってるなら対処は容易だし、其処からの反撃だってやり易い――ビーチバレーも戦車道も、大事なのは勝つ為の策を如何考えるかだよ。

 

 

さて、今度のサーブは私の番だから、此れで決める!!

 

ボールを放り投げると同時に助走をつけてジャンプして……喰らえ、必殺『西住流88mm砲撃アハトアハトカノンサーブ』!!

 

 

 

――ズドォォォォォォォォォォォン!!

 

 

 

「さ、サービスエース!

 

 其れは普通に凄いし、此れで私達の勝ちなんだけど、明らかにボールが砂地にぶつかったとは思えない音がしたわよ!?てか、軽くクレーター出来てんじゃないのよ!?」

 

 

「……88mmサーブだからね。」

 

 

「西住流……恐るべし。」

 

 

 

 

西住流フィジカルトレーニングを日常的に行ってると、女性らしい曲線を失う事無く、凄まじい身体能力を得る事が出来るので♪……エクササイズDVDとか出したら売れるかも――ううん、アレは何も知らない素人がやったら確実にお陀仏になるから止めた方が良いね。

 

 

 

 

「其れが良いわね。

 

 でも、貴女のサービスエースのお陰で私達の勝ちよみほ!」

 

 

「はい、私達の勝ちですエリカさん!!」

 

 

 

「逸見隊長と妹隊長が力を合わせて本気を出すと、戦車道以外でも此処まで凄いとは……流石としか言いようがないわね。」

 

 

「3連続ポイントで逆転したのに、其処から一気に5連続ポイントで……はぁ、完敗です。」

 

 

 

 

ふふ、梓ちゃんもツェスカちゃんも頑張ったけど、今回は私達の勝ちだよ。

 

だけど、とっても楽しかったから、機会があればまたやろうね?――尤も、その時も私達が勝たせて貰うけれどね♪

 

 

 

 

「今度は負けませんよ隊長、逸見さん!!」

 

 

「今度は私と梓が勝ちますから!!」

 

 

「ふ、精々やってみなさい――楽しみにしてるわ。」

 

 

 

 

リベンジに闘志を燃やす梓ちゃんとツェスカちゃん、そして其れを煽るエリカさん……何だろう、エリカさんてこう言う場面でのヒールな役割が、とっても似合ってるような気がする。

 

 

何にしても、ビーチバレー大会は、私とエリカさんのタッグが優勝だね。

 

さて、もっともっと真夏の海を楽しむとしようか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

ビーチバレー大会は、私とみほのタッグが優勝して、其れからは夫々が海を楽しんでるんだけど……小梅、貴女が作り上げた其れは何?

 

 

 

 

「へ?見て分かりませんかエリカさん?

 

 赤星小梅サンドアートナンバー01『1/1ティーガーⅡ』です。装甲や主砲は元より、キューポラや機銃に、転輪に履帯まで、細部にも徹底的に拘ってみました!どうですかエリカさん!」

 

 

「どうって、普通に凄いと思うわ。其れこそ、サンドアートフェスティバルに出したら一等間違いなしの大作だと思うわ。」

 

 

「ありがとうございます!

 

 そして此れがセットとなる、1/1のみほさんと、同じく1/1のエリカさんのサンドアートです!」

 

 

 

 

此れはまた、無駄に似てるわねぇ……ご丁寧に、パンツァージャケットに刺繍されてる校章まで再現してあるし。小梅ってば、機甲科に入らないで、普通科で美術部に所属してても可成りの賞を取れたんじゃないかしら?

 

それで、作って満足した?

 

満足したなら、此れから私達とシュノーケリングでも如何?

 

 

 

 

「シュノーケリングですか?

 

 良いですね。因みに御一緒するメンバーは?」

 

 

「私とツェスカ、其れから明光大の隊長チームと澤ね。」

 

 

「メンバーも中々豪華ですね♪」

 

 

 

 

まぁ、そうかも知れないわね?今年の大会で優勝した学校の隊長と副隊長が揃ってる時点で、可成り豪華って言えるかもしれないわ――それこそ、間違いなく中学最強が揃ってる訳だしね。

 

此れだけの面子が一堂に会して、海を楽しむって言う事は滅多にないかも知れないから、今は其れを楽しむべきだわ。

 

 

 

 

「確かに其の通りですね。」

 

 

「其れじゃあ行くわよ!」

 

 

で、西住家の自家用クルーザーで、浜辺から30mくらいの場所まで来たら各自海に飛び込んでシュノーケリング開始!――此れは、思ったよりも水の透明度が高くて良く見えるわ。

 

珊瑚礁に集まる色取り取りの魚に、珊瑚に張り付くイソギンチャク、海底を歩くエビやカニ……幻想的な光景が広がってるわね……此れがシュノーケリングの醍醐味よね。

 

 

って、何かが沖の方からこっちに来てるわね?

 

大分大きいみたいだけどサメ?或はイルカかしら?……って、近付いて来るにつれてシルエットがはっきりして、此れは魚の形をしてない?

 

大きな体にヒレが付いてるのは大型の魚類を思わせるけど、長く伸びた首が其れを否定してる――此れは、まさか!!!

 

 

 

『グルルルルルルルルル……』

 

 

「「「「「「「!!!」」」」」」」

 

 

 

う、嘘でしょう!?此れは、首長竜!6500万年前に絶滅した筈の海の王者が、生きていたって言うの!?……目の前で起きた事であるにも関わらず、ちょっと信じられないわ。

 

 

「ぷはぁ!!みほ、さっきの見たわよね?私の見間違いじゃないわよね!?」

 

 

「確かに見たよエリカさん……沖の方に戻って行ったけど、此れはトンデモナイ物をみちゃったかも……小梅さんも見たよね?」

 

 

「はい、見ました!

 

 間違いなくトンでもないですよ――写真の一枚でもあれば、恐竜絶滅説が覆るかもしれませんし、世界の大型湖に生息してる謎の水棲UMAの正体解明にも一役買ってくれるかもしれませんよ。」

 

 

 

 

くっそー~~!水中でも使えるカメラが無かった事が恨めしいわ!世紀の大スクープを逃した訳だからね。

 

でも、若しかしたら其れが正解だったのかしら?彼等は、今は誰の目にも触れない様に広い海でひっそりと暮らしてるのだとしら、其れを壊す事もないでしょうからね。

 

 

まさか、海水浴で未知との遭遇をするとは思わなかったけど、此れは本当に貴重な体験としか言いようがなかったわね。

 

だけど、其れ以前に、絶滅した筈の古代生物が普通に泳いでる西住のプライベートビーチってどうなってんのかしら?――少なくとも、普通のビーチでない事は間違いないわ。

 

……深く考えるのは、止めた方が良さそうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:小梅

 

 

 

たっぷりとビーチで遊べば、その分お腹も減る訳なんですけど、合宿最終日の晩御飯は、西住流の演習場を使っての豪華バーベキュー!!

 

薩摩港で上がった新鮮な魚介に、地元の農家さんから分けて貰った美味しい野菜と、師範が取り寄せてくれた薩摩黒豚の極上バラ肉と、神戸牛の極上カルビが、豪華さを演出してくれてます!

 

 

其れだけでも凄いのに、何と澤さんが地元の茨城から、ローズポークのロース肉と、常陸牛のハラミやらホルモンやらを取り寄せてくれていたみたいで、豪華さは更に倍です!!

 

序に、黒森峰特製のソーセージも一緒に焼いてるので、正により取り見取りですよ。

 

 

其れだけなら、とっても楽しくて美味しいバーベキューなんですが……矢張り今年も起こってしまいましたか、恒例の此れが。

 

 

 

 

「えへへ~~~~♪」

 

 

「あ……今年もやっちまった~~~!間違えて、普通のビール持って来ちまったわ♪」

 

 

「3年連続って、貴女絶対確信犯でしょ青子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

青子さんが間違って持って来た普通のビールをみほさんが飲んで、良い感じに酔っぱらってますね?

 

そして、青子さんはエリカさんから、コブラツイスト→卍固め→シャイニングケンカキック→STFのコンボで絞め上げられてます……流れるような連続技、見事でしたエリカさん。

 

ですが、其れでみほさんは止まりませんよ?――と言うか、次のターゲットはエリカさんですから。

 

 

 

 

「へ?」

 

 

「まぁ、一昨年と同じだ。私達の為に犠牲になってくれエリカ……」

 

 

「ふざけんなぁ!!」

 

 

 

 

ですよね~~?でも、此れ決定事項なので諦めて下さいエリカさん。――何よりも、みほさんが確りと此方に来ていますので……取り敢えず、頑張って下さいねエリカさん。骨は拾ってあげますから。

 

 

 

 

「ふ、不吉な事言ってんじゃないわよ、他人事だと思って!!」

 

 

「実際他人事ですからね。」

 

 

「うっわ、スッゴクムカつく!

 

 私がみほに酔わされたその暁には、真っ先にアンタを襲ってこちら側に引き込んでやるわ――精々覚悟しておきなさいよ小梅。私もみほも絶対に逃がさないからね。」

 

 

 

 

あぁ、確かに其れは逃げ切れる気がしませんね。

 

 

そして、目の前でナオミさんに拘束されたエリカさんが、みほさんから口移しで強制的にビールを3回大量に飲まされて、エリカさんも良い具合に酔っぱらって、そして直下さんが落とされた辺りで、私の記憶は途絶えました――なぜなら、エリカさんが私を拘束して、そしてみほさんが私の口に、中身の入ったビール瓶を突き刺してくれたから。

 

 

こうなっては飲むしかないので、飲みほした訳ですが、アルコールがドレだけ恐ろしい物なのかと再確認しました。――去年もダウンさせられて、今年もダウンするとは思いませんでしたから。

 

 

 

翌日効いた話ですが、みほさんとエリカさんは酔った勢いで師範と菊代さんに飲み比べを挑んで、有ろう事か余裕がちだったみたいです。

 

みほさんもエリカさんも、最後は一升瓶をラッパ飲みしてたらしいですからね――何とも空恐ろしいものです。いくら薩摩女は酒が強いと言っても、酔っぱらった状態でアレだけ動けたみほさんとエリカさんは凄いと思います。

 

 

ともあれ、最終日にお約束とも言えるアルコールトラブルがあったモノの、合宿全体としては大成功だったんではないでしょうか?

 

西住師範が指導に当たってくれたおかげで、黒森峰も明光大も底力を上げる事が出来ましたから、後は私達の努力次第ですね。

 

 

今年の合宿も、実に中身の濃いモノになりましたね――ですが、とても楽しい合宿でしたし、学ぶものも多かったので、充実した時間でした。

 

今年も合宿に参加して、本当に良かったと思ってます――今年の夏の思い出も、暫定で合宿がトップになりそうです。

 

地力の底上げは勿論の事、最終日の海水浴とバーベキューは、忘れろと言われて忘れられるモノでもありませんから♪此れは、一生涯の思い出ですね♪

 

 

 

最高の合同合宿でした――今年も、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 


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