ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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中学校は、此れで終わりだねByみほ      次に会うのは、高校での試合だな?By青子     戦うとなったら手加減はしないわByナオミ    でも、私達の絆は切れないわよByつぼみ


Panzer70『中学卒業。最高の門出です!』

Side:みほ

 

 

 

梓ちゃんがセッティングしてくれた追い出し試合は、大会の決勝戦でエリカさんとの一騎打ちに匹敵する興奮を与えてくれたよ……梓ちゃんが其れだけ成長してくれた証でもあるから、あの試合は私としてはとっても満足してるよ。

 

 

そして、追い出し試合の前に行われた、中学最後の試験の結果が帰って来た訳なんだけど……如何だった、5教科合計の点数は?

 

言わずもがな、試験に関しては、青子さんが学年トップの500点満点を叩き出してるから、青子さんは除外するけどね。

 

 

因みに、私は5教科合計で、485点だったよ。

 

 

 

 

「5教科合計で480点!」

 

 

「合計で470点よみほさん。」

 

 

 

 

ナオミさんもつぼみさんも、ガッチリとトップファイブ入り……3年生の成績トップファイブの内4人が、戦車道部の部員であるって言うは鼻が高いかな?正に『文武両道』をやってる訳だからね♪

 

でも、そんなこんなで、中学最後のテストが終わり、残すイベントは卒業式のみ。

 

卒業生の代表として、答辞を述べる事になっちゃったけど、そこはまぁ、何とかできるだろうね……若しかしたら、今年は卒業生の答辞が、戦車道部の元隊長チーム全員で行われるかもしれないね。

 

 

中学最後の大イベントである卒業式……どうせなら、一生の思い出になる事をしたいからね♪

 

 

でも、いざ卒業ってなると、感慨深いものがあるかなぁ?……たった3年、されど3年、私達が、明光大付属中学校で過ごした日々は、とても充実してたからね……だからこそ、最後の卒業式では、立派にやらないとだよ。

 

 

私達、明光大付属中学校を卒業します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer70

 

『中学卒業。最高の門出です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてやって来ました卒業式当日!

 

明光大の卒業式は、在校生は明光大の制服で参加するんだけど、卒業生は、何故か進学先の制服で出る事になってるんだよね……其れだモンだから、元隊長チームは、私が黒森峰でナオミさんはサンダース、青子さんはアンツィオで、つぼみさんは聖グロって言う、中々のカオス状態になってるよね……まぁ、戦車道部に所属してた3年生は、例外なく略全員が高校戦車道の有名チームからのスカウトを受けて、結果として高校戦車道に名を連ねる学校に進学した事で、色んな制服が入り混じってるんだけどさ。

 

 

まぁ、これも明光大の『個性』ってモノなんだろうね。

 

 

 

って、青子さん寝ちゃダメだよ!!せめて、トップバッターである3-1全員の名前が呼ばれて、代表1名が卒業証書を受け取るまで眠っちゃダメだよ、絶対に!!

 

って言うか、何で立ったまま寝ようとするかなぁ!?

 

 

 

 

「そうは言っても結構ギリギリなんだぜ?……ダメだ、可成り眠い……あくびしねぇのを褒めて貰いたいくらいだぜ。」

 

 

「其れを言っちゃ元も子もないと言うか、今更何言ってんだレベルだけど……3-1の代表で卒業証書を受け取るのはナオミさんなんだよ?」

 

 

「そういやそうだったな……OK、一気に目が覚めた。

 

 ともに3年間戦って来た戦友の、中学最後の晴れ舞台は、ちゃんと拝んでおかねぇとな!」

 

 

 

 

去年の卒業式の時に話してた事だけど、生徒会に打診して、そして会議で検討した末の全校生徒投票を行い、卒業式の卒業証書授与は今年から、名前だけ呼んで立ってもらって、代表1名が受け取る形に変更されたんだよね。

 

で、3-1の代表は、私が強烈に推されてたんだけど、今回ばかりは辞退して次点だったナオミさんにお願いしたよ。

 

一人一人受け取るなら兎も角、代表1名が受け取る時に、片手で受け取るってのはどうかと思うし、片手で受け取ると如何しても卒業証書がしなって曲がっちゃうから、見た目的にも良くないしね。

 

 

最初はクラスの大半が不満そうだったけど、ナオミさんが『みほが直々に推薦してくれた私じゃ不満かしら?』って言ったら、皆アッサリと引き下がったよ……流石はナオミさん、ネームバリューの使い方って言うモノを良く分かってたよ。

 

 

 

 

『涌井一馬。』

 

 

「はい!」

 

 

『以上3年1組、35名。代表、吉良ナオミ。』

 

 

「はい。」

 

 

 

 

っと、遂に1組の名前が全員呼ばれて、代表であるナオミさんが壇上に。

 

ボーイッシュな外見だけど、ナオミさんは背も高いモデル体型だから、こう言う舞台はとっても良く似合うよね……女子から貰ったラブレターの数は、私よりも上なだけあるかな?本人は、嬉しくないだろうけどね♪

 

 

 

 

「『卒業証書。吉良ナオミ、右の者、明光大付属中学校の中学校全工程を終了した事を、此処に証明する。

 

 平成23年、3月5日』……高校に行っても、戦車道を頑張ってね?」

 

 

「……はい。」

 

 

 

 

なんて事を考えてる間に、校長先生から卒業証書が授与されて、其の後で何か言葉を交わした上で握手――此れは、結構卒業式的に良い演出になったんじゃないかな?

 

残るクラスの代表にも、校長先生が何かを言って、代表が其れに返して握手って言う流れが出来た訳だからね。

 

 

取り敢えず、大役お疲れ様だったねナオミさん?

 

 

 

 

「ふ~~……トチらないかどうか緊張したわ~~……ぶっちゃけ、戦車道の試合の時よりも緊張したわ。

 

 クラス代表の1人で何かする事に比べたら、フラッグ車同士の一騎打ちで、行間射撃をキッチリ決めろって言われる方が緊張がないわね。」

 

 

「クラス代表は重責だものねぇ……」

 

 

「でもよ、ばっちり決まってたぜナオミ!」

 

 

「うん、凄く絵になってたよナオミさん!!」

 

 

「ま、其れなら良かったわ……アレが写真に収められてたらと思うと、少し恥ずかしい気もするけどね。」

 

 

 

 

あはは……まぁ、其れは仕方ないって割り切るしかないよ。

 

親御さんが、自分の娘の晴れ姿を写真に残そうとするのは至極当たり前の事だし、明光大の新聞部が、卒業式って言うイベントは見逃さないだろうし、卒業証書授与の代表者が戦車道部の元部長となれば注目するのは当然だからね。

 

 

 

 

「ウチの新聞部、力入れる所間違ってないか?」

 

 

「其れは多分、言っちゃいけないお約束だよナオミさん♪」

 

 

「……其れを言われたら何も言えないけど、今一釈然としないわね……もやもやが残るわ。」

 

 

「じゃあ、そのモヤモヤを吹き飛ばす為に、卒業式が終わったら、ティーガーⅠの88mm砲をぶっ放してすっきりしようか?」

 

 

「いいわね……って、やるか!それだけの為にティーガーⅠを動かす事が出来る筈ないでしょう?

 

 大体にして、去年私達が色々やったから、梓だって花道で何かを考えてると思うから、ティーガーⅠはその為に待機させられてて、私達が動かす事なんて出来ないと思うわよ?」

 

 

 

 

あ~~、其れは確かにそうだね?

 

梓ちゃんてば、昨日の夜にメールで『明日の卒業式は楽しみにしていてください』って言ってたからね……間違いなく、最後の最後で梓ちゃん率いる新戦車道部が何かしてくると思うからね。

 

 

其れじゃあ仕方ないので、此のボコを適当にボコボコにしてそのモヤモヤを解消してよナオミさん。

 

 

 

 

「……此のボコ、何処から出したのみほ?」

 

 

「さぁ、何処からだろうね?」

 

 

其処はあまり深く追求しない方が良いよナオミさん……ボコと言えば私で、私と言えばボコだから♪私が居る所には、必ず何処かにボコが居るからね♪

 

 

 

 

「……深く考えないでおくわ。」

 

 

「其れが一番だよ。」

 

 

私だって、未だにこの現象は良く分かってないんだら。――って、こんなやり取りをしてる間に、何時の間にか全クラスの卒業証書の授与を終えたみたいだね?

 

と言う事は、次に待ってるのは在校生からの送辞。

 

在校生代表は梓ちゃんだったから、これ以上の送辞は無いかも知れないね……愛弟子に送り出して貰えるって言うのは、師匠冥利に尽きるって言う所だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:梓

 

 

 

ふぅ……流石に緊張するなぁ此れは……西住先輩を送り出したい一心で、送辞を読み上げる代表に真っ先に立候補して、見事に送辞を読み上げる大役を務める事になったけど、やっぱり本番だと緊張しちゃうんだよね如何しても。

 

 

だけど、此の大舞台で無様な姿は曝せないから、キッチリバッチリ決めないとね!!――サプライズも用意してある訳だしね♪

 

 

「送辞。

 

 深々と大地に根を伸ばし、じっと冬に耐えてきたタンポポも、今太陽に向かって花開こうとしています。

 

 雲梯に寄り添うように立つ桃も健気に花を咲かせ、春の香りが漂い始めました。

 

 この素晴らしい日に明光大付属中学校を旅立たれる皆さま、ご卒業まことにおめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。」

 

 

「卒業生の皆さまのことを考えると、体育祭、文化祭、委員会活動等で頼りがいのある姿が次々と思い出されまス。」

 

 

 

 

此処でクロエが舞台袖から壇上に乱入。

 

去年の先輩達の送辞を見てヒントを得たサプライズだけど、此れは結構イケてるかも!送辞を読み上げてる、私とクロエにシャッターが大量に切られてるみたいだし。

 

 

「その中でも、卒業生の皆さまと最も多く過ごした時間は部活動でした。

 

 部活動という厳しい世界で、自分はうまくやっていけるのか、私達1年生2年生は一様に不安でした。

 

 しかし、先輩方の真摯に取り組む姿、果敢にチャレンジする姿、なにより私達に厳しくも温かく接してくださった姿に、私達は励まされてきたと思います。」

 

 

「先輩方を頼りにし、また憧れながら、私達はいつの間にか学年の垣根を超えて一致団結し、共に高い目標を目指してきたと思いまス。

 

 その部活動の大会では、先輩達と力を合わせ、私達は一つになって全力で戦い抜きましタ。あの時の興奮は、今も鮮明に思い出せまス。

 

 大会後に先輩方と全力で戦った事を称え合ったことは、私達の誇りデス。

 

 卒業生の皆さま、私達を導いてくださり、ありがとうございました。次は私達が新2年生を、そして新入生を導く番デス。

 

 先輩方のたくましく、果敢で、心優しい姿を目に焼き付け、しっかりと志を継いで参りたいと決意していまス。」

 

 

 

 

此処までは、特に問題なく出来てるから、最後もちゃんと締めないとだね。

 

 

「四月から高校生となられる卒業生の皆さま。新しい環境で困難に直面することもあると思います。

 

 しかし、明光大付属中学校で様々な困難を乗り越え、私たちを立派に纏め上げた先輩方なら、きっと力強く前に進まれる事と信じています。卒業生の皆様の新たな一歩が光り輝き、未来まで明るく照らされますよう、在校生一同心からお祈りしております。

 

 平成23年、3月5日。在校生代表、戦車道部隊長、澤梓。」

 

 

「同じく在校生代表、戦車道部部長、クロエ・ククトミュゼン・武藤。」

 

 

「「卒業、おめでとうございます!!」」

 

 

 

――パチパチパチパチパチ!!

 

 

 

 

よし、大成功!

 

クロエが壇上に出て来るタイミングもばっちりだったし、少しアレンジを加えた文章も、結構受けたみたい――部活動の大会の下りは、普通は体育祭でやる所だから。

 

 

西住先輩達には、伝わったよね?……今年の大会が、私達在校生にとっても最高の舞台だったんですって言う事が。

 

 

 

 

「伝わってる筈だよアズサ。何て言ったって、西住先輩だからネ。」

 

 

「ふふ、そうだよねクロエ♪」

 

 

この後は、西住先輩による答辞――なんだけど、絶対に何か仕込んでる筈だよ?……去年は辛唐先輩達が送辞に乱入したけど、今年は果たして――

 

 

 

 

『答辞。卒業生代表、西住みほ、吉良ナオミ、辛唐青子、野薔薇つぼみ。』

 

 

「「「「はい!!」」」」

 

 

 

 

って、乱入じゃなくて、代表者が4人!?

 

しかも、戦車道部の前隊長チームって……流石は西住先輩、人の予想の遥か上の事をやってくれますよ!

 

息の合った隊長チーム4人の答辞、楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

梓ちゃんの送辞に、クロエちゃんが乱入するとは、まるで去年の私達みたいだったけど、去年の私と違って、梓ちゃんはクロエちゃんと確り計画をしてたみたいだね。

 

クロエちゃんが乱入した時に、『ナイスタイミング』って顔してたし。

 

それと、梓ちゃんの私に向けてのメッセージも良く分かったよ……確かに、今年の大会は3年間の中でも最高だったから、梓ちゃんもそう感じていてくれた事は、嬉しい事だよ。

 

 

で、答辞を担当する私は、先生に事前の申し入れを行って、今年は最初から元隊長チームの4人で答辞を読ませて貰う事にした――ナオミさん達が乱入するのは去年やったから、同じ手は面白くないし。

 

代表者4人て言うのは、流石に異例の事だから、驚きは与えられたみたいだからね?

 

 

 

 

「澤とクロエが、良い感じに送辞で盛り上げてくれたが、答辞を読むのが4人て事で、更に期待値が上がってるみたいだからな?」

 

 

「此処は、きっちりと決めて、卒業に華を添えましょうみほ。」

 

 

「最後の晴れ舞台を、ばっちり決めちゃうわよ!」

 

 

 

 

うん、きっちり決めて行こうね!

 

 

「答辞。

 

 窓から差し込む光りが日に日に暖かくなり、春の訪れを感じます。

 

 私達は、212名の仲間と共に切磋琢磨しながら今日を迎えることが出来ました。

 

 同じ空間、同じ時を過ごす中で得た、数え切れないほどの思い出と言葉にならないほどの思いが溢れるほどあります。

 

 そして今、ふと目を閉じるとそれらの思い出が、脳裏を駆け巡ります。卒業する212人皆も同じ思い出がよみがえっている事でしょう。」

 

 

「3年前の入学式、。中学校の独特の雰囲気に圧倒され、学校や先輩、先生方、全てが大きく見えたのを覚えています。

 

 先輩の大きな背中を必死で追いかけ、少しでも大きくなろう、大きくなろうと努力しました。」

 

 

「そんな私達も、後輩を引っ張っていく立場になり、部活動では自分たちの代になりました。

 

 チームをまとめることの難しさを身にしみて感じました。

 

 同じコートでプレイをし、同じ空間で演奏をし、一緒に練習をしていたあの日。

 

 色々なことを教えて下さった先輩、毎日の練習を一緒にしてきた後輩、土日の大会で応援して下さった保護者の方々、素晴らしい指導をして下さった先生。その想いに触れ、感謝したことが幾度と無くありました。」

 

 

「そして何よりも一緒に過ごしてきた仲間たち。

 

 これから成長する過程でこれほどの仲間に出会うことができるのだろうかと思うくらい、私はこの仲間が大好きです。」

 

 

 

 

私から始まって、青子さん、ナオミさん、つぼみさんの順で滞りなくね。

 

去年の近坂先輩の答辞と被らない様に、皆で考えた甲斐もあって、結構いい感じの答辞に仕上がってると思うから、後は皆で其れをつっかえないように読めばOKだよ。

 

 

 

「私達がここまで成長し、豊かな中学校生活を送る事が出来たのは、先生方、家族の皆、その他地域の皆様のおかげです。

 

 沢山の迷惑や心配をかけてきましたが、どんな時も私達のそばにいてくれ、どんな時も味方になってくれ、時には厳しく指導してくださり、ありがとうございました。」

 

 

「中学をこんなに楽しく過ごすことができたのも先生方の支えや家族の励ましのおかげです。

 

 教えて下さった事は何一つ無駄にせず、今後の自分をどんどん磨いていきたいと思います。」

 

 

「仲間と共に笑い、泣き、助け合い、最高の思い出が出来た、そんなことを忘れず夢や理想に近づくために頑張って行こうと思います。

 

 私達は伝統ある明光大付属中学校で生活し、最高の仲間と出会えたことに誇りに思います。」

 

 

 

 

いよいよラストだね……ふぅ――

 

 

「最後に、卒業していく私達も、在校生の皆さんも、これから進む道に絶対と言う答えはありません。

 

 それだけに見つけて行きましょう、私達夫々が選びたい道を、自分だけの道を!

 

 その道を見つける為に、夫々の思いを胸に抱き、私達212名はここに卒業いたします。

 

 明光大付属中学校の、益々の発展を願い、答辞とさせていただきます。

 

 平成23年、3月5日、卒業生代表西住みほ。」

 

 

「同じく辛唐青子。」

 

 

「吉良ナオミ。」

 

 

「野薔薇つぼみ。」

 

 

 

 

「「「「ありがとう、皆!!」」」」

 

 

 

 

――パチパチパチパチパチ!

 

 

 

 

大成功!だね。

 

滅茶苦茶フラッシュが点滅してたから、結構な量の写真を撮られてるんじゃないかと思うんだけど、撮られて恥ずかしい事なんて何もないから無問題だけどね。

 

ただ、此れで去年と今年で、ちょっと変わった送辞と答辞の形が出来ちゃったから、来年以降も送辞と答辞が2人以上で行われるって形が取られる可能性は否定できないよ。

 

特に校長先生が、こう言うの割と好きだからね。

 

 

 

 

「ま、其れなら其れで良いんじゃね?」

 

 

「他と違うと言うのは、個性とも言えるモノね♪」

 

 

「願わくば、送辞と答辞は、戦車道部の人間が行うって言う伝統が生まれてくれると嬉しいんだけど……」

 

 

 

 

なはは……其れは来年以降の戦車道部の活躍にかかってるんじゃないかな?

 

少なくとも来年に関しては、準優勝以上の結果が確定してるって自信を持って言う事が出来るから、多分答辞は梓ちゃんがやる事になると思うけどね。

 

 

其れから式は滞りなく進んで、『仰げば尊し』を歌って、そして『蛍の光』で卒業生が退場。

 

後は在校生の作る花道を通って、校門を通れば晴れて卒業だけど、梓ちゃんは間違いなく花道で何かをしてくると思うんだよね?――私達が卒業する日の最後に何を見せてくれるのか、ワクワクだよ♪

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

そして、最後の花道。

 

吹奏楽部の演奏する、『ARENA』(真・三国無双のステージテーマの1つ。……何でこれをチョイスしたし。)と、在校生の拍手に迎えられながら私達卒業生は、花道を歩いて行く。

 

各部の皆が、後輩から花束なんかを渡されてるけど、私達戦車道部の面々も其れに漏れずに、花束なんかを貰ってる。

 

 

だけど、明光大の戦車道部が、此れで終わる筈はないよね、梓ちゃん?

 

 

 

 

「先輩方!卒業おめでとうございます!全車、祝砲発射ーーー!!」

 

 

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

その期待を裏切らずに、校門直前で梓ちゃんのパールホワイトのティーガーⅠをはじめとした、明光大の戦車隊が現れて、弩派手に祝砲を響かせてくれた。

 

しかも、其れは只の祝砲じゃなくて、紙吹雪が舞う特別製の物だったって言うから驚きだよ。

 

 

 

 

「驚いてくれましたか?でも、此れだけじゃないんですよ先輩……此れを持って行ってください。」

 

 

「梓ちゃん?……此れは!」

 

 

エリカさん率いる黒森峰と引き分け優勝した際に撮った、両チームの選手が一堂に介した集合写真だよね?それを、パネルサイズに引き延ばして額に入れてなんて……此れは、最高の卒業プレゼントだよ梓ちゃん。

 

 

 

 

「喜んでもらえて良かったです。この写真は、先輩達に、ずっと持っていてほしかったから。」

 

 

「その心意気に感謝するよ梓ちゃん。貴女は、本当に最高の後輩だった――来年の明光大を、頼んだよ!」

 

 

「はい、頑張ります、西住先輩!」

 

 

 

 

迷いのない、良い目をするようになったね梓ちゃん。此れなら、来年以降の明光大の戦車道部も安泰なのは確実だよ――中学4強の一角になるのは間違い無いからね。

 

 

梓ちゃんと握手した後は、校門をくぐって、其処でお母さんが、戦車道部だった3年生を集めて記念撮影を敢行して、卒業式はお終い。

 

これで、お別れだね青子さん、ナオミさん、つぼみさん。

 

 

 

 

「今度会う時は、ライバル同士だな?」

 

 

「戦う事になったら、手加減しないから、覚悟しておく事ね。」

 

 

「仲間としては充分に戦ったから、今度はライバルとして!皆と戦う時を楽しみにしているわ!!」

 

 

 

 

うん、そうだね!

 

高校はバラバラになるから、今度はライバル同士になるけど、戦う事になったらその時は、全力で悔いの残らない様に戦おう!皆となら、最高の戦車道が出来るって思ってるから。

 

 

でも、最後に卒業の最後の挨拶をしないとだよ――一同気をつけ!!

 

 

「3年間、お世話になりました!」

 

 

「「「お世話になりました!!」」」

 

 

 

 

私の号令で、校舎に向かって礼!

 

3年間、本当にお世話になったよ――ありがとう。そしてさようなら、明光大付属中学校。

 

此処での3年間の生活は、絶対に忘れない――何よりも、掛け替えのない仲間達と出会う事が出来た訳だからね。その経験を胸に、新たな高校生活に、羽ばたいていくよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

ふ~~……堅苦しい、卒業式もやっと終わったわね。卒業式位、もう少し柔らかくしても良いんじゃないかしら黒森峰は?

 

尤も、来年は黒森峰の高等部に通う事になってるから、卒業したって言う実感が薄いんだけどさ……ぶっちゃけて言うと、卒業式で大泣きしてた連中は、進学先を黒森峰以外にした奴等だからね。

 

 

そう言う意味では、私と小梅と直下は泣きもしない異質な存在だったのかも知れないわ……あくまで、エスカレーターを外れた連中からしたらの話だけどね。

 

 

でも、私の意識は、卒業よりも、既に来年の黒森峰の高等部の戦車道に向いてるわ。

 

 

私や小梅と一緒に、あの子が、西住みほが黒森峰の高等部に入学する――それだけで、胸が高まるって言うモノじゃない!!

 

 

卒業したばかりだけど、高校生活がとても楽しみになって来たわ……黒森峰の高等部で、貴女がどんな活躍をしてくれるのか、とても楽しみにしてる私が居る。

 

 

貴女と本当の意味で同じチームで戦えるのを、楽しみにしているわよ、みほ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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