ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

78 / 226
相手はトリックスター……不足はないよ!Byみほ      そもそも軍神とトリックスターじゃ比べ物に成らないわByエリカ     みほさんの力は凄いですからね♪By小梅


Panzer77『いざ、継続高校との練習試合です』

Side:まほ

 

 

 

いよいよ明日は、継続高校との練習試合だが……こう言っては何だが不安要素は何もないな。

 

アイツが、ミカが継続に居ると言うのは予想外だったが、如何にアイツが稀代の戦車乗りであったとしても、其れに着いて来れる戦車乗りが居なくては意味がない……まぁ、アイツの事だから、己の力を発揮する事が出来る仲間を発掘しているかもしれんがな。

 

 

だが、其れでも負ける気はマッタクしない……此れも、今年はみほが一緒だからだろうか?

 

 

 

 

「その可能性は大いにあると思うわよまほ。

 

 貴女の真正面から相手を叩きのめす戦い方は確かに強力で強いけど、その一方で柔軟性に欠ける部分があったでしょ?……だけど、今年は、みほが加入した事で、貴女の戦い方の弱点を補う事が出来る様になった。

 

 天下無敵の黒森峰の剛の戦車道に、みほの柔の戦車道が合わさったら、其れはもう絶対無敵と言っても過言じゃないでしょう?

 

 貴女とみほは、間違いなく戦車道における最強姉妹であるって言えるわよ。」

 

 

「矢張りそうか……最強とは、些か言い過ぎかもしれないがな。」

 

 

私はみほをお祖母様の魔の手から逃れさせるべく、お祖母様の教えに従うふりをしながら、戦ってきたが、その中で私の戦い方は真正面から相手を押し潰す力押しの戦車道になっていたのは否めない事だ。

 

 

此のままでは、何れ攻略されてしまう所だが、今年はみほが此処に加わり、力押しの中に技が見える戦車道となったからね……遊撃隊の存在が、黒森峰の改革の先駆けとなってくれる気がするよ。

 

 

 

 

「そう……其れは良かったわ。

 

 で、其れは其れとして、アタシは此処でナイトを進撃させ、まほのナイトを貰うわ。」

 

 

 

 

で、今何をしてるかと言うと、隊長室で凛とチェスの勝負だ。――その一手は悪くないが……其れは私にとっても最高の一手だ!!

 

私のターンでナイトを此処に配備してキングを追い詰め、次のターンでクイーンで退路を塞ぎ、さらに次のターンでビショップでキングの逃げ場を潰してターンエンド……さて、如何する凛、もう逃げ場はないぞ?チェックメイトだ。

 

 

 

 

「……負けました!!」

 

 

「今回は、私の勝ちだね。」

 

 

とは言え可成り追い詰められたからね……凛の実力は疑いようもないさ――戦車道だけでなく、チェスの腕も中々の物だよ凛は。

 

 

いずれにせよ、継続との練習試合は簡単に勝つ事はできないだろう……向こうの隊長は『トリックスター』と呼ばれているらしいからね。

 

試合を左右するのは、みほ率いる遊撃隊になるのは間違いない――トリックスターの奇策が上か、それともみほの妙策が上かの戦いだな。

 

其れは兎も角、私が継続の奇策に嵌って撃破されてしまう事だけは、絶対に避けなければならないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer77

 

『いざ、継続高校との練習試合です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

ん~~~……今日もいい気持の朝だね~~?天気も良いし、試合をするには最高の日だよ!

 

今日は、待ちに待った継続高校との練習試合の日。そして、私が隊長を任された遊撃隊が対外試合で初めて運用される、遊撃隊の初陣の日でもあるから、目が覚めたばかりでもやる気は充分だよ!!

 

 

「エリカさん、小梅さん、朝だよ!さぁ、起きて!!」

 

 

「起きてるわよ!……てか、ついさっき起きたんだけどね。」

 

 

「あ~~~、今日もまたみほさんが一番最初に起きましたね?……今日こそは、みほさんよりも先に起きる事が出来ると思ったんですけど…」

 

 

 

 

今日みたいな日に、私よりも早く起きるのは可成り難しいと思うよ小梅さん?

 

私って、小さい頃から楽しみな事がある日の朝は物凄く早起きになるから。……小学校の時なんて、遠足とか戦車道の大会の日は、何度か菊代さんよりも早く起きてた事があったからね。

 

 

流石に中学校に上がってからは、其処まで早く起きる事は無くなったけど、其れでも普段と比べると2~30分は早く目が覚めちゃうんだ。

 

 

 

 

「住み込みの家政婦より早く起きるって、5時とかその辺に起きてた訳?……前日の夜に楽しみで眠れないよりは遥かに良いのかしら?」

 

 

「良いんじゃないですか?

 

 眠れずに寝不足になるよりは、前日の夜に確りと寝て、翌朝スッキリ目覚める方が遥かに良いですよ。――目の前のみほさんのコンディションが其れを証明してますから。」

 

 

「……確かに、今日の貴女は、何時にも増して調子が良さそうじゃないみほ?

 

 此れは、今日の練習試合は期待出来るわね。――今年最初の試合となるこの練習試合は、とっても大事なモノになると思うから、絶対に勝つわよ!!」

 

 

「勿論!初戦の白星発進は幸先が良いからね!」

 

 

予定では、継続高校の地元である石川県の港に到着するのが午前9時……今がジャスト5時半だから、後3時間半か。

 

此れなら、早朝ランニングをして、シャワーを浴びてから朝ごはんを食べても、入港前の隊長の訓示には楽々間に合うね?――とは言っても、今日は試合の日だから、早朝ランニングは軽めにしておかないとだね。

 

何時もの距離を走ったせいで、試合でオーバーヒートしちゃったら意味が無いから、軽めのウォームアップ程度じゃないと……今日は、何時もの半分、ううん、1/3の距離で良いかなエリカさん、小梅さん?

 

 

 

 

「1/3だと、約3㎞……まぁ、其の後のシャワーとか食事で取れるインターバルを考えると妥当な所じゃないでしょうか?」

 

 

「って言うか、今更ながらに、毎朝10㎞走ってるって、結構普通じゃないわよね?……この距離を、子供の頃から毎日走って居たって言うん だから、隊長とみほが凄いのには納得しちゃうわね。」

 

 

「……1ヶ月もしないうちに、其れに慣れたエリカさんと小梅さんと理子さんも大概だと思うんだけどなぁ?」

 

 

其れもまた、中学時代の合宿で西住流フィジカルトレーニングを熟したからかもしれないけどね?……アレに比べたら、10㎞のランニングなんて、可成り楽な部類になるから。

 

 

それじゃあ、今日も元気に行こうか?早朝ランニングショート版に出発進行~~!!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

で、早朝ランニングは理子さんとサトルさんも加わって、遊撃隊の車長全員で走った。(サトルさんは初参加だったけど、3㎞位は楽々だね。)

 

その後大浴場でシャワーを浴びたんだけど……まさか理子さんが紫の下着だとは思わなかったよ。

 

小梅さんの黒も結構衝撃的だったけど、大人でも着こなしが難しいって言う紫を見事に着こなしてた理子さん恐るべしだね……一緒に入ったお姉ちゃんの赤と、近坂先輩の紐パンも相当なインパクトだったけど。

 

 

其の後で、食堂で遊撃隊の車長が集まっての朝食兼作戦の最終確認を行って、今は部屋で試合に向けての身支度の真最中。

 

戦闘モードへの切り替えスイッチって言う訳じゃないけど、パンツァージャケットに身を包むと、自然と気が引き締まる気がするよ――試合の前だと余計にね。

 

 

 

 

「其れは、戦車乗りとして当然じゃないの?私だって、パンツァージャケットを着ると気が引き締まるわよ?」

 

 

「実は、私もです。――と言うか、大抵の戦車乗りの人はそうなんじゃないんですかねぇ?

 

 ……中には、パンツァージャケットに着替えた途端に人が変わるって言う人もいるみたいですけど……そう、天才レスラー武藤敬司が、悪鬼グレート・ムタに変貌するかのように。」

 

 

「其れは流石に怖い気がするよ小梅さん……」

 

 

其れはもう、パンツァー・ハイで済む話じゃなくて、間違いなく重度の二重人格の類なんじゃないかと思うよ。

 

でもまあ、此れを着て気が引き締まるって言うのなら、其れ自体は悪い事じゃないし、逆に言うなら試合に臨む準備が出来たとも言えるから、気持ちの切り替えの上でも重要な事なのかもね。

 

 

時刻は8時20分……隊長の訓示の10分前だから、そろそろ行こうかエリカさん、小梅さん。

 

 

 

 

「そうですね、行きましょう!」

 

 

「多分、直下もロビーで待ってるだろうしね。」

 

 

 

 

このエリカさんの予想は的中して、ロビーで待って居た理子さんと合流して校庭に出て整列。

 

此れは、本隊と遊撃隊が分かれる形での整列になってるね?……まぁ、遊撃隊と本隊がごっちゃになってたら分かり辛いから、この区別は当然の事かな。

 

 

全員が整列してるのを見て、お姉ちゃん――隊長が皆の前に出てきた……うん、一気に空気が引き締まったね。

 

 

 

 

「諸君、我々は、此れより継続高校との試合に臨む。

 

 継続はサンダース、プラウダ、聖グロリアーナとは違い、所謂4強の一角ではないが、変幻自在かつトリッキーな戦術は、我等黒森峰でも簡単に勝てる相手ではないだろう。

 

 特に、今年の隊長は、トリックスターなどと呼ばれる策士である事を考えると、去年の練習試合以上に厳しい戦いになるかも知れないが、其れでも我々は勝たねばならない、王者として!!

 

 ……と、大会であるのならば言う所だが、今日は練習試合だから其処まで硬くならなくても良い。無論、練習試合とは言えども、今年度最初の試合だから勝っておきたいのが正直なところではあるけどな。」

 

 

「だから、各員緊張し過ぎずに、でも気を抜かないように行きましょう。

 

 そうすれば、自ずと勝ちは見えるわ――そうよね、隊長?」

 

 

「其の通りだ。的確なフォロー説明に感謝するよ副隊長。」

 

 

 

 

お見事。

 

最初に厳しい事を言った上で緊張感を高めた上で、ハードルを僅かに下げる事で緊張を解し、其の後で緊張しないように引き締めつつ士気を高めるとは……お姉ちゃんが隊長、近坂先輩が副隊長って言う現体制は、歯車がガッチリ噛み合ってる気がするよ。

 

其れこそ、中学時代よりも近坂先輩が生き生きしてる気がするし……若しかして、私よりもお姉ちゃんみたいなタイプの方が、近坂先輩とは相性が良いのかもね?

 

 

 

 

「いずれにせよ、誰が相手であろうとも私達は私達の戦い方をするだけだ。

 

 尤も、新設の遊撃隊には独立機動権が与えられているので、私の命令は度外視して、遊撃隊隊長の好きなようにやって貰って構わないがね……お前達の戦いに期待しているぞ、遊撃隊隊長?」

 

 

「なら、その期待には応えて見せましょう隊長。」

 

 

「ふ、頼もしいな。」

 

 

「期待されてるなら、応えない訳には行きませんので♪」

 

 

何よりも、お姉ちゃんに、隊長に期待されたのなら、其れに応える事が出来なくちゃ遊撃隊の存在意義を問われかねないからね?……黒森峰の推し進める戦車道とは違うかもしれないけど、本隊が最高の力を発揮できるように、遊撃隊の役目を果たして見せるよ。

 

 

 

 

「其れでは諸君、健闘を祈る等とは言わん……全力で戦え!!」

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「Jawohl!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略……全員分なんぞ書けるか!)

 

 

 

 

……何か、余計なモノが聞こえた気がするけど、最後の最後に隊長が『全力で戦え』って言った事で、隊員の士気はMAXまで高まったね!

 

此れなら、最高のパフォーマンスが発揮できる筈!

 

 

 

 

――ピンポンパンポーン

 

 

 

 

『間もなく、当学園艦は金沢港に入港します。機甲科の生徒は、試合に使用する戦車を降ろす準備をしてください。

 

 繰り返します、間もなく当学園艦は金沢港に入港します。機甲科の生徒は……』

 

 

 

 

そして隊長の訓示が終わった絶妙のタイミングで金沢港に入港とは、此れは入港から接岸、停泊のタイミングも船舶科の生徒が巧い具合に決めてるのかも知れないね?……このタイミングで入港すれば、接岸するまでには戦車を降ろす準備が出来るから、停泊して直ぐに戦車を陸に持ち込む事が出来るからね。

 

 

それにしても金沢港かぁ……此処って近くに新鮮なお魚が買える魚市場とか、新鮮なネタを提供してくれるお寿司屋さんが有るんだよねぇ。

 

生モノは流石に日持ちしないから無理だけど、干物とかなら買っておいても良さそう――そうだ、今日の練習試合に勝ったら、お寿司屋さんで祝杯を挙げるってのはどうかな?

 

 

 

 

「悪くないわね?回らないお寿司ってのは、女子高生には敷居が高いかも知れないけど、祝杯を上げるには丁度いいチョイスだわ。」

 

 

「でしょ?」

 

 

「ふむ……では、今日の試合で勝った場合は、その寿司屋を借り切っての祝勝会を開くとしよう。

 

 安くはないだろうが、戦車道の経費として学園から落とす事は出来るだろうからな――と言うか、落ちないとオカシイ。

 

 機甲科の教師の何人かは、私的なものを購入しておきながら、戦車道の必要経費として落としているみたいだからね。」

 

 

「……そんな教師は、懲戒免職にした方が良いと思います。」

 

 

「小梅さんに賛成だよ。」

 

 

そんなろくでもない教師は、内部告発して懲戒処分にするべきだよ!――とは言っても、決定的な証拠がないから難しいんだろうけどね。

 

でもまぁ、必要経費で落とす事が出来るって言うなら問題はないね?……その祝勝会を行うためにも、此の試合は絶対勝たないとだよ!って、お姉ちゃんの一言で皆目の色が変わってる!?

 

期せずして目の前に現れたアメは、思わぬ効果を発揮したみたいだね……余程の事がない限りは、恐らく負ける事は無いんじゃないかな?

 

 

継続の隊長さんが私以上の策士であるか、ミカさんが更なる気侭な戦術を繰り出してこない限りは、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

金沢港に入港して、停泊した後に戦車を降ろして、其処から練習試合の開始地点となる場所まで輸送車で戦車を運び、目的地に着いた時には、継続の部隊は既に集結していたわ……流石は地元だけあって早いわね。

 

 

偉そうな事を言える立場じゃないけど、私でも相対した相手がドレだけの戦車乗りなのかを推し量る事位は出来るから、継続の戦車乗りのレベルも大体分かるわ。

 

 

多くの隊員は黒森峰の他員には及ばないけれど、隊長車のメンバーと、BT-42のメンバーに限って言えば、黒森峰の並の隊員を遥かに上回ってると言えるわね絶対に。

 

 

特にBT-42の車長だって言う、チューリップハットを被ってカンテレ(フィンランドの民族楽器である弦楽器)を手にしたミカって言うのは、侮る事の出来ない相手なのは間違いないわ。……中学時代に、みほと死闘を演じたって言う事を考えれば余計にね。

 

 

其れに、継続出身者の中には進学後に大学選抜チームに選ばれた生徒もいるんだから、その地力は決して低くはない……つまり、舐めてかかると予想外の痛手を被る相手って事ね――確かに、今年度の最初の相手としては申し分ないわ!!

 

 

申し分は無いんだけど……

 

 

 

 

「黒森峰女学園戦車道隊の隊長の西住まほだ。本日は、練習試合を受けてくれた事に感謝する。」

 

 

「継続高校隊長のトウコ。以後お見知りおきをね~~?

 

 ま、大会前ってのは色々ごたごたしてるから練習試合どころじゃないってのが多いんだろうけど、継続的には練習試合であっても試合を行えば其れなりの経験値が積めるから大歓迎って所なんだよね~~?

 

 まぁ、正々堂々と戦いましょう西住まほさん?」

 

 

「無論だ……黒森峰の持てる力の全てを持ってして、お前達を倒して見せよう。」

 

 

「そりゃ楽しみだ。」

 

 

 

 

隊長の言う事に軽口で返すとは只者じゃないわよ継続の隊長は!……そもそもにして、触覚付きのカチューシャを頭に装備してる時点で、可成り普通じゃなくて、只者じゃないんだけどね?

 

……学園艦だから兎も角として、陸で生活したら間違いなく補導されてるわねコイツは!!

 

 

 

 

「其れじゃあ黒森峰さんには、トリックスターの織り成すイリュージョンを楽しんでもらうとしようかな~?」

 

 

「イリュージョンと来たか……ならば、お前達の方こそ味わうが良い。

 

 黒森峰が、今年から運用を開始した新設部隊である遊撃隊の織り成すイリュージョン……否、幻想すら超えた本物の策士の策と言う物を思う存分たっぷりとな。

 

 今年の黒森峰を、今までの蹂躙戦術ありきの力押しのチームだと思ったら大間違いだぞ?継続高校戦車道隊長トウコ殿?」

 

 

「へぇ?言ってくれんじゃん?

 

 ……なら見せて貰おうじゃない、本物の策士の策とやらを?……黒森峰女学園隊長にして西住流の正当後継者の西住まほさん?」

 

 

 

 

だけど、見た目は兎も角としてコイツの実力は相当なモノであるのは間違いないわ……まほさんと面と向かって睨み合う事が出来る事を考えたらね。

 

まほさんと睨み合って退かない胆力の持ち主なら、相当な実力者であるのは間違いないだろうけど、それ以上に不気味なのが、後に控えていたBT-42の車長のミカね。

 

 

何処か捉えどころのない人物だけど、アイツがみほとの戦いを望んでるって言う事だけは、私でも分かったわ……まぁ、みほなら、相手がまほさん以上でない限りは、早々簡単に負ける事は無いと思うんだけれど、其れでも警戒しておくに越した事は無いわね。

 

万が一にもみほが撃破されたら遊撃隊は、その機能を失う事になる訳なんだから。

 

 

でも、私がそんな事を考えるのも野暮だったみたいだわ。

 

 

 

 

「お久しぶりですねミカさん?今日は、最高に戦車道を楽しみましょう♪」

 

 

「その提案には賛成だね?……戦車道で大切なのは勝ち負けじゃない――本当に大切なのは、その試合をどれだけ楽しめたかだからね。」

 

 

「至言ですね♪」

 

 

 

 

隊長と継続の隊長が火花を散らしながら握手したのに対して、みほとミカは、闘気を漲らせながらも、其れを燃え上がらせる事はせずに、己の内側に押しとどめた上で互いに健闘を誓うとは恐れ入るわ。

 

でも、其れだけじゃない……否、みほが此れで終わる筈がないのよ!!

 

 

 

 

「でも、そう言う事なら、目一杯楽しんだ上で私は勝ちますよミカさん!!」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「此れは……此れが噂に聞いた軍神招来か……如何やら今日の風は、相当に吹き荒れるみたいだね。」

 

 

 

 

此処で軍神招来!

 

此れが発動した以上、みほの勝利は絶対よ?……軍神招来状態になったみほは、隻腕の軍神としての力を120%以上発揮した状態になる訳だからね……

 

 

 

 

「其れでは此れより、黒森峰女学園と継続高校の練習試合を開始する!互いに、礼!!」

 

 

「「よろしくお願いします!!」」

 

 

 

 

其れだけに、私達の負けは有り得ないわ!

 

トリックスターなんて呼ばれてるみたいだけど、此の試合で目一杯味わいなさい継続の隊長さん?……西住みほと言う、稀代の天才が生み出

 

す戦術の数々って言う物をね。

 

 

そして断言するわ。

 

まほさんとみほが揃ってる以上、黒森峰の勝利は絶対だって!!――精々覚悟しなさい、みほ率いる遊撃隊が、貴女達を叩き潰してやるわ。

 

 

行くわよみほ!!

 

 

 

 

「それじゃあ、行きましょう!

 

 本隊はすでに動き始めているので、本隊が円滑に動けるように立ち回って行きましょう――それでは、Panzer Vor!!」

 

 

「「「「Jawohl!!」」」」

 

 

 

 

見せてやるわ、遊撃隊の力って言う物を!!……新制黒森峰の、此れまでとは異なる戦車道を!!――そして、思い知ると良いわ……貴女達がドレだけ巧妙に立ち回ろうとも、軍神を越える事は出来ないって!!

 

西住姉妹が揃った事で真の力を発揮する西住流――其れをその身に刻み込みなさい!!

 

 

試合形式は20対20のフラッグ戦……このルールである時点で、負ける気はしないけれどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

 

黒森峰にとっても継続にとっても今年度最初の試合となる練習試合は、試合前から火花が散り、激戦を予想させる状態となっていたのだが、しかし逆上はせずに、まほもトウコも自陣営に戻って作戦の最終確認をした後に、夫々のスターティングポジションに部隊を展開する。

 

 

ホームゲームとなる継続はフィールドの西側――件の窪地が近い西側がスターティングポジションとなり、アウェーゲームとなる黒森峰は特徴のない東側からのスタートとなる。

 

 

フィールド的には継続が有利に見えるが、戦力と隊員の練度から言うならば黒森峰の方が上であり、それ等総合的に考えると、試合展開は五分五分と言って差し支えない位の攻防になるのは間違いないだろう。

 

 

その練習試合を行う両校のオーダーだが――

 

 

 

・黒森峰女学園(本隊)

 

ティーガーⅠ×5(212号車は隊長車兼フラッグ車)

 

ティーガーⅡ×2

 

パンターG型×3

 

Ⅲ号戦車J型×3

 

ヤークトパンター×2

 

 

・黒森峰女学園(遊撃隊)

 

パンターG型×3(217号車は遊撃隊隊長車)

 

ティーガーⅠ×1

 

ヤークトパンター×1

 

 

 

・継続高校

 

Ⅳ号戦車J型×10(内ガンメタルカラーリングは隊長車兼フラッグ車)

 

Ⅲ号突撃砲×9

 

BT-42突撃砲×1

 

 

 

以上のような構成となっている。

 

戦力だけならば黒森峰が圧倒的に有利だが、その戦力差を工夫と知恵で埋めるのが継続である事を考えると、この戦いは一筋縄で決着するものではないのだろう。

 

何の運命の悪戯かは分からないが、隻腕の軍神と、風に身を任せる風来坊の再戦が実現した以上、其れはまず間違いないだろう。

 

 

何れにしても、此の試合が練習試合の域を超えた戦いになるのは、間違いないだろう――

 

 

 

全国大会の前哨戦とも言うべき練習試合、その戦いの火蓋が、此処に切って落とされた……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 




キャラクター補足




トウコ

継続戦車道チームを纏め上げてる現隊長。

何処か捉えどころがなく飄々としたイメージだが、戦車道の実力は相当に高く、とりわけ策を弄しての戦い方においてはトップクラス。

なのだが、その作戦は場当たり的なモノが多いせいか滅多に成功せずに、継続に流れて来たが、継続で生活していくうちに色々ぶっ飛んでしまったらしく、触覚付きのカチューシャを標準装備するようになってしまった。

取り敢えず、車長としての能力は高い。




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。