ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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軍神招来!てやぁぁぁぁぁ!!Byみほ         全攻撃クリティカルだ!覚悟しな!By青子


Panzer7『軍神招来~眠れる本能です!~』

Side:みほ

 

 

 

いざ始まった練習試合!

 

相手校の隊長は、完全に此方を見下してた――まぁ、万年1回戦負けの弱小チームを相手にして練習試合だから、そうなるのは仕方ないけど。

 

 

だけど、見下すだけならまだしも、近坂部長を馬鹿にした事は許せないかなぁ?

 

近坂部長は、自分のプライドを捨てて、チームの為に私を新隊長としてくれたのに、其れを馬鹿にするなんて言う事は絶対に許せない!否、人として許しちゃいけない事だよ!!

 

 

 

 

「その意見に関しては同意よみほ。

 

 チームの為に自分のプライドを捨てるって言う事が、ドレだけの物なのかって言う事を、向こうの隊長は全然分かってない、って言うか分かろうって言う気が無い。」

 

 

「目先の勝利を求めて、其の後を見れない様じゃ、たかが知れてるわ。

 

 何よりも、向こうの隊長さんが、みほさんが隻腕である事をせせら笑った言動は看過できないから――此処で叩きのめして差し上げるわ!!」

 

 

「ダチを馬鹿にされて黙ってられる程、アタシは人間出来てねぇからな……アイツ等は、手加減抜きでぶっ潰す!!跡形もなく、叩きのめす!!」

 

 

 

 

うん、それ以外の選択肢は有り得ないよね?――なら、真正面から叩きのめします!!

 

 

 

乱華さん、貴方は決して言ってはいけない事を言ってしまった――その報い、この練習試合の場で受けて貰います!!

 

 

戦車道は、戦車の性能だけでは決まらない――其れを、身をもって体験して貰いますから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer7

『軍神招来~眠れる本能です!~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

 

始まった練習試合。

 

綾南高校附属中は、主力であるティーガーⅠとティーガーⅡで小隊を結成し、残るラングには偵察兼遊撃を命じていた――破壊力抜群の重戦車を運用するのならば、悪くない布陣だろう

 

 

 

 

「敵は、Ⅲ突の待ち伏せを使って来る筈よ……だから、茂みを見つけたら取り敢えず撃て!

 

 違ったら違ったで無問題!Ⅲ突が居る場所を絞り込む事が出来るからね。」

 

 

 

同時に、綾南の隊長である言峰の脳は、全て自分の思い通りになっていると言う錯覚にとらわれていた――そう、偽地図が功を奏していると思い込んでいたのだ。

 

 

だから、其処を突かれた。

 

 

 

 

『どわぁぁぁぁぁぁ!!

 

 こ、此方ラング2号車!すみません、撃破されました!!』

 

 

「はぁ!?」

 

 

『如何やら相手は、山岳地帯には行かず、市街地で待ち伏せを行っていたようです……Ⅲ号とⅢ突が、此方にも……ってラングの1号車も!』

 

 

 

言峰の予想に反し、明光大の面々は、山岳地帯には向かわずに、試合開始直後から市街地に陣を張っていたのだ。

 

そしてみほの読み通り、市街地の方にも、Ⅲ突の隠れ場所に出来る箇所が多く、更に市街地独特の路地周りは、軽快なⅢ号の足を十二分に発揮出来るモノであった。

 

 

Ⅲ号戦車は、攻撃力と防御力は並程度だが、しかしその性能はオール70点を付ける事が出来る高性能の汎用戦車故に、市街地戦ではその汎用性が120%と発揮されていたのだ。

 

 

同時に、綾南の駆逐戦車がラングであったことも大きいだろう。

 

ラングは、Ⅳ号戦車H型を上回る程の超砲身の75mmを主砲に備えた強力な駆逐戦車だが、その攻撃力に反して防御力は並程度で、特別高いとは言えない。

 

正面装甲は80mm傾斜装甲故に、Ⅲ号では撃ち抜くのが難しいが、側面は40mmで、後面は20mmと可也薄く、容易に抜く事が可能なのだ。

 

更にラングは、回転砲塔のない自走砲なので、背面を取ればほぼ撃破は確実と言えるのである。

 

 

これ等の弱点に加え、Ⅲ突の主砲ならば正面装甲も抜ける――故に、綾南は試合開始早々にラング2輌を失う羽目になったのである。

 

 

此れは、綾南側からしたら、完全な想定外だ。

 

明光大には偽の地形データを送ってⅢ突が隠れられる場所は山岳地帯に多いと思わせた筈だったにもかかわらず、明光大は山岳地帯には向かわずに、初っ端から市街地戦を仕掛けて来たのだから。

 

 

それだけに、綾南の隊長である乱華は考える。

 

 

 

「(何故?如何して奴等は、山岳地帯に向かわないの!?

 

  戦車の性能では劣ってるんだから、Ⅲ突の待ち伏せを使って確実に撃破をするのが上策の筈なのに、なんで市街地戦を選んだのよ!?)」

 

 

 

何故こんな事になってしまったのかと。自分の準備は完璧だった筈なのにと。

 

しかし、

 

 

 

――試合前に偽の地形データを送ってくるだけじゃなく、相手を見下すような発言を繰り返す人が隊長だったなんて……

 

 

 

「!!!!!」

 

 

だが、其処まで考えて、乱華の脳裏には、先程のみほとのやり取りが再生されていた。

 

その中で、みほは間違いなく『偽の地形データ』という単語を口にしていた――つまりは、既に乱華の思惑などは、みほによって看破されていたのである、試合が始まる前から。

 

 

 

「――!!」

 

 

 

完全なる己の慢心が招いた失策だった。

 

相手を見下していたせいで、みほが放った重要な一言を完全に聞き流していた、相手の隊長の言う事など大した価値は無いと奢った結果が、こうして目の前に付きつけられていた。

 

 

 

「く、陣形を変更!此れよりティーガーはⅠとⅡが1輌ずつ組んで3組のタッグを作る!

 

 残ったラング2輌は、引き続き偵察兼遊撃を行い、近くに仲間が来たらそれに合流して、護衛に回る事ように!明光大に負けたら恥よ恥!!

 

 市街地戦でも、此処は私達のホームグラウンド、地の利はこっちにあるんだから!」

 

 

 

それでも、即座に頭を切り替えて陣形を変える辺りは、人格的に問題ありとは言っても隊長を任されただけの腕前は有るようだ。

 

確かに、乱華の言うようにホームグラウンドでの市街地戦ならば、ホーム側に地の利があると言うのは間違いではない。少なくとも、相手よりも地元の事を知っているのだから。

 

 

だが、此処にも一つ思い違いがある。

 

実はみほは、練習試合が始まる前に、送られて来た地図データだけではなく、グーグルマップのストリートビューや、学校の帰りに菊代に頼んで現地の視察に来たりと、可能な限り市街地の実際のデータを頭に叩き込んでいたのだ。

 

 

加えて言うのならば、しほに何度も相談に乗って貰って、ありとあらゆる場面を想定しての作戦も立ててある――正に『始まる前から試合は始まっている』状態だったのだ。

 

 

勿論、乱華はみほがそんな事をしていた事など知る由もない。

 

故に、ラング2輌を早々に失ったのは予想外だったが、此処から先は自分達のターンだと、相手にこれ以上は撃破させずに蹂躙出来ると思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ラング2輌撃破しました。現在は、Ⅲ号3号車が残る2輌のラングを引き付けながら、Ⅲ突1号車に新たな場所に待ち伏せして貰ってます。』

 

 

「分かりました。引き続きラングを翻弄してください。

 

 ですが、此方の先制を喰らった事で、相手が陣形を変えてくる可能性は充分にありますから注意してください。

 

 特に、ティーガーと出会った場合は、無理に戦わずに足回りの良さを生かして逃げ回って、Ⅲ突の待ち伏せ場所に誘導するようにして下さい。」

 

 

『たいちょー、伝家の宝刀履帯切りは~~?』

 

 

「勿論、可能ならやって下さい。ただ無理は禁物ですよ?」

 

 

『りょ~か~い!』

 

 

 

一方でみほは、ラング2輌撃破の報告を聞いても気を抜かず、即座に次の指示を出していた。相手の陣形変更の可能性すら考慮してだ。

 

更に見るべきは、みほの柔軟さだろう。

 

 

綾南の隊長である乱華は、言うなれば『隊長の命令は絶対!意見は聞かない!!』と言う感じであるのに対し、みほは命令をしつつも隊員からの提案が有効な物であるのならば、其れを是として作戦に組み込む柔軟さがあるのだ。

 

 

当然、其れは見る人からしたら『優柔不断な隊長』と映るかも知れないが、隊長が全てを取り仕切るよりも、隊員の意見を柔軟に取り入れる部隊の方が成果を上げていると言うのは、過去の様々な戦争からも見て取れる故に、みほのやり方は兵法上も効果が大きいのだ。

 

 

 

「楽しそうね、みほ?」

 

 

「え?そう見えるナオミさん?」

 

 

「気付いてないの?今の貴女は、物凄く良い顔してるのよ?――試合中に笑みを浮かべるなんて、楽しんでる証拠じゃないの?」

 

 

「言われてみればそうかも知れないね?」

 

 

 

同時に、ナオミに指摘されたように、みほは此の試合を楽しんでいるのだ。

 

自分の力がドレだけの物なのか、どうやって相手を倒すか、そう言ったもの全てをみほは楽しいと潜在的に、本能的に感じ取っていたのだろう。

 

 

しかしそうして深層心理で楽しいと感じていた物が、ナオミの一言で表層意識で感じてしまった――

 

 

 

「じゃあ、そろそろ私達も動きましょう。

 

 ラングは兎も角として、最強の重戦車であるティーガーⅠとティーガーⅡが計6輌も居る訳ですから、それら全てを撃破するには、此方の全戦力の投入が絶対ですから。」

 

 

 

其れはつまり、みほの眠れる本能が目を覚ましたと言う事に他ならない。

 

即座に、自身の乗るパンターを発進させ、凛と副部長が車長を務める、2輌のティーガーⅠを率いて市街地に繰り出す!そして、此処からがみほの凄まじい力が発揮される舞台だったのだ。

 

 

 

 

その最初の犠牲者になったのは、2輌のラング。

 

Ⅲ号を追っていた最中、突如としてパンターと2輌のティーガーⅠが現れ、虚を突かれたところで1輌が撃破され、残った1輌も待ち伏せをしていたⅢ突と、凛のティーガーⅠのダブル砲撃を受けてあえなく撃破!

 

 

それだけでは止まらず、偶然近くを通りかかったティーガーⅠとティーガーⅡのタッグを見つけるな否や、Ⅲ号をお供に付けて突撃し、パンターとⅢ号と、Ⅲ突と、ティーガーⅠの集中砲火で此れを撃破!

 

 

正に、凄まじいまでのサーチ&デストロイ。

 

一見すれば、ティーガーⅠ1輌とティーガーⅡ1輌の計2輌に対してⅢ号1輌、Ⅲ突1輌、パンター1輌、ティーガーⅠ2輌の合計5輌で仕掛けたのだから、物量作戦と言われるだろうが、ルール違反をしている訳ではないし、強い相手に複数で戦いを挑むのはある意味での基本だ。

 

 

みほはその基本を生かして、実戦投入できるレベルでは最強の攻撃力と防御力を誇る2種の鋼鉄の虎を葬って見せたのだ。

 

 

 

 

 

だが、此れは乱華からしたら堪ったモノではない。

 

 

 

「残りのラングだけじゃなく、ティーガーⅠとティーガーⅡも1輌ずつ撃破されたですってぇ!?……そんな、冗談でしょ、明光大なんかに――!」

 

 

 

所詮は毎年1回戦負けの弱小校、此の練習試合は大会に向けての足掛かりに過ぎなかった筈なのに、蓋を開けてみれば、自分達は相手を1輌も撃破出来ずに、反対に自分達のチームは残り4輌と言うところまで追いつめられていたのだ。

 

 

対して、相手は未だ無傷の10輌健在のまま――フラッグ戦ならば兎も角、殲滅戦に於いての6輌のビハインドは致命的だと言うしかないだろう。

 

 

 

だが、殲滅戦である以上は、どちらかの戦車全てが行動不能にならければ試合は終わらない。

 

 

 

 

「舐めるんじゃないわよ明光大!

 

 残り4輌とは言え、ティーガーⅠとティーガーⅡは、大戦期最強と謳われた重戦車!6輌のビハインドなんか、簡単に引っ繰り返してやるわ!」

 

 

 

それでも乱華は戦車の性能差に物を言わせて逆転をしようと考えて居る様だが、其れはこの状況に於いては『捕らぬ狸の皮算用』でしかない。

 

 

 

 

『ティーガーⅠ2号車、ティーガーⅡ1号車、行動不能。』

 

 

「嘘でしょぉぉォォォ!?」

 

 

 

直後に入って来た別動隊のティーガーⅠとティーガーⅡが撃破されたとのアナウンスに、乱華の顔は一気に真っ青になる――それは、無理もないだろう、残るは自分のティーガーⅡと、タッグパートナーであるティーガーⅠだけなのだから。

 

 

因みに、撃破された2輌だが、Ⅲ号の誘いに乗って踊らされた挙げ句にⅢ突の待ち伏せ場所に誘き出され、ティーガーⅠが弱点の後面をⅢ突に撃ち抜かれ、ティーガーⅡは駆けつけたみほのパンターからゼロ距離砲撃を喰らわされて沈黙したのだった。

 

 

同時に其れは、この練習試合の結果は事実上決まった事の宣告でもあった。

 

如何に強力なティーガーⅠとティーガーⅡであっても、ティーガーⅠ2輌、パンターG型2輌、Ⅲ突2輌とⅢ号4両の計10輌をたった2輌で相手にするのは無理ゲ~以外の何物でもないのだから。

 

 

 

「此のまま終われるもんですか!!

 

 きっとアイツ等は、私達を撃破する為に全軍で攻めて来るわ!だから相手が見えたら、視認した奴から順に攻撃しなさい!!1輌でも多く撃破するのよ!!

 

 特に隊長車を集中的に狙いなさい!隊長が沈黙すれば、アイツ等は何も出来なくなる筈よ!!」

 

 

 

それでも乱華は、僅かな望みに掛けて、自分達に向かって来る明光大の全軍に対して攻撃を敢行する!!――しかし、其れも無駄な事だった。

 

ティーガーの88mm砲は確かに強力だが、逆に言うならば、どんな強力な攻撃であろうとも、当たらなければ大した事は無いのだ。

 

 

それを示すように、パンターとⅢ号とⅢ突は、軽快な足回りを生かして綾南のティーガーⅠとティーガーⅡに接近し、明光大のティーガーⅠ2輌はロングレンジからの援護射撃で、みほ達を援護している。

 

 

 

 

「つぼみさん、行きますよ!!」

 

 

「明光大一の機動力に不可能は無いのよ!!」

 

 

 

そして突撃の先陣を切っていた、みほのパンターは、ティーガーⅠの眼前に躍り出るや否や、其処からドリフト宜しい軌道で側面に回って、破壊力抜群の超長砲身の75mmで、ティーガーⅠの側面を容赦なく撃ち抜く!

 

 

 

『ティーガーⅠ1号車、行動不能。』

 

 

 

その結果は見事な白旗判定!

 

よって残るは、乱華の乗る隊長車であるティーガーⅡだが……

 

 

 

 

「そんな、そんな馬鹿な!!」

 

 

 

 

ティーガーⅠ2輌とパンター2輌、Ⅲ突2輌とⅢ号4輌に主砲を向けられていては、もうどうする事も出来ないだろう。

 

一斉掃射にカウンターして、Ⅲ号をある程度は道連れに出来るかも知れないが、其れがせめてもの悪足掻き……勝負は、決していたのである。

 

 

 

 

「Schuss!(撃て!)」

 

 

「「「「「「「「「「Jawohl!(了解!)」」」」」」」」」」

 

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァン!!!

 

 

 

 

『ティーガーⅡ1号車、行動不能。

 

 綾南高校附属中、残存車輌0、明光大付属中、残存車輌10――よって、明光大付属中学校の勝利です!』

 

 

 

隊長車へのトドメは、10輌の戦車での集中砲火!

 

如何に最強レベルの防御力を誇るティーガーⅡとは言え、バランスの良いⅢ号の長砲身60口径50mmと、抜群の攻撃力を誇るⅢ突の長砲身75mm、パンターの超長砲身75mm、ティーガーⅠの長砲身88mmの集中砲火を受けて只で済む筈もなく、あえなく白旗判定!

 

 

終わって見れば、明光大の10対0の完全試合!

 

 

西住みほと言う、稀代の軍神が、その力を見せつける結果になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

私達の勝ちですね♪

 

さて、何か言う事は有りますか、乱華さん?貴女の言う弱小校が、こうしてパーフェクトゲームをして見せた訳なんですけれど?

 

 

 

 

「何も言う事なんて無いわよ!寧ろ言えないわよ!!

 

 何なのよアンタ達!去年とはまるで別人じゃない!!アンタ達が私達に勝つなんて、そんなのは絶対に有り得ない事だったのに、何でよぉ!」

 

 

「そりゃ別人にもなるわ乱華。

 

 去年の隊長と違って、西住は真剣に戦車道と向き合ってる上に楽しんでるし、勝つ為の努力は全然怠らないから、其れがアンタとの違いよ。」

 

 

「認めない……認めないわこんな事は!!

 

 今回は不覚を取ったけど、大会ではこうは行かないから覚えておきなさい西住みほ!!このリベンジは果たさせて貰うわ!!!」

 

 

 

 

貴女には出来ないかもしれませんね。

 

自分の負けを受け入れられない者に成長は有り得ないって、お姉ちゃんとお母さんも言っていたから――だから、大会でぶつかる事になってもまた私達が勝ちます!!

 

 

 

 

――轟!!

 

 

 

 

だから、覚悟しておいてくださいね?

 

明光大は今年、万年1回戦負けの弱小校から、強豪に伸し上がる心算ですから――立ち塞がる相手は、全部倒して進ませて貰います!!

 

 

 

 

「言っとくがな、アタシ等は最強だ!絶対に負けねぇよ!!」

 

 

「今年の大会は革命の第一歩……勝つのは私達、明光大付属中学校よ!」

 

 

「大会を楽しみにしてるわ。」

 

 

 

 

何よりも、私に付いて来てくれた青子さん、つぼみさん、ナオミさんの為にも負ける事は出来ないから!!――当然、私を隊長に任命してくれた近坂部長の為にもね!!

 

 

大会を、楽しみにしていますよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:しほ

 

 

 

今日はみほが隊長に就任しての初の対外試合でしたが、殲滅戦ルールで完全試合をして見せるとは、あの子の才能は底が知れないわね……

 

 

まほは、世間が認めた『天才』であるのは間違いないけれど、みほはまほ以上の才覚をその身に宿した西住流の鬼札とも言うべき子だから、この結果も、ある意味では納得してしまうわ。

 

 

でも、だからこそ期待してしまうわ。

 

 

 

まほが正当な西住流を継承し、其処にみほの戦車道が――言うなれば『西住みほ流』とも言うべき戦車道が加われば、西住流はもっと厚みのある流派になる事が出来のですからね。

 

 

私は本当に幸せ者だわ……正統のまほと、可能性のみほと言う2人の娘を授かれたのですから。

 

 

 

何れにしても、あの子達の代で。西住流は新たな道を歩み出す――それは、間違いない事なのでしょうね。

 

 

 

だからこそ、今年の大会は目が離せないわ。

 

此の大会で、まほとみほがどんな活躍をするのか――私には、母親として、そして西住流の師範として其れを見届ける義務がありますからね。

 

 

 

 

頂点に立つ事が出来るのは、まほとみほのどちらか一方だけれど、2人とも悔いが無いように戦いなさい?

 

どちらが勝とうとも、母は貴女達の戦いを見守っていますからね?――手加減不要で、思い切りやってきなさい、まほ、みほ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 


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