ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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此れもフライング登場かな?Byみほ     フライング登場と言うかフラグ登場と言うか…Byエリカ     取り敢えず私は髪型でキャラ被りますね……By小梅


Panzer87『予想外の寄港日?大洗を堪能します』

Side:みほ

 

 

 

今週の土曜日は大会の試合も無いから、中学戦車道の全国大会を見に来てた訳なんだけど、ツェスカちゃん率いる黒森峰の部隊は圧倒的な強さで2回戦を難なく突破したね。

 

そして、梓ちゃん率いる明光大の2回戦。

 

相手は初出場の釧路第一中学……聞いた話だと、1回戦を略無傷で突破した事でダークホースになるんじゃないかって事だったけど――

 

 

 

 

――ドガァァァァァァン!!

 

 

 

 

『釧路第一中学校、フラッグ車行動不能!――明光大付属中学校の勝利です!』

 

 

「私達のぉぉぉぉ………勝ちだぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

結果は明光大の完全勝利って言っても良い物だった。

 

梓ちゃんは的確に相手の策を読んだ上で各車両に指令を出して、その上で自分は隊長車であるパールホワイトのティーガーⅠを指揮して、相手の戦車を的確に撃破して行った訳だからね。

 

確実に梓ちゃんは、去年よりも強くなってる。……今の梓ちゃんと戦ったら、『追い出し試合』の時よりもいい試合が出来るかも知れないよ。

 

 

兎に角よく頑張ったね梓ちゃん?――次の準決勝も頑張ってね♪

 

 

 

 

「……お約束が冒頭に来るとは……」

 

 

「しかも、私達の試合じゃなくて中学大会の方でやられるとは思いませんでした……」

 

 

 

 

エリカさんと小梅さんが何か言ってたけど、何の話をしてたんだろうね?偶然試合を見に来てたペパロニさんも『なんか黒森峰との試合は、スッゲェ嫌な予感がする。』って呟いてたし……?

 

なんかよく分からないけど、まぁいいか。

 

 

何れにしても、次の準決勝も楽しみにしてるよ梓ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer87

 

『予想外の寄港日?大洗を堪能します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明光大の試合を観戦した数日後、今度の日曜日にはアンツィオが相手の2回戦がある訳なんだけど、練習が終わった後で、私とエリカさんと小梅さんは、何故かお姉ちゃんから隊長室に呼ばれてた。

 

練習も終わってるから、楽にさせて貰うけど、如何かしたのお姉ちゃん?

 

 

 

 

「いや、明日急遽寄港する事になってな。其れを伝えておこうと思ったんだ。」

 

 

「明日って、本当に急だね?何か問題でも起きたの?」

 

 

「少し補給の為にな。

 

 食料やら何やらは問題ないんだが、整備班の方からエンジンオイルやボルトなんかが少し不足してるとの報告があったのでね。

 

 次の試合会場の事を考えると熊本まで行くのは、可成り遠回りする事になるし、其れだと試合に間に合わないのでな――其れで急遽明日、茨城の大洗に寄港する事になったんだ。」

 

 

「そうだったんですか。

 

 ですが隊長、寄港するとは言っても、大洗で戦車の整備に必要なモノが揃うのでしょうか?」

 

 

 

 

あ、其れについては大丈夫だと思うよエリカさん。

 

大洗って20年前までは戦車道が盛んだったってお母さんが言ってたし、その頃の名残で今でも戦車関連のモノを扱う店は残ってるって、お父さんが言ってたから。

 

 

 

 

「え?そうなのみほ!?」

 

 

「うん。

 

 あと、お母さんが高校生だった頃、千代さん以外でお母さんを苦戦させた人が居たのも、当時の大洗だったんだって。」

 

 

「西住師範を苦戦させた人が大洗に!?……一体誰なんでしょうか?

 

 其れ程の人ならば、さぞ社会人のチームで名を上げてると思いますが……」

 

 

「あ、その人はお母さんと千代さんが結婚して一線を退いた時に、自分も戦車道止めちゃったらしくて、今は戦車と無縁なんだって。

 

 だから、誰もそんな凄腕の戦車乗りが居たって言う事を覚えてないんだって。」

 

 

きっとその人にとっては、お母さんと千代さんが、自分が戦車に乗る理由だったんだろうね。

 

で、お姉ちゃん本題は?

 

明日大洗に寄港するって言う事だけなら、態々私達3人を隊長室に呼び出す必要はないよね?って言うか、少なくとも今日の夜には学園艦全体に放送が入る筈だし。

 

 

 

 

「ふむ、その通りだ。

 

 知っての通り、今度の2回戦は日曜日になるのでな、明日の寄港日は其の振替休日と言う事になったんだ――其れで、折角の休日なので少し3人で遊んで来たらどうかと思ってな。

 

 丁度3枚あるから、お前達を呼んだんだよ。」

 

 

「此れって……全国共通で使える動物園と水族館の無料チケットだよね?如何したの此れ?」

 

 

「春先に帰省した時に、商店街の福引で偶然当てたんだ。

 

 学園艦では使う事も無いし、其れ以前に私が使う事は無いからね……此のまま腐らせるのも勿体ないから、お前達に使って貰おうと思ってな?

 

 幸い、大洗には大きな水族館があるらしいから丁度良いだろう。」

 

 

「そんな、良いんですか隊長!?」

 

 

「とってもありがたいですけど、なんか申し訳ない気が……」

 

 

「エリカも小梅も気にするな。

 

 凛を誘って行ったところで、どうせ1枚余るしな。ならば、お前達3人で使い切ってくれる方が良いさ。――其れに偶の休日だ、初めての土地で大いに羽を伸ばすのも良いだろうからな。」

 

 

 

 

そう言う事なら、このチケットは有り難く貰うねお姉ちゃん♪

 

其れじゃあ明日は一緒にお出掛けだね、エリカさん小梅さん♪折角だから思いっきり楽しんじゃおう!!

 

 

 

 

「貴女ね……まぁ、隊長の好意は無下にできないし、偶には羽を伸ばすのもいいかもしれないからね――なら明日は、徹底的に遊び倒すとしようじゃない!」

 

 

「そうですね、そうしましょう!1回戦以来の陸なんですから、楽しまないと損ですから!」

 

 

「ふふ、まぁ羽目を外し過ぎないようにな?」

 

 

 

 

はーい♪

 

エリカさんと小梅さんとお出掛け……楽しみだね♪――因みに、楽しみ過ぎて、この日は中々寝付けなくて、最終的にロンメルの催眠術で眠る事が出来ました。

 

 

流石ロンメル、妖術もバッチリだったね。

 

 

 

 

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・・・

 

 

 

 

そして翌日!

 

黒森峰の学園艦が大洗に入港して接岸したと同時に、私とエリカさんと小梅さんは大洗の町に飛び出した!

 

今日は、徹底的に楽しむ心算だから、最初から飛ばして行かないとね!

 

 

因みにお出掛けの服装は、

 

 

 

私:モスグリーンのハーフパンツ、水色のTシャツの上にボコがプリントされたピンクの袖なしシャツを重ね着、アリストトリストのネックレス、白のスニーカー

 

エリカさん:クリーム色のプリーツスカート、『戦車道』ってプリントされた黒のTシャツ、白のパーカー、十字の飾りがついたチョーカー、膝下までの茶色のロングブーツ

 

小梅さん:7分丈のジーパン、青眼の白龍がプリントされた白のTシャツ、袖なしベスト、ウォレットチェーン、ピンクのファッションサンダル

 

 

 

うん、可成り気合が入ってるね此れは。

 

エリカさんも小梅さんも、とっても良く似合ってるしね♪

 

 

 

 

「貴女も良いんじゃない?とってもみほらしいと思うわ。」

 

 

「ボコとアリストトリスト……意外と合いますね。」

 

 

「えへへ、そう言ってくれると嬉しいかな?――で、今日は如何しようか?水族館は確定だけど……」

 

 

「そうね……先ずはバスで大洗アクアワールドに向かって、午前中は水族館巡りを楽しんで、バスでこっちまで戻って来て、リゾートアウトレットでお昼にして、其の後はアウトレットでウィンドウショッピングをしてからかねふくのめんたいパークを見学してってので良いんじゃない?」

 

 

 

 

良いね、それで行こうか!

 

其れじゃあ、早速水族館『大洗アクアワールド』にレッツゴー!!ロンメルとアンドリューも行くよ!!

 

 

 

 

『♪』

 

 

『ガウ。』

 

 

 

 

 

で、バスに揺られる事約5分、到着しました大洗アクアワールド!

 

バスを降りたら、金属製のイルカさんがお出迎えだね♪――結構施設としては大きいみたいだけど、何か特徴があるのかなこの水族館は?

 

 

 

 

「そうね、規模は日本でも有数なんだけど、この水族館の特徴は何と言っても『サメ』ね。

 

 施設内で飼育してるサメの数と種類は日本一らしいわ。序に言うと、世界で初めて『ネコザメ』の人工繁殖に成功した水族館みたいよ?」

 

 

「其れは、凄そうですね?」

 

 

「世界初の人工繁殖に、日本一のサメの飼育量……確かに楽しめそうだね♪」

 

 

其れじゃあ早速中に。勿論、ロンメルとアンドリューも一緒にね。

 

入り口でチケットを切って貰って入場したんだけど……此れは行き成り大迫力なお出迎えだね?まさか、クジラの骨格標本2つと、ウバザメの剥製がお出迎えしてくれるとは思わなかったからね。(実際に展示されています。)

 

 

そしてインパクト大のお出迎えから始まる順路は、先ずは回遊魚の円筒形の水槽から。

 

鰯みたいな身近な魚から、コブダイみたいな珍しい魚まで居て、初っ端から結構楽しめたよ――小梅さんが泳いでる鰯を見て、『刺身にしたら美味しそうですね』って言ってたのは聞かなかった事にするけど。

 

 

その次に待ってたのは、超大型の水槽に色んな海の生き物がいる場所。

 

回遊魚に、サメにエイに、ウツボにウミガメ……まるで竜宮城に来たんじゃないかって思う位の幻想的な光景が広がってた……アンドリューとウツボが睨めっこをしてたけど、その光景が逆に他のお客さんには受けてたみたい。

 

 

「そう言えば、港に黒森峰以外の学園艦があったけど、何処の学園艦だったんだろうね?」

 

 

「其れは地元の学校じゃない?

 

 他所の学校が寄港するなんて、私達みたいに余程急な事情がない限りは有り得ないでしょうし。」

 

 

「多分地元の学校だと思いますよ?

 

 白と緑のセーラー服を着た女子生徒を何人か見ましたし、見回りなのか『大洗女子学園:風紀委員』の腕章してる子も居ましたから。」

 

 

「大洗女子学園……」

 

 

そう言えば、お母さんが苦戦したって言う人が居たのも、そんな名前の学校だった気がするなぁ?今度家に帰ったら聞いてみよう。

 

さてと、大型の水槽の次に待ってたのは、幻想的なクラゲゾーン。

 

クラゲ自体も綺麗だけど、暗い部屋の中で水槽だけが光ってるって言うのが幻想的な感じを醸し出してるんだね。

 

 

 

 

「ですねぇ。

 

 次は『暗黒の深海ゾーン』ですか……一体何が出て来るんでしょうか?」

 

 

「流石にガチの深海生物はいないと思うけど……」

 

 

「まぁ、剥製が置いて……あるねうん。海岸に打ち上げられた『リュウグウノツカイ』、全長3メートル。

 

 リュウグウノツカイの中では、この大きさでも小型だって。」

 

 

「記録では15mを越える個体が上がった事があるらしいからねぇ?確かに3m程度だと小型なのかも知れないわ。」

 

 

 

 

だね。

 

深海コーナーは予想通り生の超深海生物は居なかったけど、その次の展示には比較的浅め(?)の深海に居るアンコウとかダイオウグソクムシなんかが展示されてて……其処を抜けると、やって来ましたこの水族館最大の目玉であるサメの展示コーナー!

 

レモンシャーク、ネコザメ、シュモクザメにノコギリザメにサカタザメにエイまで……他にも一杯いる!サメの飼育数日本一は伊達じゃないね!

 

 

 

 

「ホント凄いですね?

 

 生のシュモクザメやノコギリザメなんて初めて見ました。ちょっとしたサメの蘊蓄が書いてあるのも面白いですよ。」

 

 

「其れも良いけど、こっちも凄いわよ?

 

 ネコザメの卵の成長ですって。卵の殻の一番堅い所だけを剥がして、中の成長が見れるようになってるわ。飼育だけじゃなくて、繁殖もしてるとは聞いてたけど、実際に見ると凄いわね。」

 

 

「本当だね。元気に育ってほしいね――……ん?」

 

 

「如何かした、みほ?」

 

 

 

 

あ、うん……ちょっと視線を感じてね。

 

誰も居ないし、気のせいだったのかなぁ?

 

 

 

 

「貴女のファンでも居たんじゃない?

 

 今や戦車道界隈で『隻腕の軍神』の名を知らない奴は居ないでしょ?知らないのは俄かモグリって言われる位よ?」

 

 

「え、其処までなの私って!?」

 

 

「みたいですねぇ?

 

 まぁ、中には『大人しそうな顔して、やる事がえげつない。でも其処に痺れる憧れる。』とか、『キューポラから身体を出して、左袖を靡かせてる姿に底知れぬ闇を感じる。』とか微妙な意見もありますけど。」

 

 

「うん、そう言った意見は掲示板の管理人の人に言って削除して貰わないとね。」

 

 

其れよりも、そろそろイルカショーが始まるから、アクアシアターに移動しよう?

 

どうせなら最前列で、水が掛かって上等な場所で見てこそのイルカショーだからね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:エリカ

 

 

 

高校生にもなってイルカショーと思わなかった訳じゃないけど、実際に見てみると予想以上に面白いわね?

 

何て言うかこう、童心に帰るって言うのかしら?そんな感じがしたわ。

 

其れとこのイルカショー、結構シャレが利いてるしね。

 

 

 

 

『フォフォフォフォフォ、地球人の諸君、私を倒す事が出来るかな?』

 

 

『出たなバルタン星人!俺達の力を見せてやる!』

 

 

 

 

如何やら今回はウルトラマンの劇構成みたいで、天井から下がって来たボールがバルタン星人で、イルカがウルトラマンになってドルフィンキックで其れを攻撃するって言う事もしてるしね。

 

 

 

 

――バッシャーン!!

 

 

 

 

「予想してたけど……来たわね♪」

 

 

「きゃ~~~♪」

 

 

「きたー♪」

 

 

 

 

最前列に陣取った事で、イルカの着水と共に盛大に水を喰らったけど、此れもまたイルカショーの醍醐味よね。

 

そしてイルカショーの最後を飾るのは、この水族館のイルカショーの目玉である、イルカがアシカをおんぶしての高速水泳!アシカを乗せた状態で高速で泳ぐイルカも凄いけど、ヒレでイルカの背びれに捕まりながら、もう片方のヒレは観客に向かって振ってるアシカも相当よね?

 

此れは、目玉になるのも頷けるわね。

 

 

ふむ、結構楽しめたわ。みほと小梅は如何だった?

 

 

 

 

「最高でした!イルカショーなんて小学校以来でしたから、とっても楽しめましたよ♪」

 

 

「其れにウルトラマンって言うのも新しかったからね?

 

 ショーの規模としては大きくないけど、調教師さん達のお喋りが上手で、思わず引き込まれちゃったよ♪」

 

 

「確かに魅せ方は上手かったわね。」

 

 

その後は、残りの展示を見て(みほと小梅はチンアナゴに興味津々だった。私的には川の生き物コーナーに居た『青いアユ』に驚いたわ。)屋外展示場になぜかカピバラが居る事に驚いて、土産コーナーで記念コインを買って名前を刻印して、兎に角水族館を目一杯楽しんだわ。

 

そしてみほ、予想はしてたけどやっぱり買うのね其れ?

 

 

 

 

「当然だよエリカさん!

 

 大洗アクアワールド限定の『水兵さんボコ』は、ご当地ボコでもこの水族館でしか買えないんだから、ボコファンとしては絶対に外せないんだよ!!寧ろ購入一択で!!」

 

 

「あ~~……うん、良く分かったから。」

 

 

本気で貴女のボコ愛は凄いわね?私には何が良いのかよく分からないけど、好きなモノが有るってのは良い事だと思うわ。

 

ともあれ、水族館は堪能したから、次はアウトレットに行きましょう?そろそろお昼にも良い時間だからね?――ネットで調べた限りでは、大洗

 

のリゾートアウトレット内には結構美味しい店があるらしいから期待できそうね。

 

 

ん?何か視線を感じたけど気のせいかしら?……若しかしてみほが感じたのと同じ視線かしら?……まさかストーカーじゃないわよね?

 

一応の警戒はしておいた方が良さそうだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:みほ

 

 

 

大洗アクアワールドを後にした私達は、リゾートアウトレットにやって来てお昼ご飯。

 

お店が色々あって迷ったけど、最終的には地元の新鮮な魚が食べられるって事で、鮮魚食堂の『お魚天国』で摂る事にした。店先のおばちゃんの呼び込みも凄かったけど、『生シラス丼』に惹かれたからね。

 

 

なので、私もエリカさんも小梅さんも揃って生シラス丼を注文したんだけど、此れは予想以上の美味しさだった!

 

釜揚げのシラスとは違って、生のシラスはとろける様な味わいで、本気でほっぺたが落ちるかと思ったよ!付け加えるなら単品料理として注文した浜焼きの蛤と岩ガキとサザエがまた絶品だったからね?

 

此れだけの海の幸が堪能出来て、1人頭1500円て言うのは決して高くない……寧ろ安いって思うからね。

 

 

 

さてと、美味しいお昼ご飯を食べた後は、アウトレットでウィンドウショッピングなんだけど、本当に色々なお店が入ってるね?

 

靴屋さんに服飾屋さんに、レゴショップにパズルショップ、果ては誰が買うのか分からないプロレスのマスク専門店まで――まぁ、3人で悪乗りして、私が『エル・サムライ』、エリカさんが『獣神サンダー・ライガー』、小梅さんが『タイガーマスク』のマスクを装備して写真を撮ったりね。

 

 

其れは其れとして、気付いてるエリカさん、小梅さん?

 

 

 

 

「えぇ気付いてるわみほ……」

 

 

「完全に私達を尾行してますよね?……水族館でみほさんが感じた視線の主かも知れません……」

 

 

「多分間違いないよ……」

 

 

なら、作戦決行と行こうか?

 

適当に雑談をしながら移動する振りをして、階段を降りて、駐車場に行く振りをして……中央階段の下を通った所で壁際に身を隠す!!

 

 

 

 

「あ、あれ?消えたでありますか?そんな、絶対にこっちに来た筈です!!」

 

 

「貴女が探してる相手は此処に居るわよ、ストーカーさん?」

 

 

「人の後を付けるのは、余り良い趣味とは言えませんね?」

 

 

「!!」

 

 

 

 

で、作戦大成功。

 

駐車場に居る筈の私達の姿が見えなかった事で動揺したモジャモジャ頭の子をエリカさんと小梅さんが見事に捕縛!

 

白と緑とセーラー服って言う事は、大洗女子学園の子だよね?如何して、私達を尾行してたの?

 

 

 

 

「ももも、申し訳ありません西住殿!逸見殿!赤星殿!

 

 自分は、大洗女子学園の普通科C組の秋山優花里と言います……恥ずかしながら、私戦車が大好きでして、そして戦車道も大好きで、西住殿の大ファンなんです!!

 

 今日は大洗の寄港日だったのですが、港に入って吃驚、黒森峰の学園艦があるではありませんか!

 

 ならば若しかして西住殿が!?と考え て水族館に行ってみれば西住殿を発見!更には逸見殿と赤星殿まで!!

 

 絶対王者である黒森峰の新勢力である遊撃隊のお三方と出会えるなんてとても幸運と思ったのですが……その、私の様な一般人が声を掛けるのは烏滸がましいと思い、結果として尾行するような事になってしまいました……折角の寄港日でしたのに、不快な思いをさせてしまいました。すみませんでした。」

 

 

「そうだったんだ……でも、そう言う事なら怒る気はないから安心して秋山さん。」

 

 

「え、怒らないのでありますか?」

 

 

 

 

怒る要素がないもん。

 

確かに尾行されてたのは不気味だったけど、其れは単純に秋山さんが私達にどうやって声を掛けようかって迷ってたから、結果的にそうなっちゃっただけだら。

 

其れに、私のファンだって言う貴女に怒る事なんて出来ないよ。――自信過剰かもしれないけど、若しかして、サインが欲しかったりする?

 

 

 

 

「はい是非とも!!あ、『優花里さんへ』って入れて頂けると嬉しいであります!

 

 其れから、逸見殿と赤星殿もサイン下さい!『黒森峰の銀狼』と『黒森峰の蒼穹隼』のサインも、戦車道ファンとして欠かせませんので!!」

 

 

「アンタね……まぁ良いわ。サインなんてした事ないから期待されても困るけどね。」

 

 

「と言いながら、サインの崩し文字の中に自身のイニシャルである『E・I』を織り込む芸の細かさを見せるエリカさんなんですけどね?」

 

 

 

 

そう言う小梅さんも、赤星の『星』を『☆』で書いてるから、結構芸が細かいと思うんだけどね?

 

私はそう言う細かい芸は出来ないから、サインと宛名を書いて、余った余白にボコを書いてはい完成!此れで良かったかな秋山さん?

 

 

 

 

「はうぁぁぁ!黒森峰の新鋭三羽烏からのサインを貰えるとは、感無量であります!

 

 西住殿、逸見殿、赤星殿!次の2回戦も必ず見に行きますので絶対に勝って下さい!!天下無敵の黒森峰の10連覇、期待しているであります!!」

 

 

「うん、任せておいて秋山さん。次も必ず勝つから!」

 

 

お姉ちゃんがライバルと認めた安斎さんが率いるアンツィオは、此れまでの弱小校ではなくなってるだろうし、ペパロニさんも居るから簡単に勝てる相手じゃないと思うけど、私達は負けないからね。

 

 

予期せぬ休日で、予期せぬファンと出会ったけど、其れが逆に良かったかもね。――秋山さんのエールを受けて、闘気が高まったからね。

 

 

秋山さんとはそこで分かれて、其の後かねふくのめんたいパークに行って、とっても美味しかった辛子明太子と其れを使ったおつまみ各種をクール便でお母さんに送って、またアウトレットに戻ってクレープを堪能して、兎に角今日の寄港日は思い切り楽しませて貰ったよ。

 

そのお陰で次の2回戦も良いコンディションで行けそう!――絶対勝つよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:まほ

 

 

 

急な寄港が有った事が響くかと思ったが、2回戦のふたを開けてみればマッタク持ってそんな事は無かったな。

 

2回戦では試験的に遊撃隊の全車輌を投入したが、此れが巧い具合に働いてくれた――巧く相手を誘い、その上で撃破し、最終的には……

 

 

 

 

『アンツィオ高校、フラッグ車行動不能。黒森峰女学園の勝利です!』

 

 

 

「くそ……3年前の嫌な予感が現実になってしまったか……」

 

 

「まぁ、2回戦っすからねぇ……」

 

 

 

 

私に一騎打ちを挑んて来た安斎のセモヴェンテの横っ腹に、待機していた直下のヤークトパンターの一撃が炸裂してゲームエンド。

 

黒森峰の被害が0だったのを考えると完全試合と言えるかも知れないが、若しもアンツィオに強力な戦車が有ったらかなり苦戦しただろうな?

 

今回もみほの作戦が巧く嵌った結果だからね。

 

 

 

 

「だとしたらお前の妹は本気でトンデモないぞ西住?――ハッキリ言って、一昨年決勝戦で戦った時よりも強くなってるんじゃないのか?」

 

 

「かもな……こう言っては何だがみほには――否、私以外でみほに近しい者には成長限界がないからな――上を目指す気持ちがある限り、

 

 何処までも伸びる筈さ――其れこそ無限大にな。」

 

 

「なんだそれ怖い。――だがまぁ、私達に勝ったんだ、絶対に優勝しろよ?

 

 そうじゃないと、負けた私達が惨めになってしまうからな?」

 

 

 

 

そして何を言うかと思えば……当たり前の事を言うな安斎。

 

敗者の思いを背負うのは勝者の宿命だ――ならば私は、お前の思いに応えて優勝するだけの事だ!!

 

準決勝の相手は十中八九サンダースになるだろうが、誰が来た所で負ける要素は何処にもない!!――力の私と技のみほ、其れがガッチリと噛み合えば敵は無いからな!!

 

まぁ、今年のサンダースにはみほのチームメイトだったナオミが居る上に、副官のケイは優秀だから楽観出来る相手ではないけれどね。

 

 

だが、だからこそ燃えて来るじゃないか?――次の準決勝を楽しみにしているぞサンダース……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 


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