ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~   作:吉良/飛鳥

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いよいよ決勝戦……先ずは屋台巡りだね!Byみほ     取り敢えず何でその思考に至ったし?Byエリカ     みほさんの勘かも知れませんねBy小梅


Panzer93『決勝戦前に色々あるみたいです♪』

Side:みほ

 

 

決勝戦の舞台は、昨日までの大雨が嘘のような大快晴!これは、間違いなく小梅さんの渾身のてるてる坊主のおかげだって断言しちゃうよ。

まぁ、あの大雨のせいでフィールドコンディションは最悪かも知れないけど、天気が晴れって言うだけでも儲けモノだよ――フィールドコンディションが最悪な上に雨って事になったら、黒森峰にとっては不利どころの騒ぎじゃないからね。

 

「そう言う意味でも、あのてるてる坊主は無駄じゃなかったんだよ小梅さん!」

 

「アレだけ大量のてるてる坊主をこしらえた根気に敬意を表すると共に、よくやってくれたわ小梅……この快晴は、貴女が齎してくれた物よ。」

 

「えへへ……そう言われちゃうと照れますけど……でも此れで、雨の試合って言う最悪の状況は回避出来ました。

 フィールドコンディションが最悪なので、戦車の足回りが弱い黒森峰には若干不利なフィールドになってますけど、多少の不利は乗り越える物である――ですよねみほさん?」

 

 

 

うん、その通りだよ小梅さん。

多少の不利を乗り越えて、流れを掴む事が出来ないんじゃ一流とは言えないからね――寧ろ、このフィールドを利用してこそだと思うんだよね私としては。

 

 

 

「不利なフィールドをも利用するって、相変わらずぶっ飛んでるわねみほ?――だけど、私は好きよ、貴女のそう言う所って。」

 

「隻腕の軍神に死角なし!ですね、みほさん。――この戦いを制して、前人未到の10連覇を成し遂げましょう!私達の手で!!」

 

「うん、勿論その心算だよ。」

 

対戦相手のプラウダは、黒森峰に次ぐナンバー2と称されてる高校だから簡単に勝てる相手じゃないと思うけど、だからと言って負ける気もないよ――此処まで来たなら、世紀の大記録を達成したいからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer93

『決勝戦前に色々あるみたいです♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、試合の準備が出来てるとは言え、決勝戦が始まるまではあと1時間半ほどはあるから、適当に会場を見て回ろうか、エリカさん、小梅さん――ただ待つのも退屈だし。

 

 

 

「賛成ね其れは。

 こう言っちゃなんだけど、試合の準備が終わると暇だからね……試合開始までの会場巡りは、結構暇潰しになるのよ。後、試合前にリラックス出来る数少ない時間だし。」

 

「ですねぇ。

 天気が晴れてくれたおかげで屋台も一杯出てますし――と言うか、決勝戦は準決勝までと比べて人が多いので、アンツィオは確実に屋台を出してるでしょうから試合前の腹ごしらえも出来るでしょうし。」

 

「だね……って言うか本当にアンツィオは屋台出してるみたいだよ?戦車型の屋台が見えるから。」

 

そして、その屋台の前に作られた長蛇の列もね。

これはまた何時も以上に繁盛してるねペパロニさん?結構儲かってる?

 

 

 

「よぉ、みほ!其れに銀髪と天パ――じゃなくてエリカと小梅も!

 見ての通り大繁盛だぜ!黒森峰が10連覇を達成するのか、それともプラウダが其れを阻止するのかって、色々と話題の決勝戦だから観客も多くて、既に売り上げは準決勝の時の倍だぜ倍!

 まぁ、新メニューを追加したのも大きいかもだけどさ。」

 

「新メニュー?」

 

鉄板ナポリタン以外の新たなメニューって事だよね?

確かペパロニさんはパスタ――スパゲッティの専門だった筈だからそっち系のメニューだと思うんだけど……

 

 

 

「1回戦でみほ用に作った『鉄板ナポリタンパニーニサンド』を正式メニューにしたら、片手で食べる事が出来るってのが受けて大当たりしたんだよ~~!

 んで、さらに追加メニューとして『ピリ辛鉄板ナポリタンアラビアータ風』と、其れのパニーニサンドも出したらこっちも飛ぶように売れてさ~♪

 マジで笑いが止まらねぇ感じだって!――んで、ご注文は?」

 

 

 

へ?ご注文って言われても、私達ちゃんと並んでないんだけど?

 

 

 

「あぁ、大丈夫だって。

 本日は『決勝戦出場校の選手優先』でやってるし、ちゃんと札も出してるからな。」

 

「『アンツィオ高校の屋台は、本日は決勝戦出場校の選手優先で営業していますのでご了承ください』……確かに立て札立ってるわね。」

 

「此れだけデカデカと書かれてたら見落とす事は無いと思いますからね……」

 

 

 

ちゃんと事前に手は打ってたって訳か……まぁ、多分安斎さん改め、アンチョビさんが考えた事なんだろうけど。

でも、そう言う事なら遠慮なく注文させて貰おうかな?私はピリ辛鉄板ナポリタンのパニーニサンドをお願い♪あ、サイズはLサイズでね?

 

 

 

「私は安定の鉄板ナポリタンを麺盛り肉盛りオニダク(麺大盛り肉と玉葱大目の意)で。」

 

「私はピリ辛鉄板ナポリタンの麺盛りタマダブ(麺大盛り卵2個の意)で。」

 

「はいよ~~!

 オーダー、ピリ辛サンドL1、鉄板大盛り肉盛りオニダク1、ピリ辛大盛りタマダブ1。」

 

「Conferma d'ordine!(了解!)

 

 

 

で、私達のオーダーを聞いたペパロニさんは、屋台のスタッフと一緒に流れるような手つきで、瞬く間にオーダーの品を完成。――時間にして凡そ5分……ゆで時間の短いパスタを使ってるとは言え此れは見事だよ。

 

 

 

「へい、おまち!」

 

「此れはまた、何とも美味しそうな匂いだね?食欲をそそられるよ。」

 

「美味そうなんじゃなくて実際美味いんだっての。」

 

「うん、其れは分かってるよ。――其れで、お代は?」

 

「え~っと、その3つだと……鉄板ナポリタンが400円で、ピリ辛が500円で、ピリ辛サンドが450円だから……1350円だな。」

 

 

 

其れじゃあ2000円で。

あぁ、お釣りは要らないよ?……試合前にこんな美味しい物を食べさせて貰ったお礼料として受け取ってくれると嬉しいかな?

 

 

 

「リアルで『釣りは要らねぇ』のセリフを聞くとは思わなかったぜコンチクショウーー!!つーかみほ、お前マジで下手な野郎よりも男前過ぎ!

 差額650円を普通に寄付するって、ドンだけだお前!!」

 

「釣りは要らないか……一度で良いから言ってみたいわ。出来れば高級バーで飲んだ後にでも。」

 

「確かに言ってみたいですけど、其処で高級バーって言う発想が出てくるあたりがエリカさんらしいと言うか何と言うか――エリカさんて、そう言う店が滅茶苦茶似合いそうな人ではありますけど。」

 

 

 

カウンター席に座って、1人スコッチのロックを飲むエリカさん……何だろう、物凄く絵になる気がする。

お酒は、二十歳になってからだけど、想像しただけで可成り絵になってたから、本物のエリカさんが同じ事をやったら、88mm砲以上の破壊力があるように思えるよ……

 

兎に角、決勝戦は全力を出して行くから応援してねペパロニさん。

 

 

 

「おうよ!

 尤もお前が隊長を務めてる遊撃隊が居る限り、黒森峰が負ける事はねぇって思えるからな!勝って来いよみほ!!」

 

「勿論勝ってくるよペパロニさん!」

 

「屋台を運営しながらもオーロラビジョンから目を離さない事ね?――目を離したその隙に、試合が決まったって言う事も有るかもだし。

 私達黒森峰が、前人未到の10連覇を達成する瞬間を、その目に焼き付けておきなさいペパロニ!」

 

「おぉっと、気合十分だな?

 だが、其れ位の気合が無いとな!――魅せてもらうぜ、お前達の戦車道をな♪」

 

「うん、魅せてあげるよ、私達の戦車道をね。」

 

先ずはペパロニさんの屋台で腹ごしらえ、と同時にペパロニさんからのエールを貰って、やる気と気合がかなり充実してるのは間違い無いよ。

試合に於いて、やる気と気合がドレだけあるかって言うのは大事になって来るからね。

 

なんて事を考えながら会場をぶらついてたら……

 

 

 

「試合前に屋台巡りとは、余裕ねみほ?……尤も、常に自然体でいる事が、貴女の強さの秘訣なのかも知れないけど。」

 

「応援に来ましたわよみほさん!プラウダなんて、けっちょんけちょんにしちまってやってくださいですわ!!」

 

「ナオミさんにローズヒップさん!」

 

まさかのナオミさんとローズヒップさんとエンカウント!

若しかして、聖グロとサンダースも決勝戦を観戦に来てたりするの?

 

 

 

「もっちろんでごぜーますわみほさん!みほさんの大活躍を見逃す訳にはいかねーんですのよ!!」

 

「嘗ての戦友が、高校戦車道史に残る伝説を作る瞬間は、是非とも会場で生で見たいものね。――楽しみにしてるわよ、みほ。

 勿論、エリカと小梅もね。」

 

「はい、任せて下さい♪」

 

「えへへ、楽しみにしててね!」

 

って、エリカさんは?

大抵の場合、エリカさんが真っ先に反応する筈なんだけど……あ、成程エリカさんにはエリカさんのお客さんが来てたんだ――エリカさんのお姉さん、聖グロリアーナの隊長であるアールグレイさんが。

 

 

 

「いよいよ此処まで来たわね、エリカ?」

 

「えぇ、仲間と共にね。」

 

「仲間と共に……か。成長したわねエリカ。

 戦車道を始めたばかりの頃の貴女は、自分の力だけで勝っていると思っている部分があったけど……まほと出会って其れが変わった。

 そして、みほさんと出会い、貴女は仲間と共に戦う事を覚え、遂にはこの大会で私を越えた……だから、私に見せて頂戴。可愛い妹が、戦車道史に残る偉業を達成するその瞬間を。」

 

「了解。約束するわ姉さん――真紅の優勝旗を、必ず黒森峰に齎してみせる。皆と一緒に。」

 

「えぇ、楽しみにしているわ。」

 

 

 

あはは……まさか、他校の隊長さんにまで期待されるとは思っていなかったけど、だけどそう言う事なら余計に頑張らないとだよ!――期待を裏切るのは、一番嫌いな事だしね。

……尚、ちょっと聞こえて来た会話から、アールグレイさんがダージリンさんの煽り耐性の低さを克服するために、色々な精神修業を半ば強制的にさせてるらしいけど大丈夫かなぁ?

……座禅1時間は兎も角、『大抵の人がムカつく語録耐久1時間』ってダージリンさん的には拷問に近いんじゃ……そしてなぜだろう、此の荒行を熟したダージリンさんが、途轍もなく人の神経を逆撫でする人になる予感がするのは……うん、気にしたら負けだね。

 

兎に角、勝って来るから期待しててね、ナオミさん、ローズヒップさん!

 

 

 

「期待してますわよみほさん!プラウダなんて軽くひねって、逆シベリア送りですのよ~~~!!」

 

「ま、貴女達が負けるとは思わないけど、昨日の豪雨でフィールドコンディションはお世辞にも良いとは言えないし、川も可成り増水してる筈だから、其処は気を付けなさい。」

 

「Ja.了解です。」

 

確かに昨日の大雨で土のフィールドは可成りぬかるんでるだろうし、川面増水してるだろうからね――特に、川には要注意かな?お正月に引いたお御籤にも『水難の相あり』って書いてあったし。

場合によっては川沿いを通る事になるかも知れないから、最大級の警戒をしておいた方が良いかも知れないね。

 

ナオミさんとローズヒップさんのエールを受けた後には、知波単の西さんがエリカさんを激励に来てたね。

確か西さんは、中学時代に安斎さんから愛和学院の新隊長に任命されて、去年の中学大会の準決勝でエリカさん率いる黒森峰と激戦を演じた程の戦車乗り――ライバルの激励に来るのは当然かな。

……何故か、私の方にまで突貫して来たけど。……一昨年の決勝戦では戦ってる訳だから、覚えていてくれたのかもね。

 

さて、両校の整列までもう少しあるけど……

 

 

 

「西住殿!逸見殿!赤星殿~~~~!!」

 

 

 

ん、この声は……と言うか私達をそういう風に呼ぶのは――

 

「「秋山さん!?」」

 

「秋山!?」

 

「いやぁ、試合前にお会いできてよかったです!

 不肖、秋山優花里、黒森峰の三連超新星の活躍をその目に焼き付ける為に馳せ参じました!」

 

 

 

其れはまたお疲れ様と言うかご苦労様と言うか、茨城からだと結構遠いと思うんだけど、大変だったんじゃないの秋山さん?――少なくとも陸路で来るなら5時台の特急に乗らないと無理だよね?

 

 

 

「無理です。なので茨城空港から空路で来たでありますよ!

 いやぁ、学園艦が大洗に1週間停泊すると言うのはとても運が良かったとしか言いようがありません!そのお陰で、こうして戦車道の歴史に残る伝説が生まれる瞬間に立ち会う事が出来るのですから!」

 

「興奮するのは良いけど、まだ私達が勝つと決まった訳じゃないわよ秋山?」

 

「何を仰いますか逸見殿!

 西住殿率いる遊撃隊を有する黒森峰が負ける確率など、年末ジャンボで前後賞合わせての一等当選するよりも低確率です!

 基本的には奇策搦め手上等でも、攻めるべき場面では正統な西住流で攻め立てる隻腕の軍神に、西住流以上の苛烈で攻撃的な戦車道で相手を食い破る銀の狂狼、敵味方問わず戦況の綻びをつぶさに見つけ出す慧眼の蒼隼!

 此れだけの戦車乗りが揃って居るんです!負ける筈がありません!」

 

「……みほは兎も角、私と小梅の二つ名が何か進化してない?……てか、狂狼ってなに?」

 

「蒼穹隼から、慧眼の蒼隼……厨二力はどっちが上なのか悩む所ですね此れは……」

 

 

 

エリカさんは、狂犬よりも苛烈で攻撃的って事で『狂狼』。小梅さんは、勘の良さから『慧眼』の名を冠する事になったんだと思うよ?――だとしても、私の『隻腕の軍神』以上の厨二力は無いと思うけどね~~……まぁ、この二つ名は嫌いじゃないから良いけど。

 

 

 

「因みに隊長の西住まほ殿は『冷徹にして冷酷な黒将軍』と言われてます。」

 

「「「上には上がいた!?」」」

 

 

ま、まさかお姉ちゃんにそんな二つ名がついてるとはね……まぁ、戦車に乗ってる時のお姉ちゃんは、確かにちょっと見にはクールで冷たい印象を受けるし、表情もあまり変わらないからそう思われても仕方ないのかも知れないけどさ。

 

 

 

「序に、遊撃隊の直下殿と狭山殿には、『THE履帯子』や『帰って来た初代タイガーマスク』と言う二つ名が……」

 

「「「安定のネタ、ありがとうございます!」」」

 

 

まぁ、直下さんは履帯が切れるし、狭山さんは名前が名前だから仕方ないのかも知れないけどね……。

だけど秋山さん、態々茨城から応援に来てくれたんなら、その思いには応えるよ――私と、エリカさんと、小梅さんのファンだって言う貴女に最高の試合をプレゼントするから。

 

 

 

「マジでありますか西住殿!!」

 

「マジだよ秋山さん?……其れに、西住流は嘘は吐かないがモットーだから。

 試合中のブラフやハッタリはOKだけど、それ以外での嘘や虚言は御法度だからね……最後まで見て行ってね秋山さん?」

 

「は、はいであります!!」

 

 

 

「……秋山は落ちたわね?」

 

「はい、落ちました――まぁ、私とエリカさんが言えた義理じゃありませんけど。」

 

「ホント、みほってば天然の人誑しだわ……だからこそ、私も惹かれたのかも知れないけどね……」

 

 

 

え~~と、何の話をしてるのか分からないけど、そろそろ整列の時間だから行くよ、エリカさん、小梅さん。

整列に遅れたら、其れこそ黒森峰の恥さらしになっちゃうし、何よりもプラウダの人達に無礼極まりないからね?――戦車道の二大流派の一本の娘として生まれて、戦車道をやってる以上、礼を失する事は出来ないと思うからさ。

 

武道は礼に始まり礼に終わる、これが基本だからね!

 

因みに、この後で、応援に来てくれてた梓ちゃんとクロエちゃんとも会ってエールを貰ったから、これは絶対に負ける事は出来ないよ!!

10連覇の偉業、果たさないとだね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――みほ達が会場をぶらついていたのと同刻

 

 

 

Side:まほ

 

 

整列まではまだ時間があるので、凛と天城さんを誘って会場内をぶらついていたのだが、安斎が切り盛りしてるアンツィオの屋台を見つける事が出来たのは運が良かったな?

丁度試合前の腹ごしらえをしたいと思っていたので、安斎お勧めの『牛筋カレーピザ』を注文したんだが、これが中々に――と言うか極上レベルに美味だった。

此れまでピザと言えば冷凍品かデリバリーで頼んだ物しか食べた事が無かったのだが、安斎のピザを食べた今では、今まで食べて来た物はピザの名を冠した別物にしか思えんぞ本気で!

クリスピーとクラフトの中間とも言える、パリパリとふわふわの両方を併せ持つ独特の生地に、スパイスの利いた牛筋カレーをたっぷりと塗り、更にゴーダ、エダム、チェダー、モッツァレラの4種のチーズをトッピングして深い味わいとコクを演出するとは……見事だ安斎!

 

 

 

「そうだろそうだろ!お前はカレーが好きだって聞いてたから、カレー好きのお前に満足して貰えるようなピザを作ってみたって訳だ!!

 試行錯誤を繰り返したが、気に入ってくれたのなら何よりだ。」

 

「まほだけじゃなくて、私と天城さんもびっくりよ――こんなに美味しいピザ食べたのは生まれて初めてだわ安斎。」

 

「これを食べたら、冗談抜きに市販のピザは食べられなくなるわ。」

 

 

 

そして私だけじゃなく、凛と天城さんも高評価だからな――こう言っては何だが、そのピザを調理済みの冷凍品にして全国販売したらどうだ?

ネット販売すれば間違いなくバカ売れだと思うぞ私は?

 

 

 

「む、その考えはなかったな?……確かにアンツィオが誇る『食』をネットで全国展開販売すれば、資金が潤うかもしれん――此れは、真面目に検討する必要があるか。

 んん!其れはまぁ其れとして、決勝戦は絶対に勝てよ西住?お前は、私がずっと目標にして来た戦車乗りなんだ、私以外には負けてくれるなよ?」

 

「ふ、言われるまでもないさ安斎。」

 

そもそもにしてお前は私を誰だと思っている?

現黒森峰の隊長にして、西住流の正統後継者である『西住まほ』だぞ?――今の日本で私を倒す事が出来る戦車乗りが居るとしたら、お前とみほ位のものさ。

だが、お前は2回戦で倒したし、そもそもみほは黒森峰だから、最早今大会に私を止められる相手など居ない――プラウダの準決勝までの試合をビデオで見たが、戦車の性能に助けられてる部分も見られたからね。

尤も、その中でも格段に良い動きをしていたT-34/76と命中率100%とも言える撃破をしていたIS-2は警戒しておくべきだろうがな。

 

尤も、其れでも負けんよ。

剛の私と、柔のみほが揃ったその時に、真の西住流が発動し、発動した真の西住流の前に敵は無い――お母様と菊代さんが本気を出したその時は、誰も勝てなかったらしいからね。

 

 

 

「良い気合いだな西住!ならやっちまえ!総帥アンチョビが許可する!!」

 

「アンツィオの総帥殿の許可が出たのならば、其れには応えなばな。」

 

ふふ、最高のエールだな安斎、もといアンチョビ。

最高のライバルにして友からのエールと言うのは思った以上に力になるみたいだしな――最早余程の事がない限り、我等黒森峰が負ける事は有り得ん。

私の首を狩る心算でいたのだろうが、生憎と私の首をやる心算は毛頭ないのでな……逆に貴様等の首を貰うぞプラウダ。

 

私とみほの織り成す『真の西住流』の前に、潔く燃え尽きるが良い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

決勝戦は両校の整列時間になり、審判の前には黒森峰とプラウダの隊長と副隊長が並ぶのだが、今回は少し何時もと様子が違った。

黒森峰サイドには隊長であるまほと、副隊長の凛だけでなく、遊撃隊の隊長であるみほと、遊撃隊の副隊長であるエリカの姿があり、一方のプラウダの方は、隊長であるメドヴェージョワと副隊長のカチューシャだけでなく、長身の副隊長補佐のノンナが居たのだから、何時もと様子が違うのは当然だろう。(ノンナに関しては、超低身長のカチューシャを肩車する為に来た可能性が否定できないが。)

 

 

「黒森峰の隊長、西住まほだ。今日は良い試合にしよう――折角の決勝戦だからな。」

 

「Конечно,она будет Maho.(勿論その心算よまほ。)最高の試合にしましょう。」

 

 

 

「ふぅん?

 噂の遊撃隊長がドレだけなのかと思ったけど、隊長に比べたら覇気が小さいわね?そんなんじゃカチューシャに勝つ事は出来ないわ!!」

 

「へぇ言ってくれるじゃない?……だけど此れを見てもそんな事が言えるかしらね?……みほ!!」

 

「軍神招来!てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

「んな!?な、何横の覇気は!?」

 

 

「これぞみほさんの本気です。本日は『上杉謙信』がインストールされました。」

 

「加えて『宮本武蔵』もインストールされてね?」

 

「トドメに『スサノオ』がインストールされたっポイ……うん、負ける気がしない。」

 

 

三者三様と言うか何と言うか、試合前の礼に出て来た夫々の間で、色々なやり取りが成されていたのは間違いない様だ……みほ達の方が、少々カオスになったのは否めないが。

 

だが、これで両校とも闘争心がマックスになったのは間違いないだろう。

 

 

 

「此れより第62回全国高校戦車道大会の決勝戦、黒森峰女学園対プラウダ高校の試合を開始する。お互いに、礼!」

 

「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」

 

 

挨拶の後には20分のブリーフィングタイムが設けられているが、挨拶をしたその瞬間から試合は始まっていると言っても過言ではない。

つまり、挨拶と同時に第62回全国高校戦車道大会の決勝戦は始まっているのである。

 

 

「西住流は勝利のみを求める流派ではないが……今日は勝ちに行くぞみほ?」

 

「うん私もその心算だよお姉ちゃん。」

 

 

そして最後のブリーフィングに向かうみほとまほは互いに拳を合わせて決勝戦での勝利を誓う。――みほとまほ、西住姉妹が揃った黒森峰であれば、其れは決して不可能な事では無いのだから。

 

 

――決勝戦の試合開始まで、あと20分…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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