「穂乃果!どうしてあなたはいつもこうなのですか!おっちょこちょいにも程があります!私が昨日あれほど注意して、電話でも話したじゃないですか!」
「えへへ…ごめ〜ん」
海未ちゃんに怒られ始めたのはいつからだろう。知り合ったのは小学生の頃だし、その時はことりちゃんも一緒に3人で遊んでた記憶しかないしきっと中学生の頃かな?高校受験前はみんなでたくさん勉強したな…。ことりちゃんも海未ちゃんも音ノ木坂は普通に受かっちゃうレベルだったけど穂乃果だけピンチだったからね…。
「もう、次はないですよ!私が教室に帰ってきてからお説教です!!」
今日提出の課題を解いたノートを置いて、海未ちゃんはどこかへ行ってしまった。最近弓道部が忙しいって言ってたし、弓道部の子の所かな?
ありがたやありがたや…と心で唱えつつ私は海未ちゃんのノートを写していく。海未ちゃん字も綺麗だし穂乃果のノートと見比べてみても同じことが書いてあるとは思えないや、あはは…。でもそんな完璧な海未ちゃんを毎日見てるとふと思うことがあるの。
海未ちゃんって欠点あるのかな?
いつもパーフェクトな海未ちゃんだけど、欠点や弱点の1つくらいあってもいいよね!考えれば考えるほど気になって仕方がないから私は課題写しを途中でやめ、教室を飛び出した。
「絵里ちゃーん!希ちゃーん!」
まずやってきたのは生徒会室。μ'sのお姉さんの2人なら海未ちゃんの欠点を知ってると思うし!
「あら穂乃果、どうしたの?」
「なんかあったん?」
「いやー2人に海未ちゃんの欠点を聞きたくて!」
私のその問いかけに2人は顔を見合わせて笑った。
「それは穂乃果が1番よく知ってるんじゃないの?」
「そうやね、穂乃果ちゃんとことりちゃんが1番付き合い長いしなぁ」
言われてみれば確かにそうだよね…。小学校からずっと一緒だし、普通に考えたら穂乃果が1番知ってなきゃいけないよね…。
「そっか…ありがとう!じゃあことりちゃんの所行ってくる!」
私は生徒会室を飛び出し、ことりちゃんのいる保健室に駆け出そうとした。
「あっ穂乃果ちゃん!」
「なになにー?」
希ちゃんに呼び止められ私は振り返る。希ちゃんはニヤニヤしながら近づいてきて手を招いた。私は言われるままに耳を貸した。
「海未ちゃん、脇腹のこちょこちょ弱いで…ニシシ」
「そ、ソウナンダ…」
海未ちゃんにこちょこちょなんてしたことないから気づかなかった…。でもそんなことしたらすぐ愛のムチ打たれちゃうから穂乃果はできないけどねっ!
ガラガラ
「こっとりちゃーん!」
私は生徒会室を後にし、ことりちゃんのいる保健室にやってきた。保健室のにおいってちょっと苦手なんだよね…。湿布とかキズぐすりのにおいが混ざって変な感じ。
「穂乃果ちゃん!どうしたの?もしかして具合悪いの?」
保健室にはことりちゃん1人だった。私が保健室に行かなさすぎるからかもしれないけど、保健室に保健委員の子以外の子が居るの見たことないな。ことりちゃんは優しく声をかけてくれたけど、今穂乃果は元気いっぱいなのです!
「そういう訳じゃないんだ!ねぇことりちゃん!海未ちゃんの欠点って知らない?」
ことりちゃんは少しホッとした顔をし、苦い笑いしつつうーんと唸っている。
「でも、穂乃果ちゃんの家のまんじゅうには目が無いよね・・・」
「たしかに・・・」
やっぱり天下の海未ちゃんもおいしいものにはかなわないのかなぁ・・・。もう穂乃果は飽きちゃったんだけどね!よく海未ちゃんは飽きないなぁ。もうかれこれ5,6年は食べてると思うんだけど・・・。
「他にはない??」
「うーん、もう見当たらないや。海未ちゃんなんでもできちゃうもんね!」
「そうだよね・・・ありがとう!またくるね!」
そう言って私は保健室を後にした。次の心当たりと言ったら一年生かにこちゃんだよね。ここから近いのは一年生の教室だし、とりあえず向かってみよう!
「あっ穂乃果ちゃんだにゃ!」
「ほんとだ穂乃果ちゃん!」
1年生の教室へ向かう途中で花陽ちゃんと凛ちゃんに会った。2人は移動教室なのかな?
「花陽ちゃんに凛ちゃん丁度いいところにー!」
凛ちゃんは頭に?を浮かべたような顔をした。
「?? 穂乃果ちゃんは凛たちになにか用かにゃ?」
「うん!ねぇねぇ凛ちゃん花陽ちゃん、海未ちゃんの弱点とか欠点って知らない?」
「…海未ちゃんの…弱点?」
花陽ちゃんはそう言って考えている。あれ?凛ちゃんは?
「凛ちゃんどこいくの!」
私は忍び足でその場を逃れようとしていた凛ちゃんの方を掴んだ。
「にゃあああああああ!離すにゃあああ!!」
「分かったからじたばたしないでよ!何か海未ちゃんの弱点で知ってることがあるの?」
「知ってるも何もその話題は凛のトラウマにゃ…」
凛ちゃんのトラウマ…?過去に海未ちゃんの弱点の事でひどいめにあったのかな…。でも海未ちゃん怒るというか無意識の時が1番怖かったりするんだよね。ほら、合宿した時の枕投げとか…。
「凛ちゃんなにかされたの?」
「うん…あれはユニット別で練習している時のことにゃ…」
花陽ちゃんが心配げに凛ちゃんに聞くと、凛ちゃんは暗い顔で話しだした。
♢♢♢
「ここで一旦休憩にしましょう。私はお手洗いに行ってきます。」
「はいよ〜」
「疲れたにゃ〜…」
凛は希に抱きつきながら全身の力を抜いた。
「そうやなぁ。あ、そうだ!」
「どうかしたのかにゃ?」
「凛ちゃんが元気になりそうなこと教えてあげよっか…ニシシ」
「なになに!?教えてー!」
希は手招きをし、凛の耳を借りて内緒話でこういった。
「実は海未ちゃん、脇腹のこちょこちょにめっぽう弱いんよ。それでめっちゃ面白い反応するから試してみ…」
「おぉぉ気になるにゃ!早速帰ってきたらスキをついてみるにゃ!」
「お待たせしました」
数分後海未が教室に戻ってきた。凛と希は何食わぬ顔をしている。
「さぁ練習を再開しましょう。先程のステップの復習からです。位置についてください。」
「はいよー」
海未の指示通りに希は自分の立ち位置へ歩き出す。その希の背中に隠れていた凛が飛び出した。
「海未ちゃん、覚悟にゃあ!!」
凛は持ち前のスピードで海未の背後に着く、その両手は海未の脇腹に…
「それーー!こちょこちょ攻撃にゃ!」
「…凛、何をしているのですか?」
「え…あれ?あれれ…?」
凛は唖然とした表情で希の方を見る。希はいわゆるてへぺろという表情で凛を見つめていた。
「私、これから練習再開しますって言いましたよね…?」
「はい…」
「それヲあなたはナニヲふざけているというのデスカ…?」
「あわわ…海未ちゃんの口調がだんだん怖くなってきたにゃ…」
「お仕置きです!!」
海未の手刀が凛の首元に直撃した。
「うぐっ…」
「恐ろしく早い手刀…ウチでなきゃ見逃してるわ…」
♢♢♢
「なんて事があったのにゃ…」
「ちょっと待ってそれ穂乃果も希ちゃんに耳打ちされた!」
「じゃあ穂乃果ちゃんも凛ちゃんと同じような目にあってたかもしれないんだ…」
「希ちゃんは怖いにゃ〜…」
凛ちゃんは大きく肩を落とした。ってか危ない!実に危なすぎるよ!希ちゃん穂乃果に協力してくれたと思ったのに思いっきりはめようとしてるじゃん!海未ちゃんの恐ろしく早い手刀って…ただの怪我じゃすまないよ病院送りだよ…。
「穂乃果も気をつけるよ…二人ともありがとう!またね!」
凛ちゃんと花陽ちゃんと別れた。うーんあとは真姫ちゃんとにこちゃんかぁ…。二人共どこにいるかの検討はつくし、時間ももう少しあるから二人に会いに行こう!
ガラガラ
「失礼しまーす!あ、やっぱりいた!真姫ちゃん!」
「穂乃果じゃない、どうしたの?わざわざ音楽室まで来て」
「いやーそれが海未ちゃんの弱点を探しててさ…あははー」
「また何か企んでるのね…」
真姫ちゃんはジト目でこちらを疑い深く見てくる。まぁ当然だよね…
「お願いします!このとーりっ!」
穂乃果は膝をつき、真姫ちゃんを拝んだ。真姫ちゃんは足を組んで髪をクルクル巻きつつうーんと唸っている。少し待つと真姫ちゃんの口が開いた。
「無いわね」
「いやないんかーーい!!」
いかにもありそうな感じで悩むし時間も引っ張るから思わずツッこんじゃったよ…。やっぱりいい手がかりはないのかなぁ…。
「やっぱり頭のいい真姫ちゃんの洞察力でも見抜けないか…」
「それ、関係ある?」
その後二人で少し悩んだけどやっぱり結果は同じだった。海未ちゃんの苦手な食べ物とかは分かるけど弱点ってなると全然出てこないんだね…。もっとこう弱みみたいなのはないのかな…怒ったら金髪になって戦闘力が何倍にでも上がるとか。それはむしろ弱点どころか強みだよ…。今の海未ちゃんが何倍も強くなったら穂乃果地球に住めないよ…。
「うーん、ありがとう!とりあえず他の人に当たってみる!」
「わかったわ」
私は音楽室を出て、にこちゃんがいるであろう部室へ向かった。大体にこちゃんって休み時間は部室にいるよね。ずっとアイドルのこと調べてるみたいだし研究熱心ですごいな。穂乃果も見習わなくっちゃ。
「にこちゃーん!」
「穂乃果じゃない、珍しいわね。どうかした?」
「うん!にこちゃんって海未ちゃんの欠点とか知らない?弱点とか!」
「アンタも懲りないわねぇ…」
パソコンでなにか作業してるみたいだったけど、にこちゃんはパソコンから離れ、長テーブルの椅子に座り腕を組んだ。顔を俯かせて軽く唸りながら考え込んでいる。なんか某眠りの探偵に似てるよね。いきなり誰かに麻酔針でもさされたのかな?でも、にこちゃんが探偵ってあんまり想像出来ないな…
「今私になにか失礼な事考えてたでしょ」
「ううぇ!?そんな事考えてないよ!」
「真姫みたいな動揺っぷりね…バレバレよ」
「別にそこまで失礼な事じゃないんだけどな…」
「まぁいいわ、海未の欠点や弱点よね。ひとつだけ心当たりがあるわ」
「ほんと!?なになに!?」
私は目を輝かせてにこちゃんに近寄った。にこちゃんは神妙な顔をし、部室の扉を開けて周りを確認した。メンバーが誰もいないのを確認すると元の席につき、コホンと咳払いをした。
「海未ってね、セクシーに弱いのよ」
「せ、せせせせせセクシー!?!?」
セクシーってあのせくしーだよね?英語でsexyって書く…読み方どれも変わんないか。確かに最初にことりちゃんと3人でライブした時もスカートの長さには厳しかったなぁ。
「そう、海未が毎回スカートの長さに厳しいことは気づいてるでしょ?」
「うんうん」
「この前のテストの時私勉強が危うくて海未にみっちり指導を受けてたのよ。それでどうしても勉強したくなくてね、ちょっとセクシーポーズしたら顔真っ赤にして出てったわ。」
「そ、そんなことが…」
「やっぱりぃ…このにこにーの美貌はム テ キってことね!」
なるほど…海未ちゃんいつもセクシーな事は未然に防ぐタイプだから知らなかったけど、実際に目の当たりにするとそんな反応がするんだ!よーしいいこと聞いた!これで穂乃果も海未ちゃんのお説教脱出できるよ!まぁ、どっちかと言うと海未ちゃんが出ていく方なんだけどね、はは…。
「にこちゃんありがとう!今度ジュース奢るよ!」
「これくらい大したことないわy…ってかアンタ奢るんじゃなくて一昨日のアイス代返しなさーい!」
「お小遣い入ったら返すからー!!」
そういって私はにこちゃんを振り切り教室へ戻った。昼休憩もあと数分、そろそろ海未ちゃんが帰ってきてもおかしくない時間だね…。あ、海未ちゃんだ!さっきと一緒で目付きが怖いなぁ…
「穂乃果、課題は終わりましたか?」
ふっふっふ…そんな怖いお説教オーラを出してても怖くないもんね!にこちゃんの必殺技でお説教回避だ!
「海未ちゃん…」
私は甘い声を出して海未ちゃんを上目遣いで見つめる。足をクロスさせてさらにセクシー度を上げていく。
「…」
海未ちゃんの顔が赤くなってく!これは効果あり!あともう一押しして海未ちゃんを爆発させよう!
「綺麗な手…」
私は海未ちゃんの左手を両手で握っt
パシン
私が差し伸べた手は握ろうとしていた海未ちゃんの左手に弾かれた。
「え…あれ…?」
海未ちゃんの顔が更に赤くなった。もしかしてさっきから赤くしてるのは照れてるからじゃなくて…
「ほーーのーーかーーー!!!!!」
「ハイィィィィィ」
「なにが「海未ちゃん…綺麗な手…」ですか!課題は終わったんですか?ちょっとノートを見せなさい!」
「え、あ、ちょっと!」
海未ちゃんは軽く強引に私のノートをとった。もちろん私はみんなから情報集めをしていたから課題なんて進んでいるはずがない。あ…なんか穂乃果のノートみてプルプルしてる…
「なぁんですかこれは!全然進んでないじゃないですか!一体これまで何をやっていたのですか!?」
「いやぁ…あはは…」
「どうせ課題に飽きて遊びに行っていたんでしょう!?あなたはこれだからいつもいつも…
やっぱり海未ちゃんには敵わないや…
タイトルから「海未ちゃん回だ!」と思った方すみません…穂乃果ちゃん回です。
前回まで読んでくださってる方ありがとうございます。あとがきにて僕への風評被害がありましたが諸々フィクションなので信じないでくださいねっ☆
さてさて1周目ラストを飾るのはkalmiaの白いお姫様にゃむろっとさんです。また来週辺りに投稿すると思いますので前回までのみょんきちさん、ゐろりさんのお話も合わせてよろしくお願いします。