折を見て修正したいと思っています。本当にすみません ⤵⤵
気が付くと真っ暗な空間に俺は1人で座っていた。
目の前には古い映写機がひとつ置いてあるだけで、そこから永遠とノイズ混じりの映像が流れている。
あ、これは夢だな、と俺は思った。こういうのって明晰夢っていうらしい。勉強になったかい?
これはいつもの夢、いつもの空間、いつもの映像。
なぜか俺はなにかに負けて気を失うと、このくそったれな夢をみる。何かの病気かな?
映像をみる。すでに何度も何度も繰り返し見たものだけれど、他にすることもないので仕方がない。
そこに流れていたのはよくある物語。
悪役がいて、かわいそうなヒロインがいて、右手に不思議な力をもった主人公がいた。
最後は主人公が敵をぶん殴って、助けたヒロインといちゃいちゃしたりする、まさに勧善懲悪な話だった。俺としてはジャンプっぽくって嫌いじゃないけど、ひとつ気に入らない点がある。
それは、主人公が俺とそっくりということだ。
でもそれは見た目だけ。俺は右手にあんな不思議な能力がなければ、熱い正義感も持っていない。なによりこの主人公みたいに勝ったことなんて一度もない。
俺とは見た目以外、何もかもちがった男。だから気に入らない。まるで俺が至れなかったもしもの可能性というやつを見せられている気分になる。
「◼◼◼◼っつうんだったら!」
ちょうど今、主人公が敵を倒すシーンになっている。 きっとここでいつもの決め台詞をいうつもりだろう。
だっさいセリフだなーと思う。
でもそれ以上に
「その幻想をぶっ殺す!」
格好いいなあっておもっちまう。
チクショウ。ああ、
「『また勝てなかった』」
ひどい夢を見させられていたが、額に当たる冷たい感覚が俺の意識を覚醒させた。
最初に目に映ったのはぼろぼろの木造の天井と、おしぼりを握って心配そうに見ているインデックスちゃんの姿だった。
「とうま! 気がついたの!?」
俺が目を覚ましたことに気づいたインデックスちゃんはパッと顔を明るくさせた。
「もー、心配したんだよ! あれから戻ったら大きな穴が開いてたし、とうまは見つからないし、こもえに相談しようと帰ってみたらぼろぼろのとうまがドアの前に転がってたし。なにがあったの!?」
どうやらインデックスちゃんは無事だったらしい。まあ、彼女の話を信じるなら余計な危害を加えることは、彼らにとっても本意ではないんだろうけど。
インデックスちゃんから話を聞くとあれから数日たっているみたいだ。そんなに俺は寝ていたのか…どんだけ強く殴ってんだよ神裂さん。キス1つでやりすぎだろう!
そしてその間インデックスちゃんはというと、俺が神裂さんに殴られて気絶させられてから、ずっと看病していたようだ。
バカなこだ。そんな事したって無意味だ。だって怪我だって痛みだって目が覚めたらすぐになかったことできるんだから。
さて、何をしていたか、か。
うん、それはもちろん。
「『魔術師と戦っていたんだよ』」
「やっぱり! とうまは一応一般人なんだから戦うなんて駄目なんだよ! すぐに逃げないと!」
「『その点は大丈夫さ』
『実はその魔術師さんとは話し合いをしたんだ』
『確かに最後はちょっとした不幸が起きて殴られちゃったけど』
『もう彼らとは敵じゃない』」
「…本当?」
あ、これはぜんぜん信じていない顔だ。ひどいな。俺が君にうそをついたことなんてないっていうのに。
「『本当さ』
『俺たちには色々誤解があったが最後にはわかり合えたんだ』
『そう』
『君という人間を殺そうってね』」
「え!?」
インデックスちゃんが驚いた表情をしている。いきなり殺すなんて言われたら誰だって同じ反応をするだろう。
これについても嘘なんかじゃない。神裂さんは返答しなかったが、時間の問題だ。だって俺が提案した方法が一番平和的で理想的な方法なんだから。彼女たちに他の選択肢なんてものはない。さんざん迷って、いじいじして、そんでもってなんか適当に自分に言い訳してから俺に頼みに来ることになるんだ。
本当はインデックスちゃんにばらしてから、混乱しているところに色々吹き込んで、彼女を弱らせてやろっかなーて考えだったんだが…やめた。
さっきの下らない映像を見せられたせいかなんだかヤル気がなくなっちゃった。
さてこれからどうしようか?
………考えても思い付かない。普段なら1つ2つすぐにいい案思い付くのに。やっぱり今の俺は絶不調だった。
ハア。もういいや。めんどくさい。
「『……………逃げなよ』」
「え?」
「『逃げたらって言ってるんだ。』
『死にたくないだろう?』
『俺は追ったりなんかしやしないし』
『魔術師たちに見つからないように逃がしてあげる』」
インデックスちゃんはじっと俺の目を見つめながら無言で聞いている。大丈夫。これは本当さ。もう君なんかに興味はない。どこへなりとも逃げればいい。
いつも魔術師たちからしていたように。
そして、あの日俺の部屋から逃げたように。
どーせ君はそれぐらいしかできないんだから。
「『そろそろ魔術師たちがやって来ると思うよ』
『さあもう時間がないぞ』
『さっさと身支度でも整えたらどうだい?』」
考えるまでもない話だ。
インデックスちゃんは強い。だけどなんの力ももたない強いだけの女の子だ。彼女にできることはただそれだけのはずだ。
「とうま!」
だけど
俺を何度も倒した少女は、やっぱりここでも迷いにない目で
「ううん。私はもう逃げないよ。だって、言ったでしょ? 私はとうまから離れない。とうまが何かやろうとしたら絶対に止めてみせるって」
きっぱりとこういった。
本当にバカなこだ… そんな覚悟に意味なんてない
「『インデックスちゃん…』
『君にできることなんてなにもない』
『君がこれまでに俺を止められた何て思っているんだろうけど』
『あんなものすべて俺の気まぐれさ』
『君にそんな力なんてない 』」
「確かにそうかもしれない。でも、それは諦める理由にはならないんだよ。」
「『これが最後だ』
『逃げなよ』
『そんな意味も価値もない覚悟 俺がなかったことにしてあげるから』」
「いや。それに魔術師がここに来るっていうんなら、とうまにもこもえにも迷惑がかかる。私がおとなしくしてれば、二人に危害を加えることはないんだよ」
インデックスちゃんは本当に頑固だ。一度決めたらなにがあっても曲げようとしない。
「『聞きわけが悪いね』
『それは勇気じゃない 蛮勇だ』
『君がさっきから言っていることはただの綺麗事さ』」
実際インデックスちゃんが残ろうと残るまいと結果は変わらない。もし、逃げればインデックスちゃんは彼女自身の能力によって脳がパンクし、死ぬだろう。残っても彼女という人格は死ぬ。俺が殺す。
そう、すべては綺麗事。
だけど、次のインデックスちゃんの言葉は俺にとって完全に予想外なものだった。
「綺麗事でもいい。それともとうまは綺麗事が嫌いなの? 」
「『……え?』」
「違うよね。だってとうまは私が覚えている、ううん。きっと記憶がなくなる前に見た誰よりも、綺麗好きな潔癖症な男の子なんだから」
「『………………』」
声がでない。
ああ、そうだ。これがずっと勝ちたい、屈服させたいって思ってた彼女の強さなんだ。最初から俺みたいな過負荷が勝てるわけがなかった。
「もー、いったいどうしちゃったのとうま? 確かにとうまが変なことをいうのはいつものことだけど、いつものとうまなら10倍にして返して私をいじめるんだから!」
いつまでも黙っている俺を不自然に感じたらしく、インデックスちゃんはそんな勝手なことをいってくる。
「私に言い負かされるなんてらしくないよ! いつも自分の勝ちにこだわっていたとうまはどこにいったの?」
言い負かされる…そうか、俺はまた負けたのか…
「『インデックスちゃん』」
「ん?」
「『俺はいつだって勝ちたいと思っているよ』
『でもさ勝ちたいと勝てるは全然別物なんだよね』」
策を講じても、不意をついても、弱点を狙っても俺は勝てない。神裂さんのときもそうだ。あと一歩で勝てるところまでいったのに、その一歩でつまずいて負けてしまった。今度は不運という人の力ではどうしようもない力によって。
例え不運と敗北の星のもと生まれようが、頑張れば、いつか勝てると思っていた。でも、それは自分で言ってたように幻想に過ぎなかったとようやく心から理解した。
「『所詮、過負荷はプラスなやつらに敵わないんだ』
『そもそもあいつらはきっと勝ちたいとさえ思っていない』
『インデックスちゃんだって本当は俺が勝てるなんて思っていないんだろ』
『それに…』
そこまでいったところでインデックスちゃんが俺に近づく。ただでさえ近かった俺たちの距離はもうほとんどない。完全に互いの体がくっついている状況だ。
ぽぎゅっ!
インデックスちゃんは俺の頭を両手で抱えて持ち上げると、自分の胸に押し当てた。インデックスちゃんの体温と、安全ピンの冷たくて硬い感触が肌に伝わってくる。
「ねえ、とうま。この服は『歩く教会』っていうんだよ」
「『……だからなにさ?』」
「教会はさ迷える子羊に無償の救いの手を差し伸べるのです。なので今、とうまは教会の手で保護されました。教会はどんな人間の告白も受け止めます」
「『…………………』」
「教えて、とうま。格好つけずに。括弧つけずに。 あなたの本当の気持ちを」
優しい声だ。いま彼女はどんな顔をしているのだろうか。
彼女の顔をみようと顔をあげる。
「だって私は」
俺と同じように運命に翻弄され、ふみにじられ、操られ、利用されてきた彼女はいつだって笑っていた。今もそう。彼女はまるで聖母を思わせるような笑みを浮かべて俺を見ている。
「
それは、俺が決してできない笑顔で、それが、彼女の強さだった
「もしとうま1人で勝てないっていうんだったら私も力を貸すんだよ!」
「『…俺は、』」
不安になる。
あれだけ頑張ってきたのに、自分は一度も勝利を手にしたことがない。
諦めた方がいいんじゃないか
勝利など考えない方が楽なんじゃないかと思ってしまう。
でも、彼女が力を貸してくれるというのなら、
「『…………い』」
もう一度だけ頑張ってみようという気になってくる。
「『…………たい!』」
みっともなくとも見苦しくとも、いつだって俺は戦い続けた。それだけはなかったことにしたくない。
だから言え! 上条当麻!
「勝ちたい!」
インデックスがヒロイン。異論は認めん‼
ちなみに作者が禁書目録で好きな女性キャラクター
1位 インデックス
2位 食蜂操祈
3位 ローラ=スチュアート