問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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今回は隼さんとのコラボの後の話になります
後日談とは言いにくいですが


新天地と追悼式と歪んだ歯車
一時の休息と新たな影とメイド長の目覚め


五月雨の世界から帰還した映司達は“ノーネーム”の本拠にいた。

アジ=ダカーハとの戦いから数日も経たない内に別の世界に飛んで戦って疲れた体を休めているのだ。

とはいえ、此方の箱庭では映司達が別の世界に飛んでから帰ってくるまでそう時間は経っていなかったが。

士だけ帰ってくるなり、何かを調べる為に何処かへと出ていった。

士自体は“ノーネーム”に属しているわけではないのだから特に止める理由も無かったのだが。

 

「追悼式にまでは戻る。あいつらの動きは多少引っ掛かる所がある。それを確かめる為に行くだけだ」

 

そう言って士はマシンディケイダーに乗り、何処かへと走り去るのだった。

映司と晴人が雑談しながら茶を飲んでいると十六夜が入ってきた。

 

「よう」

 

「十六夜君も飲むかい?」

 

「あぁ、貰っとく」

 

十六夜は座りながら茶を受け取る。

そこでアンクの姿が無い事に気付く。

 

「アンクの奴はどうした?」

 

「あいつなら遠くへは行っては無いと思うよ」

 

映司の言葉通り、アンクは“ノーネーム”本拠の屋根の上で寝転びながらアイスを食っていた。

 

「それでお前は何か聞きに来たんじゃないのか?」

 

「あぁ、お前達が行ったという別の箱庭の話を聞こうと思ってな」

 

十六夜の答えに二人は頷く。

聞いてくる理由も気になる理由も分かりはする。

 

「いいよ。まずは何処から話そうか」

 

特に隠す理由も無いので映司と晴人は別の世界での出来事を話し始めるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

某所。

箱庭であって箱庭では無い所。

そこに大ショッカーの連盟の基地があった。

二つ首の鷲の様な紋章の中央にあるランプが点滅する。

 

『そうか…………あの程度の数では別の箱庭への侵攻もままならぬか』

 

「えぇ侵攻に参加した者は全滅したようです」

 

「だが、ガラによって回収する物は回収されているのでご安心を」

 

「この侵攻も決して無駄ではありません。別の箱庭への干渉実験としてもいいデータがとれました」

 

「ですが、エネルギーもそれなりに使ってしまい。再び別の箱庭に干渉するにはかなりの時間が必要でしょう」

 

「無論、怪人再生には問題はありませんが」

 

紋章から聞こえてくる“大首領”の声に直属の大幹部達が答えていく。

今見える人影は被り物をしてマントを纏い腰に金のショッカーベルトを巻く男、白のスーツに黒のマントの老人、緑の軍服で眼帯をしている男、兜被り黒の軍服で指揮棒を持つ男だ。

各々の影には各々の真の姿がチラついている。

 

『我の悲願の為に計画を進めるのだ!!悲願が達成されし時、我らが全てを飲み込むのだ!!』

 

歪な歯車は加速し、正規の歯車まで巻き込んで行く。

歪みに歪んだ“世界”はその“ズレ”を広げていく。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「なるほどな。士の奴が世界は無数にあるとか言ってたがそこまでとはな。それもまた“可能性”か」

 

世界は無限に広がっている。

それらに全てに繋がる箱庭ももっと大きな枠として見れば幾つもの“可能性”が存在する。

“視点”を変えれば別の物に見える様に。

話を聞き終わった十六夜は時計を見ると立ち上がった。

 

「どうした……あぁ、時間か」

 

「メイド長の看病のな」

 

「レティシアちゃんはまだ目が覚めないんだよね」

 

「真っ二つにされたからな。吸血鬼と言えど重傷だ」

 

レティシアは映司が早々に回収した事で早々に傷自体は回復し始めたが意識は戻っていなかった。

“ノーネーム”のメンバーはそのレティシアを順番で看病しているのだった。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

「よろしくね」

 

そうして十六夜は部屋を出てレティシアの病室へと向かうのだった。

とはいえ、本拠に運び込まれたのは少し前ではあるが。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

某所。

赤の魂を受け継ぐ男は何処かを眺めていた。

 

「彼らがキョウリュウレッドを擬似的にとはいえ召喚していてくれたおかげで“疑似創星図”の負担は軽く済んだようだ」

 

彼は“世界”を眺めていた。

“ズレ”により歪みを広げる“世界”を。

 

「奴らの動きもそろそろ活発化し始めるところか。俺も力を、仲間を集める必要があるかもしれないな」

 

そう言うと彼は何処かへと歩き出すのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

箱庭では無い何処かの世界。

“ズレ”の波紋はその世界に新たなる歪みを発生させていた。

だが、それは微々たる物でもあった。

故に観測出来る者も少なかった。

明確な影響が出る事も無く、出たとしても短時間のみなので物好きな者以外は関わろうとはしなかった。

それに関わろうとする事はかつての“事件”と同等の危険を感じさせる面もあったからだ。

だが、物好きはどの世界にも存在する。

 

「これはどうやら別の世界に繋がってるのかな?けれども、見た感じでは一方通行っぽいね」

 

その物好きな男は不敵に笑う。

彼にとってそれは最高の最高の誘惑だった。

“退屈”からの解放を感じさせたからだ。

 

「いいね。これはいいね。僕が求めるアーティスティックで、ファンタスティックでエキセントリックな人生がありそうじゃないか!!」

 

男は歓喜していた。

あの世界から“解放”されてから眠っていた感覚が甦る様だ。

とはいえ、そこですぐに飛び込む男でも無い。

 

「けれども、“アゲハ”くんのいるこの世界も惜しくはあるんだよね。彼も僕を退屈にさせないからね」

 

それが心残りではある。

だが、彼は決断する。

 

「だけど、僕は行こうじゃないか!!新天地に!!」

 

決めるなりに彼は飛び込んだ。

かつて味わった快感を求めて。

“PSYREN”世界の様な“異常”を求めて。

望月 朧は銀色のオーロラへと飛び込んだ。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

“ノーネーム“本拠の廊下を霧崎とラッテンは歩いていた。

 

「だから、言ってるじゃない!!霧崎には霧崎の得意分野という物があるんだから私は私でそこを補わなきゃいけないでしょ!!」

 

「だからよ!!お前がそこまでやる必要は無いだろ!!」

 

「でも、そうしないと霧崎が無茶するでしょう!!」

 

「その無茶をお前がやる必要は無いって言ってるんだよ!!」

 

「御二人とも!!少し静かにしてください!!」

 

そこで黒ウサギが割り込んできた。

偶然では無い。

行き先自体は一緒なので此処で遭遇するのはおかしくはない。

彼らはこれからレティシアの病室に行くところなのだ。

黒ウサギの言う通り、病室の近くで騒ぐのもあれなので二人は静かに歩き出す。

レティシアの部屋の前に着くと中から話し声が聞こえる。

どうもどうやらレティシアが目覚めたらしい。

話の流れ的に黒ウサギ達を十六夜が呼ぶ様になる。

そこでラッテンが扉を開けた。

 

「その必要は無いわよ!!」

 

ニッと笑いながらラッテンが部屋へと勢いよく入るが、続いて入った黒ウサギがレティシアへと飛び付いた。

大量の涙と鼻水を流しながら飛び付く様子に何とも言えなくなるラッテンの肩に霧崎は手を置くのだった。

 

「レ、レ……………レディジアざまあああぁぁぁぁ……………………………!!」

 

「お、落ち着け黒ウサギ。ほら、鼻かんで」

 

涙と鼻水でくしゃくしゃになっていた黒ウサギにティッシュを当てて、チーン!!と鼻をかませるレティシア。

黒ウサギもそれで落ち着く。

ウサ耳をピンと伸ばして、胸を張って報告する。

報告を聞いたレティシアが何故か取り乱し、疲れた様にベッドに倒れる。

こんなレティシアは本当に珍しかった。

何か己の言葉に悔いる所があった様だが事情を知らない黒ウサギはオロオロする。

 

(まぁ元魔王で何か思う所でもあるのかしら?)

 

ラッテンだけは何か感じているが特に何も言いはしないし、わざわざ聞いたりはしない。

そこらへんは分かっている。

だから、パンパンと手を叩いて場を収める事にする。

 

「メイド長も目を覚ましたんだし、皆に伝えましょうよ」

 

「そうだな。映司さんもかなり心配してたしな。子供達も喜ぶだろうし」

 

「Y、YES!!快気祝いをしなければなりませんね!!」

 

「そうだな。………でも、霧崎とラッテンは手伝わなくていいぞ。お前らはまだゴタゴタしてるんだろ」

 

「何かあったのか?」

 

レティシアが問うとラッテンが苦々しく語り始める。

その隣で霧崎が頬を掻く。

 

「ただの義手の注文よ。今の義手も動作は問題無いんだけど、どうせなら色々仕込みたい所なのよね」

 

「それで俺もゲームで金を稼ぐなりして手伝おうと思ったんだけどな」

 

聞く所によると金自体は問題無いようだが、その仕込みの内容に色々問題があるようだ。

ルイオスやウィラと共に話を進めてるようだが、霧崎も口出しをしている様で中々最終的な結論が出ないようだ。

黒ウサギが恐る恐る踏み込む。

 

「一体どの様に手を加えるつもりなのですか?」

 

「倉庫に眠ってた物を仕込む程度の話よ」

 

「それがやり過ぎだって言ってるんだよ」

 

「そのくらいやらないといけないでしょうが」

 

「お前がそこまでやる必要は無いんだよ」

 

再び口論になる。

ヒートアップする前に黒ウサギがハリセンで叩き飛ばして黙らせる。

どうもどうやら完成図自体は凄い事になってる様だがそれ実際に組み込むかどうかが議論のポイントの様だ。

 

「そうだ。レティシア様は明日の戦没者の追悼式に出席されますか?辛いようなら休んでいても…………」

 

魔王との戦いで散って逝った者たちを送る戦没者の追悼式。

“ノーネーム”から犠牲者は出なかったが他のコミュニティからはかなりの数の死者が出ている。

その話を聞くと霧崎の顔に一瞬影が出来る。

ラッテンはそれに気付くが何も言いはしない。

何か言わない方がいい時もあるのだ。

 

「…………いや、出席させてもらおう。彼らの犠牲無くして勝利は得られなかった。共に魔王と戦った戦友として花を添えたい」

 

「あいよ。サラにはそう伝えとく」

 

じゃあな、と手を降って四人は退出するのだった。

 

 





半分くらいはレティシア短編の前編でした!!
隼さんとのコラボも実際にあったという事で

朧に関しては後々
隼さんとこの箱庭への干渉がPSYREN世界にも影響したという感じではあります。

ラッテンの義手に仕込む物についてはヒント色々とあったりします
原作メンバーもヒントだったりします。


それと、アンケートをやります。
『影と不死者と白い切り札』
『円陣と金の魔法とグサゲゲル』
のどちらを先にやるかです
投票は活動報告で
活動報告の方には簡単なあらすじも載せます

別作品のアンケートも絶賛実施中です!!

それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます!!
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