問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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囮と新技と謎の欠片

 

「オラァ!!」

 

十六夜は建築物の屋上にいた亀の様な怪人に拳を放つ。

だが、怪人は少々後退しただけで傷らしい傷は無かった。

 

「リント ビギデザ ジャスバ ザガ ”ダグバ” ボ ヂバサ ソ ゲダ ゴセビザ ビバン!!」

 

「ごちゃごちゃうるせぇ!!硬いなら砕けるまで殴るだけだ!!」

 

叫びながら距離を詰める。

先程の一撃で拳から血が流れてはいたが、気にせず殴りに行く。

怪人も対抗しようとするが素早さは十六夜のが上だ。

拳を入れ続け、後退させ続け、屋上から怪人を空中に放り出す。

その上で叩き付ける様に殴り付け、下に殴り飛ばすのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「アルマ。あいつ、怪しくない?」

 

「えぇ、挙動が明らかに違いますね」

 

「じゃあ、仕掛けるわよ!!初の実戦投入としてあんたの力を見させて貰いましょうか!!」

 

「それは此方の台詞ですよ。マスターとして相応しいかどうか見させて貰います」

 

言い合いながらラッテンとアルマは建築物から飛び降りる。

その間にアルマは姿を山羊へと変える。

標的は路地裏を歩く不良の様な格好をした女性である。

完全に背後は取った。

タイミングとしては完璧ではあった。

………………更に背後を取られていなければの話ではあるが。

 

「これで五人目、と」

 

ラッテンとアルマを背後から眺めていた怪人、ゴ・ジャラジ・ダは胸元のアクセサリを手に取る。

すると、アクセサリは針へと変貌した。

”ゴ”のグロンギが持つ物質変換能力である。

ジャラジは針をラッテンに向けて投げ放つ。

それはラッテンの後頭部を正確に貫く…………はずだった。

 

「危ねぇ!!」

 

ラッテンとジャラジの間に霧崎が割り込んだのだ。

同時に針は霧崎を避ける様な軌道にズレる。

ジャラジは奇妙な物を見た様に眉をひそめる。

 

「君、何を………ッ!?」

 

ジャラジの言葉は最後まで続かなかった。

足場が崩れ、ジャラジもそれに巻き込まれたのだ。

霧崎はそれを見ながら肩に乗せていたメルンの頭を撫でる。

 

「よし、メルンよくやった」

 

霧崎が褒めるとメルンは歓喜するように飛び跳ねるのだった。

そんなメルンを眺めつつ、霧崎は”ライズ”で身体能力を強化し、落ちていくジャラジの後を追う。

背後の方で建物が崩れる音を聞きつつ、ラッテンは呟く。

 

「どうやら上手いこと敵を誘き寄せられてた様ね。わざわざ目立ちながら探索したかいがあったようね」

 

「霧崎殿がいなければ危ない行き当たりばったりの作戦でしたけどね」

 

アルマの背に乗りながらラッテンはハーメルケインを構える。

標的の方も崩壊音で此方に感づいていたが、ここまで距離を詰めれば関係無かった。

女、ゴ・ザザル・バは姿を怪人態に変え、鉄の爪の先から毒を噴射するがもう遅い。

アルマが”城塞”として毒からラッテンを守り、その間にラッテンは懐まで潜り込む。

ザザルが爪を振るって来るが関係ない。

”金剛鉄”の義手で爪を受け止め、右手に持ったハーメルケインを腰のベルトに突き刺す。

 

「ガ___グブゥ!?」

 

ザザルが苦悶に近い声を上げる。

それもそうだろう。

グロンギにとって腰のベルトには霊石が埋め込まれているのだから。

 

「士の奴が言ってた通りね。腰のベルトは確かによく効くわ。そして、もう一つを試すにもちょうどいいわね」

 

言いながらラッテンはハーメルケインに口を付け、演奏の準備をする。

士から聞いた話から独学で完成させた新技を試すつもりなのだ。

 

「さて、新曲を御静聴ください♪………”音撃槍・疾風破断”!!」

 

ラッテンが演奏を始めると、ハーメルケインの切っ先から波長を持った魔力が放たれる。

音撃とは本来清めの音で浄化する技なのだが、ラッテンは清めの音の代わりに魔力を放ち、相手の体内で反響させ、内部から崩壊させる技としていた。

それを霊石に直接叩き込まれたザザルは内側から光を放って爆散した。

 

「ん?何あれ?」

 

爆炎の中に何かの欠片の様な物を見付け、ラッテンは何か確かめようと近づいていく。

それは何かの破片だった。

手に取ろうと手を伸ばした時、

 

「マスター!!伏せてください!!」

 

アルマが叫び、慌てる様に防御態勢なる。

同時に何かが放たれ、アルマはその攻撃からラッテンの身を守る。

攻撃が止み、視界が晴れると欠片は既に何者かに拾われていた。

刺青の男だった。

男はニヤリと口を歪めてラッテンには目もくれずに立ち去った。

 

「何だったのかしら、一体?」

 

「あの欠片には回収するだけの価値があるという事でしょうか?」

 

とはいえ、分からない物は仕方ないので二人は霧崎と合流する為に行動を始めるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

その怪人、ゴ・ブウロ・グは上空から吹き矢を放ち、順調に殺害数を稼いでいた。

邪魔者が現れたが上空から狙撃するブウロは余裕であった。

見つかった所で簡単に撃ち落される気は無かった。

むしろ、逆に狙撃してやるつもりだった。

空中戦でも負ける気はしなかった。

しかし、それは自身より更に上空からの奇襲によって崩される。

 

ギン!!ギン!!ギン!!ギン!!ギン!!ギン!!ギガスキャン!!

「ハァァセイヤァァァァァァ!!」

 

銀色の回転するエネルギー弾が遥か上空より放たれる。

着弾する数瞬前に感付けたのは”ゴ”故にだろう。

だが、それでも遅かった。

避けきれず、左翼が抉られていった。

片翼でも飛行自体は出来る。

けれども、飛行戦でそれは致命的だ。

ゆえにブウロは気が進まないが奥の手に手を出す。

懐から”欠片”を取り出して、傷口に押し付ける。

”欠片”は体内に取り込まれ、ブウロは何かが脈打つのを感じた。

体の所々が鋭利に尖り、身体能力が跳ね上がる。

翼も一瞬で再生した。

 

「ガサダバス ゴ・ブウロ・グ ボ ヂバサ ソ リスガギギ!!」

 

「何を言ってるかはさっぱりだけど……何かヤバそうだな」

 

「だろうな。あいつはさっきまでとは雰囲気からして違う。どうやら、奴が取り込んだのは俺達にとってのコアメダルに近い物のようだな」

 

映司__オーズ タジャドルコンボは近くに漂うアンクの右手と話していた。

アンクは今回あまり乗り気では無いらしく怪人態にすらならない。

映司は気にせず相手の様子を窺う。

最初に奇襲したのは逃げられたら厄介で敵意を自身に向ける為であったがどうやら上手く行ってはいるようだ。

先程までは吹き矢を構えていたので攻撃が来るまでタイムラグがあるだろうと考え、出方を待つ。

だが、相手は映司の思う以上に進化していた。

 

「ッ!?」

 

ブウロは吹き矢を構えもせずに弾を放ってきたのだ。

しかも、一度に複数発を連射で、だ。

映司はタジャドルの飛行速度を生かして躱していくが、ブウロは飛行速度も上がっていた。

高速飛行しながら放たれる複数発の弾はさすがに防ぎきれず、映司の体をかすめていく。

そこで映司は小声でアンクに何かを提案する。

 

「面白い………付き合ってやる」

 

アンクはおそらく不敵に笑いながら承諾した。

すると、攻撃を避けながら映司はタジャスピナーを開き、ベルトのコアメダルをその中に入れる。

タジャスピナーを閉じ、オースキャナーを構える。

タジャスピナーを回転させると内部のメダルを読み込ませていく。

 

タカ!!クジャク!!コンドル!!ギン!!ギン!!ギン!!ギン!!

「セイッヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

炎の鳥を纏い、映司はブウロへと突進していく。

弾丸を放ってくるが全て炎の鳥に弾かれる。

だが、飛行速度は向こうのが上である。

ゆえにブウロは迎撃を諦め、回避しようと上へ飛ぶ。

マグナブレイズの攻撃範囲は意外に広いので上下に避けるしか無かったのだ。

が、それを読んでいたように映司はマグナブレイズを中断する。

そして、アンクがスキャナーを持って腰のメダルをスキャンする。

 

スキャニングチャージ!!

 

その音声と共にコンドルレッグが展開する。

急な方向転換したブウロと必殺技を発動したオーズでは勢いが違う。

展開されたコンドルレッグがブウロを背後から掴む。

これで背後に弾丸を放てないブウロは逃れられない。

だが、骨の軋む音がするだけで抵抗はやめようとはしない。

それは読んでいた。

ゆえにもう一度ベルトのメダルをスキャンする。

 

スキャニングチャージ!!

「これでトドメだ!!セイヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ブウロをコンドルレッグで挟んだまま地面に向けて突撃をする。

タジャドルの飛行速度と落下速度が合わさり、加速するままに地面へと向かう。

そして、轟音と共にブウロは地面へと激突する。

まるで隕石が落ちた後の様なクレーターを残した直後にブウロは爆散した。

その爆炎は周囲一キロ近くを包んだ。

爆炎が晴れた時、立っていたのはオーズとアンクであった。

体力温存の為に姿はタトバに変わっている。

 

「ヅギザ ゴセボ ガギデソ ギデロサゴグバ」

 

そんな映司達の前にはバイクに乗った男が現れるのだった。

 





ザザル&ブウロ戦でした!!
グロンギがいきなり強化されるのは後々
ヒントはいろいろあったりします

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!
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