少々時が戻って時計塔地下。
霧崎、ラッテン、アルマは苦戦していた。
乱入してきた男が中々に手強かったのだ。
男は刺青を光らせるとその身をファントム、オーガへと変える。
「アルゴス!!」
オーガがファントムの名を叫ぶとそのファントムの幻影がオーガと重なる。
オーガの体から無数の目玉が飛び出す。
それは四方八方に散って、霧崎達に向けて光弾を放つ。
「ヨヨ!!」
(オウ!!)
霧崎は
その間にラッテンは演奏し、アルマは体に雷を纏わせる。
「行きなさい、アルマティア!!」
『はい、マスター!!』
雷光を纏ったアルマがオーガへと突撃する。
雷はラッテンの演奏で強化されている。
「ベルゼバブ!!」
オーガはベルゼバブの空間転移能力でアルマの突進をギリギリのところで回避する。
そして、アルマの背後に回り、剣で斬り掛かる。
が、それを霧崎は視ていた。
ライズを全開にし、死の脅威の塊をオーガにぶつける。
「今何かしたか?」
「自分の攻撃でも食らってろ」
先程、オーガが放ったアルゴスの瞳が目標を変更する。
オーガを狙う様に動き、オーガに向けて光線を吐き出し始める。
オーガ自身が放った死の脅威が全て己の身に返されたのだ。
「ガーゴイル!!」
ガーゴイルの姿がオーガに重なる。
直後にオーガの体が石化する。
体を硬化することで攻撃を防いだのだ。
石化が解けた直後にその身から宝石を弾丸の様に放ってアルゴスの瞳を全て撃ち落す。
「お前ら、中々やるじゃねぇか」
オーガは笑う様に言う。
だが、霧崎達は顔を引き攣らせていた。
「こりゃ参ったわね。私達の火力不足さが仇になってるわね」
「アルマがいるから火力的には問題無いと思うんだけどな……」
『火力というよりは相性の問題ですね。少なくとも私達だけでどうにか出来る相手では無いですね』
アルマによって戦術パターンが増えたとはいえ、根本的に霧崎とラッテンは攻撃手段に乏しかった。
加えて地下なのでディーンを暴れさせるわけにもいかない。
天井から崩壊しかねないのだ。
対してオーガは能力のバリエーションが凄まじい。
戦況は動かそうにも動かせず、とてもでは無いがタナトスの器を壊せる状況じゃ無かった。
◆◆◆◆◆
ライトニング、ナウ!!
リキッド、プリーズ!!
ソーサラーが電撃を放つと晴人はその身を液状化させて電撃から逃れる。
そのまま背後へと回り込んでソードガンで斬り掛かる。
ソーサラーはディスハルバードの柄でソードガンを受け止め、そこを起点に回転させる様に振り回す。
その刃は晴人の体を裂こうと襲い掛かるがリキッドの魔法がまだ残っており、液状化で回避する。
イエス!!サンダー!!アンダースタンド?
「うぉ!?」
ソーサラーがサンダーの魔法をライトニングと重ねてディスハルバードに纏わせて振るう。
これにはさすがに晴人も慌てて回避する。
リキッドの魔法もさすがにあれだけの電撃を相手にしては分が悪い。
「属性魔法が貴様の専売特許では無い事を見せてやろう」
「なんだと!?」
ヴォルケーノ!!ナウ!!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!!
「受けてみるがいい!!これが進化した私の力だ!!」
ソーサラーがベルトに紅いリングをかざすと、ディスハルバードを炎が包む。
ディスハルバードの魔力を増強する魔法石、エクセルシャードが紅く染まる。
その状態で振るわれるディスハルバードは炎の刃を放った。
地面を引きずる様に振るうと、その延長線上まで炎の壁が襲い掛かったのだ。
チョーイイネ!!ブリザード!!サイコー!!
「相殺し切れないだと!?」
晴人はブリザードの魔法で冷気を放つが炎の壁は冷気を斬り裂いて向かってきた。
横に飛び退いて転がるようにして、ギリギリのところで回避する。
その間にリングを変えてウィザードライバーにかざす。
フレイム!!ドラゴン!!ボー、ボー、ボーボーボー!!
ハイドロ!!ナウ!!スイー、スイー、スイー、スイー!!
「また属性を変えたのか」
「一属性だけと思っていたのか?」
晴人がフレイムドラゴンに姿を変えるのと同時にソーサラーもディスハルバードのエクセルシャードを蒼く染める。
晴人が驚くのは無理は無い。
ファントムとは元々一体につき必ず一属性は持っている。
そんな中で晴人がエレメントチェンジ出来るのはドラゴンが四属性全てを宿すレアなファントムだからだ。
それ故にソーサラーのエレメントチェンジは驚くべきことなのだ。
チョーイイネ!!スペシャル!!サイコー!!
イエス!!バニッシュストライク!!アンダースタンド?
「ダァァァァァァァァ!!」
「ハァ!!」
晴人は胸にドラゴンの頭部を出現させる。
その頭部の口が開き、ソーサラーに向けて熱線が放たれる。
対してソーサラーは頭上に蒼い光球を出現させる。
水属性の魔力を凝縮させた物だ。
それを晴人に向けて放つ。
熱線と光球が衝突し、激しい爆発が起こる。
炎と水の衝突によって水蒸気が立ちめく。
水蒸気を突き破って、晴人とソーサラーはソードガンとディスハルバードで斬り合いを再開する。
◆◆◆◆◆
「お前らの力は中々に面白れぇが…………正直闘いとしては退屈だな」
「悪かったな!!」
霧崎がオーガの攻撃を防ぎ、ラッテンが演奏でサポートし、アルマが攻撃する。
隙は無いが決め手も欠けている。
戦況が進まないのでオーガも退屈しているのだった。
そんな時だった。
「なら、俺達が相手をしてやろうか?」
「此処は俺達に任せて霧崎君達はアレの破壊を急いで」
士と映司が霧崎達の背後から現れたのだ。
二人はオーガの前の立ち、霧崎達にタナトスの器を任せようとする。
「そう簡単にやらせると思うか?」
「どうかな?お前の方が数的には不利に思えるけど?」
映司と士がベルトを腰に巻いて戦闘を始めようとした時だった。
緑色の靄がオーガの近くに飛来し、何かを手渡した。
「どうやら来るのが遅かったみたいだぜ!!ドレイク、”欠片”は揃った!!儀式を始めろ!!」
オーガは”欠片”をタナトスの器に投げ込むと映司達に向けて牽制する様に宝石を放つ。
剣を肩で担ぎながらオーガは笑う。
「悪いがもう手遅れだ!!究極の闇は目覚め!!その闇で世界は包まれる!!」
「究極の闇だと…………」
「知ってるんですか、士さん?」
「箱庭風に言うなら終末論みたいな物だ」
『そこまでですかッ!?』
「アルマがここまで取り乱すって事は相当ね」
「マジかよ………」
映司達はオーガの背後にあるタナトスの器を見る。
禍々しい妖気を放つ器を見据えて一斉に駆け出す。
オーガは時間稼ぎをするように大量の光弾を放つ。
それとほぼ同時に床が激しく揺れ始める。
◆◆◆◆◆
「何をするつもりだ!!」
「お楽しみはここからだということだ!!」トルネード、ナウ!!
ソーサラーがリングをかざすと同時に床が激しく揺れる。
否、揺れているのでは無い。
とてつもない勢いで上昇していた。
外からは時計塔が崩れ、虹色の竜巻に包まれた黄金の塔が現れる様に見えただろう。
「タナトスの器を箱庭で使っても意味は薄いはずだ!!」
「だから、改造してある。魔力の器なのは変わりないが機能は別物だ。使用した骨もグロンギの物ではあるしな」
いよいよ持って意図が見えない。
そんな事は気にせずにソーサラーは加える様にリングをかざす。
クリエイト、ナウ!!
「これは世界を改変しうるレベルの魔法だ!!その力をタナトスの器と組み合わせ、因果を越えた力を呼び覚まさせるのだ!!」
黄金の塔の頂点から巨大な魔法陣が広がる。
それは街を包むレベルの大きさだった。
それだけでは無い。
ゲゲルの予選が行われた土地では不気味なエネルギー体が地中から生え、天を掴むかの様に伸びた。
それらは全て紅かった被害者の血肉、グロンギの怨念を示すかの様だった。
そこから魔法陣が広がり、魔法陣から線が伸びて魔法陣同士を繋げていく。
「今までの全てがコレの為だったのか!?」
「あぁ!!そういうことだ!!グロンギを争わせ、怨念と血肉をその土地に刻み、触媒とさせて貰った!!そうして生み出された負の魔力は全てタナトスの器へと収束する!!そして、あの中にある死体と結合し、血肉へと変貌するのだ!!」
斬り合う晴人とソーサラーだが儀式は止まらない。
映司達もオーガに足止めされ、タナトスの器を破壊出来る状態では無かった。
そして、悪夢が始まる。
「______________________ッ!!」
地獄からの叫び声かと聞き間違えるレベルの声にならない叫びと共にそれは現れた。
タナトスの器を内から砕き、その身を晒す。
闇そのものと言える黒い瘴気と共にグロンギの王、ン・ガミオ・ゼダは姿を現した。
ン・ガミオ・ゼダ復活!!
勿論あれがそのままではありませんが
出なければソーサラーが大掛かりな事をやった意味がありませんので
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!