問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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笑う道化と嘲る支配者と全てを握りし者

 

轟音が響く。

アルビノジョーカーに向けて一同による攻撃が放たれたのだ。

アンクの炎弾が、黒ウサギの雷が、レティシアの龍影が、アルマの突撃が一斉に放たれる。

緑の血が撒き散らされ、アルビノジョーカーは盛大に吹き飛ばされる。

地面を数度バウンドして洞窟だった丘に叩き付けられてようやく止まる。

それでも、アルビノジョーカーは笑っていた。

 

「もう遅い!!鍵は揃った!!誰も俺は止められないッ!!」

 

笑いながら石板の前に立つ。

すると、アルビノジョーカーが手に持つバニティのカードと石板が共鳴を始める。

 

「させるか!!」

「させません!!」

 

黒ウサギとレティシアが同時に飛び掛かる。

だが、二人の槍は不可視の何かに阻まれた。

同時に何かがアルビノジョーカーの左右に飛来し、降り立つ。

それは、漆黒の石板(統制者)だった。

それは、真紅の石板(破壊者)だった。

対たる存在であるそれらはただそこに現れた。

 

「どうやら、バトルファイトも俺を勝利者として認めたらしい!!貴様らではもう手が届かん存在に俺はなるのだッ!!」

 

【いや、違うな】

【お前はただの依代だ】

【我らが全てを破壊するための】

【此度のバトルファイトをリセットする為に】

 

まるで脳に直接響く様に声が流れる。

それはまさしく嘲るような声だった。

全てを見下すような支配者の声だった。

 

「貴様ら…………何を、グガ……アガァァァァァァァァァァァ!?」

 

怪訝に思ったアルビノジョーカーが何かをする前に苦しみ始める。

同時に真紅の石板(破壊者)漆黒の石板(統制者)がその身を溶かす。

そして、石板が、バニティのカードが、ケルベロスが、アルビノジョーカーが取り込まれる。

それは一つの大きな塊と化す。

更に雲が怪し気に輝き始める。

 

「何が起きてるんだ?」

 

「どうやら、ご先祖様が想像していた以上の事が起こってるみたいだね」

 

【簡単な話だ】

アレ(アルビノジョーカー)は自らの意志で動いていたつもりなのだろうが】

【それは我らが運命を操作した結果でしか無かったのだ】

 

「そこまでして何が目的なのよ?」

 

【言ったであろう】

【バトルファイトのリセットだ】

【此度は邪魔が多過ぎたのだ】

【それに場所も悪い】

【これでは戦いとして成立しないのだ】

【くだらぬ存在が余計な横槍を入れなければ良き物を】

【これも全てあの()が余計な因果の乱れを生み出したせいだ】

()など問題では無いのだ。問題は我らに抗う余計な存在だ】

 

「なるほどね。奴らは典型的な支配者系の神気取りか………私が嫌うタイプだ」

 

クロアが憎々し気に呟く。

アンクも吐き捨てる様に言う。

 

「ハッ、どれだけ力を持とうがこういう奴らはあいつ()と対して変わらんみたいだな」

 

そうこう言っている間に雲から光の奔流が漆黒の石板(統制者)真紅の石板(破壊者)が混ざりし塊に降る。

塊は光の中を奔り、雲へと突入する。

雲が積乱雲の如く黒く染まる。

霧崎は雲を眺め、顔を引き攣らせて呟く。

 

「何が起きてるんだ?」

 

「どうやら、とんでもない力の塊が雲の中に潜んでいる様ですね」

 

アルマもアルマで嫌な予感という物を感じていた。

ラッテンは冷や汗を流しながらディーンをギフトカードから出して肩に乗る。

黒ウサギは槍を抱えてアワワワワワワと震えている。

レティシアは重圧を感じながらチラリと隣の映司を見る。

映司は平然と空を眺めて立っていた。

それを見てレティシアも重圧を振り払う。

そして、雲が割れた。

 

『GGEEEEEEEEEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

雄叫びと共に山の如き巨体を持った怪物が姿を現す。

現れた怪物はまさに異形だった。

純白、漆黒、真紅が混ざりあった斑な体色は毒々しい。

頭部にはケルベロスが埋め込まれた巨大な角を持ち、両肩には龍を思わせる頭部があった。

右肩は漆黒であり、左肩は真紅だった。

四本の腕にはスペード型の剣、ハート型の聖杯、ダイヤ型の盾、クラブ型の棍棒が持たれている。

胸の中央にはアルビノジョーカーの上半身が姿を見せていた。

背にはその巨体を包み込む程の翼があった。

右翼は真紅、左翼は漆黒に染まっていた。

両翼の付け根の間には石板があった。

石板にはバニティのカードがはまっており怪しく輝いていた。

下半身はまるで大蛇の如く伸びている。

まるで終焉を齎すかの如く怪物の周囲では風が吹き荒れ、豪雨が降り、雷が轟く。

その雄叫びは嘲るような色も含んでいた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

海東もその光景を眺めていた。

 

「まさか、フォーティーンもどきまで出現するとはね。運命には皮肉を感じるよ」

 

呟き、溜息を吐く。

そこで改めて思い当たるのだった。

 

「…………まさか、これは偶然(``)じゃないのか?歪みによって引き摺り込まれた(``````````````)存在がこうも因縁が絡むのは僕らの方に原因があるとでも言うのか?」

 

ありえなくもない可能性に思い当たり、海東はしばし考える。

何故なら彼は二ヵ月程前に別の箱庭への移動という世界と世界、箱庭と外界を移動するとは桁の違う経験をしているのだから。

全ての世界と繋がるのが箱庭である。

ならば、別の箱庭と繋がるという事は中身の確定していない猫箱からもう一つの猫箱を観測するという事なのだから。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

蛟劉も怪物の姿は認識していた。

だが、今はそればっかり気にしてはいられなかった。

 

「トランプフェイド」

 

蛟劉の周囲に複数の巨大なトランプが出現し、高速で回る。

それらが同時に裏返ったと思うと、その全てからジェネラルシャドウが出現し、剣で突いてくる。

蛟劉は真上に躱した上で全てのジェネラルシャドウが纏まったところに蹴りを放つ。

けれど、ジェネラルシャドウの身はトランプへと変幻し蹴りは当たらなかった。

 

「やはり、階層支配者(フロアマスター)は手強いか」

 

「どの口が言うとるんや。明らかに全力や無い上に手を隠してるくせに」

 

「それは貴様も同じ事だろう?」

 

互いの視線が衝突する。

明らかに時間稼ぎなやり方なのだが、敵が全力で無い上に手を隠しているのでは蛟劉も無闇に手札を明かすわけにはいかない。

轟音がと共に互いの姿が消えて衝突が始まる。

 

「アレが君らの狙いか?」

 

「何、偶然の産物が想像以上に状物だったから手を加えただけだ」

 

「明らかに出所を知ってる口振りやな」

 

「二ヵ月前、といえば分かるだろう」

 

「……………君らが別の箱庭に攻め込んで映司君達と戦った一件か」

 

「アレがどれだけ無茶な実験かは説明する間でも無い。それがどれだけの歪みを齎したかもな」

 

「此処最近の出所不明の化け物はそれの余波でこの箱庭に出現したという事か。しかし、えらいあっさり話すんやな」

 

「それらはあくまで副産物、偶発的な物だ。ゆえに問題は無いのだよ」

 

その言葉と同時に蛟劉が一際強めの拳を叩き込んだ。

ジェネラルシャドウは紙一重で回避しながらトランプを投げ放つ。

蛟劉はトランプを殴り上げて上空で爆発させてから蹴り払いをジェネラルシャドウの足に向けて出す。

ジェネラルシャドウは体を巨大なトランプに変化させて高速回転し、回避と同時に襲い掛かる。

蛟劉は紙一重で回避しながら考える。

あっさり話した理由は惑わす為だ。

ようは偶発的とはいえあそこまでの副産物が生まれるのだ。

ならば、繰り返すかもしれないと警戒させるのも目的の一つではあるのだろう。

だが、実際別の箱庭への干渉という物にどれだけの力を使うかは不明だ。

繰り返せるかも分からないレベルかもしれないのだ。

だから、問題はそこではない。

問題は一度でもそれを成功させた技術と力だ。

正体不明規模不明拠点不明、大ショッカーの多くは謎だ。

それゆえに断片的でも情報が入れば有用だ。

けれど、今回の情報は曲解させる為の情報だ。

曲解させてネガティブなイメージを広げる為だ。

だから、蛟劉はあくまで目の前の的に集中する。

幹部を片付ける事を最優先とした。

圧倒的強大さという物を打ち砕くために、決して敵わない存在では無いと証明する為に。

ジェネラルシャドウはそれでも不敵に笑う。

彼としてはこの戦いはさして重要では無いのだから。

この局面、そのもの突然現れた予定外の事なのだから。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

幾つもの思惑が重なり合う。

(統制者)は、は本性を現し、その身を曝け出す。

魔人は不敵に笑い、その目的を霧に隠す。

盤面は収束し、終局は目前に迫る。

 

 

 

 





今編のラスボス枠出現です
統制者&破壊者は小説剣に登場するあれらです
片方はねじれこんにゃくと同一ですが

フォーティーンもどきに関しては14+ケルベロス+小説剣ラスボスという感じです

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!
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