問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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捥がれる翼と始祖達の死と魔神のプライド

 

「アンク!!ラトラーターくれ!!」

 

「ほらよ」

 

映司の催促に応じてアンクは黄色のメダルを二枚映司に投げ付ける。

映司は受け取ると同時にオーズドライバーにメダルを入れ、オースキャナーで読み込ませる。

 

ライオン!!トラ!!チーター!!ラトラタ!!ラトラーター!!

 

映司は姿をタトバからラトラーターコンボに変える。

更にギフトカードからライドベンダーを取り出し、トラカンを投げ付けて合体させる。

咆哮を上げるトライドベンダーに乗り込み、魔神へと向かっていく。

 

『GEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEYYYAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

魔神が聖杯を振るい、雷を撒き散らす。

トライドベンダーを器用に操り、雷の合間を進んでいく。

メダル型のエネルギー弾を牽制に放ちながらも近付いていく。

そこで魔神が特大の火炎球を放ってくる。

正面からであり、それなりに近付いていたので躱せるサイズでは無かった。

 

ファイナルアタックライド!!ディ、ディ、ディ、ディケイド!!

 

士がトライドベンダーの背に飛び乗り、そこからディメンションブラストを放って火炎球を消し飛ばした。

 

「ありがとうございます、士さん」

 

「あそこに向かってるんだろ?俺もアレには用があるからついでに乗せてくれ」

 

「はい、分かりました!!」

 

魔神の両翼の付け根の間にある石板を指差す士。

映司は頷きながらトライドベンダーを先に進める。

士も加わった事により、安定して進む事が出来るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『まずは貴様から消そう』

『人間の分際で限定的とはいえ運命を操るとは』

『許さん』

『存在そのものが罪に等しいと思え』

 

一方、霧崎は集中的に狙われていた。

その能力の性質が魔神気に入らないらしい。

 

(随分ト嫌ワレテイルナ)

 

「あいつらが勝手に嫌っているだけだけどな!!」

 

霧崎は必死に回避しながら地を転がる。

弱者の(チキンソウル)パラダイムがあるとはいえ集中的に狙われるのは精神的に辛い物があった。

聖杯から放たれる雷は単純にずらせばいいが、他の武装は祓うにも場所を選ぶ必要がある。

それゆえに気苦労するのだ。

 

『『ッ!?』』

 

そんなことを考えているとクロアがアンクを魔神の顎下に転移させていた。

アンクは即座に翼を広げ、足に炎を纏わせて魔神の下顎に蹴りを放つ。

不意討ち気味に蹴り上げられた魔神は苦悶の声を上げながらもアンクに向けて棍棒を振り下ろす。

だが、アンクは既にそこにはいなかった。

クロアの転移で何を逃れていた。

しかし、棍棒の落ちる先に視線を向けるとラッテン達がいるのだった。

 

「ラッテン!!逃げろ!!」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

霧崎の叫びは勿論ラッテンにも届いている。

ラッテンは霧崎が心配してくれているのに歓喜しながらも考えていた筋書きを実行する。

ラッテンは左腕をディーンに押し付ける。

すると、ディーンはこつぜんと姿を消した。

 

「アルマ!!」

 

『はい、マスター!!』

 

ラッテンの足が地に着くよりも速くアルマがラッテンを拾い運ぶ。

棍棒のギリギリ範囲外まで移動すると左腕を地面に当てる。

そこから盛り上がる様にディーンが出現する。

ラッテンのギフトカードは義手である左腕の掌に仕込んである。

なので、左腕に意識を向けるだけで出し入れが可能なのだ。

ディーンが出現した十数秒後に真横に棍棒が降りてくる。

 

「さぁ、手筈通りやっちゃいなさい!!アルマ!!ディィィィィィィィィン!!」

 

『分かってますよ!!』

 

『DEEEEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEN!!』

 

ディーンは限界まで巨大化し、棍棒の側面を全力で殴り付ける。

アルマは斜め上から棍棒に向けて突進する。

あくまで振り下ろすという方向性は変えずに向きだけをいじる様に衝撃を加える。

凄まじい轟音と共に棍棒が地面を抉っていく。

それだけで谷が出来、山が生まれそうな光景だがラッテンはさして気にしない。

彼女にとってそのくらいはどうでもいいのだ。

棍棒の軌道は魔神にも予想外な方向性になった事によって魔神は体勢を崩す。

 

チョーイイネ!!キックストライク!!サイコー!!

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこへ、晴人がドラゴンを変形させた巨大足で蹴りを放つ。

それも背中に向けてだ。

ただでさえ、前方向に前のめりになっている時に背中から強い衝撃を受ければどうなるかは明白だ。

魔神はその巨体ごと倒れていき、地面にその身を擦らせる。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

魔神が倒れていくのとほぼ同時に黒ウサギとレティシアもクロアの手で転移していた。

レティシアは左翼の前に、黒ウサギは右翼の前にいた。

 

「映司達だけに頑張らせるわけにはいかないからな!!」

 

「黒ウサギ達もやるのですよ!!」

 

レティシアは龍影を纏い左翼へと突進する。

それだけでは心許ないが今の手持ちではこれが限界。

うねり歪ませ勢いを付け、反動を考慮せずに突っこんでいく。

それが功を精したのか、意外に脆かったのか左翼はべシャリと音を立てて大きく抉れるのだった。

 

「疑似神格解放………!!穿て、軍神槍・金剛杵(ヴァジュラ)________!!」

 

黒ウサギは髪を燃え上がらせ、紅蓮の光を放つ。

疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)に紅蓮の炎と神雷の束を纏わせて投射する。

集束した紅い稲妻が先端を鋭利に変え、金剛杵をも燃やし尽くす紅槍に姿を変える。

凝縮されたエネルギーが一気に解放され、右翼を完全に消し飛ばす。

役目を終えて二人はクロアに回収される。

そんな中で二人は倒れ掛けの魔神の背に跳び乗るトライドベンダーを見るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「大丈夫か?」

 

「今回はさすがに無茶をし過ぎたな。あと、一発くらいで限界だ」

 

十六夜は己の拳を見ながら呟く。

そして、何時最後の一撃を放つかタイミングを計るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

トライドベンダーで魔神の背に跳び乗ったはいいが映司と士の前にはダークローチとアルビノローチが溢れていた。

だが、そんな事は関係無しに二人は進む。

トライドベンダーが放つ光弾が、ライドブッカーから放たれる弾丸がローチ達を吹き飛ばしていく。

 

「士さん」

 

「おう」

 

それだけのやり取りで二人は運転を変わる。

トライドベンダーは暴れ馬ではあるが、ディケイドの手には軽く操られていた。

その間に映司はメダジャリバーにセルメダル三枚を入れて、オースキャナーで読み込ませて力を開放させる。

 

トリプル!!スキャニングチャージ!!

「セイヤー!!」

 

横一線にメダジャリバーを振るう。

それだけでローチの群れが次元ごと切断されて一斉に爆散する。

そうして、ローチ達を切り抜けた先に石板はあった。

二人はトライドベンダーから降りると石板に歩み寄る。

その石板には一枚のカードがはめ込まれていた。

 

『おや、案外速く来ましたね』

 

「助けに着ましたよ。というか、意識があるんですか?」

 

『本来は人間を生贄に捧げるところを私というアンデットを生贄にした事で起きた不具合でしょう』

 

『風はまだ私達の方を向いていたという事さ』

 

「お前の意識があったのか」

 

『どうやら今は封印が弱まっているようだからね』

 

士と映司はまだ意識のあったヒューマンアンデットと(タランチュラアンデット)を意外に思いつつ救う方法を尋ねる。

だが、二人は救う事自体を否定した。

 

『駄目ですね。この封印を解くには代わりの生贄が必要な様ですから』

 

『我々ごと石板を破壊するのが一番だね。そうすれば奴らは弱体化する』

 

「ご先祖様達はそれでいいんですか?」

 

『あぁ、私達はアンデットだ。バトルファイトの為に生まれた存在とはいえ十分過ぎる程に生きたさ』

 

『ですから、私達は大丈夫です。むしろ、子孫の為なら喜んでこの身を差し出しますよ。頼めますか?』

 

「あぁ、分かった。やってやるよ。俺は破壊者だからな」

 

「俺もやります。これ以上バトルファイトを続けさせない為にも」

 

映司と士は意を決してメダジャリバーとライドブッカーを構える。

セルメダル三枚をメダジャリバーに込めてオースキャナーで読み込ませる。

ディケイドライバーにカードを投げ入れる。

 

トリプル!!スキャニングチャージ!!

ファイナルアタックライド!!ディ、ディ、ディ、ディケイド!!

 

それぞれ力を開放し、石板に向けて無言で斬り掛かる。

斬り裂かれたバニティのカードは役目を終えたかのように蒼い炎に包まれて消滅した。

石板は全体にヒビが入り崩れ落ちた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『G…………GEEEeeeeee……………YYYAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?』

 

石板が破壊されるとほぼ同時にに魔神は悶える様に身を捻らす。

起き上ろうとしたちょうどその時に咆哮を上げる。

それは苦悶の声であった。

それは屈辱の声であった。

それは憤怒の声であった。

それは(統制者)悪魔(破壊者)のメッキが剥がれ落ちていく前兆だった。

魔神は徐々にその身を、その我欲を曝け出していく。

 

 

 





vs魔神前編でした!!
時間にしたら五分以下の攻防だったりします
フォーティーンベースなので弱点が弱点してます

おそらく次回決着です
エピローグでもう一話使うかもです

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!
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