前回入ったそばから敵オンリー!
というわけで、敵視点回です
某所。
箱庭であって箱庭では無い場所。
大ショッカー本部の研究室の一つに戦極凌馬はいた。
椅子に座り、コーヒーを飲みながら液体が満たされているカプセルを眺めていた。
「まさかオーバーロードに続いてこんな良質な研究素材が手に入るとはね」
カプセルの中には人型に近い異形の物体が浮かんでいた。
それは残骸とも呼べる物であった。
事実活動は停止し、生物的には死亡しているはずの物であった。
だが、それは腐敗もせずに存在し続けていた。
それどころか破片が時折動くくらいである。
「元々は一人の人間を操っていたようだけど自身の欠片と融合させる事で完全なる傀儡にした。それにより、この個体の肉体は限りなく本体に近い」
それは人間の女性の面影を残していた。
しかし、切断面と思われるところから見えているのは斑模様の正体不明の物質だ。
肉や血、骨などの人間らしい物は一切無かった。
「不規則な軌道を描く隕石”ウロボロス”、星を喰らう者”クァトネヴァス”。それを目的たる星へと導く端末である化身。いやはや、全く面白い物だよ。そして、”偶然”というのもまた面白い」
箱庭を騒がす魔王連盟”ウロボロス”と同じ名を持つ存在でもあったのだ。
とはいえ、”ウロボロス”という名称はその軌道から名付けられた物であり、本当に偶然でしか無いのだが。
クァトネヴァスが星を喰らう理由は単純明快だ。
自身の力が弱まったから栄養を得る為に喰らうのだ。
そのサイクルを一度でも失敗すれば本体は弱り衰弱する。
そして、此処に化身の残骸がある理由は一つ。
邪魔が入り、撃退されたのだ。
それにより、本体は捕食を行えず、衰弱して宇宙を漂っている。
大ショッカーが目を付けたのはそれだった。
星を喰らう存在を手にする為に化身の研究を戦極に行わせようとしているのだ。
戦極としては自身の研究に役立つデータも手に入りそうなので願ったり叶ったりなのであった。
戦極はサンプルから目を離すと椅子を回し、別の方を向く。
「さて、そろそろ
言いながらコップを机の上に置き、手を前に出す。
戦極の片眼が怪しく光ると手の先に黒いベルトが、黒いドライブドライバーが出現する。
更にそれを中心として機械が広がり、人型を作り出していく。
やがてそれの表面は肌色と変わって行き、気が付けば一人の男となっていた。
「初めまして、かな。蛮野天十郎」
「どういう事だ?私は確かに剛に破壊されたはずだ。それにこの体は…………」
「メガへクスの力を得た私の手に掛かれば君一人を再現するくらいわけないさ」
戦極は蛮野のデータをその身に取り込み、蛮野の肉体と黒いドライブドライバー、通称バンノドライバーを再現したのだ。
蛮野は機械生命体ロイミュードの制作者である。
それゆえに自身の体について即座に理解する。
「何故私を甦らせた?」
「君の頭脳が欲しかったからさ」
「私を再現したということはデータなら君の手元にあるはずだが?」
「データだけじゃ意味が無いだろう?研究者の発想は人格から来る物もある」
「だが、私が君達に従うとでも?」
「思ってはいないさ。私も同じ状況なら従わないしね。でも、君の肉体を作ったのは私だ。君ならばその意味合いを分かるはずだけどな」
「………………………」
蛮野も理解はしていた。
たとえ今逆らったとしても何らかの方法で即座に無力化されるだろうという事くらいは。
「仕方がない。今は君達に私の技術を与えてやろう。だが、私が何時までもそのままとは思っていないだろう?」
「あぁ、そうでなくては面白くないからね。制御装置くらい君なら解除してみせると思っているさ」
「ならば、何故自由を与える?」
「大ショッカーは寛容だよ。君一人の野望くらい平気で抱え込んで利用する。利用し利用される関係ではあるがそのままというのも気に入らない。だから、その関係が壊れる様な因子を少しでも増やしたいのさ」
「私が君の都合よく動くとは限らないが」
「構わないさ。害になれば排除するだけだからね」
視線がぶつかり合う。
手を取り合うはずなど無い。
互いに世界を自分を中心に回すつもりなのだから当たり前である。
数秒して蛮野は戦極に背を向けて研究室を出るのだった。
大ショッカー本部の内部構造は製造過程で脳にインプットしてある。
それを元に蛮野に与えられた研究室へと向かったのだろう。
「サンプルを得る代償は払ったが、大首領はどういう人選をしているのだろうね。まるで内輪揉めを起こすつもりで組織を作っているのかと思えるくらいだよ」
何はともあれ自身には関係無いとして戦極はサンプルに向き直す。
彼の目の前には無数のカプセルがあった。
無数の研究材料を前に戦極は思わず口を歪める。
「これだけあればドライバーに新しいシステムを組み込めるかもしれないね」
言いながらコーヒーを一気に呷る。
瞳を怪しく光らせながらデータを纏め始める。
その途中でふと思い出したように呟くのだった。
「私の技術を一部提供した彼らの方はどうなっているんだろうね」
◆◆◆◆◆
「ふむ。どの個体も経過は良好な様ですね」
「あの三頭龍が良質な恐怖と絶望を撒き散らしてくれたからな。ゼットンを育てる餌にはこの上なく丁度良かった」
大型の研究室にてエンターと甲冑の様な姿を持つ異星人バット星人が話していた。
彼らの視線の先には紫色の楕円形のゼリーのような物が無数に並んでいた。
その中では異形の怪物が孵化の瞬間を今か今かと待ち続けている。
彼らの進める計画は本来ならば別ではあるがとある理由で一時的に技術協力をしていた。
そんな中で彼らの背後の空間にヒビが入り砕ける。
そこから別の異形の者が姿を現した。
異次元人ヤプールであった。
「貴方でしたか。貴方から提供していただいだデータによりゼットンの強化は順調ですよ」
「此方が頼んでいた物はどうなっている?」
「超獣のデータ、対ウルトラマン戦のデータ、そして此方の研究を組み合わせた理論値は出来ていますよ」
言いながらエンターはメモリーを渡す。
ヤプールは受け取りながらゼットンの卵を見る。
バット星人とヤプールの立場は幹部待遇外部協力員と言った物である。
エンターや戦極も同じような立場であるが彼らは微妙に違う。
彼らは一定以上互いに干渉しないのを条件に大ショッカーに協力しているのだ。
彼らの最終的な目的は箱庭は無い。
それゆえに距離を取っているのだ。
「貴方の方はこのところ姿を見せていませんでしたがどうなりましたか?」
「帝王復活の算段は付いてきてはいる。問題はどうやってビクトリウムコアに匹敵するエネルギーを得るかだ」
「それならば”奴”の力を使えばいいのでは?」
「”奴”はまだ使い物にはならん。力を全て取り戻すには至って無いからな」
エンターは受け答えしながら思考を巡らす。
エンターは積極的に大ショッカーに協力している身ではあるが理念に賛同しているからでは無い。
他者の計画に協力しながらも自身の計画への準備も着実に進めている。
たとえ大ショッカーが潰れても計画を進める為に保険は幾つも作ってはいる。
それが彼らでもあった。
彼らもまた大ショッカーが無くても活動を続けるだろう。
何故なら彼らの根底にあるのは
ヤプールに至っては怨念そのものに近い。
そんな彼らだからこそエンターは保険に使えるのだ。
野望では無く
ゆえにエンターは彼らにも協力的である程度は自身の研究も開示する。
大ショッカー内部の組織はほとんど利用し利用されるの関係ではあるが、それでも信頼を得ていて損をすることは無いのだから。
「おっと、そろそろ”彼ら”のサポートをしなければいけないので私は失礼させていただきます」
言いながら頭を下げる。
その仕草には小馬鹿にするような態度が混じっているがその程度を気にするヤプールとバット星人では無い。
ヤプールは再び空間を割って異次元へと消える。
バット星人はそのまま研究室に留まった。
エンターは研究室を出て歩いていく。
「誰に付くというのは今の状況下では判断しにくい物ですね」
呟きながら歩を進める。
現在エンターが技術提供している組織の一つがとある目的の為にとある存在を排除しようと動いている。
エンターはそれをサポートするとは言ったが実質的には敵の把握という目的もあった。
敵がどういう存在か分かれば後々利用できるかもしれないからだ。
ゆえに彼は協力しながらも探りを入れているのだった。
そして、居場所は突き止めた。
その居場所は既に報告してある。
なので、あとは経過観察だけに等しい。
何かを企むように手を顎に当てながらエンターは歩を進めていくのだった。
◆◆◆◆◆
箱庭某所。
森林地帯に獰猛の戦騎Dは身を潜めていた。
だが、明らかに自身を狙って動いている気配を感じ、武器を構え移動を始めようとした時だった。
「いきなりかよ!?」
気付いた時には四方八方から光弾が放たれていた。
森林に激しい爆音が響き渡るのだった。
はい、敵回でした!
蛮野参戦!
科学者同士手を組む?
そんなわけが無いのでした!
エンターは基本的にはサポートに徹する感じで自身の目的はコツコツ進めている感じです
大ショッカーに協力しているのは恐竜大決戦の時みたいなノリです
バット星人&ヤプール参戦!
バット星人はサーガの奴と同族で同程度の技術持ってる感じです
ヤプールは説明不要!
戦極が手に入れたサンプルはミスラの上半身だと思ってくれればOKです
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!
次回!獰猛の戦騎Dの運命はいかに!