今回はノーネームサイドオンリーです!
霧崎は金剛の鉄火場の観客席にいた。
理由は単純にラッテンを応援する為である。
霧崎自身はこのゲームに参加する気は一切無かった。
能力的に明らかに向いて無いのもあるがただ疲れるからやりたくないというのもあった。
霧崎は攻めより防御中心なので仕方なくはある。
ラッテンの試合が恥まるまでまだ少しある。
売店で勝った飲み物を飲み、売店で勝った菓子を食べながらゲームスタートを待つ。
そんな時に隣から声を掛けられる。
「隣に座ってもいいかな?」
「あ、別に構わ………朧!?」
その姿に霧崎は吹き出しそうになる。
話し掛けてきた相手は望月 朧。
箱庭にいるはずの無い男がいるのだからそれは驚く。
「お前………何でここにいる?」
「それは此方が聞きたいかな」
言いながら朧は霧崎の隣に座る。
彼としては霧崎のような男がこの場にいる方が疑問だったようだ。
霧崎は諦めたように溜息を吐き、箱庭に来るまでの経緯と来てからの出来事を朧に話すのだった。
◆◆◆◆◆
「_____って、わけだ。納得したか?」
「そうだね。納得は出来る内容だったよ。羨ましい限りだ」
「ここでの生活は別にそこまでいい物でも無いぞ?」
「いやいや、謎の手紙に誘われて異世界になんて僕が求めていた物そのものだよ。こんな面白そうな世界に招待されるのが羨ましいんだよ」
「招待されてないとしたら、お前はどうやって箱庭に来たんだ?」
一番疑問に思っていた事を問う。
箱庭はそう易々と来れる世界では無い。
ネメシスQですら存在を知らなかったくらいだ。
そこに招待されていない朧がいるのは確かに異常なのだ。
それに対して朧は軽く答える。
「何か次元の裂け目っぽいのがあって面白そうだから入ったら箱庭に辿り着いたんだよ」
「は?」
「別に難しいことを言った気は無かったんだけど…………何か疑問でもあるかい?」
「いや、お前の性格は分かってるからそこらへんは避けるけど。次元の裂け目ってなんだよ」
「それは僕も知らないよ」
そんな得体の知れない物に飛び込んで朧は箱庭に辿り着いたのである。
更に話を聞くと朧が箱庭に辿り着いたのは三頭龍アジ=ダカーハとの戦いが終わった後であり、朧的には面白そうな物を見逃したと心底がっかりしているようだ。
箱庭に辿り着いてからは情報収集しながらギフトゲームで生活費を稼ぎながら各地を転々としていたようだ。
その時々に霧崎達”ノーネーム”の噂を聞いて動き回っていた様だ。
何度か”ノーネーム”のメンバーと接触はしたようだが霧崎とは会えなかったようだ。
「それで、お前はこれからどうするんだ?帰るのか?」
「帰るなんてとんでもない!!此処は僕が待ち望んでいた世界なんだ!!楽しみ尽くすに決まっているだろう?」
「そーかよ。でも、”ウロボロス”とかいう連中と”大ショッカー”って連中には気を付けろよ」
呆れたように言いながらも注意はしておく。
だが、それが失敗だとすぐに気付く。
望月朧は注意されたくらいじゃ止まらない。
むしろ嬉々としてそういう物に近付こうとするタイプなのである。
「霧崎くん、そいつらってどんなコミュニティなんだい?」
キラキラした笑顔で聞いてくる。
霧崎は大きく溜息を吐きながら額に手を当てる。
顔を引き攣らせながら渋々という形で口を開く。
「”大ショッカー”はよく知らないけど箱庭全体に喧嘩売ってる規模不明な組織だ」
「それはどっちかというと霧崎くんが知らないだけじゃないのかい?」
「たぶん、そうだろうな。映司さん達は心当たりがあるみたいだし。それはともかく”ウロボロス”は魔王連盟だ。魔王の集まりでここ最近箱庭を荒らしている連中だな」
三頭龍復活などの裏にも”ウロボロス”が関わっていたのも説明する。
すると、朧は考え込むように顎に手を当てる。
霧崎は一瞬朧の口が楽しそうに歪むのを見た。
それで朧が関わる気満々なのを察する。
「俺の言えた事じゃないけど、あんまり無茶するなよ?」
「何でかな?」
「アゲハ達の事も考えろって事だよ」
「あぁ、それはそうか。確かに僕が死んだら彼らは気にするよねぇ……………アゲハ君に無駄に心配は掛けたく無いしね。死なないようには気をつけるよ」
本当に最低限の事を誓うのだった。
口で言っても分からないとは思うが、そこらへんはそこそこ長い付き合いゆえの面がある。
会話も一段落し、霧崎がドリンクに口を付けようとした時だった。
「そういえば、このゲームにも出場する予定の笛使いって霧崎くんの彼女かい?」
「ッブフゥ!?」
いきなり予想外の言葉に完全に吹き出す。
咳き込みながら朧の方を見る。
頬が多少紅くなっているのは鏡を見なくても分かった。
「い、いきなりなんだよ!?」
「霧崎くんが想像以上に入れ込んでるようだからもしかしたら、って思ってね。単なる興味で深い意味は無いさ」
「そ、そうか」
本当にただ聞いただけなようで朧はすぐに立ち上がった。
首を鳴らしながら周囲を見渡す。
「行くのか?」
「そうだね。僕も色々と箱庭で楽しめそうなことを探してるからね」
「何時になるかは分からねぇが、またな」
「そうだね。僕らの運命が交差する時にでもまた会おう」
言いながら朧は歩き去って行くのだった。
時を同じくしてゲームの方も開幕しようとしていた。
◆◆◆◆◆
{ ー ギフトゲーム名”金剛の鉄火場” ー
参加条件:”サウザンドアイズ”発行金貨一枚。
※勝敗について。
一、A~Fグループに分かれて予選を行い、各グループで最も採掘量が多い参加者が勝者。
二、以降は勝者六名が採掘した鉱石を奪い合うバトルロワイヤル形式。
三、予選では複数名が採掘し、戦果を一人に集中しても良い。
四、本戦では
五、バトルロワイヤルの勝敗は予選・本選で得た採掘量の集計で決める。
六、採掘した鉱石はギフトカードに仕舞われる為、ギフトカードを奪われることは鉱石を奪われることと同意とする。
※注意事項。
金剛鉄の不正な持ち出しは反則です。
反則行為は全て審判に通達が行くので、密輸は諦めましょう。
参加者報酬:採掘量に応じて賃金を支払う。尚、略奪分の賃金は採掘した本人に還元。
優勝者報酬:採掘した”金剛鉄”で武具を発注できる。武具以外は要相談。
宣誓 主催者は上記のルールに則り名と御旗の下、公正なゲームを執り行う事を誓います。
同盟代表”六本傷”印}
ラッテンは”風浪の鉱山”の洞穴内で”
周囲には三原色の光を放つ岩盤がある。
ルールを一通り眺めてラッテンは息を吐く。
「チーム戦ありってのが厄介なのよね~」
複数人で発掘して一人に鉱石を集中させる方法もこの予選ならありではある。
一人で参加しているラッテンとしてはそこは不安要素であった。
そんなことを考えていると小さな影が三つぴょんぴょんと跳ねる。
「らってん!!ふあん?」
「だいじょうぶ?らってん!!」
「がんばれ!!らってん!!」
群体精霊のメルン、メルル、メリルの三人だった。
”ノーネーム”の農場を開拓した事によって己の眷属を増やしていたのだ。
とんがり帽子の精霊が主精霊のメルン。
先っぽが二つ尖っている帽子を被っているのがメルル。
先っぽが三つ尖っている帽子を被っているのがメリル。
彼女達はラッテンを元気付けるように騒いでいた。
霊格を同調させている分そういうのにも敏感なのだ。
対してラッテンは軽い調子で笑みを浮かべ、メルン達を撫で回す。
「心配しなくてもいいわよ。負けはしないわ。何の為に貴女たちを連れてきたと思っているの?」
「「「?」」」
三人同時に首を傾げる。
そもそも彼女達がこの場にいるのはラッテンが連れ出して来たからである。
つまり、連れて来たからに連れて来たなりの理由が存在するというわけである。
その一番目が戦力の温存である。
ディーンとアルマは強力な戦力ではあるが、多用すれば手の内を晒すに等しい。
なので、ラッテンはメルン達三人を連れてきたのだ。
「けど、モチベーション上がんないのは確かなのよね~」
既に義手がある彼女にとって”金剛鉄”の武具は特段必要な物では無い。
加えて霧崎も武器を多用するタイプでは無い。
なので、優勝を狙う旨みが少ないのは確かであった。
霧崎の前で無様な姿を見せるわけにはいかないので頑張るつもりではあるが。
そうこうしている内にゲーム開始が近付く。
黒ウサギが壇上で時間を確認し、ウサ耳を伸ばし、
『それでは!!ギフトゲーム”金剛の鉄火場”__________スタートです!!』
ドオオオオオオオオオオオオオオオォン!! と銅鑼の音が洞窟内に響き渡る。
参加者たちは待ちくたびれたとばかりに怒号を上げて一斉に動き始めた。
同時にラッテンも動き出す。
とはいえ、ラッテンは鶴嘴を使う気は無かった。
発掘の手段は別に掘り進めることだけでは無い。
義手である左腕の掌に仕込んであるギフトカードからハーメルケインを取り出す。
「さーて、始めるとしましょうか!!」
言いながらハーメルケインに口を付け演奏を始めるのだった。
ゲーム開始でした!
ここまで特撮組の出番が無いのもある意味珍しかったりします
朧と霧崎の再会でした
再会しても盛り上がる間柄では無いですが
友人ではあるんでしょうけどそこまで深い関係でも無いですからね
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!
ラッテンの活躍は次回なり!