問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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バッチリミナー!バッチリミロー!バッチリミィヤー!
というわけで、予選ゲーム開幕です


地精と馬肉と金剛の鉄火場

「ま、こんなもんでしょ」

 

採掘は順調であった。

モチベーション上がらないのは確かではあったが純粋に真面目にやるかどうかは話が別であった。

メルン達を連れて来たのも採掘の為なのであるから。

メルン達は地精なので地盤の操作くらいは簡単である。

なので、その力を持って岩盤を脆くし、ラッテンの魔力を籠った演奏によって一気呵成に崩落させるという寸法である。

ついでに、定期的に攻撃的な音波や催眠的な音波も放っている。

洞穴なのでよく反響する。

遠いと効果は薄いが妨害には十分である。

攻守ともに万全な姿勢でラッテンはゲームを進めているのだった。

その時だった。

洞穴内に悲鳴が響いた。

 

「ん?何かしら?」

 

ラッテンは耳を澄ませて悲鳴に合わせて会話を聞き取り始める。

悪魔ゆえに耳も常人以上に良く、精度もかなりの物なのである。

 

「な、何しやがる!?それは私のギフトカードだぞ!!」

 

「ふん。地精如きがギフトカードを持つなど宝の持ち腐れだ」

 

その声だけで大体の事は把握する。

反響の方向から場所も大体分かっている。

ラッテンは口を歪ませながらハーメルケインを構えるのだった。

 

「らってん、どうかした~?」

 

「らってん、わるいかお!!」

 

「らってん、こわい!!」

 

「あ、顔に出ちゃってた?まぁそれも仕方ないわよね」

 

言いながら声がした方へと駆け出すのだった。

メルン達はその背に必死に掴まっているのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「よし。では、娘は縛り上げて次に行くぞ。採掘量は多いほどいい。他の参加者からも、」

 

「とりゃ」

 

「ゴバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

ラッテンはハーメルケインの刃の先に複数の魔方陣を展開して球体を作っていた。

そこで魔力の籠った音をひたすら反響凝縮させていた。

それを襲撃者たちに向けて解放したのだ。

ひたすら押し込まれていた音は開放された途端に波長を持った魔力波となり、襲撃者に向けて破裂したのだった。

ただの物理的なダメージでは無く体内で反響する地味にキツイ打撃と化しているのだ。

前まではここまでは出来なかったがアルマと同調し、霊格が強化され、その状態にも慣れた事によって今まで以上の力を扱えるようになったのだ。

襲撃者たちは試し撃ちに吹き飛ばされたのだった。

 

「威力は上々、精度は要調整ってとこかしら?」

 

適当に確かめるように呟く。

一応の確認を終えると襲われていた少女の方を向く。

 

「あら?”ウィル・オ・ウィスプ”の……………アーシャだっけ?大丈夫?」

 

「そういうお前は”ノーネーム”のか。何で助けた?」

 

襲われていたのは同盟コミュニティである”ウィル・オ・ウィスプ”のメンバー、アーシャ=イグニファトゥスだった。

理由を問われ、一瞬顎に手を当てたがどう言っても仕方が無いのでそのままを伝える事にした。

 

「まぁ一言で言うならついでね。ぶっ飛ばす相手にあいつらがちょうど良かったってのと単純にちょっとイラっとしただけよ」

 

「そうかよ」

 

顔を背けながらアーシャが呟く。

頬が少々赤くなってるのは照れくささからだろう。

ラッテンが差し出した手を掴んでアーシャは立ち上がる。

用は済んだので各々採掘に戻ろうとした時だった。

 

『_______悪魔風情が私を邪魔するかぁぁぁぁ!!」

 

突如として雷鳴が響き、ラッテンに吹き飛ばされた者が帰ってくる。

現れたのは第三幻想種______鷲獅子と龍馬の混血貴種・”ヒッポグリフ”のグリフィスだった。

それを見たラッテンは呟く。

 

「誰?」

 

割と本気の呟きだった。

首を傾げながら思い出そうとするが中々出てこない。

その様子にグリフィスは完全にブチギレる。

 

『貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!このグリフィス様を知らないで妨害したというのかッ!!』

 

「ん~グリフィス?あぁ!!あの映司にボコられてた雑魚馬肉ね」

 

『何処までを私を馬鹿にしなければ気が済まないようだなッ!!』

 

怒りの限界を越えてグリフィスが叫び散らす。

眼を見開き、周囲に雷鳴を撒き散らす。

ラッテンは呆れたようにその光景を眺めている。

 

「どの道没落貴族ルートの真っ最中でしょ?」

 

『GEEEEEEYAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

ラッテンの更なる煽りに最早理性の欠片も無い叫びを上げる。

獣の如く吼え、龍角を構える。

 

『最早問答など不要!!消し飛ぶがいい、悪魔風情がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

龍角の先端を突き出して突貫してくるグリフィス。

途端、洞穴内に轟音が響いた。

足場は両者の激突で大きく窪み、洞穴が陥没するのではないかという衝撃が走る。

対してラッテンはハーメルケインを咥えて演奏を始める。

それによって魔法陣型の防壁が前方に展開される。

激しい音と共に魔法陣と龍角が激突する。

 

『ふん。この程度の防壁破れないとでも思ったかッ!!』

 

突進するグリフィスの力は徐々に増していく。

それどころか、体に稲光まで纏わせていく。

それでも、ラッテンは引かない。

 

「_____って、こんなところで戦いを始めるなお馬鹿ー!!」

 

近くで観戦していたアーシャはラッテンと違い、防壁では守られていない。

ゆえに激突の余波に晒されかねないので全力疾走で逃げ出すのだった。

他の参加者たちも巻き込まれない内に我先にと逃げ出すのだった。

ラッテンを守護する防壁は徐々にヒビが入り始める。

いかに霊格が強化されたとはいえ、完全に防御し得るレベルには到達していないようだった。

だが、それで良かった。

元よりラッテンの狙いは別にあった。

防壁など時間稼ぎでしか無い。

ただ、グリフィスを(``````)この場に留めれれば(````````)十分なのだから(```````)

 

『ヌゥゥゥゥゥン!?』

 

突如としてグリフィスの足場が崩壊を始める。

完全に予想外な上に突進に専念していたグリフィスは虚を突かれ、足元を掬われる形で沈んでいく。

その様子を見て、ラッテンは口元を歪める。

此処までラッテンの作戦通りだった。

足止めに徹して、グリフィスを特定の場所で固定している間にメルン達の力で足場を脆くする。

グリフィス自身が余波の大きい力を使ってるだけあって崩壊は一気に進む。

ぞれによって隙を作るのが狙いであった。

ラッテンはグリフィスが落下した穴に飛び降り、グリフィスの背に降り立つ。

 

『な、何を…………』

 

「音撃槍・疾風刺音!!」

 

ハーメルケインをグリフィスの背に突き刺した上で演奏を始める。

魔法陣が幾重にも重なり、グリフィスを拘束し、抵抗を完全に封じる。

そして、魔力が籠った音波がグリフィスの体内を駆け巡る。

体内を反響し、内部からズタズタにしていく。

 

『ガグギャガバァ!?』

 

肺の空気の全てが絞り出されるような悲鳴と共に全身から血を吹き出すグリフィス。

グリフィスは白目を剥いて痙攣しながら気絶した。

その有様にグリフィスの付き人と思われし者たちは顔を引き攣らせながら主人を置いて一斉に逃げ出そうとする。

だが、それを許すラッテンでは無かった。

 

「逃がすと思ってる?」

 

軽く音色を奏でる。

それだけで付き人達は意識を失い倒れていく。

土砂に隠れて戦いを見守っていたアーシャもまた顔を引き攣らせていた。

 

(容赦無いな……………)

 

慄きながら息を呑む。

かつての”火龍誕生祭”において襲撃してきた魔王の一味の一人が目の前ラッテンである。

あの場にいたアーシャはうっすらだがラッテンの事も聞いていた。

その聞いていた話と現在の実力の違いに身を振るわす。

それを気付いてか気付かずにか、ラッテンは特に気にする事も無くグリフィスたちへと近付き、懐を漁る。

必要以上に蹴りを入れながら完全に気絶しているのと息をしているのを確認していた。

さすがに殺しては後々の印象が悪いと思っているのだろう。

確認作業のついでにギフトカードも回収していた。

 

「大量、大量、自業自得ってね」

 

明らかに楽しそうに性格悪そうな笑みを浮かべながらギフトカードを眺める。

その中からアーシャのギフトカードを抜き取るとアーシャの方を向く。

 

「はい、貴女のギフトカード。返しておくわね」

 

「お、おう。ありが_____」

 

ラッテンがアーシャに向けてギフトカードを投げ渡そうとした時だった。

ドオオオオオオオオオオオオオォンッ!!

という、銅鑼の音が洞穴内に響き渡った。

 

「あー………」

 

「え………」

 

その音が何を意味するか悟ってラッテンは頬に汗を流す。

内心ではヤバい、どうしようこれ、となっていた。

ラッテンの手の中にはアーシャのギフトカードがあった。

 

「タイムアーップ!!此れにてゲーム終了!!現時点で最も金剛鉄(アダマンティウム)を所持しているのは____なんと!!我らが”ノーネーム”のラッテン選手です!!」

 

「やっぱ、そうなるわよね~」

 

ラッテンは苦笑いしながら呟く。

ラッテンの採掘分には確実にアーシャの物が入っているだろう。

だが、そんなことは露知らず、ウサ!!とウサ耳をアピールして銅鑼を鳴らす黒ウサギ。

後で殴ろうと心に決めながらラッテンはアーシャの方を見る。

此処で抗議しに行くかどうかはアーシャが決めるのが一番だと思ったからである。

 

「単刀直入に聞くけど、貴女はどうしたい?」

 

「あー、そうだな。抗議して勝っても恥ずかしいしあんたの勝ちって事でいいよ」

 

「本当に?」

 

真意を探るように瞳を真っ直ぐ見るラッテン。

それに対して何か底知れない物を感じて冷や汗を流すアーシャ。

アーシャは一息を吐いた後に諦めたように言う。

 

「いいんだよ、もう(``)な」

 

「ふーん、そこらへん深く切り込む気は無いけど納得(``)にはまだ足りないのよね。一回話さない?」

 

「それじゃあ、この後少し付き合ってくれよ。”ウィル・オ・ウィスプ”移住も含めて相談したい事もあるから黒ウサギ辺りも誘ってさ」

 

「じゃあ、ついでに霧崎も連れて行くとしましょうか」

 

ラッテンは意味深に笑いながら頷く。

それに不気味な事を感じたがそこに触れはせずにアーシャも洞穴を撤収する。

一人残ったラッテンはボソリと呟く。

 

「ま、柱を失ったからには苦労はあるんでしょうね~」

 

何かを察したかのように頭を掻きながら遅れてラッテンも退出する。

ガラじゃないとはいえ一度乗り掛かった船なので多少相談くらいは聞こうと思うのだった。

 

 





ラッテンvsグリフィスはラッテンの勝利という形でしたがディーン&アルマ抜きだと割とキツイ相手でもありました
ラッテンは霊格強化されても本体の耐久力はそこまでなので


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