”ノーネーム”本拠・居住区跡地。
三頭龍との戦いの後、”ウィル・オ・ウィスプ”の面々は北側に住むのは危険だと判断し、”ノーネーム”に身を寄せていた。
”ウィル・オ・ウィスプ”の面々の移住に必要な住居を作る為の見取り図を作っているのだった。
「そういえば、行方不明になっている同士たちを探す当てが付いたと聞いたが」
「あぁ、その件か。確かに当てはついてはいるがはっきりとした事は私も知らないよ」
「なんだと?」
「”ズレ”を利用して”鍵”を探し当てたとは言ってたが、…………正直対応に困る話だったんでね」
「だから、具体的な事を教えろ」
「いやなに、どうやら”鍵”は
「
「まさにその通りらしいよ」
肩を竦めるように言うクロア。
実のところでは彼も事の全容を把握しているわけではない。
だが、深刻な”ズレ”が発生し、それが多大な影響を及ぼしているのは分かっている。
”ズレ”が現時点で何処まで広がっているかは定かでは無い。
けれど、”ズレ”が大きくなればなるほど”ズレ”を発生させた元凶の思惑通りになるのだろうとは予測が出来る。
そして、”ズレ”の要になる”鍵”に”ノーネーム”が再建の為に行った召喚が関わっているのも聞いていた。
「詳しいことは
「そもそも、奴は何者なのだ?」
レティシアが訪ねると同時にウィラがおどおどと手を上げる。
彼女としてはレティシアとクロアの会話に一切ついていけて無かった。
「あの、アカレッドって誰ですか?」
「そうか。君は会って無かったな。アカレッドは…………三頭龍の相手をし、強化された双頭龍を打倒した男だ」
その言葉にウィラも思い出す。
確かにそんな男が戦場にいたと思い当たったのだ。
「それで、奴が何者かという話だが正直私も何と説明していいのか分からないのだよな」
「どういう事だ?」
「原典候補者であるのは確かだ。そして、敵でも無い事もな。けれど、その正体は分からない。私やコウメイに接触出来ていた辺りそれなりの者だとは分かるが」
「そんな奴を何故信頼できる?」
「奴の言葉には説得力はあるのだよ。幾つもの魂が重なったような説得力がね。まぁ何はともあれ同士たちの捜索に進展があれば奴の方から連絡をしてくるだろう」
それで話を〆てクロア達はまた足を進める。
早目に住居を作る為にも見取り図は近日中に作っておきたいのだった。
やる事は山ほどあるのだった。
出戻りで立場が雑務からやり直しであるクロアはチマチマとかつての立場に近付く為に働くのだった。
◆◆◆◆◆
士は当然のように予選は突破していた。
響鬼の力やキバの力によって岩盤を崩し、大量の鉱石を採掘する事で勝ち上がったのだった。
予選が終わった後は街をふらふらと歩きながら写真を取っていた。
「やっと、騒ぎも収束してきたってところか」
新聞のような物を眺めながら呟く。
三頭龍との戦いが終わった後も後始末などがあり慌ただしかった。
そして、グロンギやアンデットが起こした事件などもあり箱庭は落ち着きを取り戻せていなかった。
やっと最近そういった騒ぎも少なくなり平穏に近付いてきたということだ。
写真を取りながらも今まで自身が撮ってきた写真を眺める。
そのどれもが異様としか表現しようが無い歪んだ写真となっていた。
士の撮った写真は毎度こうなるのだった。
「この世界もまた俺に撮られたがっていないのか?」
まるで世界が士に撮られることを拒絶しているかのように写真は歪む。
幾つもの戦いを乗り越え、幾つもの世界を巡った士ではあるがこれだけはどうやっても変わらなかった。
幾つもの世界と繋がりを持つ箱庭でさえ士の写真は歪む。
それは最早まともに写真が撮れる世界は存在しないとも思わせた。
これで折れる士では無いが、それでも多少は気にしはするのであった。
カフェに入り、コーヒーを啜りながら考える。
「世界の融合と消滅はあの戦いで終わったはずだ。だが、今感じているこの違和感は何だ?」
箱庭で起こる怪人による事件。
元々は存在していない物がまるでかつてから存在していたかのように現れる現象。
そう、アンデットの封印塚である。
あれは明らかにおかしい物であった。
まるで本来のあるべき姿から世界がどんどん歪んでいっているようだった。
士はかつて”滅びの現象”という物を体験した事があった。
ゲゲルを失敗させ、復活を阻止したグロンギが唐突に蘇る。
そんな事を”滅びの現象”は引き起こした。
”滅びの現象”が具体的に何が原因で、どういう物かは結局のところ分からなかった。
それでも、”滅びの現象”はディケイド激情態となった士が仮面ライダーキバーラによって倒され、世界が修復されて以降は発生した記憶は無かった。
だが、もしイレギュラーを起こすのが”滅びの現象”であるのならばアンデットの件も”滅びの現象”と同類なのかもしれない。
それはそれで修復されたはずの世界が再び終わりへと向かっている事を意味する。
何が原因であるにせよ、放置は出来ないのだった。
「まぁ何はともあれ今は十六夜の奴を何とかしてやるのが先だけどな」
だいぶマシになって来ているとはいえ十六夜は迷いの中にある。
その原因を察せてるがゆえに放っておけないのだった。
”金剛の鉄火場”に参加しているのもその為ではあった。
本戦においてしっかりと叩き直す為の参戦ではある。
だが、その前に答えを得ていたとしてもそれはそれとして力試しに相手をすることにはしていた。
今の十六夜は、新たな力が目覚めているところでもある。
その力の制御法の確立に付き合うのもまた一興というわけである。
「さて、そろそろ行くか」
「いいや、貴様はもう何処にもいけない。何故ならば貴様は今日此処で終わるのだからな!!」
立ち上がった瞬間に何処からともなく聞き覚えがあるような声が聞こえてきた。
周囲を見回そうとした瞬間に視界が、否、
頭痛のような鈍痛が瞳に走り、思わず目を押さえる。
「なッ!?」
痛みが収まり、手を目から話した時には世界から色が消えた。
昔のテレビのように色が抜けた白黒な灰色の世界が広がっていた。
世界は静止し、動きを止めていた。
色が付いているのは士だけであった。
士はそこまで驚きはしなかった。
こういう経験は何度かしていた。
そして、こういう経験する時は大体
周囲を改めて見回すと色が付き、動いている物を見付けた。
人混みに紛れるように立つ中年の男。
帽子を被り、眼鏡を掛け、コートに身を包んだその姿。
それは最早見覚えがあるというレベルでは無かった。
その男の事を士はよく知っていた。
「またお前か、鳴滝!!」
「ディケイド、こうして話すのは久し振りだな。そして、今回で最後となる」
うんざりしたように叫ぶ士。
対して鳴滝と呼ばれた中年の男は軽く手を上げる。
それと同時に鳴滝の背後に巨大な銀色のオーロラが現れる。
銀色のオーロラはそのまま鳴滝を包み込み、士の方へと向かっていく。
逃げることなど出来ずに士も銀色のオーロラに包まれる。
思わず身を守るように上げていた腕を下げると先程までとは全く違う
これも何度も経験していた。
こういう手は鳴滝がよく使う手であったのだ。
士は肩を竦めるようしながら鳴滝に言う。
「こんなところまで来るとはお前は本当にしつこいな、鳴滝」
「貴様が消えるまで私の役目も終わらないのでね」
士を睨み付けながら返す鳴滝。
この男は今まで幾度も幾度も士の前に現れていた。
そして、幾度も士の命を狙っていた。
だが、世界の敵では無いようで大ショッカーが初めて姿を現した時はその野望を阻止する為に動きもしていた。
しかし、何時からか士を消す為なら手段を選ばないようになっていた。
士を消す為なら悪の組織の力を使う時もあれば、自身を怪人に変える事もあった。
その正体も、士を狙う目的も一切不明であった。
なので、今回も士は何時もの事かと思っていた。
だが、今回は雰囲気に何処か違和感があった。
「だが、今回こそは貴様を消させて貰う。貴様は存在してはならないのだ」
士を消す気なのは何時も通りだった。
だが、今回は明らかに殺気が違った。
何より何時もは士を消す為に用意している刺客が見当たらない。
何時もならばライダーなり、怪人を連れて襲って来ているのだった。
けれど、今回はそれがいない。
それが意味することは、
「私の手で直々に貴様の息の根を止めてやろう、ディケイド!!」
鳴滝が自分の手で士と戦おうとしていることだった。
遂に正体判明!
バレバレだった?
それはともかくとしてようやくの直接接触でした!
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!