問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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ターミナルとイマジネーションと残念なる偽名

 

扉の向こうは駅の構内のような光景が広がっていた。

映司とアンクは目を見開き、ルイオスはキョトンとした顔をする。

十六夜も驚いた顔をしながらポロロに声を掛ける。

 

「おい、これはどういう事だ?」

 

「外界出身の旦那ならどういう場所かくらい知ってるだろ?」

 

「そうだが……………何で箱庭に、それもカフェの扉の向こうにこんなとこがあるんだよ」

 

「厳密には箱庭じゃない(``````)な」

 

「どういう意味だ?」

 

「それは私がお答えしましょう」

 

会話に割り込む声が響く。

一同がそちらを向くと黒い服を着た杖を持った男が歩いてきているところだった。

その後ろには赤、青、黄、紫の異形の者が歩いていた。

 

「オーナーさんが此処にいるという事は此処はデンライナーが関係あるんですか?」

 

「その通りですよ」

 

その顔は映司に取っては知った顔だった。

時の列車デンライナーの乗務員であるオーナーが目の前の男だった。

オーナーは駅についての説明を始める。

 

「此処は時の分岐点近くに現れるターミナルの中です。箱庭は全ての分岐点と関わりが深いので繋げること自体は容易というわけです」

 

「俺達をそんなとこに連れてきてどうするつもりだ?」

 

「それはあちらで座って話すとしましょう」

 

一同はカフェテラスとも言える場所に移動し、それぞれ座る。

モモタロスとアンクはお互いの姿を確認すると睨み合う。

 

「なんだ、お前もいんのか」

 

「いちゃ悪いかよ?」

 

「今度は勝手な真似すんじゃねぇぞ?あの時どんだけ大変だったか分かってんだろ?」

 

「ふん。そんな事は俺の知った事じゃない」

 

「なんだとぉ!?」

 

「はいはい、先輩も右腕さんも喧嘩しないで今は大事な話があるみたいだし」

 

喧嘩寸前のところでウラタロスが仲裁する。

今暴れられても面倒なわけである。

 

「良太郎さんや幸太郎はいないんですか?」

 

「良太郎の奴は用事あるから今はいねぇ。幸太郎は別の仕事があるらしいぜ」

 

映司の問いにモモタロスが答える。

オーナーは一旦咳払いしてから話を始める。

 

「では、改めて自己紹介を私はデンライナーのオーナーです。今回は駅長の代わりに代表としてこの場に来ました。モモタロス君達は護衛と思ってください」

 

「それで、話ってのは一体何なんだ?」

 

その答えはポロロから返ってくる。

ポロロは先程渡した設計図を指差しながら言う。

 

「さっき、”精霊列車”の話をしたろ?」

 

「あぁ」

 

「あれを製作運営にするにあたって不安要素は幾つかあるのもさっき話したよな?その中の一つ……………”大ショッカー”に関しての対策に協力してもらおうと思ってな」

 

「そういう事か」

 

十六夜はその言葉に納得する。

大ショッカーは確かに不安要素の一つである。

”精霊列車”の利便性を考えれば手を出してきてもおかしく無い。

物資の運搬中に襲撃されでもしたら溜まった物では無い。

霊脈での高速移動とは言え相手は大ショッカーだ。

何をしてくるか、何を使ってくるか分かった物では無い。

それゆえの対策なのだ。

 

「此方としても大ショッカーは問題視していましてね。彼らは時の運航を乱し過ぎているのですよ。ですから、協力は快くさせてもらいますよ」

 

「具体的にどう協力して貰うつもりなんだ?」

 

「主には護衛だな。設計としてはあんまり武装付けれないからそこらへんを補ってもらう」

 

「でも、オーナーさん達じゃ対応し切れないんじゃ?」

 

「そこも考えてもう一勢力交渉している。この場にも来てもらうって話にはなってるはずなんだが」

 

「彼らはもうすぐ来ると思いますよ」

 

「どうやらちょうど良いタイミングだったようだね」

 

オーナーが言った瞬間に別方向から声が響いた。

一同がそちらを向くとピタリと動きを止めた。

現れた人物の外見があまりに奇抜ゆえに冷や汗すら流す。

現れた人物は白い制服のような服に身を包んでいた。

そこまでは良かった。

良かったのだ。

問題はその頭だった。

その頭にウサギの被り物を被っていたのだ。

 

「ん?私はレインボーラインの総裁だ。よろしく」

 

首を傾げながら総裁は自己紹介をする。

どうやら固まってる意味を理解してないようだ。

十六夜はもう面倒になって気にしない事にした。

そうして、ようやく口を開く。

 

「えーと、まずレインボーラインってのはなんだ?」

 

「夢や想像力を、イマジネーションを持つ者だけが見える路線さ。私達はそれを守っている存在さ」

 

いまいち分からない説明だったが、ようは列車関連の組織という事は把握した。

顎に手を当てると総裁の後ろにもう一人男が立っているのに気付いた。

男はタンクトップの上に皮ジャンを着込み、ヘルメットを被ったいかにも作業服と言った服装をしていた。

男に十六夜が気付いたことに気付くと総裁は男の紹介を始めた。

 

「彼は虹野 明。今日は私の護衛として付いて来てもらっている」

 

「レインボーラインの整備員をやっている。よろしくな」

 

ヘルメットを押さえるようにしながら名乗った。

十六夜は息を吐きながらポロロの隣に移動する。

 

「おい、どうやって知り合った?」

 

「いきなりか」

 

「どちらも箱庭にいちゃ知り合えなさそうに見えるんだよ」

 

「まぁ、そうだな。だが、三カ月前戦いがあっただろ?あの時にデンライナーは箱庭に来てたんだ。それでコンタクトが取れて交渉を進めれたってわけだ」

 

「レインボーラインの方は?」

 

「オーナーの紹介だ」

 

「なるほどね」

 

話を聞いて十六夜も納得する。

内心に渦巻いていた怪しさは解消された。

だが、どういう連中なのかはさっぱり分からないのだった。

何はともあれ交渉自体は進んでいく。

 

「私達も彼らの存在は見逃せなくてね。協力は惜しみなくしよう」

 

とはいえ、両者ともに元々協力する気満々だったので話自体はスムーズに進んでいく。

”精霊列車”に関してはまだ不確定な部分が多々あるとはいえ、話自体を進めておいて損は無い。

一方で交渉とは無縁の護衛達は暇そうにしているのだった。

 

「ねー、遊んできていい?」

 

「駄目だよ、リュウタ。僕たち一応護衛なんだから」

 

「ZZZZZZZzzzzzzz」

 

「ほら、キンちゃんも起きて」

 

「あぁ、すまんな」

 

イマジン達は自由にしている一方で明は座ってコーヒーを飲んでいる。

ルイオスは次々と現れる者たちについていけないという様子だった。

 

「あのウサギ頭はなんなんだ?何で誰も突っ込まない?僕の方がおかしいとでも言うのか?」

 

「あれは触れない方がいい」

 

「いや、そういうお前はなんなんだよ?」

 

「俺はさっき言った通りレインボーラインの整備員の虹野 明だ。特に秘密とかは無いから安心しろ」

 

モモタロスとアンクは相変わらず睨み合っているのだった。

映司と十六夜は交渉の方に参加していた。

 

「まさか映司さんがオーナー達と知り合いだとは思わなかったぜ。それなら、もっとスムーズに話が通せたかもしれないのに」

 

「知り合いと言っても一回共闘したくらいだよ」

 

「えぇ、それ以降彼らとは会っていませんからね」

 

「何はともあれ話はこういう形でいいかな」

 

「十六夜の旦那は何か意見あるか?」

 

「特には無いな。俺は”大ショッカー”自体よく知らねぇしこれに関しては任せる」

 

「そうか」

 

「それでは、我らレインボーラインと時の列車、そし君達が力を合わせて”精霊列車”の安全を守っていこう」

 

「”精霊列車”絡み以外でも困った事があれば呼んでください。力を貸せる事もあるかもしれませんからね」

 

話は纏まった。

レインボーラインと時の列車が”精霊列車”が緊急事態になった時に力を貸すという契約は結ばれた。

”精霊列車”側の対応というワンクッションを入れて頼り過ぎにならない様に調整を加え、”大ショッカー”対策とする。

とはいえ、ポロロ自身にも考えはあり、どうもどうやら二勢力はもしもの時の保険のようだ。

大ショッカーとウロボロスの両方が襲撃し、対応し切れなくなって初めて頼る形に近いようだ。

 

 

「どうやら、話は纏まったみたいだな」

 

 

何処からともなく声が響く。

一同が周囲を見渡すが辺りに姿は無かった。

それでも、声は響く。

 

「それにしても、身の丈に合わぬほど世界に視野を広げ、背負う必要も無い背負い込み。規模も性質も不明確な相手を、それも複数を想定して対策を考えるか。増長も甚だしいな!!全く持って人間らしい愚行だなァ!!」

 

声はどうもどうやらカフェの段階から話を聞いていたようである。

このメンバー相手に気付かれずに盗み聞きし、ターミナル構内へと入り込む。

相手が並々ならぬ技術か相応の恩恵(ギフト)を持っているのは確かだ。

十六夜たちは一斉に警戒を強める。

 

「いや、ポロロ君も十六夜君も精一杯考えて話しているんですよ。それをあんまり馬鹿にしないでくれますか?」

 

「何処に隠れてやがる!!出てきやがれ!!」

 

「先輩、それで出てくるわけないでしょ」

 

映司が相手が並でないのを理解しつつも目を細めながら言い、モモタロスが直情的に叫ぶ。

ウラタロスは呆れたように言う。

オーナーと総裁はこの状況でも落ち着いた様子で紅茶を飲んでいた。

 

「そうだな。確かに言い過ぎた面もあるか。だがまぁ、俺も出資者の一人なんでね。意見くらいは言わせてくれよ」

 

カツンカツンと足音を立てながら一人の男が現れる。

その姿に十六夜は目を丸くし、映司は怪訝な顔をする。

アンクやモモタロスは睨んだままである。

現れた男の服装は着崩したワイシャツの上からジャケットスーツを着込み、煙草に火を点けていた。

オーナー達とは違い、箱庭側と思われる男が二〇〇〇年代を思わせる服装をしているのは奇妙だった。

 

「えっと、どちら様ですか?」

 

「名前か?_____あぁ、そうか。人間に降天すると名前も新しく考えにゃならんのか」

 

面倒そうにしながら煙草を咥える。

明らかに偽名を名乗るつもりであった。

しかも、暢気に今から考える様子である。

ただ、偽名を考える素振りにしては真剣な輝きがあった。

 

「ふざけた奴だな」

 

「詐欺師なら失格だね」

 

「こいつ、何か嫌い~」

 

「馬鹿にしてんのか?」

 

アンクやイマジン達が口々に言う。

男はそれに対して特に気にした様子は見せなかった。

そして、ガリガリと頭を掻きながらしばらく考え込んだ男は、試行錯誤の末、己の偽名を自慢する様に名乗った。

 

「よし……………決めた!!俺の名前は御門_____そう、御門釈天だ!!」

 

「_____な、」

 

何人かは首を傾げ、何人かは唖然とした。

その反応に気を良くして続ける。

 

「所属コミュニティは上層を繋ぐ”忉利天”。この度は”護法十二天”の使者として、”精霊列車”の開発に協力しにきてやった!!」

 

ドヤァ!!と、完璧な偽名だという自負を込めて名乗る帝_____否、御門釈天氏。

その仕草、その偽名、そしてその身に纏う黒ウサギ系の残念オーラ。

此れだけ推理する要素が揃っていて見破れない人間は、知識が無い者だけだろう。

武神衆・”護法十二天”の長にして箱庭の都市を統べる一人。

最強の軍神(笑)”帝釈天”その人であった_________!!

 

 




帝釈天登場!!

オーナーと総裁は繋がりがあるという形で
デンライナーとトッキュウオーが合体できるから繋がりがあってもおかしくないということで
ターミナルと箱庭は繋がり自体は強いけど
ターミナル側から箱庭へと行くと何時に繋がるか特定出来ない形です
箱庭側とターミナル側でお互いに目印があって初めて望んだ通りに繋がれる形です

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!
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