テレーン回です
鳴滝が言っている事も一部は合っているのだろう。
世界の悲鳴に集合体である鳴滝にとってディケイドが世界を歪めるのは肌で感じ取れるレベルの事なのだろう。
だが、”悲鳴”には怨念なども混じっている。
それらが混じった時点で視点はどうやっても偏る。
偏り、大事な事を見逃してしまう。
「士は確かに世界を歪める存在だ。”世界”がわざわざ自身の世界の英雄を元に抗体を生み出す程度にはね。でも、彼らはすぐに士を消しはしなかった」
「それがどうしたと言うのだ!!」
「分からないのかい?士は一度
「そういう事か。大体分かった」
「何を勝手に納得している!!」
鳴滝が激昂する。
士と海東は涼しい顔で受け流す。
攻める側は完全に逆転していた。
コネクト、プリーズ
「分からないならそれがお前の限界ってわけだ」
銀の銃弾が士の背中に迫ったと思いきや軌道を変える。
軌道を変えた銃弾は士をするりと避け、その正面にいた鳴滝に向かう。
鳴滝は黄泉丸で銃弾を弾くと、士の背後を睨み付ける。
そこには空間を繋げてこの世界に入って来た晴人がウィザーソードガンを構えて立っていた。
「ウィザード、何故此処が分かった?」
「世界移動は何度か体験していてね。その揺らぎを感じて入ったら案の定というわけさ」
「ディケイドを連れ出すのに世界を大きく揺らがせ過ぎたか」
「まぁそんな事はどうでもいいよ。話はよく分からないけど…………あんたはどうやら俺の仲間の敵みたいだね」
「私はディケイドの敵に過ぎないよ」
「さて、話を戻すとして世界が生み出した士に対する抗体である紅渡や剣崎一真は力を失った士にわざわざ力を取り戻させた上で世界を旅させた。貴方はその意味が分かって無い」
「アレは世界を救う為に必要な行為であっただろう?最終的にディケイド始末するのを含めてな」
かつて、士と仲間たちが行った世界を巡る旅。
その始まりは紅渡だった。
彼も世界が、キバの世界の英雄である仮面ライダーキバを元に作り上げた抗体の一人だったのだ。
彼の言葉に従い士たちは世界を巡った。
紅渡の真の目的は士を、ディケイドを利用し新たな物語を紡ぐことによって世界を再生させることだった。
しかし、本来は破壊によって紡がれるはずだったも物語を士は仲間となり、救ってしまった。
役目が果たされず世界が消滅に傾いた時に九人の英雄を元にした抗体がディケイドを消す為に集結したのだった。
それにより、ライダー大戦が開幕した。
ディケイドを消す為に融合した世界のライダーたちが動く。
士も世界の破壊者としての役目を受け入れ、激情態となりその力を持って全てのライダーを倒した。
そして、仮面ライダーキバーラによって世界の破壊者は倒され、新たな物語が紡がれた事で世界は再生された。
その後、役目を終えた士は仲間たちの想いによって復活した。
それ以降は抗体たちは士の前に姿を現してはいない。
姿を現さない理由、それは抗体たちも役目を終えた事により消えたのかもしれない。
「アレは世界を救う為に必要な行為でもあり、士を試してもいたのさ」
「試すだと?」
「彼らは何も始めから士を消す為に行動していたわけでは無いってことさ。彼らは本当に世界が危機を迎えるまでは士を放置していたしね」
士を消すのなら何もアポロガイストを倒した直後でなくても良かったのだ。
何時でも士を消すチャンスはあった。
それでも、彼らはそこまで待っていた。
その理由は士を見極める為だった。
結果的にとはいえ、士は幾つもの世界を救った。
それ自体は彼らも認めてはいたのだ。
たとえ、それが本当に世界を救う事でも無いとしても。
「確かに最終的に世界は救われた。それでも、ディケイドが世界を歪め続けている事は変わりあるまい」
「けど、その歪みは大ショッカーが余計な事をしなければ致命的にはならなかった物だ」
「滅びの現象は奴らなど関係無しに起こる物だ!!それでも十分に世界は滅びるのだ!!」
「あぁ?何言ってんだ?馬鹿か、テメェは!!」
そんな叫び声と共に空間に穴が開き、デンライナーが現れる。
そこからモモタロスと映司、アンクが飛び降りてくる。
「確かにこいつはいるだけで世界はヤベェかもしれねぇがそれで滅びる程、俺らは弱くねぇよ!!」
「そうだな。その通りだ!!」
士は不敵に笑いながらモモタロスに同意するように続ける。
最早鳴滝の言葉などに惑わされる要素は無くなっていた。
「確かに俺は世界を歪める存在かもしれない。なにしろ、世界の破壊者だからな。だが、俺が俺如きが生み出した歪みで起こるような現象に滅ぼされる程、”世界”は弱く無い!!幾つもの世界を巡って俺は人々を見てきた。強い奴もいれば、弱い奴もいた!!それでも、奴らは生きていた!!どんな危機が訪れようとそれを乗り越えて生きていたんだ!!そんな奴らが簡単に滅ぼされる程弱いはずが無いだろう!!現実を見れていないのはお前なんだよ、鳴滝!!世界の悲鳴の代弁者だかなんだか知らないが、世界の弱い部分、悲観的な部分しか見ていないお前が”世界”を分かった気になっているなよ!!」
出した結論を士は言い切った。
鳴滝が見逃していた物、それは人々の強さだった。
いや、見てはいたのだ。
そして、理解もしていた。
けれど、鳴滝は心の奥底でそれを信じれていなかった。
それゆれに弱い部分、悲観的な部分ばかりに目を奪われていたのだ。
実際に具体的な滅びの現象はクウガの世界のガミオ復活くらいだった。
アレは規模が規模なだけに多数の死者も出た。
それでも、人々は乗り越えた。
他の世界では問題こそ発生した物のそれは、世界で起こり得る問題の延長線でしか無かったのだ。
確かに士の、ディケイドの存在は世界の許容量をオーバーさせる。
けれど、零れ落ちて発生した問題も人々の力で解決させれるのだ。
その強さが人々にはあるのだ。
「だが、箱庭で発生している問題はどうだ!!」
「それこそ、大ショッカーのせいって奴ですよ。そもそも箱庭の許容量は普通の世界より遥かに大きい。それに異常を発生させるなんて士だけじゃ無理だ。明らかに他の要因あってこそ起こり得る事です」
普通の世界をコップだとするならば箱庭は湖だ。
普通の世界ならば士と言う氷を落とせば揺らぎ溢れる。
だが、箱庭なら氷を落とした程度では揺らぎなど微々たる物だ。
つまり、湖を揺らがせ溢れさせるほどの何かが起きているという事だ。
鳴滝は周囲を見渡す。
何時の間にかこの場には士、海東、晴人、モモタロス、映司、アンクとそれなりの人数が揃っていた。
このまま戦闘を続けるのはどうにも分が悪いという話であった。
「ふむ…………今日は分が悪いようだ。この場は一旦引くとしよう」
そう言って変身を解除し、背後に銀色のオーロラを発生させる。
その目には変わらず憎悪と怨念が籠っていた。
士を睨みながら口を開く。
「忘れるな、ディケイド。幾ら理屈を並べたところで貴様が世界の破壊者であることは変わりない。貴様が存在し続ける限り、世界は歪み続けるのだ!!」
それだけ言って鳴滝は銀色のオーロラの向こうへと消えて行くのだった。
それに合わせて周囲の風景も変化する。
何処ともしれない海岸から士が元いたカフェに戻ったのだった。
「チッ、戦いにはならなかったか。今回は助太刀しに来ただけだから俺は帰るぜ」
「そうか」
言ってモモタロスはデンライナーに乗り込み、何処かへと消えて行くのだった。
映司は士に近付き、肩を貸す。
「大丈夫ですか、士さん?」
「一応は、な。それより、お前は十六夜と交渉に言ったんじゃなかったのか?それがどうしてあいつと一緒にデンライナーで現れた?」
「交渉が終わった時にオーナーさんが士さんに危機が迫っていると教えてくれたんで駆け付けたんですよ。詳しくは後で話します」
そこまで長い話でも無いのだが、士の傷を見て後に回す。
一通りの交渉が終わった後に映司たちはターミナルから帰ろうとしていた。
その時にオーナーから士の危機を教えられて、モモタロスたちの力を借りて鳴滝の世界に突入したのだ。
何故士の危機をオーナーが知っていたかは分からなかった。
「さて、僕は僕でやる事があるし、一旦お別れだ」
「また何か盗みに行く気か?」
「さぁて、それはどうかな。少なくとも近い内に会える気はするよ」
手をヒラヒラと振りながら海東は背中を見せて去って行くのだった。
士はうんざりとした顔をしてそれを見送るのだった。
「晴人くんとアンクはどうする?俺は士さんを宿に送ってくるけど」
「俺はもう少しそこらへんを見てくることにするよ」
「俺もだな。宿に行っても特にやることは無いしな」
それぞれ確認するとそれぞれ別れるのだった。
アンクと晴人はそれぞれ適当に街を歩きに行き、映司は士に肩を貸しながら宿へ向かうのだった。
「悪いな、映司」
「いいですよ。俺達は仲間なんですし、これくらい普通ですよ」
とはいえ、士としては怪我自体より怪我がゲームに影響するかどうかが心配なのだった。
体力自体は回復してきているが、全身が痛む事には変わりなかった。
一応の決着なのでした!
さすがにフィフティーンの力があるとはいえ全員を相手にする気は無い鳴滝なのでした
士の影響云々はほぼ独自解釈です
鳴滝がフィフティーンの力を使えるのは悲鳴の具現化みたいな物です
世界そのもの力を使ってる的な?
それでは、質問があれば聞いてください!
感想待ってます!!