ガッチリミナー!コッチニキナー!ガッチリミナー!コッチニキナー!
_________まあ、尤も。
(ペストを救うには、既に手遅れなのだけどな。相変わらず詰めが甘い奴らだ)
ザザッ_______と、雑音が僅かに漏れる。
盗み聞きをしていたとある
ディケイドに関する案件も気になりはしたが、欲張りはしなかった。
その
今は白いスーツの人間体である。
「欲しい情報は手に入ったのか?」
「あぁ入ったさ。それで、わざわざそんな事を聞きにきたわけじゃないだろ?」
「貴様は私に何をさせたいのだ?」
アポロガイストは睨み付けるようにしながら問う。
三頭龍の戦いから三カ月アポロガイストは
復活したとはいえあまり選択肢は無いのであった。
「お前にはアポロの、
「真人類?何だそれは?」
「かつて【神】が、己と寸分変わらないレベルで作り上げてしまった原初のヒトのことさ」
「私がそれになれるとでも?」
「なれるさ。お前なら、否、
「意味が分からんな」
「だろうな。お前はただ凄まじい力を手に出来るとでも思っていればいいさ」
ニタリと笑みを浮かべながら
アポロガイストとしては半信半疑だった。
「私がそれに成ったとして貴様に何のメリットがある?」
「切り札になるのさ。いや、伏せ札と言った方が正しいか。何にせよ、特大のイレギュラーになることは間違いない。どの勢力に対してもな」
「ようは貴様が動きやすくなるという事か」
「あぁイレギュラーは混乱を生む。そして混乱の中でこそ俺は自由に動き回れるのさ」
「何から何まで貴様の都合では無いが道理に合いはするな」
掌の上を転がされているようで気にくわないが自身にもメリットはありそうな話だった。
それに因縁の決着を付ける為にも更なる力は必要だった。
ゆえにアポロガイストは
◆◆◆◆◆
「共有しときたい情報って具体的には何なんだ?」
「あぁ大ショッカーについてな。その情報があるか無いかで太陽主権のゲームプランが変わるからな」
「それは俺に対する用件でもあるよな、
「そうだぜ、
「ういーっす。釈天はまだ起きてるか?」
ハッと障子の向こうに視線を向ける。
ラプ子Ⅲはすぐに姿を消し、クロアは箪笥の陰に擬態する。
士も空気を読んで特に反応はしない。
釈天はすぐに顔をだらしないオヤジに変えた。
「来たか。入っていいぞ!!」
「Y、YES!!そ、それではお邪魔いたします!!」
「失礼します」
「失礼するわよ」
「…………………失礼します」
おや?と意外そうな声を上げる御門釈天。
彼の部屋に足を運んだのは十六夜だけでは無かった。
映司と晴人が十六夜の後に続く様に入り、何やらブツブツと呟いている霧崎も入る。
湯上りの浴衣に着替えたラッテンと女王騎士のフェイスレスがギスギスした様子で入る。
そして、かなり緊張してウサ耳をそわそわさせている黒ウサギが同伴していた。
「何だ、士も来ていたのか」
「少し話をしていてな。十六夜はともかくお前らはどうして?」
十六夜の後ろの晴人映司の方を向きながら言う。
映司は頬を掻きながら霧崎やラッテンの方にチラリと視線を向けながら話す。
「あんまり放置しておかない方がいいと思ったからついてきたんですよ」
「俺は話に少し興味あって来たけど、お前がいるって事は来てちょうど良かったみたいだな」
「そうだな。お前達にも無関係では無い話だし、続きは十六夜達の話が終わった後でいいからお前達を交えて話すか」
士が釈天に視線を向けると釈天も同意する様に頷いた。
続いて黒ウサギが、その場に跪いて頭を垂れる。
「こ、こ、こ、この度は下界までご足労いただき、ま、誠に感謝いたします!!た、大した御持て成しは出来ませんが、せめて酌の一つでもと思い!!」
「おお、噂の”月の兎”か。話は聞いているぞ。此処にいるのは人間の出資者、御門釈天でしかない。そんなに緊張せんでいいぞ!!」
ガチガチに体を強張らせている黒ウサギを見てさしもの釈天も苦笑いを浮かべる。
主神を前に緊張しているのは分かるが限度があるだろうか。
同伴していた十六夜も呆れながら笑った。
「まあ、少なくとも恩義があるのは間違いないな。何せこの主神はお前を救うために、」
「十六夜よ。無粋な軽口は男の値打ちを下げるぞ」
釈天は十六夜を睨みながら釘を刺す。
フェイスレスとギスギスし、無言の牽制をし合っていたラッテンにもその言葉は届く。
そして、自分が何を言ったかを思い出す。
『そもそも善神だというのならあんなものが現れた時点で駆け付けて来なさいよ!!それすら出来ないのに対価を取るってどんな善神よ!!大体眷属の一人くらいを救わないで何が善神よ!!そんなものは私は善神と認めない!!』
自分が吐いた暴言にビクリと体を揺らして全身からダラダラと冷や汗を流す。
冷静になればどう考えても神に吐いていい言葉では無い。
魔王のコミュニティに所属していた時代ならともかく正規のコミュニティに属してる今なら尚更だ。
「あー、えっと、黒ウサギを煉獄から助けたのは貴方様でしたか…………あの時の借りは何と言うか、その、謝罪を含めて私に出来ることなら何でもいたしますのでコミュニティの方にはどうか………………」
「あわわわわわわわ!!な、なんとお詫びを申せばよいのか………………!!戒律を破って鎧と槍を使ったのは黒ウサギですのに…………………!!」
「ええい、良いと言っているだろう!!元より”月の兎”には借りがあったのだ!!それを返しただけでしかないわッ!!ほれ、湿っぽい話をするぐらいなら酌しろ酌!!」
バツが悪そうに頭を掻いて猪口を前に出す御門釈天。
女性に軽蔑されることには慣れていても、感謝されるのは慣れていないのだろう。
十六夜はその様子を見てニヤニヤと笑みを浮かべてはいたが、そこで話を切った。
からかうのも楽しそうではあるが臍を曲げられては意味が無い。
が、先程まで
「あの時、あんたがラッテンと黒ウサギを助けてくれたのか…………………深く感謝する。俺はあの場にいなかったから…………………………」
「あの場は仕方なかっただろう。何より気にする事は無い。先ほども言ったが”月の兎”に借りを返しただけなのだから」
深く頭を下げる霧崎。
それに対して御門釈天も真剣に返す。
心情を察したのだろう。
あの時、霧崎は本人もかなり危険な状態であり、意識を失っていたのだがそれは何の慰めにもならないのだから。
それ見ながら黙っていたフェイスレスが、ラッテンに皮肉を込めて告げる。
「守られてばかりで、借りも返せ無いような身でよく
「返す借りが無いんだから返せるかどうかなんて関係無いでしょう?それに本当にヤバい状況でもギリギリまで切り札を隠してる奴に言われたくないわよ」
ラッテンも皮肉を込めて返す。
その様子は先程までと一変していた。
釈天が”月の兎”に借りを返しただけと言った時点でラッテンは完全に切り替えていた。
言質が取れたならば、ちまちまとした事を気にする性格では無い。
むしろ霧崎からの想いを感じて吹き上がってもおかしく無いくらいだ。
ゆえにそれに水を差したフェイスレスには皮肉で応じる。
二人は再びギスギスとした空気を醸し出すのであった。
◆◆◆◆◆
アンクは高台の上に座って空を眺めていた。
右手にはアイスを持って食べていた。
「………………」
空はキチンと青いし、アイスの味もキチンと感じ取れる。
グリードの五感は薄い。
視界にはノイズが走り、味は感じられず、耳もノイズが走り、触れた感覚も感じる臭いも薄い。
それによって欲望が満たされることは無い。
しかし、今のアンクは視界は鮮明であり、味は正確に感じ、耳も聞こえれば、感触も分かるし、臭いも分かる。
かつて、人間の体に憑いていた時も五感はあったが今はグリードとしての正常な状態だ。
箱庭の技術は割れたメダルを修復するだけでなく五感をも与えるのだった。
「この借りくらいは返しといてやらないとなぁ………………」
アンクの静かな呟きは風の中に消えていく。
自然を眺め、空を飛ぶ鳥を見てアンクは静かに笑みを浮かべるのだった。
半分は暗躍回でした!
真人類云々の詳しいことは後々の本編で!
仮面ライダー1971-1973に登場した概念です
ラッテンは結構図太いです
通す筋は通しますが切り替えは速いし軽いです
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!
この章も折り返しにきましたが、第一部完したら勢力纏めなどを活動報告で出すつもりです