問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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対立する主張と察する正体と軍神の提案

 

 

十六夜、霧崎、ラッテン、フェイスレスは座敷の中に足を運んで下座に座る。

今は特に話の無い士、映司、晴人は部屋の隅に座って耳だけを傾ける。

黒ウサギは釈天の隣に座り、緊張し切った様子で酌をする。

 

「女王に会いたいか…………………女王か。悪いけど、”クイーン・ハロウィン”とは面識ねぇな」

 

話を聞いて釈天は考え込むようにしながら言う。

ラッテンとしての用件はそれだった。

温泉でフェイスレスの素顔を見た時に浮かんだ光景、”久遠”という単語。

それらの鍵を女王が握っている気がしたのだ。

フェイスレスが女王騎士という立場なのもあるし、世界線関連の事ならば女王に調べて貰える可能性もあった。

とはいえ、あまり期待していたわけでも無いので特に反応したりはしない。

一応、保険は連れて来てあったが。

 

「そうなのですか?」

 

「かなりの美人と聞いてるし是非ともお近づきになりたいとこだが、俺は昔っから太陽神とは相性が悪いんだよ。仲介人がいれば話も通せるかもしれないが………………ああ、そうか。だから女王騎士が居るのか」

 

フェイスレスに視線が集まる。

そう、保険とは彼女の事である。

来るまでに少々悶着はあったが本命はそれだった。

黒ウサギが酌をしながら、御門釈天に懇願する。

 

「無理は承知でございます。如何に女王が大魔王といえども帝しゃ」

 

「ん?」

 

「み、御門釈天様の申し出であれば無下には出来ないはず。我らの同士の目的の為、そのご威光に縋らせてはいただけないでしょうか…………………………………?」

 

ふむ、と御門釈天は考える素振りを見せる。

 

「他ならぬ英雄たちの頼みだ。それぐらいなら引き受けても問題無い。女王騎士の仲介があればさほど問題無く話も通せるだろう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「私からも感謝します。これで私の目的も(`````)叶います」

 

良い方向に話が進み感謝するラッテン。

実のところ、女王に会えるのならば聞きたい事もあるが頼みたい事もありはするのだった。

御門釈天の力が借りれないならば地道を重ねて会うつもりであったが手間は省けた。

しかし、話を聞いていたフェイスレスがいきなり立ち上がった。

 

「______いえ、お待ちください」

 

「何よ?」

 

「何故私が仲介人を素直にやる事になっているのですか」

 

「不満なの?」

 

「先程までの事があって良く言えますね。普通に”ノーネーム”としての話ならばともかくとして今の話だと貴女個人の話に近いじゃないですか」

 

「それが」

 

「貴女の手助けを私がするとでも?」

 

「いいじゃない、別に。私はあんたがうじうじやってるから一言言っただけでしょうが」

 

「人の領域に易々と踏み込んで来て言う台詞ですか」

 

至近距離で睨み合うラッテンとフェイスレス。

普段なら此処でアルマか、霧崎が止めに入る所ではあった。

だが、この場にアルマはおらず、霧崎は別件に気を取られている。

つまり、止める者がいない。

そして、御門釈天も口出しはしない。

むしろ、隠れているクロアやラプ子Ⅲと共にフェイスレスを観察していた。

彼らは彼女から複数の知り合いと近い物感じていた。

まるで、その者達の血を引いているかの様な感覚だった。

 

「貴女には分からないでしょう、生まれてすら来れなかった者の願望が!!それを掴むチャンスが遠退いていく絶望を!!」

 

「えぇ、分からないわよ!!でも、それを諦めて簡単に絶望してるのは気にいらないのよ!!チャンスがあるというのなら最後まで足掻きなさいよ!!」

 

その最期が(`````)近いんですよ(``````)!!」

 

「なら、もっと必死になりなさいよ!!」

 

十六夜は目を丸くしながら珍しい物を見たとでも言う表情でそれを眺める。

黒ウサギは、どう止めたらいいのか分からずにアワアワしている。

映司と晴人は頭を抱える。

先程まで沈静化してはいたが、映司達と合流する前もこれに近い状況にあったのだ。

映司達が割って入った故に此処まで激化はしてなかったが。

御門釈天達は二人のやり取りと感じる気配からとある可能性を思い浮かべる。

釈天がクロアが擬態している陰に視線を向けると頷く様な反応が帰って来た。

 

「まぁ待つがいい。そのまま言い合ってるだけでは熱くなるだけで解決はしないだろう」

 

御門釈天は静かだがはっきりした声で割って入った。

それに気圧されたのかフェイスレスもラッテンも一旦は落ち着く。

二人の視線が釈天に向くと、釈天は一つの提案をする。

 

「お互いの言い分は平行線で、互いの意見に納得がいかない。ならば、決闘で決着を付けてみたらどうだ?自分の意思を貫き通したいのならばな。ちょうどよく二人とも”金剛の鉄火場”の本戦に勝ちあがっているだろう」

 

「それをすることで私にメリットがあるのですか?」

 

「そうだな。お前が勝ったらお前と女王のゲームにクリアへの道筋を用意してやろう」

 

「ッ!?」

 

その言葉にフェイスレスの顔色が変わる。

彼女は疑問に思っているのだろう。

何故自分と女王の(``````)ゲームの事を(``````)知っている(`````)のかと。

釈天はクロアから聞いていたアカレッドによる元”ノーネーム”のメンバー回収の件を思い出したのだ。

アカレッドはズレを利用して本来召喚されるはずだった者を見つけ出した。

その者を”鍵”として元”ノーネーム”のメンバーを回収するという話だった。

元”ノーネーム”と縁がある”鍵”と元”ノーネーム”の面々と近い物を感じさせるフェイスレス。

それらには繋がりがあると思えた。

それだけでは情報が少ないがフェイスレスとラッテンの口論から漏れた話と既視感の様な何か(````````)が合っていると思わせた。

 

「…………………信じ難い話ではありますが分かりました。乗せられるとしましょう」

 

「さて、お前の方は問題無いか?ラッテンよ」

 

「私の方がメリット薄い気がするけどまぁいいわよ。その仮面の騎士を殴り飛ばせるのならね」

 

「それでは、決まりだな。”金剛の鉄火場”のルールに従い二人で決闘するがいい」

 

話は纏まった。

変な方向性に進みはしたが纏まりはした。

フェイスレスとラッテンは視線で火花を散らしながら部屋を出るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

しばらく経って部屋には御門釈天と士、映司、晴人だけになる。

すると、隠れていたクロアとラプ子Ⅲが姿を現す。

 

「クロアさん、いたんですか」

 

「十六夜の奴には黙っててくれよ」

 

そんな会話を交えながら各自近くに座る。

士だけに話すつもりが二人増えた。

とはいえ、むしろ好都合だとクロアは納得する。

 

「話をする前に映司に頼みたい事があるんだがいいか?」

 

「内容によりますけど……………話をする前に頼む事なんですか?」

 

「あぁ、お前がこれで受けてくれるかどうかで内容も変わるからな」

 

見方を変えれば了承するのを強要しているようにも見えなくは無い。

とはいえ、そう受け取る程映司も鈍感では無い。

前提条件の確認に近い物だと考え、静かに頷くのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

一方、霧崎はまだブツブツと独り言を言っていた。

御門釈天にお礼を言った時は冷静になっていたがぶり返したのだ。

 

「いや、本当に、何で俺が頭首なんだ」

 

霧崎を悩ませるのはそれだった。

温泉を出た後にラッテンからサラッと言われたのだ。

 

「霧崎、たぶん次の頭首はあんたよ」

 

それを聞いた瞬間、霧崎は茫然自失し、次の瞬間に困惑した。

完全に予想外の事だったのだ。

次の頭首は少なくとも自分は無いと思っていた。

自分という可能性を完全に排除してたゆえに大いに混乱するのだった。

何より受け入れるにも大きすぎる立場だった。

頭を抱えながら自室で月を眺めるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ラッテンは宿の自室にてアルマに説教されていた。

記憶を共有しているからこそ先程の一件も当然知れている。

 

「何で貴女は自制と言う物を知らないのですか!!」

 

「だって、うじうじしてるのを見たらイラッとしたんだもん」

 

「”もん”じゃないんですよ、”もん”じゃ!!」

 

ラッテンの言い分も分からない事は無い。

だが、見方を変えればラッテンが一方的に難癖を付けてる様に思われても仕方ない場面でもあった。

特にフェイスレス側からして見れば明らかにそうだろう。

彼女からしてみれば自身に一切関係無いラッテンが勝手に突っ込んで来て挑発するかの様に言い放っていったのだから。

とはいえ、決闘する事になり、お互いそれで納得するならば抑えは効く面はある。

それを踏まえた上でアルマはラッテンに問う。

 

「それで、勝算はあるのですか?」

 

「あるわよ。私が勝算の無い勝負を受けると思ってるの?」

 

「えぇ、とても思いますよ」

 

アルマの視線に思わず眼を反らすラッテン。

感情に任せてしまうタイプであることは分かっているし、自覚もあるのだった。

記憶を共有しているとはいえ、思考つまり考え方は違う。

なので、話し合う事にも意味はある。

相手は女王騎士であるフェイスレス。

あの仮面の騎士の実力は察せている。

純粋な実力ならラッテンより遥かに上だろう。

だが、それはあくまで純粋な実力なら、だ。

ゆえに二人は策を練る。

フェイスレスを倒す策を、あの仮面の騎士を自らのフィールドに引きずり下ろす方法を。

 

 






フェイスレスとラッテンが決闘する事になるのでした
帝釈天たちが感じてる既視感はラッテンが見た光景と近い物です
そんなデジャブを複数のキャラが感じるのは”ズレ”が原因だったりします

それでは、質問があれば聞いてください
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