問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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謎の風と権能の一端と”金剛の鉄火場”

大銅鑼の音が、洞穴全域に響き渡る。

ゲーム開始の合図である大銅鑼の音は鉱山全域にまで鳴り響いて彼方へと続く。

ラッテンは、霧崎のスピーチを思い出して頬を緩める。

そのままスキップする様に洞穴内を進んでいく。

様々な色で彩られた洞穴を進んでいくと人影がチラリと視界に入る。

直後にラッテンは左腕の掌に仕込んだギフトカードからハーメルケインを取り出して斬り掛かる。

 

「………………」

 

人影は、フェイスレスは既に構えていた連接剣で不意討ち気味に撃ち込まれたハーメルケインを受け止める。

視線が交差する。

フェイスレスの眼には憤怒が宿っていた。

だが、ラッテンは一切気にしない。

 

「さーて、決闘を始めるとしましょうか」

 

「始めるも何も貴女の方から不意討ちしているじゃないですか」

 

「開戦の合図なんて必要だったかしら?まさかと思うけど卑怯なんて言わないでしょうね?」

 

「えぇ、貴女はそういう性格でしたね!!」

 

言い合いながらも戦況は変わる。

フェイスレスが一旦ラッテンから離れようとするがラッテンは逆にハーメルケインに力を込める。

フェイスレスが耐える為に足に力を入れた瞬間だった。

 

「ッ!?」

 

足場が泥の様にぬかるみ、踏ん張りが効かなくなる。

そうなれば当然力を入れたラッテンによって弾き飛ばされる。

ラッテンの周囲にはメルン三姉妹がいた。

それを見たフェイスレスは察する。

足場がぬかるんだのは三姉妹の仕業だと。

 

「よくやったわ。メルン、メルル、メリル!!」

 

「甘いんですよ!!」

 

フェイスレスは即座に体勢を取り直すと、連接剣から弓に持ち替えて素早く矢を放つ。

ラッテンは軽く髪飾りに付いている硝子玉を弾く。

すると、ラッテンの前に風が巻き起こる。

それによって矢の軌道がズレてラッテンから外れる。

それはフェイスレスの予想内ではあった。

既にフェイスレスは弓から二本の剛槍に持ち替えている。

呼吸を整え、鼓動の加速に血液と筋力を合わせる。

そうして繰り出される槍撃は、正に練磨の極致と呼ぶに相応しい柔らかさだった。

とてもラッテンには防げる物では無かった。

そう、ラッテンにはだ。

稲妻を伴って山羊座の神獣がラッテンとフェイスレスの間に割り込む。

鉄壁の防御を誇る女神_____”アルマティアの城塞”の加護が槍撃を防ぐ。

 

『マスター!!』

 

「分かってるわよ!!」

 

槍撃を防いだ直後にアルマによる防御に穴が開く。

流動なその身は防ぐ際に穴は無くてもこうして作り出す事が出来る。

その穴からハーメルケインによる突きが放たれる。フェイスレスは首を反らして突きを回避する。

そのまま天井に槍を放つ。

 

『っ、天井が崩れます!!マスター、捕まってください!!』

 

「必要無いわ!!」

 

再び風が巻き起こり、崩れた天井と鍾乳石からラッテンを守る。

しかし、風が止んだ頃にはフェイスレスの姿は無かった。

 

「……………種が割れたかしら?」

 

『というより、何かを仕込んでいるのを感付かれたのでは?』

 

「さすがに誘いが露骨過ぎたようね~」

 

ラッテンは特に気にした様子も無く頭を掻く。

もったいないので仕掛け(```)を回収した後に、崩れた鍾乳洞から”金剛鉄(アダマンティウム)”を回収する。

何にせよ、まだ戦いは始まったばかりである。

周囲を警戒しながらラッテンとアルマはフェイスレスを探すのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「「「「「ra…………Ra、G、EEEEEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」」」

 

その鳴き声と共に鍾乳洞そのものが、まるで生命を得た様に鼓動を刻み始める。

此れは与える側の恩恵_____”権能”と呼ばれる力だった。

 

「囲い込め、アルゴルッ!!奴を逃がすな」

 

「GEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

脈動する鍾乳洞は牙と成り爪と成って逆廻十六夜を襲う。

十六夜は軽薄な笑みを口元に浮かべてはいるが、反撃も出来ないまま攻めあぐねている。

 

「チッ…………!!”金剛鉄”を悪魔化させたら流石に厄介だな、ルイルイ!!」

 

決して速すぎるというわけではないが、”金剛鉄”を多量に含んだ大地の全てが蛇蝎の魔物となればいくら十六夜でも捌き切るのは容易では無い。

鋭利な牙が頭上から十六夜を襲う。

星を揺るがす一撃は未加工の”金剛鉄”ならば容易く打ち砕くが、それでも何時かの戦いのときのようには行かない。

軌道を読んで最小限の動きで回避し、右手を淡く光らせる。

紋様が浮かぶレベルまでは今は必要無い。

軽く力を集中させて横薙ぎに振るい、”金剛鉄”の牙を粉々にする。

触れた部分から流し込まれた力は本体に届く前に部位を切り離されてしまう。

ならば、発現させる力に出力は必要無い。

砕くのに必要な最低限の力が出せてればいいのだ。

十六夜は興が乗ってきたとなかりに獰猛な笑みを浮かべて犬歯を剥く。

 

「ハッ………………!!ペルセウス座が消滅した時にアルゴールも消滅した物だと思ってたんだがな!!どういうことだルイルイ!!」

 

「アジ=ダカーハ戦で得た功績が評価されて、三分の一だけ戻って来たんだよッ!!召喚は出来ないが、アルゴールの権能を行使することは出来る!!何時かの雪辱、此処で晴らさせてもらうからな!!今度は妙な力に頼らずに!!僕自身の力で!!……………………あと、ルイルイ言うなッ!!」

 

前回はゾディアーツスイッチを使い、ペルセウスゾディアーツとなって戦っていたルイオス。

けれど、今回は生身のルイオス自身の力で十六夜へと挑んでいる。

前は妙な力に惑わされていたが、今回は自分自身の力で戦い勝つ為に。

あの力に惑わされ頼った事はルイオスも後ろめたさを感じていた。

それを晴らす為の戦いでもあった。

飛翔する具足で縦横無尽に飛び回りながらルイオスは機会を窺う。

十六夜もルイオス自身が仕掛けてくるタイミングを虎視眈々と狙っているのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

十六夜とルイオスと戦っている場所の近くに士もいた。

そこでグリーと対峙していた。

 

「どうしたんだ、その翼?」

 

グリーの背には失われたはずの翼があった。

つまり、新たなる翼が与えられていた。

 

『これは帝釈天様から頂いた神格付きの翼だ』

 

「それは良かったな」

 

『良くは無いのだ!!』

 

グリーの言葉には憤怒が混じっていた。

どうも話を聞くと十六夜が帝釈天から褒美を貰えるという話になったようだ。

その際にグリーに獣王の翼を与える様に言ったらしい。

それでその要求通り、グリーには神格付きの翼が与えられた。

だが、グリーはそれには納得していなかった。

 

『誰がそんなことをしてくれと頼んだッ!!私にとってあの傷は誉れであっても恥では無いッ!!________それを何だ、人の了承も得ずに勝手に治しおって!!」

 

「……………大体分かった」

 

士は苦笑しながら頷く。

そして、あえて聞く。

 

「それで、お前は十六夜と戦いたいわけだ」

 

『そうだ。あの大戯けを矯正しなければならないからな!!』

 

とはいえ、ゲームには時間制限がある。

先に始めていたルイオスには決着まで待つつもりだが、その後に二人戦える余裕は無いだろう。

ならば、どちらかが戦えない事になる。

二人は静かに視線を合わせる。

 

「譲ってくれるわけがないよな?」

 

『当たり前だ』

 

「なら、どっちが十六夜の奴と戦うか決めるとするか」

 

言いながら士はディケイドライバーを腰に巻き付ける。

ライドブッカーからカードを取り出すとグリーに向けて駆けて行く。

グリーも士に向かっていく。

 

「変身!!」カメンライド!!ディケイド!!

 

『GEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

ルイオスの後にどちらが十六夜と戦うか決める為に二人はぶつかり合う。

ライドブッカーと鷲獅子の爪が火花を散らし始める。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

アンクも離れた場所でゲームを眺めていた。

 

「用件は何だ、真木」

 

アンクは背後の物陰に振り返りもせずに話し掛ける。

姿は見ていないが気配を感じた故に声を掛けるのだった。

アンクの予想通り、物陰から真木清人が現れる。

 

「おや、気付いていましたか」

 

「グリードの、しかもお前の気配を俺が見逃すと思うか?」

 

アンクは振り返らずに話す。

顔を見る気は無いようだ。

とはいえ、不意討ちされないように警戒も怠らない。

 

「世間話をする間柄でもありませんし、単刀直入に聞きますが。大ショッカーに付く気はありませんか?今なら幹部待遇で迎えられると思いますが」

 

「お断りだ。俺は俺のやりたいようにやる。誰がお前らに付くか」

 

「そうですか。では、その選択後悔しないように」

 

それだけ言うと真木の気配が消える。

アンクが振り向くと真木の姿はキチンと消えていた。

何をしに来たのか、それが不明瞭だった。

アンクを勧誘に来たのならばあっさり過ぎる。

おそらく他の目的があったのだろうが、すぐに姿を消したので考察の仕様も無かった。

ただ分かるのは此処も奴らにとっては簡単に入り込める場所だと言うことだろう。

不気味な物を感じさせるが、アンクは興味無さそうに視線を外し、ゲームの鑑賞に戻るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ん?」

 

一方、映司と晴人も会場に妙な気配を幾つか感じていた。

だが、それが何かは分からず目立つ動きをする者がいるわけでも無いので対応の仕様が無いのだった。

 

 

 





はい、ゲーム開幕でした

フェイスレスvsラッテン
十六夜vsルイオス
士vsグリー
となっています

それでは、質問があれば聞いてください
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