問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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仮面ライダー1号公開中です!
春映画ですけど期待して大丈夫ですよ

今回は番外編です


唯一と原点と始まりの一
零とプロトタイプと始まりの男


某所。

箱庭であって箱庭で無い場所。

大ショッカーの本拠とはまた別のところにある研究所。

そこでとある研究が行われていた。

本来ならば本拠で行われている研究ではあった。

だが、一定の段階を過ぎた頃から暴走の危険性を考えられて此方に移されたのだ。

一本の柱に培養液が満たされ、その中を人影が浮いていた。

それをレム・カンナギと真木清人は眺めていた。

 

「大体予定通りには進んでいますね」

 

「あぁ、ほぼ成功と見ていいだろう」

 

「では、あとは」

 

「性能テストをすれば”器”は完成する」

 

研究は大分完成が近付いていた。

その成果が浮かんでいる人影である。

二人が性能テストを行う為に培養液を抜き、実験室にサンプルを移そうとした時だった。

研究所に警報が鳴り響く。

二人は特に気にする様子も無かった。

 

「どうやら侵入者のようですね」

 

「此処へ来るとは意外ではあるな」

 

監視カメラの映像を見ようとモニタに手を伸ばした時、研究室の外で破壊音が響く。

それを聞いて察する。

同時に別の操作を始めるのだった。

程無くして扉が戦闘員ごと吹き飛ばされる。

二人の背後の大型モニタに扉と戦闘員が突き刺さる。

 

「礼儀がなっていませんね」

 

「だが、我々は君を歓迎しよう。何者だ、貴様は?」

 

カツン、カツンと足音が響く。

扉が吹き飛ばされた跡からは煙が入り込んでいる。

その煙を突き破るようにして黒いジャケットを着こんだ男が入ってくる。

その瞳、その風貌、全てが圧倒的な男だった。

その一挙一動から力強さを感じさせる。

 

「俺は本郷猛。貴様達、ショッカーの敵だ」

 

本郷猛、全ての始まりの男が今この場に現れたのだ。

真木も、カンナギも特に驚きはしない。

この男なら何処に現れようがおかしくない。

本郷の纏う雰囲気にはそれだけの説得力があった。

 

「厳密に言えば私達はショッカーでは無いのですが…………細かいことはいいでしょう。それで、貴方はどうやって此処に?」

 

「そうだ。此処は我々以外は入れない(`````````)はずだ」

 

「簡単なことだ。貴様らの仲間が移動に使っているオーロラを利用させて貰っただけだ」

 

大ショッカー連盟は別に箱庭だけを狙っているわけでは無い。

第一目標として箱庭を設定しているだけで他の世界にも干渉はしている。

むしろ人員の補充や物資の調達はそちらの方が主なルートである。

本郷はそうして各世界に送り込まれてる大ショッカー構成員が移動に使っているオーロラを見つけ出して侵入してきたわけである。

 

「侵入がその方法であるとするならば、本拠では無く此処に来たのは我々にとって幸運であったのかもしれませんね」

 

「貴様らが具体的に何を行おうとしているかは知らないが…………多くの世界を巻き込んだ計画には違いあるまい。被害の規模が大きくなる前に俺が潰そう」

 

「ふむ。我々の動きを察知し、侵入してきたのは素直に賞賛しよう。だが、いささか無謀ではあったな」

 

「そうですね。敵の基地に単独で突入する程愚かな事はありませんね」

 

何時の間にか本郷は囲まれていた。

改造兵士レベル3を改造したと思われし個体が数体出現していた。

一体は天井に張り付き、また一体は物陰から瞳を輝かせ、また一体は壁の側面に張り付いている。

普通ならば絶望的な状況のはずだった。

いかなる強者でも警戒はするはずの光景だった。

それでも、本郷は余裕を崩さない。

 

「ふふふふふふふ」

 

「何がおかしい?」

 

「一体、何時俺が一人で来た(`````)と言った?」

 

「何?」

 

複数の足音が響く。

カンナギが周囲を見渡すと複数の人影が集っていた。

何時からそこにいたかは定かでは無い。

だが、それよりも異様な事であった。

多少の差異はあれど、全員同じ顔であった。

つまり、”本郷猛”が複数同時に存在しているのであった。

 

「別に貴様らが驚く事じゃないだろう?」

 

「我々はそれぞれ違う道を(````)歩んで来た(`````)存在なのだから(```````)

 

つまりは、それぞれ別の世界の”本郷猛”がそれぞれ大ショッカー連盟の動きを察知し、別々に侵入してきたというわけである。

何故彼らが一堂に会す様な事が起こったかは本人たちにも分からない。

ただ確かな事はそれぞれの使命は同一であり、大ショッカー連盟を倒すという意思は一致している事だ。

それだけ分かれば問題無い。

無駄な問答など必要無しに彼らは共に戦う。

それが多くの人々の自由と平和を守る事に繋がるのだから。

 

「これは流石に予想外ではありますね。ですが、それでも三人です」

 

「まだ数では此方の方が優位というわけだ」

 

「ちょうどいいのであなた方が実験台になって貰いましょう」

 

真木は密かに進めていたモニタの操作を終える。

同時に柱にヒビが入り、培養液が溢れ出す。

ヒビはドンドン広がり最終的は多くの破片を撒き散らし、中身が飛び出す。

そう、計画の要であるサンプルが解放されたのだ。

 

「0号計画の到達点、まだ試作品。いわばプロトタイプですが性能を確かめるにはちょうどいいでしょう」

 

「始まりの男が相手であればこれ以上ないデータが手に入るだろう。変身」サメ!クジラ!オオカミウオ!

 

言いながら真木とカンナギも姿を変える。

真木はメダルに身を包み恐竜グリードに。

カンナギは専用のベルトに三枚のコアメダルと一つのアストロスイッチをセットして超銀河王に変身する。

培養液から跳び出したプロトタイプの姿は改造兵士の系譜を素体にしている為、改造兵士レベル3と酷似した姿をしていた。

違う箇所は額に埋め込まれた紅い球、第三の眼と腰に装着されるベルトだった。

プロトタイプは第三の眼によって脳を刺激される。

そして、本郷猛を目標と刻まれる。

目の前に目標である本郷猛を確認し、プロトタイプは吼えた。

 

「GAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

その咆哮に合わせるかの様にナノマシンがプロトタイプの表皮を別物に変えて行く。

これはかつてHOPPER Ver.3に使われた技術の応用だ。

ナノマシンを使う事によって肉体をより最適に、戦いに適した姿へ変換しているのだ。

プロトタイプの姿は完全に変貌し、獰猛な獣から無機質な仮面とスーツに包まれた姿になる。

飛蝗を思わせるヘルメットに黄色のマフラー、手袋、ブーツを装備した姿はショッカーライダーを連想させた。

ショッカーライダーと決定的に違う面は手の先が鋭く尖っている事、足が飛蝗のような筋繊維を感じさせる見た目になっている事。

そして、ベルトの中心に風車が無く、空虚な穴があるだけな事である。

そのぽっかりと開いた穴はプロトタイプ………………プロト0号の空っぽな中身を現してるかのようであった。

 

「行くぞ!!」

 

「おぉ!!」

 

三人の”本郷猛”もそれぞれポーズを取る。

左腕を腰の位置に置き、右腕を左斜め上に伸ばす。

同時にそれぞれの腰にベルトが出現する。

一人にはシャッターの付いたベルトが、一人には三つのタイフーンが付いたベルトが、一人には大型のカバーが付いたベルトが。

 

「「「ライダァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」」

 

右腕を円を描く様に右側へ動かしていく。

そのまま右斜め上に伸ばす。

一人はシャッターが開く、一人は三つのタイフーンが回転し風を取り込み始め、一人は大型のカバーが開かれる。

 

「「「変身ッ!!」」」

 

右腕を右腰に持って行き、左腕を右斜め上に伸ばす。

同時にそれぞれのタイフーンが強く回転する。

 

「トォ!!」

 

一人は飛び上がり、更に強くタイフーンに風を取り込む。

そうする事で姿が変貌する。

緑の仮面に赤い瞳、銀の手袋にブーツを身に纏い、スーツには二本のラインが入った姿へと変身したのだ。

もう一人は三つのタイフーンが風を取り込むと同時に強化服がベルトから広がって行く。

ナノマシンによって構成されたスーツに身を包み、飛蝗を思わせるヘルメットを装着する。

装着と同時に口元を隠すかのようにクラッシャーが閉じられる。

強化服はのっぺりとして凹凸の無い正にスーツと言える物だった。

もう一人は体に風を纏うようにして姿を変える。

濃い緑色の鎧を全身に纏う。

鎧は頑強であり、見ただけで力強さを感じさせた。

三者三様の姿に変わり、敵に向き合う。

同時に改造兵士レベル3改造体達が飛び掛かる。

 

「ライダー返し!!」

 

頑強な鎧を身に纏った本郷が飛び込んできた勢いのまま改造兵士を地に向けて投げる。

自身の跳躍力に加えて本郷の膂力を加えた威力で地に叩き付けられた改造兵士は水風船の様に破裂した。

肉片を撒き散らし、血溜まりへと姿を変えたのだ。

 

「ライダーパンチ!!」

 

三連タイフーンの本郷は改造兵士の動きを完全に見切り、最小限の動きで改造兵士の攻撃を回避する。

そのまましゃがみ込むと下顎から殴り上げる。

改造兵士の首は鈍い音と共に引き千切れ、天井の赤い染みとなる。

頭部を失った改造兵士はそのまま崩れ落ちた。

 

「ライダー反転キック!!」

 

飛び掛かって来た改造兵士を真上に跳ぶことで回避すると天井に足を付け、それを蹴る。

その反動のままに真下の改造兵士に蹴りを放つ。

立ち上がり、本郷の方を向いた改造兵士は真っ二つに蹴り抜かれるのだった。

 

「AAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

プロト0号は改造兵士たちの惨状を気にもせずに飛び込んで行く。

プロト0号が走るだけで足元は崩れていく。

だが、それは力を制御出来ていない証でもあった。

有り余る力を制御しているのであれば足元を崩さずに走る事も可能なのだから。

プロト0号は何の躊躇いも無しに懐に入り込み、拳を放つ。

三人の本郷は経験ゆえにそれを軽く回避する。

しかし、同時に脅威も感じていた。

今の拳は三連タイフーンの本郷以外は掠れてまともに視認できていなかった。

それに加えて外れた拳は空ぶっただけで研究所の壁を盛大に吹き飛ばしているのだった。

本郷達は無言で頷き合うと銀の手袋とブーツの本郷にプロト0号を任せて、真木とカンナギに向き合う。

 

「良き終末を…………」

 

鎧を纏う本郷、ネオ1号とも呼べる者に対して真木は紫の光弾を連射する。

ネオ1号は無造作に腕を振るうだけで、光弾を軽く弾き飛ばしていく。

45年間の戦いの中で進化していったその肉体にとってそのくらいは容易かった。

真木は足元に冷気を這わせるが、ネオ1号の前では意味が無かった。

見た目通りの膂力を持って足が凍結しようと強引に走破し、真木の目の前へと辿り着く。

 

「ライダァァァァァァパァァァァンチッ!!」

 

風を纏った拳が深々と突き刺さる。

真木はセルメダルを撒き散らしながら吹き飛んでいく。

どうにか勢いを殺すと胸に手を当てる。

 

「恐ろしい人ですね。ただの拳のはずなのにコアメダルを砕かれるかと思いましたよ」

 

三連タイフーンの本郷は超銀河王を放つ光弾を紙一重で回避し続けていた。

改造人間として極限まで研ぎ澄まされた超感覚があるからこそ出来る芸当だった。

1㎜ズレれば当たっている距離感を保っての回避など普通の神経をしていればまず出来はしない。

 

「おのれ、ならばこれはどうだ!!」

 

カンナギは未来のコアメダルとSOLUスイッチの力を全開にして時間を止める。

時間が停止した空間で悠々と本郷へと近付いていく。

そのままマントを刃に変化させ、首を斬り落とすかの様に振り抜く……………はずだった。

 

「何ィ!?」

 

「ハァァ!!」

 

振り抜く前に腕を掴まれ、胸に拳を叩き込まれた。

それによって時間停止も解除される。

そう、時間停止は今解除されたのだ。

では、何故本郷が動けたのか。

それはカンナギにも理解は出来なかった。

 

「ライダーチョップ!!」

 

プロト0号が放つ拳に対して手刀を叩き込む。

動きは捉えられなくとも経験と勘が体を動かしていた。

新1号のライダーチョップによって弾き飛ばされた腕は明らかに折れていた。

だが、改造兵士の再生力とナノマシンによる自動再生を併せ持つプロト0号は即座に回復する。

しかし、再生している間は動きが鈍くなる。

つまり、まともに攻撃を入れるチャンスでもあった。

 

「GAAA」

 

プロト0号は動く方の腕で足元に手を刺し込み、地面を大きく抉り取り、それを鈍器の様に振り回す。

新1号は飛び上がり、蹴りの体勢に入りながら体に回転を加える。

高速回転によって蹴りの威力を高めるのだった。

 

「ライダァァァァァァスクリューキックッ!!」

 

抉り取った岩石は新1号の回転蹴りによって大きな穴を開けられる。

そのまま回転蹴りはプロト0号に突き刺さり、プロト0号は回転したまま地を二、三度飛び跳ねる形で吹き飛ぶ。

新1号はプロト0号が起き上る前に駆け寄る。

 

「ライダーきりもみシュートッ!!」

 

プロト0号を持ち上げると、竜巻のような回転を加えて真上に投げ飛ばす。

新1号は他の”本郷”の方を向き、叫ぶ。

 

「皆、行くぞッ!!」

 

「「おう!!」」

 

三人の”本郷猛”は息を合わせると同時に飛び上がる。

そのまま全員タイフーンを強く回転させて風を纏う。

 

「「「ライダートリプルキックッ!!」」」

 

三方向からライダーキックが放たれ、プロト0号を蹴り抜いていく。

貫かれたプロト0号は火花を散らし、断末魔を上げる暇すら無く爆散した。

三人の”本郷猛”は真木とカンナギの方へと向き直る。

 

「ふむ。どうやらプロトタイプは性能不足のようですね」

 

「いいや、”器”としてはちょうどいいくらいだろう」

 

息を切らしながらも実験結果に話し合う科学者二人。

その様子を怪訝に思って問いかけようとした時、空中から無数の光弾が降り注いだ。

 

「どうやら遅かったようですね」

 

「いいえ、ちょうど実験も終わったちょうどいい頃合いでしたよ」

 

「素体はまた作ればいいだけの話だ」

 

「貴様、何者だ!!」

 

「大ショッカーグリードとでも名乗っておきましょうか」

 

突如現れた怪人は三人の”本郷猛”に対して軽く名乗る。

大ショッカーグリードは本郷達には興味が無いようで真木とカンナギの無事を確認すると即座にオーロラを出す。

逃げるつもりなのだろう。

 

「逃がすと思っているのか?」

 

「それは知りませんがいいのですか?この基地は(`````)放棄しますよ(``````)?」

 

一瞬、その言葉の真意は分からなかった。

だが、直後に激しい警報が鳴り響き意味を理解する。

基地を放棄する、つまり自爆するという事である。

 

「急いだ方がいいですよ?」

 

自爆の警報に本郷達が気を取られた隙に大ショッカーグリード達はオーロラの中へと姿を消した。

数十秒後、研究所は自爆し、存在していた(``````)空間ごと(````)消滅した(````)

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「あれで死んだと思いますか?」

 

「死ぬわけが無いでしょう。相手はあの本郷猛なんですよ?」

 

確信を持って大ショッカーグリードは言う。

ショッカーの宿敵、仮面ライダー。

その始まりの男、本郷猛があんな単純な手で倒せるとは思っていない。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

世界に存在する唯一の”仮面ライダー”として戦ってきた男、全てのライダーを束ねる男、45年以上戦い続ける男。

違いはあれど、全てが”本郷猛”だった。

彼らは爆発の寸前に各々のサイクロンに乗り込んでどうにか脱出したが、同時に大ショッカーへの手掛かりも失った。

だが、その程度で諦めるような男でも無い。

 

「ショッカーの野望は必ず砕く。それがどんな大規模な組織を相手にする事になろうともな」

 

そう呟き、”本郷猛”は再び歩き出す。

大ショッカーの野望を砕く為に動き出す。

人類の自由と平和を守る為に”本郷猛”は戦い続ける。

 

 

 






本郷猛が大ショッカーの動きを捉える話と0号計画の進行具合でした
0号は形としては出来上がっていて微調整の最中という段階です
完成形のヒントは空洞と大ショッカーグリードが駆け付けた事です

三人の”本郷猛”が登場しましたが
三連タイフーン、シャッター付き新1号、頑強な1号で大体どれがどの作品の本郷かは分かると思います

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!

次回、IF root after
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