問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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今回からあの二人のその後的な話です


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お嬢様と猫連れ少女と外れた歯車


 

少女は逃げていた。

背後からは怪しい集団が迫っていた。

 

「…………家出をするつもりがまさかこんな事になるとはね。私の運命には文句が言いたいくらいよ」

 

自嘲するように呟く。

少女はようやく自由になった身だった。

時は第二次世界大戦終戦直後、日本は様々な物が変化していた。

その一つが財閥の解体だった。

彼女は日本の中で五本指に入る財閥だった。

しかし、発言力の強い本家当主が解体に反対していた。

なので、彼女が呼び出されて説得をする羽目になった。

それら全てを終わらせてようやく自由を手にして旅だったのにこれなのだ。

まるで運命が彼女を自由から遠ざけてる様に見えてもおかしくは無い。

 

「止まりなさい!!」

 

彼女は背後に迫る集団に向かって叫ぶ。

彼女の様な十五歳の少女が本家当主を説得出来たのには訳がある。

いわく、彼女が口にした言葉は絶対だという。

掟や決まりごとがあるわけでも無い。

洗脳や催眠、暗示の類ですら無い。

本人にも何故かは分からない。

けれど、事実として彼女の言葉は本家当主を十数秒満たない時間で説得した。

そして、その言葉を受けた集団の大半は動きを止めた。

けれど、集団の背後を歩く者達には通用しなかった。

 

「ヒトデ、ヒットラー!!何をしている!!小娘一人の言葉で動きを止めているんじゃない!!」

 

「そうだぜ!!そんなガキくらいさっさと殺しやがれ!!」

 

ナチスの紋章を付けたヒトデの様な怪人と片腕に鉤爪を装備するライオンの様な怪人が動きを止めた者達へ叫ぶ。

だが、動きを止めた集団はピクリとも動かない。

それほどまでに少女の言葉は強力だった。

けれど、怪人達に通用してないのもまた事実だ。

少女は少しでも時間を稼ぐ為に叫ぶ。

 

「そこの変な奴らを攻撃しなさい!!」

 

その叫びと同時に集団は上司と思われし、怪人達に攻撃を仕掛ける。

その間に少女は駆ける。

そこまで運動は得意では無く。

並と言っていいレベルの少女は息を切らす。

此処まで全力で走って来たのだから仕方ないだろう。

 

「チッ!!聞いていた通り、あのガキの力は厄介だな」

 

「だが、吾輩たちに効かない程度だ。殺すのは容易い!!」

 

ブラックサタンの生き残りである幹部、デッドライオンとGOD悪人軍団の一人であるヒトデヒットラーは襲い来る戦闘員たちを薙ぎ払いながら話す。

戦闘員など幾らでも変わりが利くので彼らは倒すのに躊躇などしない。

黒タイツに全身を包むブラックサタン戦闘員はサタン虫さえあれば幾らでも補充できる。

GOD戦闘工作員も軍服に身を包みゴーグルとマスク、帽子を付けたヒトデヒットラー直属の物であるが幾らでも後釜は利く。

そこへ、一つの集団が飛び込んで来る。

 

「「「デーボスジャンプ!!」」」

 

「デーボ・ナガレボーシ!!」

 

「デーボ・ウイルスン!!」

 

「デーボ・ヒョーガッキ!!」

 

「「「我ら、恐竜を絶滅させた仲良し三人組!!」」」

 

「「「ゼツメイツ!!」」」

 

三体の怪人がジャンプしながら現れ名乗りながら戦闘員を薙ぎ倒し、最終的に名乗りの衝撃波で全て消し飛ばした。

その様子をデッドライオンは呆れた目で見る。

ヒトデヒットラーは無視して増援の戦闘員に少女を追わせる。

 

「何で私がヒトラー総統の怨霊に狙われてるのかしら。冗談でも悪趣味にも程があるわよ」

 

物陰に隠れて息を整えながら呟く。

終戦直後という事もあって少女もヒトラーの存在は知っていた。

実際はGODがヒトラーの死骸を改造した怪人なのだが少女には怨霊に見えるのだろう。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

少女は逃げていた。

少女の背後から黒いタイツと紫色のタイツの二色が混じっていた。

 

『お嬢、大丈夫か?』

 

「うん、まだ大丈夫」

 

紅葉柄の朱色の振袖を着込んだ少女は抱えた三毛猫と話しながら駆けていた。

走る速度はとても人間が出せる物では無かった。

三毛猫と話している事も加えて、この少女は普通の枠に入る人間では無かった。

その力を持っても背後から迫る集団を振り切ることは出来ない。

少女も背後の集団が普通じゃないことは察していた。

 

「てい」

 

背後に迫ってきていた追手を振り向かずに蹴り抜く。

そのまま数人の追手を蹴り飛ばし、他の追手に衝突させる事でビリヤードの様に弾いていく。

蹴りの威力も常人のそれでは無い。

彼女は友達になった動物の能力が使えるのだ。

それゆえに動物とも会話できる。

蹴りも馬の脚力を使った物だ。

 

『お嬢、何か狙われる事に心当たりはあるか?』

 

「ううん。そもそも目立つほど何かをした記憶が無いんだけど」

 

彼女と三毛猫は振袖を着て出かけようとした先で襲われた。

あまりにも唐突過ぎる襲撃に大層驚いた物だった。

今着ている振袖は少女のお気に入りの一着だったのだが、逃げている内に泥まみれになっていた。

更にところどころ解れるどころか破けている部分もある。

その有様はちょっとやそっとで修復出来る物では無かった。

大体追手のせいとはいえ、残念なことには仕方なかった。

 

「中々やるな、小娘!!だが、貴様はこのチーターカタツムリ様と!!」

 

「アリマンモス様が始末してやる!!アリアリアリー!!」

 

チーターとカタツムリの要素を持つ改造人間、チーターカタツムリが鞭の様な腕を地面に叩き付けながら叫び。

それに合わせる様にアリとマンモスの要素を持つ改造人間、アリマンモスが咆哮を上げる。

少女はその姿を見て、顔を顰める。

 

「気持ち悪い」

 

動物好きな少女にとって二つの動物を混ぜ合わせ、人型にした姿は気味が悪くて仕方ない物だった。

少女は地面を思いっきり蹴り上げ、大量の砂煙で姿を隠す。

その上で木を駆け上り、枝から枝へと渡っていく事で追手から姿を暗まそうとしていた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

時間軸が違う対象に言うのはおかしいが、とある組織にとって同時に二人の少女は狙われていた。

彼女達は主流から外れたはずの歯車だった。

本来乗るはずだった流れからは押し出されてそれぞれの道を行くはずだった少女達は、彼女達を押し出した存在に狙われる。

歯車は”ズレ”て歪んだ動きを見せていたが、全体は壊れてはいなかった。

一部は軋みを上げているが、致命的では無い。

歪みを、崩壊を完全にする為に必要な物、それが二人の少女だった。

本来なら輝く道を行くはずだった歯車である少女達は、外れてなお影響は強かった。

失われなければ全てが修正できる可能性が残る程度には重要な存在だった。

ゆえに、それを破壊しようと組織は動く。

致命的な歪みを生み出す為に。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

爆発と共に少女が隠れていた物陰が吹き飛ぶ。

少女はそこを離れていたが余波は受けていた。

 

「いきなり形振り構わなくなってきたわね……………」

 

少女にとっては意図が分からなかったが怪人達も多少は焦っていた。

自分達が発生させた時空の歪みの副産物、それが少女達だった。

時空の歪みの波を観測する中で歪みの影響を一切受けない時空があった。

それが二人の少女が存在する時間軸だった。

そこから、それらしき存在を見付けるのにも時間は掛けていた。

ゆえに急いでいる。

時空の歪みを探知できるのは彼らだけでは無い。

そして、少女たちを見付けられるのもまた然りである。

加えて彼らは本来自分達が存在していない時空で暴れている。

この行動が何時探知されてもおかしくないのだ。

だから、作戦は目立たずに迅速に終わらせる手筈だった。

しかし、少女たちが予想以上に抵抗した為に迅速さを優先したのだ。

怪人達が本気を出せば並の人間に近い少女はなす術も無い。

何とか立ち上がり、走るが背後からデッドライオンが飛び掛かる。

 

「デッドハンド!!」

 

「きゃっ、」

 

デッドライオンの鉤爪が伸び、少女の足を切り裂く。

少女はバランスを崩して倒れ、足を押さえる。

幸い傷は浅いが血は流れ、痛みも半端では無くとても走り続けるのは無理な惨状だった。

 

「此処で功績を上げて、俺がブラックサタンを再建してやるぜ!!」

 

「私を守りなさい!!」

 

デッドライオンがトドメを刺そうと近付いたところで命令を受けた戦闘員たちが割り込む。

舌打ちし、鬱陶しそうに叩き飛ばしていくが数が多く纏わりついてくるので中々抜け出せない。

その隙に少女は何とか逃げようと画策するが傷付いた足では満足に動けない。

そこへ、二つの足音が響いてくる。

 

「何をしているのだ、貴様達は!!」

 

「…………………」

 

金色に身を包んだ怪人と所々甲殻類の混ざった鎧武者が現れる。

金色の怪人は足止めされている怪人達を見ながら溜息を吐く。

そのまま剣に力を溜めて行く。

 

「このネオグリフォーザーが一瞬で消し飛ばしてやろう!!」

 

ネオグリフォーザーが剣を振るうと同時に鎧武者も刀を振り下ろす。

それぞれの刃から溜め込まれたエネルギーが斬撃波となって少女に迫る。

少女は唖然として自身に迫る斬撃波を見るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「逃がす物か~!!」

 

アリマンモスが自身の前方にエネルギーを溜め、光弾を作り出していく。

だが、その前に土煙を破る様にして漆黒の鎧の様な装甲に包まれた怪人が現れる。

 

「何をモタモタしている!!」

 

怪人は剣を横薙ぎに振るう。

それだけで土煙も木々も斬り裂かれ、視界が明瞭になる。

少女は驚きながらもどうにか斬られた木を蹴って距離を稼ごうとする。

そこにアリマンモスの光弾が放たれる。

少女はどうにか回避するが余波までは逃れられなかった。

吹き飛ばされ、地に叩き付けられそうなところをどうにか受け身を取り、地を転がる事で衝撃を軽減する。

 

「ハァ!!」

 

しかし、転がった先にチーターカタツムリの粘液が撒かれてしまう。

勢いを殺し切れずに少女は粘液に突っ込む。

 

「何……………これ………………」

 

『ベタベタするで!!』

 

「俺の粘液からは逃れる事が出来ないのだ!!」

 

少女と三毛猫は粘液に動きを封じられる。

どう動物の能力を使っても脱出は出来なかった。

追い詰められたと言っても過言では無い状況である。

そこに何かが飛び込んで来る。

 

「トドメは!!」

 

「我々が!!」

 

「やらせて!!」

 

「貰おう!!」

 

四体の怪人が声を合わせる様に割って入る。

そのまま横並びになると、名乗りを始めた。

 

「我らの色鮮やかさ!!」

 

「見て驚いてちょーだい!!」

 

「デェェェェェェェボ!!ハルダモンネ!!」

 

「デーボ!!ナツダモンネ~!!」

 

「デーボ、アキダモンネー!!」

 

「デーボ!!フユダモンネェェェェェェェェェ!!」

 

「最強!!」

  「デーボ!!」

    「モンスター!!」

      「チィィィィィィィィム!!」

 

「「「「こぉぉぉぉぉぉう()!!撃団!!四季!!」」」」

 

攻撃団・四季は名乗りを上げ終えるとそれぞれの武器を重ね合わせる。

漆黒の怪人は頭を押さえ、チーターカタツムリとアリマンモスは呆れた目で見ている。

攻撃団・四季の武器の中心点に四体の怪人のエネルギーが収束していく。

 

「春!!」「夏!!」「秋!!」「冬!!」

「「「「デェェェェェェェェボス!!フィニッシュ!!」」」」

 

四色が重なり合った四季のエネルギー弾が少女に向けて放たれる。

ふざけた連中ではあるが、実力は確かである。

エネルギー弾には少女を消し飛ばすに十分な威力があった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

少女たちの眼前には”死”が迫っていた。

そんな危機的状況の中で少女たちの口は自然と動く。

 

「誰か、助けて」

 

そう、自然と言葉を紡いだ。

同じ言葉ではあるが、意味合いは違った。

けれども、それに応える言葉は確かにあった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

空間に穴が開き、線路が伸びてくる。

未来と認識される少女の時代においてもありえない光景が今正に目の前にあった。

線路を通り時空の穴から時の列車が二両飛び出してくる。

列車はそのまま少女を守る様に交差して、攻撃団・四季の春夏秋冬・デーボスフィニッシュを弾き飛ばした。

列車が通り過ぎると四つの人影が現れていた。

 

「貴方達は………?」

 

少女は首を傾げながら問う。

いきなり現れた列車とそれから降りたらしき謎の人影に困惑しているがゆえの反応だった。

人影のうちの一人の男は笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「大丈夫、俺達は君を助けに来たんだ」

 

「つまり、味方だ。安心してくれ」

 

「あぁ、こんなに傷だらけになって…………ごめんな、もう少し早く来れなくて」

 

「デネブ、お前は少し落ち着け」

 

二人の男と二人の異形は少女を守る様に怪人達と少女の間に立つ。

少女は味方と聞いて安堵したように力を抜く。

 

「俺は野上幸太郎。こっちは相棒のテディだ」

 

「よろしく」

 

「俺はデネブ。こっちが桜井侑斗。侑斗と呼んでやってくれ」

 

「勝手に言うな、デネブ!!まぁいい。さっさと、終わらせるぞ!!」

 

「分かってるよ!!」

 

言いながら二人は腰にベルトを巻き付ける。

幸太郎はライダーパスを、侑斗はゼロノスカードを手に持つ。

 

「「変身!!」」

ストライクフォーム!!アルタイルフォーム!!

 

幸太郎はライダーパスをベルトにかざす。

同時に姿がプラットフォームに切り替わり、その上に鎧が装着される。

同時にテディがマチェーテディに姿を変える。

侑斗はゼロノスカードをベルトに差し込む。

プラットフォームに姿を変え、その上に鎧が装着される。

ゼロガッシャーを手に持ち、怪人達を指差す。

 

「最初に言っておく!!俺達はか~な~り~強い!!」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

少女はそれまで助けてとは叫べなかった。

叫べば助けてくれる者もいるだろう。

だが、それは望んで助けるわけでは無い。

少女の言葉に強制されての行動だ。

ゆえに助けてとは言え無かった。

言えば、他人を強制的に死地に送り込む事になるから。

けれど、追い込まれて最後の最後には叫んでしまった。

周囲には誰もいない。

それもあるが心の底からの叫びでもあった。

そして、その叫びに真に応える者がいた。

 

「え?」

 

「まさか…………こんな形で現れる事になるとはな」

 

少女の前に迫っていた斬撃波は何故か消えていた。

代わりに白い車と一人の男が少女の前に現れていた。

白い車は前面に二門のガトリング砲が搭載されていた。

更にボンネットには立花レーシング(```````)のマークがあった。

男の姿を見て、怪人達の顔も驚愕に染まっていた。

何故なら男はこの場この時代どころか本来存在すらしていないのだ。

その男が突如現れれば驚愕もするだろ。

 

「あ、貴方は…………私を助けに?」

 

「そうなるかな?まぁ助けを呼ぶ声に応えただけだ」

 

少女の問いに男は軽く答える。

それは男は少女の力の影響を受けていない事を意味していた。

その事実に気付いた少女の眼頭は熱くなっていた。

自身の言葉の影響も受けず、ただ助けに来るような経験はこれまでの人生ほとんど無かった。

ゆえに嬉し涙も出掛けてしまう。

 

「貴方は何者なの?」

 

「俺は黒井響一郎……………またの名を仮面ライダー3号」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

時代が(```)望む時、仮面ライダーは必ず甦る。

 

 






襲われる少女達でした!!

未来に電王組が行ったのは電王組くらいしか未来に行けないからです
ディケイドが参戦しないのにも理由はあります

3号に関しては次回説明します
現れた理由は少女の本質と最後の一文がヒントです


それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!!
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