問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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標的と突撃と音速のデルザー

焔たちが箱庭に召喚された瞬間にそれは動き出した。

銀色のオーロラを潜り抜け、音を置き去りにして加速する。

マッハ5にまで達したそれは今まさに落下している焔たちとの距離をどんどん詰めていく。

 

「あれが粒子体の研究者というガキか。いいだろう。我が加速と衝撃を持って確保するとしよう」

 

それは鳥の様な怪人だった。

四本の腕の内二つに翼があり、そこに設置されたジェットによって加速しているのだ。

あと数秒で焔たちに手が届くというところだった。

いきなりそのスピードが掻き消される。

まるで空間そのものが粘り気を持ったかのようだった。

 

「これは重加速か!!」

 

「ご名答」

 

声が視線を向けると一人の男が立っていた。

怪盗アルティメット・ルパン。

今や箱庭を騒がせるまでになった怪盗だった。

ルパンはルパンガンナーを怪人に向けながら挑発にするように話し始める。

 

「アレは俺も狙ってる物でね。邪魔をさせて貰う」

 

「貴様、俺を誰だと思っている?」

 

「知らないな」

 

「俺はデルザー軍団の改造魔人の一人、ジェットコンドル!!加速を武器にする俺が重加速対策をしてないと思ったか?」

 

ルパンに対抗するようにジェットコンドルも重加速粒子を放って力場を形成する。

蛮野を大ショッカーに引き入れた故にその技術は共有されている。

自身にロイミュードの力を取り込むことで更なる加速の域に達しているのだった。

それでも、ルパンはやれやれと言った様子で首を振る。

 

「まさかあの(´´)デルザー軍団が来ているとは確かに予想外だ。けれど、俺もそちらの予想を超えているのさ」

 

言いながらルパンは金色のマッハドライバー炎のような物を取り出す。

それを腰に巻き付けると金色のシグナルバイクを手に取る。

ドライバーを開き、金色のシグナルバイクを入れて閉める。

 

「俺は既に超進化態に到達している。更に超進化態の力を十全に発揮するのがこのルパンドライバーだ」

チェェェェェンジ!!ネクストォルパッーン!!

 

ルパンドライバーから宝石のようなエネルギー体が周囲に放たれる。

それらがルパンの肉体に集まっていき、新たなる装甲となる。

大きくは姿は変わらなかった手足と胴に装甲が足された程度ではあった。

それでも纏うオーラは完全に変わっていた。

 

「それでは、お見せしよう。俺の新たな力を!!」

 

ルパンが芝居掛かった動きで腕を振る。

濃密な重加速粒子がルパンを中心に放出される。

重加速を超えた重加速。

何もかもを停止に近い状態にする超重加速をルパンは引き起こしたのだ。

しかし、相手は仮にもデルザー軍団の一人。

これで狼狽える様な物では無かった。

ジェットコンドルはジェットの出力を際限無しに高めていく。

 

「舐めているのは貴様の方だ。俺の加速はこの程度では止まらない!!」

 

何時も程の速度では無いがジェットコンドルは動き出す。

超重加速をジェットの出力で強引に振り切っているのだ。

ルパンが指を鳴らして金色のマシン、ライドルパンを呼び出す。

その上に飛び乗るとジェットコンドルとの空中戦に入る。

ジェットコンドルはバイラルコアを握り込むと腕の形を変化させる。

 

「普段に届かないとはいえ俺の速度で放たれる弾丸を躱し切れるか?」

 

「さぁて、どうだろうな?」

 

腕を銃に変化させたジェットコンドルは追ってくるルパンを狙い、弾丸を放っていく。

ルパンもルパンガンナーで放たれる弾丸を撃ち落とし、撃ち漏らしを回避しながら隙間を縫って光弾を放っていく。

ジェットコンドルは紙一重で回避しながら身を捻る。

マッハを超える速度域での急停止急旋回は命に関わる。

だが、デルザー軍団の改造魔人の肉体ならばそれすら容易く行える。

銃に変化させていた腕に別のバイラルコアを押し当てて巨大な剣に変化させる。

そのままルパンへと正面から突進していき剣を振るう。

ルパンも最大限の回避行動を取りながらルパンブレードを振るう。

擦れ違い様に一際大きな火花が散る。

ルパンは左肩の装甲にヒビが入り、ジェットコンドルは額部にヒビが入る。

どちらも掠った程度で影響は無い。

怪盗と音速のデルザーの戦いは続く。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

焔たちが消えた報告を受けたゼネラルモンスターは首領と話しをしていた。

 

「どうやら”女王”辺りが保険を用意していたらしく。ターゲットは箱庭に消えたようです」

 

「こちらでも確認している。お前は一度箱庭に戻るのだ」

 

「そちらで捕獲計画を進めれば良いのですね?」

 

「そういうことだ」

 

「しかし、此方には逆廻十六夜がいるようですが」

 

「そちらの対処は魔神提督に任せてある。お前は自分の仕事を進めるのだ」

 

「はっ」

 

ゼネラルモンスターが頭を下げると首領の気配は消える。

ゼネラルモンスターは銀色のオーロラを出現させると部下と共に箱庭へと戻っていくのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「やってるねぇ。僕もあのお宝は手に入れたいんだけど………………アレは後が面倒なんだよね。もう少し熟してからじゃないと色々と影響が出過ぎる」

 

遠目から怪盗と音速のデルザーの戦いを眺める者がいた。

海東大樹、またの名を仮面ライダーディエンド。

ルパンとはまた別口の怪盗だった。

 

「さて、割り込むなら此方だけどもう少し様子を見た方が良さそうだね」

 

戦いを眺めながら漁夫の利を狙うように待機するのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ルパンガンナーから放たれる光弾が頬を掠める。

ギリギリの回避で最短ルートを進んでルパンへと突っ込んでいく。

ルパンは上半身を背後へと倒して突進を回避する。

更にルパンガンナーの銃口を向けて真上を通り過ぎるジェットコンドルに弾丸を叩き込んでいく。

ジェットコンドルも擦れ違い様に刃を振るう。

刃はルパンの左腹から左肩までを装甲を削るように通り過ぎる。

ジェットコンドルは肋付近にある噴出口に弾丸が直撃し、煙を噴き上げてバランスを崩す。

そこを狙って追撃しようとするが邪魔が入る。

 

アローナウ

 

そんな音と共に魔力の矢がルパンとジェットコンドル両方に向けて放たれる。

互いにそちらを向くと魔法の箒の様な物に乗った仮面ライダーメイジが三体迫ってきていた。

だが、それは明らかにおかしな事だった。

現在ルパンとジェットコンドルの周囲には超高濃度の重加速粒子が充満している。

コアドライビアを持ち、なおかつ超重加速に対応出来る身で無ければまともに動けるはずが無いのだ。

それなのにメイジは普通に行動している。

ジェットコンドルは首を傾げているが、ルパンはすぐに答えに思い当たった。

 

「あの男が邪魔をしているというわけか」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「音速のデルザー君はともかく彼には気付かれたかな?まぁバレたところで問題はないんだけどね」

 

仮面ライダーディエンドに変身した海東はメイジを召喚してジェットコンドルとルパンの戦いに乱入させたのだった。

目的としてはお宝から遠ざけることもあった。

だが、別の意味合いもあるにはあった。

 

「万が一君が負けても詰まらないからね。これはプレゼントと思ってくれたまえ」

アタックライド!!インヴジブル!!

 

ルパンがいる方向に銃口を向け、軽く撃つような動作をした上で姿を消すのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「意思も持たない人形風情が邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ジェットコンドルは三体並んで飛ぶメイジに突っ込んでいくと真ん中のメイジの頭部を掴む。

そのまま勢いのまま振り回し、地面へと直行する。

それだけで既に首が捻じ曲がり掛けているが、ジェットコンドルの眼中には無い。

激しい火花と共に凄まじい速度でメイジが地面に擦り付けられる。

耐えきれなくなったメイジの身体は砕ける前に光となって消えた。

 

「隙ありだ」ルパァンショット!!

 

一方、置き去りにされたメイジはジェットコンドルの高速飛行による衝撃波を浴びて体勢を維持するのが精一杯になっていた。

その隙を付いて、ルパンはゼロ距離まで近付いていた。

ルパンガンナーをメイジの身体に押し付けてルパンドライバーの上部スイッチを一回押す。

ルパンガンナーにエネルギーが凝縮され、放たれた光線がメイジの胸を大きく貫く。

その上で横薙ぎに斬り捨てる。

そのメイジが光となる間に残っている最後のメイジがルパンに向けて鎖を放つ。

 

チェインナウ

 

「甘いな」

 

ルパンは爪先で足場にしているマシンを叩く。

すると、鎖が届く直前に高度が急激に下がる。

更にハンドルに軽く蹴りを入れる。

マシンは急速にメイジの下へ移動し、急浮上する。

 

「終わりだな」ルパァンスラッシュ!!

 

二度ルパンドライバー上部のスイッチを叩く。

ルパンガンナーの刃にエネルギーが収束する。

そのまま斬り上げるようにしてメイジを真っ二つにする。

光となって消えるメイジを背にその勢いのままジェットコンドルへと突撃していく。

 

「貴様もそろそろ終わりにしてやろう!!」

 

「いや、俺はまだまだ終わらないさ。俺の目的(´´´´)はまだ果たされていないからな」

 

お互いに最高速度で突撃する。

ジェットコンドルは空間に満ちる重加速粒子によって本調子では無いがマッハを超えている。

それえによって発生する衝撃波によって地面にヒビが撒き散らされていく。

ルパンはルパンドライバー上部スイッチを三度叩いた上でルパンガンナーの銃口に掌を押し当てる。

 

スペシャル!!アルティメット!!ルパァンストラッシュ!!

「これで決まりだ」

 

ルパンガンナーの刃が撓る(´´)光の刃へと変貌する。

加えて周囲に宝石状のエネルギー体が放たれる。

 

「この程度まやかしにすらならんわァ!!」

 

ジェットコンドルは腕一本を刃に変えたまま突っ込む。

擦れ違うその瞬間に周囲に放たれていたエネルギー体が光の刃に収束する。

それによって光の刃の輝きはより一層増すのだった。

機械の抉れるような音と共に決着は付いた。

互いに振り向き、互いの惨状を目の当たりにする。

ジェットコンドルは刃に変えていた腕が完全に捥がれ、その上で胸元に深い傷を刻まれていた。

ルパンは左脇腹が大きく抉れていた。

その破片をジェットコンドルは興味無さそうに投げ捨てる。

抉られたところから上半身全域にヒビは広がっている。

互いに傷は深く下手すれば相討ちが濃厚な状況でもあった。

ゆえにどちらが言うまでも無く撤退する流れとなった。

ジェットコンドルは銀色のオーロラを展開する。

 

「今回は痛み分けということにしておいてやろう。生きていることを幸運に思え」

 

「それは此方の台詞なんだがね」

 

「我らデルザーは貴様らとは違うのだ。たとえ死のうとも何度でも(´´´´)蘇る」

 

何やら含みを持たせた言い方をしながらジェットコンドルはオーロラの奥へと消える。

ルパンも変身を解除するとマシンに跨る。

マントをたなびかせながら次なる獲物の元へと向かっていくのだった。

 

 





粒子体争奪戦の一部でした
割と色んな勢力が粒子体や焔そのものを狙っているのでした

ルパンvsジェットコンドルになりました
ジェットコンドルはいわゆる設定だけ存在した幻のデルザー軍団です
とはいえ、最近ライスピに出てきましたが
今回のはそれに加えてロイミュードの力も得ています

それでは、質問があれば聞いてください
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