まさかの全世界兄上化計画である
いや、デミアの正体なんてバレバレだったけどそういう絵面にしちゃう!?的な
やってる内容はシリアスでも絵面がどうやってもシュールなゴーストでした
そして、来週は帰ってきた豪快な奴らである
それでは、本編です
某所。
何処とも知れぬ闇の中。
そこに二本角の兜と黄金の鎧を身に纏った男が立っていた。
「お呼びでしょうか、首領」
『魔神提督。お前はあの世界にて逆廻十六夜の相手をするのだ』
「始末してよろしいのですね?」
『好きにするがいい。だが、肉体は回収するのだ』
「分かりました。箱庭の方はいかがしましょう?」
『そちらはゼネラルモンスターに任せる。お前は奴に専念するのだ』
魔神提督は頷くと銀色のオーロラを潜り抜け、姿を消す。
残ったのは点滅する怪しい光のみだった。
それもやがて闇に消える。
◆◆◆◆◆
____”アンダーウッドの大瀑布”大樹の貴賓室。
藁葺きのベッドの上に寝かされていた西郷焔は、慣れない寝心地でふと意識を覚醒した。
だが意識を覚醒しただけで体は重く、簡単には起き上がれそうにない。
(……………何処だよ、此処)
仰向けになったまま、状況を確認する。
体調から推測すると半日は眠っていたらしい。
身体の倦怠感は疲労というよりも、半日も身体を動かしていないことによるものだ。
となると、残る問題は此処が何処かという話である。
(そういえば、落下中に馬鹿デカい大樹が見えたな。あそこまで運ばれたのか?)
もしそうならば、此処は大樹の中ということになる。
手足が拘束されている様子は無い。
自分たちを浚うと言った連中を思い出して多少心配はしたが、いらぬ心配の様だった。
どうやら安全な場所であることは間違いないようだ。
部屋の内装はどうなっているのかと首を横に向けた途端____ベッドの隣に、二本の不自然な突起物が見えた。
「………………」
____ウサッ。
という擬音と共に。聳え立つ二本の
寝ぼけて朦朧としたままの焔は、「なんだコレ?」と小首を傾げながらソレに手を伸ばして引っ張った。
「ていっ」
「フギャア!!」
ベッド脇から上がる悲鳴。
それと共に飛び上がるウサ耳ロリータの少女。
「ちょ、ちょっとお待ちを!!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか名乗り合う前に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「既視感有り余るフリーダム発言禁止ッ!!」
スパァーン!!とハリセンを取り出して側頭部を引っ叩くウサ耳ロリータ。
_____うむ、もはや何も驚くまい。
積乱雲の牡牛や牛頭のミノタウロスにナメクジ人間を見た直後である。
ウサ耳少女が一人や二人現れたところで何するものぞだ。
あれに比べたらウサ耳の一つや二つや三つや四つ可愛い物だ。
何より悪意も敵意も感じない辺り、敵対する意思はないように思えた。
その後、焔は鈴華や彩鳥の安否を聞き、互いに名乗り合う。
詳しく色々聞こうとしたが、それは他の二人と合流してからとなった。
兄である十六夜の話を聞きながら歩いていると、汽笛のような物が聞こえてくる。
「今のは……………汽笛か?此処には列車があるのか?」
「YES!!最近普及が始まった精霊列車でございますね。ご覧になりますか?」
精霊列車_______何とも聞きなれない単語に、益々以て好奇心が疼く。
その様子に気が付いた黒ウサギは笑いを噛み殺しながら脇道に逸れて、大樹の外に足を踏み出す。
その途端______一陣の風と共に、西郷焔の視界は静水と深緑の色に支配された。
「わっ!!」
大樹の中心、地上250m地点で横薙ぎの風が吹く。
それと同時に二度目の汽笛が上がった。
焔は手摺りから身を乗り出して下を確認する。
其処で更に驚嘆する。
遠目でハッキリと見えなかったが、この巨大な大樹は大河の上に乗りかかる形で生えていたのだ。
大樹の幹からは吸い上げた静水を滝のように、或いは雨の様に、或いは霧雨の様に零して街に降り注いでいる。
水上都市はそれを水車た水式
目を凝らせば水路の下には旧都市と思われる街が沈んでいる。
そして焔は眼下に水中から巨大な列車が現れる光景を見る。
興奮した焔はウサ耳を掴んで、一気に階段を駆け下りる。
途中で水式
街中に足を踏み入れる。
街中でも至る所に水路が張り巡らされ、噴水は光の加減で造形が変わって見えるという高度な水芸を披露している。
市場は熱気と人に溢れ返り、奇妙な装飾品を売る店もあれば、見たことも無い料理を披露して瞳と鼻孔を擽る。
焔は唖然としたまま絶句しているが、人込みの向こうで、良く知る声が上がった。
「お、焔だよ彩ちゃん!!やっと来たみたいだぜ!!」
「ええ。女性を二人も待たせるとは、仕方のない先輩です」
林檎飴を両手に持ってはしゃぐ鈴華と、苺のオムレットを手に持つ彩鳥。
二人は焔を確認すると人込みを掻き分けながら焔の許にやってくる。
一方の焔は、目の前の光景に視線を奪われたまま、未だに硬直していた。
黒ウサギはそんな彼の顔を覗き込んでウサ耳を傾げる。
「焔さん?どうしました?」
「あ、いや、どうしたもこうしたもないっていうか……………世界規模でツッコミどころしかないっていうか、」
唖然______としたまま、何をどう形容していいのかわからず、曖昧なことを呟く。
獣人と思われる者たちが闊歩し、精霊としか形容できない小人が噴水で遊びまわる。
そんな幻想的な光景を前にして思考回路が焼き切れたというのもある。
鴻上会長などに振り回されて見た超常現象など序の口だったと思えるのが現状である。
果たしてこの光景を前に、頭を抱えて途方に暮れるべきなのか。
鈴華たちみたいに全てを受け入れて楽しむべきなのか。
思い悩む焔に、黒ウサギはウサ耳を揺らして笑いかけた。
「まあまあ。積もる話もありますし、まずはお昼にいたしませんか?」
「……………………………そう、だな。いい店はあるか?」
「そうですねぇ。今の季節だと………………………桜見鳥の姿焼きや、ペリュドンのハムエッグなどがよろしいかと!!」
これはまた随分と肉食なウサギがいたものである。
益々以てツッコミを入れたかった焔だが、腹が減っていたのも事実だ。
異世界初めのアクションとして、先ずは腹ごしらえをするとしよう。
◆◆◆◆◆
そんな少年少女の姿を遠目で笑みを浮かべながら眺める者がいた。
操真晴人、魔法使いである。
「若いってのはいいねぇ」
彼は彼でまだ二十代であり、若いの範疇なのだが思わずそう呟くのだった。
両親を幼い時に失った晴人は楽しそうにする光景が多少眩しく見えるのだった。
ただ三人の少年少女の中で金髪の少女は何処か見覚えがあるように思えた。
「どっかで見たことがある気がするんだよな。たぶん箱庭で……………」
「どうしたんだい、兄ちゃん?」
「いや、見覚えのある顔を見かけたんだけど何処で見たのか思い出せなくてな」
「人違いなんじゃねぇの?」
「そうかもな」
「それより、ドーナツはいるかい?」
そこそこ顔馴染の露店の店主が商品を見せながら言ってくる。
晴人はその中から迷いもせずに一つ指さす。
「プレーンシュガー」
「またかよ!!たまには他のも買ってくれよ」
「いいだろ、別に?」
「まぁ毎度毎度買ってくれるのはありがたいんだがね」
頑なな晴人に店主は渋々と言った形で従う。
晴人は毎度毎度プレーンシュガーしか頼んでいないようだった。
そんな事は気にもせずに晴人は周囲を見る。
何時も通り活気に溢れた市場だ。
だが、妙な気配が幾つか隠れていた。
それらの全てが新しく箱庭に召喚された少年少女に視線を向けている。
「
「誰にだ?」
「何でもないよ」
「そうか。ほれ、何時ものだ」
「ありがとさん」
金を払ってプレーンシュガーの入った袋を受け取る。
歩きながら妙な気配の位置を確認する。
溜息を吐きながら指輪の付けた手を腰に当てる。
コネクト、プリーズ
「全く新しく来た奴には楽しんで欲しいのに無粋な邪魔をするなよ」
現れた魔法陣の向こうにプレーンシュガーの入った袋を置く。
そうして準備を終えると、少年少女を狙ってると思われし気配のところへと向かう。
新たな来訪者の楽しみに、無粋な邪魔を仕掛ける者を排除する為に。
希望を守る魔法使いは裏で奔走する。
◆◆◆◆◆
何処かの宇宙。
箱庭でも焔たちの世界でも無い宇宙。
漂う小衛星の上に立つ巨人がいた。
「ようやく捉えたぜ、時空の捻じれを」
世界と世界が干渉し合う時に発生する波紋を感じ取っていた。
とはいえ、彼も意識して集中しなければその波紋を感じ取ることは出来ない。
つまり、感じ取れる程に大きい干渉が行われたということだ。
「この大きさからして今度こそ間違いは無いだろ」
彼は銀色の鎧を纏うと右腕の先に装着された刃の先端を虚空に向ける。
すると、その先の空間が歪み、世界に穴が開く。
彼はこれで世界を移動するのだ。
だが、無制限に移動できるわけでもない。
一回移動するにもそれなりに消耗する。
けれど、普段は行くべき世界が分かっているのでそこまで関係無い。
しかし今回は行き先が不明瞭だった。
ゆえに何者かが激しく行き来する次元に狙いを定めて移動を狙ったのだ。
彼は虚空に生まれた次元の穴へと消えていく。
次元の穴は彼が通れば即座に消える。
残る物は何もなくただ虚空が広がるだけだった。
はい、初めての異世界体験でした!
晴人はすぐに合流する予定だったけど気を利かせて問題の種を排除してる感じです
最後の巨人はアレです
唐突に登場して全てを持ってくアレです
それでは、質問があれば聞いてください
設定は活動報告で纏めているので設定関連はそちらでも
感想待っています!!