問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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オーブはカードを奪われ、マガオロチは大暴れで大ピンチ
ジュウオウはクジラが大暴れ!
ゴーストはグレートアイザーが大暴れでした!

それでは、本編です


後悔と避難と鳴り響く雷鳴

 

逆廻十六夜、御門釈天、プリトゥ=マーダは車で移動していた。

”境界門”を開く為に柴又帝釈天の寺院に向かっているのだ。

その移動の途中、十六夜は背後から妙な気配を感じていた。

 

「なあ、尾行されてないか?」

 

「だろうな」

 

「気付いてるのかよ」

 

「当たり前だ」

 

「放置でいいのか?」

 

「大方お前が今朝相手にしていた奴らだろ」

 

「ん?鴻上の奴じゃないのか?」

 

そこでプリトゥが口を挟む。

どうやら彼女は鴻上が監視を付けていると考えていたらしい。

そこで十六夜と釈天は今朝の襲撃者の事を話す。

 

「なるほどな。でも、それにしても堂々とし過ぎじゃないか?」

 

「そこまでは知らん」

 

「何か狙いがあることは間違いないけどな」

 

一先ず狙いが分からないので様子見ということで話を纏めて三人は先を急ぐのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

______”アンダーウッド”工業区画・第二製鉄場。

雷光の如き一撃が三人を狙ったと同時に。

西郷焔と久藤彩鳥は、工業区画の陸地に転移していた。

 

「わっ、」

 

「きゃ!!」

 

ドサリ、と音を立てて落ちる音。

それを追うように水路が轟音と共に砕け散った。

大戦斧と稲妻を打ち付けられた水路は水底に巨大な大穴を空け、大渦を造り出している。

一瞬でも遅かったら命が危なかっただろう。

三人とも五臓六腑をぶちまけるか稲妻に撃たれて焼死していたに違いない。

 

「っ、鈴華は………………?」

 

ハッと彩鳥と焔は顔を上げる。

鈴華も二人の隣で倒れていたが、様子がおかしい。

彩鳥が慌てて彼女に近付くと、腹部に大きな裂傷が出来ていた。

そして其処で思い出す。

彼女の恩恵は通常の空間転移とは異なり、自身の転移と対象の転送を使い分けなければならなかったということを。

二人の顔色は蒼白となり、共に渦を巻く水路を見た。

 

「ま………………まさか………………………!!」

 

______一瞬でも遅れれば命が無いタイミングだった。

自身を転移させるか、焔と彩鳥の二人を転移させるか。

二つに一つしか選べない状況で……………鈴華は、二人を助けることを選んだのだった。

彩鳥は二人を先に逃がす。

その後ろからは既にミノタウロスが迫っていた。

重戦車のように突進するミノタウロス。

だが何時までも強襲者に好き勝手させるほど”アンダーウッド”の住人は軟弱ではなかった。

 

「全員、配置に付け!!」

 

その号令を聞き、ミノタウロスは足を止めて背後を見る。

水路の対岸では”六本傷”のシャロロとポロロが工業区画内に居た同士を集めて、固定式大型弩砲バリスタに付くよう指示していた。

ポロロは鷲獅子の鬣を切っ先に纏めた采配をその手に持ち、躊躇うことなく振り下ろす。

 

「此奴が噂の星獣だ!!加減することは無い!!大型弩砲”フェイルノート・バリスタ”_____全弾ぶち込めッ!!」

 

鷲獅子の采配が旋風を巻き起こす。

その風と共に一斉発射される固定式大型弩砲の弾丸。

追尾の恩恵に加えて音速を超えた速度の弾丸が五十二発、ミノタウロスに襲い掛かる。

戦斧を失った今の状態では回避は不可。

何とか半数は叩き落すが半数は全身を貫く。

右腕を貫通し、両足を串刺し、武骨な胸筋を十二もの鏃が貫いていく。

 

『GEEEEEEEEYAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaa!!』

 

大気の震動が可視できるほど大きな断末魔の叫び。

その圧倒的かつ一方的な光景は、たった一匹を相手に此処までする必要があるのかと疑念を抱かせるには十分だ。

だがポロロは油断しない。

星獣がこの程度で死なないのは分かり切ったことだからだ。

次弾を装填させてすぐにぶち込めるように指示を出す。

黒ウサギはその間に彩鳥の許に駆け寄る。

 

「すみません、彩鳥さん!!黒ウサギが付いていながら、こんなことに成るなんて、」

 

「…………いいえ、仕方がありません。貴方は”箱庭の貴族”、そして”審判権限(ジャッジマスター)”を持つ者。戦いに参加できなかったからといって恥じることは無い。この場で恥じるべき者がいるとしたら____」

 

力強く言い切り、一人で立ち上がる彩鳥。

だが様子がおかしい。

黒ウサギは少し気圧されながら一歩下がる。

 

「………………彩鳥さん?」

 

ウサ耳を傾げて彼女の背中を見る。

その背中は先程までの少女のものとは思えなかった。

彼女から立ち上がる闘志に、黒ウサギは思わず息を呑んだ。

黄金の髪は闘志に呼応するようにざわめき、体幹に剣でも通っているかのような真っ直ぐで強健な力強さを湛えている。

当人すら自覚は無いが体内では”何か”が脈動していた。

その立ち姿は凡夫が見たとしても、鬼神の如き気迫を感じられただろう。

 

「情けない………………!!外界に降天して十四年………………よもや此れほどに腕が落ちているとは……………いや、鈍っているだけならまだしもッ!!守るべき学友を守れず、あの程度の敵を相手に(´´´´´´´´´´)後れを取るなんて……………………!!」

 

体内を脈打つ”何か”が全身を駆け巡る。

それと合わせるように身体能力が底上げされていく。

だが、今の彩鳥はそれを認識出来る精神状態では無かった。

むしろ、だからこそ起きている現象なのかもしれないが。

彩鳥の敵愾心に黒ウサギは思わず身構える。

投げ捨てられた二本の槍を手に取り構える彩鳥の姿にかつて看取った騎士の面影を重ねる。

久藤彩鳥____名前がよく似ていたから、その正体は察していた。

だが外見が黒ウサギの記憶と一致しなかった為、別人だと思っていた。

しかしもう疑う余地は無い。

気焔万丈の闘志を漲らせた彩鳥は、黒ウサギの記憶の中にある女王騎士の物に相違ないものだった。

そして彼女のその気迫に呼応してミノタウロスが目を覚ます。

如何に知性が乏しくとも、この気迫に気が付かないほど凡愚ではない。

ミノタウロスは全身に刺さった鏃を抜きながら、吠え猛った。

 

『GEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

”六本傷”の部隊に背を向けて走り出すミノタウロス。

それを迎え撃とうと構える彩鳥。

その手の槍には光の紋様が浮かび上がろうとしていた。

しかしその時____遥か上空で雷鳴を轟かせる雷雲は目に見えるほど巨大な渦を巻き、大樹の枝葉が散るほどの雨風を吹かせ始めた。

黒ウサギはその異常な台風の発生に驚き、天を仰ぐ。

 

「これは………………いけない!!ポロロ様、今すぐ水上都市に避難勧告を出してください!!」

 

「それならもう出してる!!洪水が起こらないように防波堤の準備も進めて、」

 

「そんなのは無駄でございます!!防波堤の工作班にも、すぐ河沿いから離れるように伝達を!!すぐに動き出さねば…………間に合わなくなります………………!!」

 

黒ウサギの剣幕に押されるポロロ。

今にもぶつかり合いそうだった彩鳥とミノタウロスも、共に生物の様に蠢き始めた雷雲を睨む。

槍に纏われ掛けていた光は霧散していた。

ミノタウロスは衝突を止め、彩鳥から飛び離れて郊外に姿を消した。

 

「っ……………来る…………”天の牡牛”が……………!!」

 

遥か天空で、怪牛の咆哮が響き渡った。

”アンダーウッド”全域に響き渡るその咆哮は聞く者全てを震え上がらせた。

雷雲は稲妻の角を生やし、巨大な闘牛の様に成り変わっていく。

巨大な闘牛が身動ぎをすると、水上都市を二十四もの落雷が襲った。

 

ディフェンド、プリーズ

 

だが、魔法陣が現れて落雷を防いでいく。

全ては防げないが半数以上は守り切った。

彩鳥と黒ウサギを狙った四つの落雷も炎の魔法陣が防ぎ切る。

警戒して構えを取る彩鳥と黒ウサギの前に晴人が現れる。

 

「悪い、遅れた」

 

「晴人さん!!ありがとうございます!!でも、今まで何処に?」

 

「ちょっと野暮用にな。それより、俺はアレ(´´)の相手をするから黒ウサギちゃんは避難を頼む」

 

「分かりました!!」

 

「さぁ、行くか」

ファイナルタイム!!オールドラゴン!!プリーズ!!

 

ドラゴタイマーをウィザードライバーにかざす。

街中に散らばって魔法陣で人々を守っていた分身がそれぞれ緑、青、黄のドラゴンへと姿を変える。

それらは全て晴人と一つになる。

フレイムドラゴンの胸にドラゴスカルが出現し、背にはドラゴウィングとドラゴテイル、両腕にドラゴヘルクローを装備する。

仮面ライダーウィザード オールドラゴンに姿を変えた晴人は天に向けて飛び立っていく。

彩鳥はその背と”天の牡牛”を睨み付ける。

 

「黒ウサギさん!!近隣に実力者は!?」

 

「そ、それが、他の地域で行われている太陽主権戦争を監視するため、皆さん出張っていて…………”龍角を持つ鷲獅子(ドラコ=グライフ)”も”覆海大聖”も”ノーネーム”も、みんな今は主力が主張中で今は偶然戻ってきていた晴人さんくらいしかいないのですよ………………!!」

 

雨風に煽られるウサミミを押さえながら叫ぶ黒ウサギ。

このままでは不味いと悟った彩鳥は、大樹を指さして避難を訴えた。

 

「仕方ない……………大樹の中に逃げましょう!!女王の庇護下にあるというのなら、大樹の中は絶対に安全です!!避難はポロロさんと白雪様にお任せして、」

 

「いえ、彩鳥さんだけお逃げください!!黒ウサギは避難の手伝いをしてきます!!晴人さんにも頼まれましたし。今は鈴華さんのお傍にいてあげるべきです!!」

 

黒ウサギの言葉を受け、瞳を見開く彩鳥。

槍を手放した彼女は出会った時の少女の表情に戻り、申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「……………わかりました。此処はお任せします。お気をつけて!!」

 

彩鳥は黒ウサギに背を向け、”アンダーウッド”の大樹の方に避難する。

その間にも雨風は強さを増していく。

更に轟音が響き続ける。

”天の牡牛”が放つ稲妻を魔法陣で防ぎ、熱線で雷雲を削り、暴風で雲を乱し、雷で稲妻を相殺する。

晴人は”天の牡牛”相手に奮戦しているが出来ているのはほぼ足止めに等しかった。

さすがに雷雲そのものを相手にするには制限が多過ぎる。

本気を出せばダメージを与えれるかもしれないが街を守り切れなくなる。

晴人が稲妻を出来る限り防いでいるからこそ被害はそこまで広がっていない。

それでも全ての稲妻を防ぎ切れているわけでは無い。

それに稲妻だけが脅威なのではない。

増水や急流で荒れる水上都市の水路沿いも危険なのだ。

雷鳴が轟き渡る中、水上都市からはそれに負けないくらいの悲鳴が上がっている。

黒ウサギは歯噛みしながら天を睨む。

今は雷雨に蹂躙される水上都市を駆け抜けるしかなかった。

 

 





天の牡牛大暴れでした
災害そのもの相手にしたらあがくしかできないという
決定打与える為に大技放とうとすると街の守りが薄くなるというジレンマがあるのです

質問があれば聞いてください
活動報告にて設定纏め公開中です
設定関連の質問はそちらでも
感想待ってます!

オーブは次回遂にサンブレ登場です
暴走待ったなしのサブタイですね

ジュウオウはきっと燃える展開でドデカイオーが登場するでしょう

ゴーストは実質最終回でしたね
つまらなくはないけど多少首を傾げるっていう
要素要素はいいんですけど色々と雑なんですよね
一言で纏めるならですが


それでは、次回でとりあえずラストエンブリオ一巻終了だと思われます!
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