サンダーブレスター恐るべし
前回猛威を振るったマガオロチをボコボコという
さすがはゾフィー!さすがはベリアル!
ドデカイオーはドデカいのでした
バングレイは死亡フラグ立ってるようで死亡しない
ゴースト最終回!
さすがに最終回でファイナルステージへの前振りはどうかと思うんだ!
それでは、本編です
______”アンダーウッド”の大樹・沐浴の広場。
水上都市は大混乱に陥っていた。
大樹の中は地下水脈の為に掘られた洞穴まで全て避難民で埋まり、部屋という部屋が怪我人でによって占拠されていた。
これではまるで戦場の最前線である。
避難に要された時間は三時間程度だったが、迅速な誘導と助勢によって速やかに退避することが出来た。
中でも”天の牡牛”を直接相手にした晴人と氾濫した河沿いの救助を買って出た黒ウサギと白雪姫の活躍は目覚ましかった。
三時間休まずに救助活動に勤しんだ黒ウサギは、ヘトヘトになって白雪姫の上で寝そべっている。
その隣に晴人も座っている。
避難が完了すれば足止めも必要ないので退却してきたのだった。
「くあー…………疲れたのですよ。よもや嵐の中での救助活動がこんなにも大変だったとは。世の救助コミュニティに尊敬の念を抱かずにはいられないのですよ」
「お疲れ様、黒ウサギちゃん。俺も手伝えれば良かったんだけどな」
「晴人さんが足止めしていてくれなければ今頃どれだけの被害が出ていたか分からないのですよ」
『うむ。晴人も黒ウサギ殿もおらねば救われなかった者も多かっただろう。戦力が少ない中で共に良くやったものだ』
「いえいえ。白雪姫様こそ流石は水神なのですよ!」
各々賞賛を口にする。
事実、彼女たちの救助が無ければ多くの者がたちが下流に流されていた。
晴人が稲妻を八割防いでいなければ怪我人は更に増えていただろう。
協力に感謝した白雪姫は頭の上から二人を降ろし、自身も人の身に変幻する。
「さて、晴人よ。あそこで駆け付けるまでに何をしていた?普段ならば即座に来ていただろう?」
「ちょっと大ショッカーの連中がうろついていたから蹴散らしといただけさ」
「こんな時に更に面倒ごとの種が転がっているということですか」
「一応うろついてたのは全部片付けたけど、また来るだろうな」
「嵐対策に怪人対策が重なるか面倒だな」
とはいえ、今できることは少ない。
話は一旦置いておき、白雪姫は、大樹の上を指差す。
「さて、それは一旦置いておこう。随分と濡れたことだ。私はともかく、黒ウサギ殿が身体を冷やすべきではない。この真上に貴賓が使う大浴場がある。童たちと共に身を温めてくるがよい」
「い、いいのでしょうか?」
「構わん。”六本傷”には私から話を通しておく。黒ウサギ殿こそ昨日から大変だったであろう?少し身体を休めよ」
「分かりました。御言葉に甘えるのですよ!!」
ウサ耳を伸ばして上階に上がっていく黒ウサギ。
やれやれと笑いながら頭を横に振る白雪姫。
そのまま晴人の方を向く。
「お前もだ。操真晴人」
「俺も?」
「怪人に、アレと連戦したのだろう?どうせ見えない所に傷や疲れが蓄積してるのだろう。お前は現時点での最高戦力に近いのだ。大事な時に倒れられても困る。だから、さっさと医務室に行くなりして身体を休めよ」
「分かったよ」
晴人は頭を掻きながら薄く笑みを浮かべて医務室へと向かっていくのだった。
その姿に白雪姫は呆れた視線を向ける。
「……………さて。ではもう少し見回ってこようか」
白雪姫は改めて大蛇の姿になると、街中をもう一度探索しに水路に入る。
◆◆◆◆◆
一方、その頃。
彩鳥は鈴華が運び込まれたという病室を探し回り、ようやく見つけて駆け込んだ。
「鈴華!!無事ですか!?」
全身濡れたまま大急ぎで駆け付け、飛び込みながら名前を呼ぶ。
すると病室の奥で、不機嫌そうな焔が顔を覗かせた。
「………………彩鳥。静かに入れ」
「あ、す、すみません」
恥ずかしそうに頬を紅潮させ、小走りで焔に駆け寄る。
ベッドの上には、健やかに寝息を立てている鈴華が居た。
血色も良く命に別状は無さそうだ。
彩鳥は安心の余り、腰が砕けたようにへたり込みそうになった。
「よ、よかった…………………!!あの傷では命に関わる物かと…………………!!治療用の恩恵が”アンダーウッド”にあったのですね、先輩?」
「………………ああ。命に別状は無いはずだ」
焔は彩鳥と対照的に、沈痛な面持ちで鈴華の寝顔を見ている。
丁度その時、病室に彼らを探す声が掛かった。
「失礼。この中に西郷焔はいるか?」
「?此処にいるぞ」
焔が顔を出すと、ポロロは即座に真剣な顔で彼を見た。
「そうか。ならすぐに来てくれ。今回のゲームについて話を聞きたい」
「分かった。彩鳥は鈴華を見ていてくれ。もう安定しているから、目を覚ましたら汗でも流してこい。お前も濡れたままじゃ不味いだろ?」
「は、はい」
彩鳥は焔の雰囲気に一抹の不安を覚えながらも、言われるままにその場で待機する。
◆◆◆◆◆
呼び出された焔はポロロに今回の一件の全容を話した。
しばらく二人で話していると”クイーン・ハロウィン”からの手紙が届く。
その内容は西郷焔に対する呼び出しであった。
それを受けたポロロ達は慌てて準備をするのだった。
◆◆◆◆◆
眼を覚ました鈴華は彩鳥と共に大浴場へと向かった。
そこで黒ウサギとシャロロと合流して一悶着の後に仲良く大浴場を楽しむのであった。
◆◆◆◆◆
「……………三分オーバー、か。もう夕日は赤くなり始めているな」
焔は待ち合わせ場所である謁見の間の扉の前にいた。
遅れはしたがこれでも健闘した方なのであった。
豪奢な扉に手をかける。
薄暗い中で際立って光るその扉を開いた途端、彼の視界は太陽の光に包まれた。
「……………は、」
扉の奥は”アンダーウッド”とは全く違う場所に繋がっていた。
繋がったのは白亜の城の中庭でだった。
慎重に進むと花壇の色が変わる。
どうやら侵入者を驚かす為の仕掛けのようだ。
真っ直ぐに石畳を進み、ヴェールに包まれた中庭の中心に歩を進める。
上質な絹のヴェールに手を掛けると、焔は勢いよく捲る。
扉の先には暖かな暖炉と寝室用のベッド。
そして客人を招く為のティーセットを用意した円形テーブル。
この部屋は”アンダーウッド”にある部屋の一つなのだろう。
背後は只の壁になっている。
発想のスケールが六段以上違う存在だということを焔は察する。
目の前には二つの扉がある。
ヒントが無いか部屋の周囲を探る。
そこで古時計がおかしいと気付く。
古時計は進んでいなかった。
十二時から三分だけ進んだ状態で止まっていた。
ちょうど焔が遅刻した時間だった。
(______っ、南無三………………………………………!!)
直感的な閃きを信じ、古時計の時間を少しずつ戻していく。
一分、二分、三分と時間を戻すと________
カチリ、という音がした。
「______いらっしゃい、西郷焔」
背後のテーブルに突所として現れる人の気配。
西郷焔は飛び跳ねそうになる心臓を押さえながら、先程以上に身を震わせて勢いよく振り返る。
其処に座っていたのは_____正しく、太陽の化身だった。
太陽を彷彿させる燦々とした黄金の御髪。
無造作に流されているというのに、まるで穂波が山吹色の風に靡くように柔らかく広がっている。
瞳は清水の蒼と森林の翠を溶け合わせた宝玉のように輝き、焔を真っ直ぐに見据えている。
焔は門外漢でありながら無意識に悟る。
______この目の前の少女は、神霊ではない。
人類の信仰によって生まれた神霊では断じてない。
ケルト神群にある太陽の祭事を神格化させたものだと言っていたが、それはこの少女を人間が物質界で認識できるように雛形を与えただけに過ぎない。
昼と夜、生と死、春夏秋冬、星と星の境界線を支配する、箱庭三大最強種の一角。
太陽の星霊”クイーン・ハロウィン”。
その黄金の女王が、西郷焔を静かに見据えていた。
◆◆◆◆◆
何もできないまま棒立ちになる焔。
それを見かねたのか_____黄金の女王はフワリと金髪を靡かせ、焔の頬に触れた。
「…………。
「ッ!?」
両手が焔の頬を包み込む。
突然の行動に焔は身構える。
美しい瞳が焔を下から覗き込む。
すると彼女____女王と呼ばれている少女は、僅かに小首を傾げて焔に告げた。
「これでもう大丈夫。ゆっくりと深呼吸して息を整えなさい」
「…………は、」
「鼓動。少し治まったでしょう?」
焔は胸に当てていた右手を握りしめる。
まだ幾分か速いように感じたが、それでも緩やかに平常時に戻ろうとしていた。
過呼吸寸前だった呼吸も今は辛くない。
視線で問うと、女王は少しだけムッとして説明してくれた。
「貴方に”私は安全だ”っていう暗示をかけたわ。時折いるのよ、こういう手間をかけないといけない人」
「…………そうだったのか。御心遣い感謝します、女王陛下」
「そんな堅苦しい物言いはやぁよ。せめて女王にして欲しいわ」
愛らしい唇をツンと尖らせる女王。
暗示と共に、威光も和らいで見えるようになったらしい。
長い溜息を吐いた焔は、顔を上げて自己紹介した。
「改めて、初めまして。西郷焔です。時間に遅れて申し訳ありません女王」
「本当に。私と約束した刻限を破って生きている人、貴方を入れて九人だけよ。次からは気を付けて欲しい物ね。______ではどうぞ。同席を許可します」
呆れたように恐ろしいことを告げる。
まだ警戒心が解けない焔だが、同席を勧められてまずは腰を落ち着ける。
そこから女王に質問形式で聞きたいことを聞いていく。
そんな中で焔の携帯電話の着信音が鳴り始める。
女王が繋がるはずのない電話を繋げたらしい。
焔は怪訝そうに顔を歪めながらも律儀に電話に出る。
すると意外な人物の声が響いた。
『…………………よう。久しぶりだな、焔』
◆◆◆◆◆
__________葛飾区、柴又帝釈天・本堂。
十六夜たちは迅速かつ無音で境内に忍び込んだ。
本堂に忍び込んだ途端に物陰からアリコマンド達が襲い掛かってくる。
だが、相手が悪かった。
十六夜、釈天、プリトゥという手練れたちの前ではただの戦闘員などゴミに等しかった。
死屍累々の山の上に十六夜は座り込んで釈天が作業を終えるのを待つ。
床板に隠された神印に触れ、本堂を青白い光で包む。
御門釈天は一息ついたように溜息を吐く。
「”忉利天”程の門は開けないが、簡単な会話をする分にはこれで十分だろう。
女王の側近に連絡を取るから少し待ってろ」
「あいよ」
十六夜は足元のアリコマンド達を見る。
今回は戦闘員のみで怪人はいなかった。
そんな戦力では十六夜たちに勝てないくらいは分かっているはずだ。
なのに、戦闘員のみで襲い掛かってきた。
その理由を考えているところで釈天が声を掛けてくる。
「おい、十六夜」
「ん?どうした?」
「女王に繋がったが、焔も同席しているらしい。俺はバレたら困るからお前が出ろ」
はあ?と素っ頓狂な声を上げる十六夜。
釈天は間髪入れずに携帯電話を投げて寄越す。
とはいえ、まさかこのタイミングで焔と話すことになるとは想定してなかった。
事件が解決してから軽く別れを告げられれば上出来だと思っていたからだ。
(………………ま、気負うこともねえか)
十六夜は携帯電話に耳を当てると、何時もの調子で挨拶した。
「よう。久しぶりだな、焔」
そこから先は多少トラブルはあったが互いの今までを軽く語り合う。
しばらくして女王が両者に対して今回の事件の始まりを語り出す。
そして事件の核心を話始めたところで通話は途切れるのだった。
◆◆◆◆◆
幾つかの問答の末に女王はこう言った。
「その言い方じゃ教えてあげない」
彼女はとある言葉を焔の口から聞きたかった。
焔自身に気付かせたかった。
孤児院の為、家族の為、友人の為____誰かの為に人生を捧げてきた少年が、己の感情の為に戦いを始めるのであれば。
それはきっと、燃え盛る炎のように激しくも情熱的で、見ているだけで愉しい復讐劇の幕開けになるに違いない。
「_______、」
焔は、そんな女王の遊び心を知りながら。
答えを察しながら。
踊らされるように、その言葉を紡いだ。
◆◆◆◆◆
_________逆廻十六夜は、何度掛け直しても繋がらない電話をその場に叩き付けた。
「…………………やってくれたな、あのド腐れクソ女王」
有りっ丈の怒りを込めて叩き付けられた携帯電話は、無残にも砕け散った。
吼え猛ってこそいないが、此れほど怒りを爆発させたのは三年ぶりだ。
八つ当たりの相手が寺院ではなく携帯電話だったのは幸いだっただろう。
「参ったな…………女王の奴、完全に境界を閉じやがった。こうなると日本にいる俺達じゃ箱庭に繋げることは不可能だ。これで十六夜を箱庭に帰す算段が付かなくなった。……………厄介なことになったぞ、此れは。プリトゥは考えがあるか?」
「私には無理。知り合いに境界操作は居ない」
「だろうな。となると、太陽主権戦争が始まるまでは帰れないぞ。どうする、十六夜?」
釈天は茶化しながらも真剣に問う。
だが意外にも、十六夜は即答した。
「一つだけ心当たりがある。其処なら箱庭に繋がっているかもしれない」
「ほう?国内か?」
「いいや、海外だ。俺の相棒が其処で待ってる。一度でいいから神殿を見てみたいって五月蠅かったんでそのまま置いてきた。……………それで、アンタたちはどうする?」
首だけ振り返り十六夜は二人の神霊に問う。
彼らは彼らで手詰まりだ。
他に行く当てがないのなら、十六夜に付き合うのも悪くないだろう」
「いいだろう。但し人里での移動は車と飛行機を使え」
「わかってるっての。流石に故郷を破壊するつもりはねぇよ。ただ、こいつらはどうする?」
足元に転がるアリコマンドを指差しながら問う。
このまま移動すればいずれまた襲い掛かってくるだろう。
襲い来るなら蹴散らすまでだが、今はそんな足止めに構ってる場合でも無い。
「それは此方に任せておけ。あんまり使いたく無い手ではあるが奴の力を借りるとする」
それぞれの意思を確認し合い、空港に足を向ける。
プリトゥは携帯電話を開いて十六夜の偽造パスポートを用意しながらふと、思い出したように問う。
「そういえば、逆廻十六夜。お前は今回の一件に対して、本当に無関係なのか?先程のやり取りを見た感じだと、女王とも面識があるように思えたが」
「事件そのものには無関係だ。……………が、そうだな。ミノタウロスについては知っていることもある。アイツが外界に召喚されたのは、俺が迷宮ゲームに挑んでいる時だからな」
十六夜が告げると、二人は驚いたように顔を見合わせた。
「………おい。その話は聞いてないぞ」
「話す必要が無いと思っていたからな。………………けど此処まで大事になった以上、お前たちにも話しといたほうがよさそうだ。移動しながら説明するぞ」
釈天の愛車に乗り込んだ十六夜は、二人に事の始まりを話し始める。
◆◆◆◆◆
全ての始まりは今から一週間前_____ギリシャ神話に記述された伝承のギフトゲーム”Minotaur thethrone in labyrinth”に遡る。
十六夜は其処で経験した神魔の遊戯と、一匹の怪物について語り始めた。
一巻終了!
今回は実質二話分の文字数だったり!
次回から二巻が始まるよ!
二巻からあいつらやあいつらも大暴れ予定です!
それでは、質問があれば聞いてください
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