競い合いと宴と南の祭り
南の某所。
「ったく、あの樹を目指せとか言われたけど結構距離あるな」コネクトプリーズ
魔法陣から水を取り出した男はバイクに乗りながら呟いた。
既に幾つかの集落で世話になっている。
その度にあの樹、巨大な水樹を目指せと言われていた。
どうもどうやら情報とかはあそこで聞けと言う事らしい。
男は少しの間、休憩すると再び樹を目指しバイクを走らせた。
◆◆◆◆◆
その日、東の三ヶ所にて爆音が響いた。
その音は十六夜、霧崎、映司が白夜叉の依頼の為に受けたゲームに決着を着ける音だった。
三人は各々とある目的の為にゲームの戦果を競いあっていた。
その過程で偶然、全員が白夜叉の依頼を受ける事になった。
◆◆◆◆◆
とある事情とは南で開かれる収穫祭の事である。
しかし主力が本拠にいないというのはマズイので収穫祭に出れる日数に偏りが生まれてしまう。
それをゲームの戦果で決めようという話である。
◆◆◆◆◆
しかし十六夜の名は“ノーネーム”の評判と共に広がり、参加出来るゲームは少なくなっていた。
唯一受けれたのが白夜叉の依頼という事である。
しかし時を同じくして霧崎と映司も各々別の依頼を白夜叉から受けていたのだ。
霧崎と映司は各々それなりの戦果は上げていた。
霧崎は山羊と土地を、映司は“ウィル・オ・ウィスプ”から炎を蓄積できる巨大なキャンドルホルダーを、というかんじである。
故に十六夜はそれなりに焦っていた。
◆◆◆◆◆
“サウザンドアイズ”支店。
その前にて十六夜、霧崎、映司はばったり出会った。
ついでにラッテン、ジン、レティシアもだ。
どうもどうやらちょうどよく重なったらしい。
店先にて女性店員と一悶着がいつも通りあったが、それこそいつも通りに白夜叉に通される。
「しかしタイミングが同じになるか………」
「そんな偶然もあるだろ」
「君達も依頼は達成したのかい?」
「まあな。お前らも戦果を受け取りにか?」
「そんなところだ」
「そんなところだね」
話している内に白夜叉の部屋の前に着く。
中から黒ウサギと白雪姫の悲痛な声が響いてる。
白夜叉の影は二人に襲い掛かるようであった。
その後、いつも通りとはいえ無いが一悶着あり白夜叉は吹き飛ばされるのだった。
◆◆◆◆◆
十六夜達三人が受けた依頼は水源施設の開拓の手伝いのようなものだった。
その為に十六夜は白雪姫を隷属させてきた。
一通り話し、報酬を受け取る。
報酬はジンに渡された。
直後にジンは硬直する。
「こ、これ………まさか……………!?」
「どうしましたジン坊ちゃん?」
黒ウサギもそれを見て驚愕して動かなくなる。
それは外門の利権証であった。
大歓喜する黒ウサギは十六夜の胸に飛び込む。
十六夜は黒ウサギの体の感触をどさくさ紛れに楽しみ役得というかんじである。
とはいえ、この戦果は三人に分散、十六夜に少し多めというかんじではあるが既に結構な戦果を霧崎と映司は上げている。
つまりは十六夜の負けに近いわけだが、勝負は勝負なので納得しているようだ。
◆◆◆◆◆
その夜。
“ノーネーム”では小さな宴の席が設けらるのだった。
◆◆◆◆◆
宴が終わり、霧崎の自室。
「だ・か・ら!!何でお前は一週間に一度くらいの間隔で俺の部屋に侵入してくるだよ!?」
「えぇー別にいいじゃない………手を出そうってわけじゃないわよ……ちょっと添い寝くらいしたっていいでしょ?」
(ちゃんとした関係になるまではね)
ボソリ、と呟くラッテン。
その部分は霧崎には聞こえていない。
何はともあれ、現在の霧崎の部屋にはラッテンがいて、顔を赤くした霧崎が文句を言ってるという様である。
ラッテンしては側にいたいというかんじである。
他意はなく。
こんなやり取り自体は霧崎の言う通り、一週間に一度くらいある。
但し、今回は少し違った。う
「分かったわよ。今日の所は此処で引いてあげるから…………収穫祭に私を連れていくと約束しなさい」
「元から連れてく気だったよ」
顔をそらしながら即答する霧崎。
嘘では無い。
それはラッテンにも分かっている。
ラッテンは口元を緩ませるとドアノブに手を掛ける。
「それはよかった。催促するまで無いとは…………(更に惚れさせてくれるじゃない)」
「何か言ったか?」
ただでさえ、呟く様に小さい声だったが最後の方は聞こえてなかった。
「それじゃ明日は楽しみにしてるわよ。おやすみ、霧崎」
「あぁ、また明日なラッテン」
そのやり取りを最後にラッテンは部屋を出るのだった。
◆◆◆◆◆
その頃、風呂場では十六夜、リリ、レティシアが一緒に風呂に入っていた。
◆◆◆◆◆
映司は自室で割れたアンクのメダルを握りながら月を眺めていた。
「可能性が見えてきたよ、アンク」
“ウィル・オ・ウィスプ”でジャックより聞いた話を思い出しながら呟くのだった。
◆◆◆◆◆
翌朝、霧崎、ラッテン、映司、ジン、黒ウサギは本拠を後にするのだった。
◆◆◆◆◆
____七七五九一七五外門“アンダーウッドの大瀑布”フィル・ボルグの丘陵。
外門を出た一同が目にしたのは樹の根が網目の様に張り巡らされた地下都市と、清涼としたしぶきの舞う水舞台だった。
「かなり大きい水樹だね……」
「あの水路の水晶……」
「北側でもあった物よね?」
各々が呟いていく。
その後、“サウザンドアイズ”のグリフォン、グリーと再会して宿まで運んで貰うのだった。
途中で“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャとジャックとも出会い、“主催者”への挨拶に一緒に行く事になるのだった。
◆◆◆◆◆
一同は螺旋状に掘り進められた“アンダーウッド”の都市をグルグルと回りながら登っていく。
深さは20mほどだが壁伝いだとそれなりに距離がある。
出店からは美味しそうな薫りが漂う。
「ちょ!!映司さん!!何処に行くつもりですか?」
「あぁ、ごめん。ちょっとそこらを見てみようかと……」
「後にしてください!!」
フラリ、と何処かに行きそうになっていた映司を引き止めて念を押す。
しかしその間に、
「ね~霧崎、次はあれにしましょう」
「おい、どれだけ食うつもりだ………金にも限界があるぞ…………」
ラッテンに引っ張り回される霧崎と両手に色々と抱えたラッテンが出店を回り始めていた。
「何してんだあいつら!?」
アーシャが思わず叫ぶ。
ついでに色々と見せ付けられてるようなかんじであり、少々イライラしているようだ。
「まぁまぁ落ち着いて、アーシャちゃん」
「子供扱いするな!!」
そんなアーシャの頭に手を乗せ、撫でるようにする映司。
まるで子供のような扱いに更にイライラするアーシャ。
「ちょっと目を離した隙に何をやってるんですか貴方達は!!」
スパン!!、とハリセンで叩く音が響く。
黒ウサギがラッテンと霧崎に突っ込みを入れたのだ。
ラッテンは不満そうな顔で文句を言う。
「少しくらいいいじゃない」
「“主催者”への挨拶が最優先です!!」
スパパァーン!!、と一際大きな音が響くのだった。
◆◆◆◆◆
そんなこんなで一同は大樹の下まで来ていた。
大樹を見上げながら霧崎は黒ウサギに問う。
「この樹、どれくらいだ?」
「全長500mと聞きます。向かう場所は中程の位置です」
つまりは250m。
それも梯子や備え付けの足場を伝っていくしかない。
「じゃあ、行こうか」
しかし映司は躊躇無く進もうとする。
世界を回ってきた映司にとってこのくらいは苦では無いようだ。
とはいえ他のメンツが付き合えると言えばそうでもない。
「ちょっと待て!!」
だからとりあえず止めておくのだった。
「ヤホホ!!本陣まではエレベーターがありますのでそちらを使えばいきですよ」
エレベーター?と首を傾げる一同。
まさか箱庭にエレベーターがあるとは映司も霧崎も思ってはいない。
ジャックに案内されて着いたのは、水式エレベーターだった。
それによりものの数分で本陣に辿り着くのだった。
そこからは木造の通路に降り立ち、進む。
そして受付で火龍誕生祭で映司が助けた少年の姉に出会い、礼を言われた。
招待状をくれたのは彼女達らしい。
そこで“龍角を持つ鷲獅子”の議長であるサラ=ドルトレイクの話になった。
その名はサンドラの姉の名前であった。
すると、聞き覚えの無い女性の声が聞こえ、熱風が大樹を揺らす。
その発生源は空から現れた女性の炎翼だった。
「サ、サラ様!!」
「久しいなジン。会える日を待っていた」
現れたのはサラ=ドルトレイク本人であった。
彼女は受付の少女に笑い掛けて遊びに行かせるのだった。
「ようこそ、“ノーネーム”と“ウィル・オ・ウィスプ”。下層で噂の両コミュニティを招く事が出来て、私も鼻高々といったところだ」
「…………噂?」
「ああ。しかし立ち話も何だ。皆、中に入れ。茶の一つも淹れよう」
手招きをしながら本陣の中に消えるサラ。
両コミュニティのメンバーは怪訝に顔を見合わせるも、招かれるままに大樹の中に入って行った。
◆◆◆◆◆
カウント・ザ・メダルズ
赤、タカ、クジャク、コンドル
緑、クワガタ、カマキリ、バッタ
黄、ライオン、トラ、チーター
白、サイ、ゴリラ、ゾウ
青、シャチ、ウナギ、タコ
橙、コブラ、カメ、ワニ
特、スーパータカ、スーパートラ、スーパーバッタ
導入回でした。
十六夜のヘッドホンは無事です。
冒頭の人に関しては後々。
それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
次回、あいつが登場する…………かも