「「「GEEAAAAAAAAA!!」」」
「ダァァ!!」
飛び掛かってくるマネードーパント達を映司は次々と殴り飛ばしていく。
正面から来る者を頭突きで怯ませ、回し蹴りで数体纏めて蹴り飛ばす。
そして纏めて固まっている所に向けて両腕のゴリバゴーンを発射する。
まともに受けた集団は爆散し、元の姿に戻り、メモリを排出する。
排出されたメモリはパリン、と音を立てて砕ける。
コイン状のエネルギー弾を放ってくるが、威力は低くサゴーゾコンボはビクともしない。
エネルギー弾に構わず進んで行き、地面に叩き付け、薙ぎ倒す。
「おのれ!!」
数体のクロアゲハヤミーが上空からエネルギー弾を放つ。
直撃するが少しのけぞる程である。
ゴリバゴーンを放つが俊敏性ではクロアゲハヤミーが勝り、上空を自在に飛ぶクロアゲハヤミーを捉えられない。
◆◆◆◆◆
一方の霧崎。
謎解きは既に終わっていた。
真の参加者は露店商であり、参加者は舞台装置であり、金を使わせるのが目的。
最終的なゲームの勝者は最も売り上げを出したコミュニティが選ばれる。
商品はおそらく商売の権益だと思われる。
なら、金塊を全て頂こうという話になったのだが、そこらへんについては霧崎は全く関与していない。
ラッテン達に丸投げしてきた。
正しく言うならラッテンがその為の策を思い付いたのだが、霧崎は必要無い所か邪魔だから追い出されたという感じではあるが。
「さ~て、どうするかな……」
霧崎は露店で買った飲み物を少しずつ飲みながらフラフラと歩いていた。
特に目的は無い。
映司を探そうかと、最初は思っていたが邪魔になるだけだろうと思い止めた。
すると、何処かで騒ぎが起きてる事に気付く。
そして、“契約書類”の敵対者の欄に力ある者があるのを思い出す。
「まさか十六夜じゃないよな?」
嫌な予感を感じつつ、霧崎は騒ぎの方へと向かう。
色々と確かめる為に。
◆◆◆◆◆
更に別の場所で、
「おい、聞いたか!?」
「うん?何が?」
「おいおいおいおいおいおいおい、お前さんまだ知らないのか!?何でも物凄い可愛い三人組が、メイド姿で!!メイド姿で!!メイド姿でッ!!_____もう一度言うぞ!!」
「“メ” “イ” “ド” “姿” “で” 、」
「出店の総合代理店を始めたんだぞ!!」
「なん………だと…………?」
「しかもその一人が“箱庭の騎士”なんだぞッ!!」
「しかももう一人が“箱庭の貴族”______あの月のウサギなんだってよッ!!」
「「「「「な…………んだってー!?」」」」」」
その瞬間、十六夜vsフェイス・レスを見ていた観客及びマネーメモリの使用を迷っていた者に色んな意味で電流が走る。
◆◆◆◆◆
「い、いらっしゃいませー!!出店代理店・“ノーネーム”のウサギ小屋はこちらなのですよー!!」
噴水広場の一角に、とんでもない長さの行列が出来上がっていた。
そこでは列の先頭でかーなーり露出度の高いメイド服にわざわざ着替えたラッテンが笛を吹き、曲を奏でながら列を纏めていた。
最初に現れた時の服装を見れば分かるだろうが、露出に抵抗が少ない。
そんな格好のラッテンに当然客は視線を集めるが、
「見るのはいいけど、列を崩したらもぐわよ?」
笑顔で言い放つ。
一部は歓喜し、一部は震え、一部は悶えつつも列はキチンとなっていく。
ちなみに奏でる笛の音には多少の暗示効果も入ってたりするがそれはそれである。
レティシアは売り子である。
レティシアは優雅に微笑みながら預かった品を捌いていく。
そして商品の受け渡し口に立つウサ耳メイド______黒ウサギ自棄っぱちになって愛想の嵐を降りまいていた。
メイド服を着た黒ウサギに笑顔で「ありがとうございますご主人様♪」と言われ、手渡しされれば、大抵の男はのぼせ上がる。
そして、ラッテンの軽めの暗示も加わり、もう一度手渡しして欲しくて列を並び、商品を買っていくという寸法だ。
暗示に関しては、
「ただのBGMよ」
と、ラッテンは言う。
かなり黒い笑顔で。
まぁそんな事を気にする間がないくらいの勢いで商品は減っていっている。
倉庫二つ分の委託された品々は、僅か半刻の時間で売り捌かれた。
品物が無くなっても人だかりは残っていたが、軽く挨拶をしてサッサと天幕を畳んで路地裏に逃げ去って行った。
途中で面倒にラッテンがもう一曲奏で、暗示で追い払おうとしていたがさすがに止められた。
ちなみに客の中にはどうでもよくなってマネーメモリを捨てた人々が結構な人数いたりして、地味に事件の種を潰していたりするが彼女達は知らない事である。
路地裏でラッテンはサッサと何時ものメイド服に着替える。
「………やっぱりこれが一番ね」
「同じメイド服だし、露出を気にしないなら着替える意味が無くないか?」
「いやいや、結構重要よ?衣装は場面に合わせる物だから場によって変える物よ。今回は客引きだから露出を高めたけど、普段は普通のメイド服が一番なのよ♪」
適当に個人的な主義を言うラッテン。
黒ウサギは大金を手にしてかなりはしゃぎ、飛び跳ね、興奮している。
◆◆◆◆◆
「ハァァァァァァァ!!」
ドラミングの音が辺り一体に響く。
映司がサゴーゾコンボでドラミングをしているのだ。
サゴーゾコンボには重力操作の能力がある。
ドラミングはそれを発生させる物でもある。
「のわぁぁぁぁ!?」
クロアゲハヤミー達は重力操作の影響で地に落とされる。
残りのマネードーパント達も地面に押さえつけられる。
「これで終わりだ!!」スキャニングチャージ!!
全てのクロアゲハヤミーが落ちた事を確認すると、映司は右腰からオースキャナーを取り出し、オーズドライバーにセットされたメダルをスキャンする。
オースキャナーが音声を響かせると、ゾウレッグが合わされ、サゴーゾコンボが一度宙に浮き、落下する。
その衝撃波が地面を伝わり、クロアゲハヤミー達とマネードーパント達は地面に足を捉えられ、サゴーゾコンボの下へと吸い寄せられる。
「ぐっ………ぬぅぅ!?」
「ハァァァァァァァセイヤァァァァァ!!」
そのまま、目の前に集められた敵に向かって頭突きと両腕の拳を同時に叩き付ける。
直撃した怪人達は爆散し、残ったのはメモリを排出した人々とクロアゲハヤミーの“人数分”のセルメダルだった。
セルメダルを拾いながら、映司は首を傾げる。
「かなり欲望を満たしていたように見えたけど………残ったセルメダルは一枚だけ?ガメルのヤミーじゃないのに何でだ?」
ヤミーは欲望を満たす事で体内のセルメダルを増やしていく。
どんどんセルメダルを消費するガメルのヤミーならともかくクロアゲハヤミーでこの状況は不可解だった。
まるで何処かに増えた先から転送された様に。
◆◆◆◆◆
「酷いな……こりゃ」
霧崎が騒ぎの中心に来た、ちょうどその時、十六夜とフェイス・レスが“サウザンドアイズ”の門を破壊し、決着がついた所だった。
辺りを見回し、その破壊の惨状に霧崎は苦笑いする。
その後、十六夜は多額の弁償金を請求される事になるのだった。
◆◆◆◆◆
祭りも、事件も、終結し街が夕焼けに染まる頃。
朱色の街道の真ん中で、黒ウサギは盛大に泣き叫んだ。
「い………………十六夜さんのお馬鹿様お馬鹿様お馬鹿様、超特大お馬鹿ああああああああああああ!!」
スパパパパパパァーン!!
と、軽快な音を立てて十六夜の頭をハリセンが往復ビンタした。
十六夜も今回ばかりは甘んじて受ける事にした。
十六夜の弁償代のせいで折角の稼ぎが消え去ったのだった。
呆れた様に溜め息を吐くラッテン。
苦笑いする霧崎。
本気で泣いて項垂れる黒ウサギ。
レティシアと映司が困った様に笑って仲介に入った。
「ま、まあまあ。所詮はあぶく銭だ。容易い儲けは容易く消えるもの。簡単に稼いだ資金で復興しても、あまりありがたみがないだろう?」
「それに俺の貰ってきた報酬もあるし」
「うう………映司さんが唯一の救いなのですよ……」
「でも、あれだけ稼いだのに残らないのは残念だったわね~」
「と言っても俺は何もしてないしな……」
「霧崎は主に謎解きで役立ったからいいのよ」
その後、十六夜のゲーム考察を聞き、優勝賞品は“サウザンドアイズ”の金融か投資の権利、もしくは貨幣の発行と配布辺りだろうと結論つけた。
そして、十六夜は残った一枚の黄金盤を黒ウサギに渡し、南の収穫祭の招待状を取り出す。
それにより、一同の表情は明るくなる。
「“ノーネーム”の次の舞台は______南側、水と大樹の大瀑布だ。気合いを入れていくぞ!!」
手を叩き合って、一同は帰路につく。
異世界での、新しい舞台と出会いに胸を弾ませながら。
◆◆◆◆◆
カウント・ザ・メダルズ!!
赤、タカ、クジャク、コンドル
緑、クワガタ、カマキリ、バッタ
黄、ライオン、トラ、チーター
白、サイ、ゴリラ、ゾウ
青、シャチ、ウナギ、タコ
橙、コブラ、カメ、ワニ
特、スーパータカ、スーパートラ、スーパーバッタ
黄金盤編終了!!
ラッテンは衣装を使い分けてるという事に。
霧崎の前では大体ノーマルメイド服ですが。
霧崎にはそっちの方が効果あったり。
ドーパントとヤミーについてはまたいずれ。
それでは質問があれば聞いてください。
感想待ってます。