問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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消えし二人と広まる絶望と現れし男達

 

そして、全てが吹き飛んだ。

光に包まれ、気が付いた時には全てが吹き飛んでいた。

 

「何だよ……これは…………」

 

霧崎は何が何だかさっぱり分からなかった。

背後を見ればラッテンとウィラが怪我無く倒れていた。

周囲を見渡せば海東が変身が解けた状態で倒れ、エターナルと名乗った男とその仲間も変身が解け倒れていた。

マクスウェルもボロボロで血塗れな状態で倒れていた。

霧崎達三人は【弱者のパラダイム】で何とか被害を免れた様だ。

それにそこまで広範囲に及ぶ被害でも無いようだ。

だが、何が起きたかだけはさっぱり分からなかった。

光に包まれ、その後は必死に防いだだけで何が起きたかまでは把握出来なかったのだ。

何はともあれ、凄まじい何かが起きたのは間違い無い。

そして、起こした当人、仮面ライダーオーディンは変わらず腕を組んで立っていた。

 

「さて、ウィラ=ザ=イグニファトゥスを確保させて貰おう」

 

「ふざ……けんな……まだ俺が…………ぐっ!?」

 

言い返そうとした所で激しい頭痛に襲われる。

頭を押さえた手を見ると血に濡れていた。

どうやら鼻や眼から血が出てる様だ。

 

「くっ……はぁ………こりゃヤバイか………」

 

「「霧崎!?」」

 

頭を押さえ、咳き込み、膝をつく霧崎に慌てて駆け寄るラッテンとウィラ。

こんな症状が出たのは初めてだ。

しかし、霧崎はこの症状を知っていた。

 

「(ヨヨ……これは…………)」

(アァ……脳ヘ負担ヲ掛ケ過ギタヨウダ)

 

似た症状を見た事がある。

力を、“PSI”を限界以上に酷使すれば脳が限界を迎える。

今はこの程度で済んでいるが、やり過ぎれば最悪死ぬ。

実際に仲間は死に掛けた。

霧崎はこれまでこうなった事は無い。

それは霧崎の【弱者のパラダイム】が負担が軽い力だ。

しかし、こうなったという事は短時間で使い過ぎたという事だろう。

考えてみれば多少休憩はあったとはいえ、ここまで戦いの連続である。

限界を迎えてもおかしくは無いのだ。

決め手となったのは先程の正体不明の死の脅威だろう。

そんな事を考えている間にもオーディンは近付いて来ていた。

 

「我が花嫁を奪おうにもそうはいかんぞ」

 

そんな声が聞こえ、声のした方を向くとマクスウェルが傷を再生させ、立ち上がっていた。

変わらぬ狂気の笑みを浮かべながらウィラの方を向く。

 

「安心していい。君は必ず私が守り、花嫁とするのだから!!」

 

「キモイ!!」

 

ウィラの叫びを無視してマクスウェルはオーディンの方を向く。

そこで何かに気付くと倒れている海東の方へと腕を向け、熱量を操り、爆発を起こさせる。

 

アタックライド、バリア!!

「……全く危ないじゃないか」

 

爆発を青い壁で防ぎながら呟く。

どうやら既に意識は戻っていた様だ。

 

「貴様の猿芝居を私が気付かないとでも?」

 

「そこまでは期待してないよ。とは言ってもこれはさすがに分が悪いね」

 

周囲を確認しながら呟く。

 

「だから一旦引かせて貰うよ。けど、僕がいる限り“境界門”が無くてもどうにかなると言う事を忘れないでおきたまえ」

アタックライド、インビジブル!!

 

「は?」

 

海東はディエンドライバーにカードを挿入すると、いつの間にか姿を消していた。

つまり逃げたという事だ。

さすがに驚きの声をあげるがそんな事を気にしている場合では無い。

海東の召喚したメイジ三人は先程ので既に消えている。

これに加えて海東までいなくなれば戦力的には絶望的だ。

霧崎は動けないし、ラッテンとウィラではどうにか出来る状態では無い。

マクスウェルはニヤリと笑う。

これ以上に嫌な予感がする事は無い。

 

「では、別の方法で交渉するとしよう」

 

オーディンと霧崎達を他所にマクスウェルは右腕を陽炎に揺らし、何かを引き寄せる。

それが何か分かった瞬間、霧崎達は凍り付く。

 

「黒ウサギ!?」

 

霧崎が叫ぶ。

もうこうなったら自分の事を考えている場合では無い。

立ち上がろうとするが足に力が入りにくく。

中々立ち上がれない。

その間に黒ウサギは状況を把握する。

 

「マ、マクスウェル!?それに霧崎さん!!ラッテンさん!!」

 

「初めまして、月の御子殿。こんな形で呼びつけた無礼をお許し願いたい」

 

慇懃な笑みでマクスウェルが黒ウサギを拘束する。

霧崎が無理矢理立ち上がり、飛び掛かろうとした時に気付く。

背後にいたはずのラッテンがいない事を。

そして、ラッテンがハーメルケインでマクスウェルに斬り掛かろうとしているのに気付く。

 

「よせ、ラッテン!!」

 

「いい加減にしなさいよ、このマクズウェルが!!」

 

「うるさい女だ」

 

ラッテンはキレていた。

いい加減にこのクズの所業に我慢が利かなくなってきたのだ。

否、我慢など最初から利いていない。

もはや背後から考え無しに斬り掛かる程に冷静を欠いただけだ。

だが、その怒りの斬撃もマクスウェルには届かなかった。

 

「っ!?」

 

「ラッテンさん!!私に構わず!!」

 

「このクズがぁぁぁ!!」

 

マクスウェルは黒ウサギを盾にしてきたのだ。

それに対してラッテンは攻撃を止めるしか無い。

 

「二人纏めて消えるがいい」

 

パチンと指を鳴らす音が響く。

それを最後にラッテンと黒ウサギの姿は消えていた。

霧崎は即座にマクスウェルが何をやったか察する。

 

「テメェ!!二人をどこにやった!!」

 

口から血を吐きながらも叫ぶ。

しかし、マクスウェルは本当にどうでもいい様に笑う。

 

「さてね。何せ咄嗟だったからなあ。まあ生きてはきるだろう。どの道死ぬのには代わり無いが」

 

「テメェ!!」

 

「だが、貴様は先にあの世に行っているといい」

 

フラフラな体を押して駆け様とした霧崎の背後にマクスウェルが現れる。

マクスウェルは霧崎に手を向け笑う。

 

「あの世で仲間が来るのを待っているがいい」

 

「チクショウが………」

 

激しい爆音が響く。

それも一度では無い。

何度も、何度も、何度も響く。

その度に霧崎の周りで爆発が起こる。

限界を迎えた今の霧崎では“死の脅威”を完全に祓うだけの力は無い。

爆発は霧崎の体を肉片すら残さない様に徹底的に焼いていく。

 

「(チクショウ………任せられたってのに!!請け負ったってのに!!この様かよ!!守れないのかよ……結局何も守れないのかよ!!)」

 

体が連続する爆発で焼かれる中、霧崎は心の中で叫ぶのだった。

そして、爆音が止んだ時にはもはや肉片の一つすら残っていなかった。

 

「霧崎!!」

 

ウィラが瞳に涙を見せながら悲痛に叫ぶ。

しかし、マクスウェルは笑う、嘲笑う。

 

「ハハハハハハハハハハッ!!これも君のせいだよ、ウィラ。君が私をさしおいてこんな男に気を向けるからこうなるのだよ!!」

 

「俺達を忘れて貰っちゃ困るな」

 

「……………」

 

今まで黙って眺めていたオーディン。

いつの間にか起き上がり、変身していたNEVER。

周囲を見れば何時からか吹雪が吹き、アジ=ダカーハの分身体が暴れていた。

もはやこの場にいた“ノーネーム”メンバーは全滅。

双頭龍達が地響きを起こし、ウィラにはもうどうする事も出来ない。

あとはもう自身を廻る争いの結果を見守るしかない。

その場を包むのは絶望だった。

 

“煌焔の都”を廻る戦いは此れにて閉幕。

大地は蹂躪され、悲鳴が響き、絶望が広がっていく。

ウィラは何も出来ずにその場に項垂れるだけだった。

 

 

 

 

 

まだ諦める時では無い、そんな声がウィラの耳に響く。

同時にハイパークロックアップという音声が聞こえてくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

そして、時は遡る。

フラフラな体を押して駆け様とした霧崎の背後にマクスウェルが現れる。

マクスウェルは霧崎に手を向け笑う。

 

「あの世で仲間が来るn「ハイパーキック」

 

「は?」

 

マクスウェルが何かをしようとする前に何者かが腕を掴み、そのまま目にも止まらぬ速さでマクスウェルを蹴り飛ばした。

 

「何ぃぃ!?」

 

マクスウェルとしては空間移動の直後に腕を掴まれ、蹴り飛ばされたのだ。

まるで未来から現れた様な所業に困惑する。

誰も思わないだろう。

本当に未来からの救援など。

 

「ハイパークロックアップ!!」ハイパークロックアップ!!

 

マクスウェルを蹴り飛ばした者は腰にある銀色のパーツをいじる。

音声が鳴った瞬間、その者の姿は消え、代わりにオーディンが吹っ飛び、周囲に召喚されていた双頭龍が爆炎と変貌していく。

 

「なんだ………これ………………」

 

いまだに痛む頭を押さえながらその光景を呆然と見る。

隣のウィラも似た様な感じである。

だが、それを更に絶句させる物が現れる。

 

「なっ!?あの城が何で此処に!?」

 

現れたのは“アンダーウッド”に放置されていた空中城塞。

その上になびく旗印を見る。

“鷲獅子”、“金翅の神鳥”、“相克する蛇”、“向かい合う双女神”、いずれも超弩級コミュニティだが、視線を釘付けにするのは最も高い位置にてなびく旗だ。

黄金の稲穂と地平線から昇る太陽、そして中心の女神___否、女王の旗。

箱庭第三桁“クイーン・ハロウィン”の御旗だ。

霧崎の許へはサラとグリーが一直線に舞い降りてくる。

 

「カブト殿!!無事か!!」

 

「あんたらか……」

 

今の霧崎にはあまり余裕が無い。

彼の周囲にはまだ敵がいる。

 

「援軍か………まぁいい。何人いようと相手にしてやるよ」

 

大道と彼が率いるNEVERの四人は先程のをやり過ごしたらしい。

霧崎の方を睨み、エターナルエッジを向けてくる。

 

「どうやらお前は厄介な力を持っている様だが今は使えないみたいだな。つまり、殺すなら今って事だ」

 

確かに霧崎の力は厄介だ。

今の様な状態で無ければ殺せるチャンスは無いだろう。

しかし、サラは彼らを前にして不敵に笑う。

 

「お前達は少し前から暴れている傭兵だな?」

 

「さぁな?そこまで有名なつもりは無いんだがな」

 

「お前達にはちょうどいい相手がいる。先にそちらを相手にするんだな」

 

そこまで言ってサラは振り向く。

そこには五つの人影があった。

 

「頼んでいいか?」

 

「あぁ任せてください!!」

 

それを聞くとサラは霧崎を抱えてグリーの背に乗り、飛びたつ。

大道達の前には五つの人影だけが残った。

芦原が狙撃しようとするが大道が止める。

 

「お前達が相手という事でいいのか?」

 

「あらぁ!!結構イケメンの集まりじゃない!!」

 

京水がどうでもいい事を叫ぶ。

大道達の前にいるのは男三人、女一人、よく分からないのが一体だ。

彼らは一斉に何かを構えて叫ぶ。

 

「「「「「アニマルチェンジ!!」」」」」

 

その声と共に彼らの持っていたアイテムのサングラス状の物が彼らの目に重なり、全身にスーツが装着されていく。

完全に姿を変えると、各々ポーズを取り始める。

 

「大地のハンター!!レッドチーター!!」

 

「林のウォーリアー!!ブルーゴリラ!!」

 

「野原のジャンパー!!イエローラビット!!」

 

「樹木のリーダー!!ゴールドビートル!!」

 

「樹液のドランカー!!シルバースタッグ!!」

 

「「「「「動物戦隊!!ゴーバスターズ!!」」」」」

 

全員並んでポーズを取る。

大道はどうでもよさそうにエターナルエッジを構えている。

 

「そうだ、俺達がお前達の相手だ!!」

 

「ふん、まぁ準備運動くらいにはなるか」

 

大道は首をコキコキ鳴らしながら呟く。

正直な所、大道達はウィラの確保が困難になった時点で機を改める予定だった。

たった五人で数百人を相手にするのはガイアメモリがあっても箱庭ではキツい。

だから彼らが今この場にいるのは半分遊びの様な物である。

そんな事も知らずにゴーバスターズは構える。

 

「バスターズ、レディ~ゴー!!」

 

それを合図に両者共に駆け出し、ぶつかり、戦闘を始めるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

一方、オーディンは紅い男と向かい合っていた。

彼こそがゴーバスターズをこの場に連れてきた男である。

両者共に下手に手を出さずに機を疑っていた。






援軍到着!!
霧崎がウンメイノーになりましたがそこらへんはあの人がどうにかしました。

海東が逃げましたが何時もの事ですし、今回は機を疑う為の撤退です。

霧崎に関してはPSIを酷使した時の状態にあります。
原作で描写無かったとはいえ、【弱者のパラダイム】もPSIなので起こってもおかしくはないかと。

動物戦隊ゴーバスターズに関しては箱庭だからこそ、ifの世界も拾えるって感じで。
NEVERvsゴーバスターズとなりました。

オーディンに関しては紅い男と対峙しています。
正体に関しては次回以降に。
ヒントとしては戦隊関連です。


それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
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