今回から二巻に突入です。
招待状と北側と追いかけっこ
「黒ウサギちゃん!!」
「黒ウサギのお姉ちゃん!!」
呼ばれた気がして振り返る黒ウサギ。
黒ウサギは現在、レティシアと共に農園の惨状を眺め、土地の再生について話し、貧乏を嘆いてる所だった。
ちなみにレティシアはメイド服である。
「映司さん!?リリ!?どうしたのですか?」
「じ、実は十六夜様とカブト様が……」
「この手紙を渡すように頼まれてね」
映司が黒ウサギに手紙を渡す。
{黒ウサギへ。
北側と東側で開催する祭典に参加するから。
お前も後から必ず来いよ。
レティシアと映司もだぞ。
俺達に意図的に黙っていた罰として、今日中に捕まえれなかった場合“俺達はコミュニティを脱退するから。”
死ぬ気で探せよ。
それから御チビを道案内に連れて行くからな}
「……………………………………………………………………………………………………………………………………!?」
たっぷり黙り込むこと三十秒。
黒ウサギは手紙を持つ手をワナワナと震わせながら、悲鳴のような声を上げた。
「な、_____何を言っちゃってんですかあの問題児様方あああああぁぁぁぁ!!」
黒ウサギの絶叫が一帯に響き渡る。
脱退とは穏やかな話ではない。
その後ろで映司が、
「………若いっていいね」
苦笑いしながら呟くのだった。
◆◆◆◆◆
某所。
そこに中年の男の男が二人いた。
「北の祭りでこいつを倒せばいいんだな?」
「そうだ。そこで同時にお前が望む素材も手に入るだろう」
「利用されるのは気にいらないが……仕方が無い。私は___を救う為なら何だってする!!」シャバドゥビタッチヘンシーン
その音の後に数回似たような音がし、片方は姿を消し、もう片方も銀色のオーロラに姿を消した。
◆◆◆◆◆
十六夜、霧崎、ジンの三人はリリと映司に手紙を預けた後、噴水広場にいた。
映司も誘ったのだが断られた。
霧崎としては分からなくもないというかんじだ。
霧崎も何となく着いてきているだけなのだ。
そもそもとして彼らがこんな行動を起こした原因は白夜叉からの祭りへの誘いの手紙だった。
彼らはそれにより隠されていた祭りの事を知り、北の境界壁を目指していた。
しかし距離という点に置いてとてつもなく離れている事が分かり、頭を抱えていた。
境界門も金銭的な問題で使用は出来ない。
八方塞がりと思われたが、あんな手紙を残して引くに引けない。
そこで彼らが出した結論は、
「こうなったら駄目で元々!!“サウザンドアイズ”へ交渉に行くぞ!!」
「そうだな。それしか手はないよな~」
ヤハハと自棄気味にハイテンションな十六夜とそれに続く形の霧崎。
ジンはダボダボのローブに首を絞められながら、二人に連れ回されたのだった。
◆◆◆◆◆
三人は“サウザンドアイズ”の支店前で割烹着の女性店員と揉めていた。
割りといつも通りではある。
というか毎回、似たような物である。
そして、
「やっふぉぉぉぉぉぉ!!ようやく来おったか小僧どもおおおおおおお!!」
白夜叉が、ズドォン!!と地響きと土煙を舞い上がらせて登場した。
今回の招待状の送り主である。
十六夜は土煙を払いながら、呆れたように女性店員に言う。
「ぶっ飛んで現れなきゃ気が済まねぇのか、此処のオーナーは」
「………………、」
痛烈に頭が痛そうな女性店員は、言い返せずに頭を抱えた。
霧崎は白夜叉に招待状を見せる。
「招待は嬉しいんだが、どうやって北側に行くか分からなくてな」
「よいよい、全部分かっておる。まずは店の中に入れ。条件次第で路銀は私が支払ってやる。…………秘密裏に話しておきたい事もあるしな」
スッと目を細める白夜叉。
最後の言葉にだけ真剣な声音が宿る。
「それ、楽しい事か?」
「さて、どうかの。まあおんしら次第だな」
意味深に話す白夜叉。
二人はジンを引きずりつつ、嬉々として暖簾をくぐった。
三人は店内を通らず、中庭から白夜叉の座敷に招かれた。
◆◆◆◆◆
その後、“ノーネーム”のコミュニティとしての方針や、北のフロアマスターの一角の世代交代や、“サラマンドラ”、“階層支配者”、サンドラの事などを話し、白夜叉が本題に入ろうとした所で霧崎が制す。
「その話、長くなるか?」
「ん?んん、そうだな。短くともあと一時間程度はかかるかの?」
「それはまずいな。……黒ウサギ達に追い付かれかねない」
霧崎と十六夜が言う。
一時間も悠長に“サウザンドアイズ”に留まっていれば、黒ウサギ達に見付かる事が避けられない。
今は黒ウサギ達と追いかけっこの最中なのだ。
そんなことで見付かるわけにも行かない。
ジンはその事に気が付くと咄嗟に立ち上がり、
「し、白夜叉様!!どうかこのまま、」
「ちょ、待て!!」
霧崎が慌ててジンの口を塞ぐ。
それ以上、喋られては面倒なのだ。
その隙を逃さず十六夜が白夜叉を促す。
「白夜叉!!今すぐ北側に向かってくれ!!」
「む、むぅ?別に構わんが、何か急用か?というか、内容を聞かず受諾してよいのか?」
「構わねぇから早く!!事情は追々話すし何より___その方が面白い!!俺が保証する!!」
十六夜の言い分に白夜叉は瞳を丸くし、呵々と哄笑を上げて頷いた。
「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!!娯楽こそ我々神仏の生きる糧なのだからな。ジンには悪いが、面白いならば仕方がないのぅ?」
「………!?……………!?」
白夜叉の悪戯っぽい横顔に、声にならない悲鳴を上げるジン。
しかし何もかももう遅い。
暴れるジンを嬉々として取り押さえる十六夜。
彼らを余所目に、白夜叉は両手を前に出し、パンパンと柏手を打つ。
「___ふむ。これでよし。これで望み通り、北側に着いたぞ」
「「「_____は?」」」
素っ頓狂な声を上げる。
それもそのはず間違えではない。
北側までの馬鹿な距離を、今の僅かな時間で移動したというのだ。
空間移動能力でもそういないだろう。
少なくとも霧崎が知る範囲では。
そんな事は気にせず、点外へと走り出すのだが。
それはそれで彼ららしいだろう。
◆◆◆◆◆
彼らが店から出て、赤壁と炎とガラスの街を眺めていると、
「見ィつけた_____のですよおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ズドォン!!と、ドップラー効果の効いた絶叫と共に、爆撃の様な着地。
その声に跳ね上がる一同。
大声の主は我らが同士・黒ウサギ。
遥か彼方、巨大な時計塔から叫んだ彼女は全力で跳躍し、一瞬で彼らの前に現れたのだ。
その後ろには映司も続く。
「ふ、ふふ、フフフフ………!!ようぉぉぉやく見つけたのですよ………!!」
淡い緋色の髪を戦慄かせ、怒りのオーラを振り撒く黒ウサギ。
危機を感じとった十六夜と霧崎は即逃げる。
「「逃げるぞッ!!」」
「逃がすかッ!!」
二人が展望台から飛び降りる。
その後を追う黒ウサギ。
彼らと黒ウサギの追いかけっこは、後半戦にもつれ込んでいた。
◆◆◆◆◆
一方、残された映司と白夜叉。
「…………茶でも飲むか?」
「戴きます」
そうして店の方へと向かうのだった。
追いかけっことは縁がないような光景だった。
◆◆◆◆◆
カウント・ザ・メダルズ
タカ、クジャク、コンドル
クワガタ、カマキリ、バッタ
ライオン、トラ、チーター
サイ、ゴリラ、ゾウ
シャチ、ウナギ、タコ
コブラ、カメ、ワニ
スーパータカ、スーパートラ、スーパーバッタ
二巻に突入です!!
導入回だから特に話す事はないですが。
ショッカーオーズとか後々出したいですがどう出すか悩み所ですね。
天から目線の人とかも出そうと思えば出せますが。
まぁあまり言うとネタバレをうっかり書きかねないのでここまでとして。
途中に出て来たあの人は本編とは別世界の人です。
大体誰かは分かるでしょう。
それでは質問などありましたら聞いてください。
感想待ってます。