五巻から六巻までの間の事です。
悪の連盟[前編]
某所。
箱庭であって、箱庭では無い所。
そこに建造されし、基地の通路を息を荒げ走る者がいた。
「ハァ………ハァ………………」
黒いスーツにスカーフを身に纏うその者は人間では無い。
その頭部は黒く無数の眼があった。
その者の名は、百目タイタン。
ブラックサタンの幹部“だった”。
タイタンが走る背後から白いスーツの男が迫ってくる。
「マグナムショット!!」
「ぐぁ!?」
左肩を撃ち抜かれた。
傷口からマグマが溢れ出す。
追ってきている男はアポロガイストだった。
体勢を崩しかけるが、何とか建て直して走り続ける。
タイタンは眼球を幾つか外すと火の玉に変える。
そのままアポロガイストに放とうとするが、何かを察知して前方へと放つ。
「トランプショット」
前方から放たれたトランプと火の玉が衝突し、爆発を起こす。
タイタンは立ち止まって前後を見る。
両方から白い影が歩いてきていた。
一本道を走ってた故に追い詰められた。
前方から来ていたのはジェネラルシャドウだった。
「くっ………おのれ………………」
苦々しく呟くタイタンだが、二人はそもそもタイタンなど気にしていなかった。
ジェネラルシャドウはトランプを、アポロガイストは銃を構えて向き合う。
「遅いぞ。まだ捕まえられて無かったのか、アポロガイスト」
「ええぃ、うるさい!!元はと言えば貴様が原因だろう」
「ふん、どうかな」
言い合いをしながらも隙を見せない。
だが、一か八か抵抗すれば逃げられる可能性はある。
しかし、それは出来ないのだ。
「それにしても貴様も馬鹿だな。無駄な野心を出さなければ一時的に支配者気分を楽しめたというのに」
「身の程知らずは自ら身を滅ぼす物なのだ」
呆れた様に言う。
現在、タイタンは反逆者として追われていたのだ。
タイタンとしては反逆など一切していないのだが、“そういうこと”にされてしまった。
「大方、私を貶める為に弱味を探ってたのだろうが、それが失敗だったな」
「“あれ”を知られたからには消えて貰うしか無いのだ!!」
「…………貴様らこそ何を企んでいる!!我らを騙し、大首領と共に何をするつもりだ!?」
ようやく口を開いたタイタン。
具体的な計画は分からない。
しかし、“何か”をしようとしているのは確実だった。
だからこそ、彼らは“それ”を知ったタイタンを生かしてはおけない。
「そもそも、何故貴様がブラックサタン、デルザー軍団を仕切っている!?マシーン大元帥すら指しおいて!!」
「簡単な事だよ…………それは私がマシーン大元帥すらも越える力を手に入れたからだよ」
そう言って、ジェネラルシャドウは奇妙なトランプをタイタンに見せた。
それが何かはタイタンは分からなかった。
けれども、ジェネラルシャドウが得体の知れない力を手に入れた事を確信させるには充分だった。
「それでは……そろそろ死んで貰うのだ!!」
「おのれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
タイタンが火の玉を作り、更に激しい攻撃を仕掛けようとする。
今までは大きな騒ぎを起こせば、反逆者として集団に殺られるリスクがあったが、この状況ではそうも言っていられない。
しかし、ジェネラルシャドウとアポロガイストはそれよりも早く動く。
「アポロフルーレ!!」
「シャドウ剣!!」
「ごがぁ!?」
目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出した。
タイタンの両腕が斬り飛ばされ、体の前後が大きく一閃斬り裂かれていた。
アポロガイストにいたっては人間態でそれを実行していた。
「ヒュー・・・ヒュー・・・」
「グールよ、これを運べ」
ほとんど瀕死で虫の息とはいえ、タイタンは生きていた。
これはタイタンがしぶといわけではなく、わざとであった。
生きたタイタンを大首領に届けるのが二人の役目であった。
アポロガイストはグールを召喚するとタイタンを大首領の許へと運ばせるのだった。
「この程度の役目、ガニコウモル辺りにでも任せれば良かったかもしれんな」
「ふん、仕方があるまい。奴は奴で仕事があるのだから」
「この後は会議だったか?」
「そうだな。議題は“例の件”についてだったな。ようやく我らが本格的に動く時が来たようだ」
話しながらジェネラルシャドウとアポロガイストは基地の奥へと進んでいくのだった。
◆◆◆◆◆
基地内部、某所。
タイタンは真っ暗な部屋で目を覚ました。
「ここは………」
体は動かなかった。
ダメージが重く、能力すら使えなかった。
周囲を見渡すと奥に一つの眼光を見付けた。
『………貴様も我が“血肉”にしてやろう』
「な…………ギャアァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・
タイタンの悲鳴が轟き、血が飛び散る。
タイタンが最期に見た物を知るのは当事者だけであった。
◆◆◆◆◆
基地内部、会議場。
そこには巨大なU型の机が置かれていた。
そこに集まる者達がいた。
この会議場を使う者は決まっていた。
この会議場には幹部待遇を受ける者達しか入れないのだ。
何時もは集まりの悪い者達なのだが、今はほとんどの者が集まっていた。
それほど今回の議題は、重要なのだ。
「どうした?ティラノレンジャーに付けられた傷が痛むか、ガライ?」
「黙れアポロガイスト、貴様ごときが気安く名を呼ぶな」
ガライが向側の斜め左に座るアポロガイストを睨む。
「相変わらず、いけ好かない顔をしているな、ドレイク」
「ふん、貴様こそなオーガ」
ファントムである二人も睨み合う。
魔法使いの力を使うドレイクと喰らったファントムの力を使うオーガ。
どうもどうやら気が合わないようだ。
「ここまで集まるのも珍しい物だ」
「集めたからにはそれ相応の話があるのだろう?」
「慌てるでない。まだ揃っていないのだ」
「参加を表明する者が全員来るまで今回の話は始められない」
ジャーク将軍に対し、ブラック将軍と地獄大使が言う。
そんな時に背後のドアが開かれ、二人の男が入ってくる。
「すまない、遅れたね」
「少々研究が長引いてしまいました」
嫌な笑みを浮かべるレム・カンナギと淡々と話す真木清人だった。
この二人で全員だった。
二人が最後だった。
「これで全員揃ったな。では、会議を始めるとしよう」
「待て、今回は大首領殿はいないのか?」
錬金術師のガラが訊ねる。
その問いには意外な所から答えが返ってきた。
『もちろん私もいますよ。今日はせっかく皆さんに集まって貰ったのに私が不在では示しがつかないでしょう』
U型の机の欠けた部分の先がライトに照らされる。
そこには階段があり、その上はカーテンに仕切られ見えなかった。
だが、強い光を当てられる事により椅子に座った人影は見えた。
『姿をお見せする事は出来ませんが、私が此処にいる事の証明にはなりましょう』
大首領が隠れるカーテンの前の階段の脇を側近の死神博士、地獄大使が固める。
その前に直属幹部である、ブラック将軍、ドクトルG、ヨロイ元帥が立つ。
『今回の議題は一つです。だが、重大で重要な物です。それは、今まで仮の形であった大ショッカーを正式に大ショッカー連盟にしよう、という話です』
集まった者達がざわめき始める。
これまでの大ショッカーは、数々の悪の組織が大ショッカーと名乗る事により、大組織と思わせ、敵に対する威嚇の意味合いが強かった。
その中心となっていたのがショッカーであり、それ故にショッカー大首領が議長を務めていた。
互いの活動を報告したり、利害の一致で協力する事はあっても組織同士が完全に協力体制になる事は無かった。
だから、何時か崩れる仮の形と言われていた。
それを正式に大ショッカー連盟にすると言う事は各組織が完全に手を取り合い協力するという事だ。
ざわめくのも無理も無い。
それをするメリットを示されなければ賛成もしにくいのだ。
「連盟の具体的な目的は何なのですか?」
真木清人が大首領に訊ねる。
その迷いの無さに集まった者達から視線が集まる。
『我らが掲げる理念は一つです。“まずはこの箱庭を支配し、箱庭を起点として侵攻し、他の全ての世界を支配する。そして、優秀な人材を改造人間として我らの理想郷を作る”事です。その為には我らが協力せねばなりません』
今度はカンナギが訊ねる。
「それに協力して、私達にメリットはあるのかね?」
『計画達成の暁には、皆さんに支配した世界を好きなだけ与えましょう。そして、その世界を皆さんの好きに出来ます。それに、連盟しても基本的に皆さんの行動を縛るような事はありません』
大首領のその言葉に迷う一同。
此処にいる者達がいれば確かに可能だろう。
だが、個々に目的がある。
だからこそ、簡単に賛同するわけにはいかない。
賛同する事で目的から離れるかもしれないのだから。
『まぁ、時間はたっぷりあります。ゆっくり話していくとしましょう』
場合によっては即座に戦争クラスの争いが起きてもおかしくない。
そんな緊張感の下、会議は始まるのだった。
会議の始まりでした!!
大体レッツゴーの円卓会議を思い浮かべて比べればいいです。
メンバーはだいぶ違いますが。
それは次回分かります。
冒頭のタイタンが何に気付き、何に喰われたかは後々。
割りと組織構造自体に色々あったりします。
それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。