幻想の男と残骸の山と集まる破片
戦場跡。
そこで動めく物があった。
それは周囲に散らばったセルメダルとスフィアの破片だった。
セルメダルとスフィアの破片は一ヶ所に集まる様に動いていく。
そして、一つの大きな塊へと変貌していく。
塊から右腕が生えると、そこから中心に人型が形作られていく。
完全に人型となると、肌色が銀から普通の色へと変わり、白いスーツを着た男の外見へとなるのだった。
「ハァ…ハァ…おのれ……ディケイドめ!!」
激しく息を吐きながら状況を確認していく。
状況を把握すると、男は、アポロガイストは恨み事を吐く。
アポロガイストはあの時、トドメを刺され、確かに死んだ。
だが、それは肉体としてはだった。
大ショッカーのありとあらゆる蘇生技術を使い復活したアポロガイストの魂はあれくらいでは滅びなかったのだ。
キングダークがやられる直前に、キングダークを形成していたスフィアにバックアップを取っておいたのだった。
そして、現在ようやく新たなる体を形成したのだった。
魔法は使えるままのようではあるが、怪人態にはなれなかった。
おそらく力を消費し過ぎたのだろう。
この状態ではオーロラを出す事も出来ないだろう。
大ショッカーグリードとクライス要塞が先に撤退してしまったのでこれでは帰還する方法が無かった。
境界門を奪おうにも、マクスウェルが壊してるのでそれも無理だ。
帰還する為の方法を模索していると突如話し声が聞こえてくる。
「へぇ、あの状態から復活したか。凄い執念だな」
「誰だ、貴様は」
「今は何者でも無いかな。あえて言うなら、“遊興屋”だ」
現れたのは金髪のメイドを連れた男だった。
男は存在が限りなく希薄だった。
アポロガイストは、正体を探るだけ無駄と判断し、アポロフルーレを振るい、男の首を斬り落とした。
だが、ノイズの様に揺れるだけで首は斬り落とされて無かった。
「無駄だぜ。さっき、閣下にも似た様な事を言ったがそんな物じゃ今の俺は殺せない。俺を殺したいなら、せめてあんたが同盟してる創世王を連れて来るんだな」
「貴様………何処まで把握している?それに閣下とはアジ=ダカーハの事か?」
「何処まで把握してるかは答える気にならねぇが、閣下はその通りだ。あんたが従ってのは“JUDO”の野郎か、“あの蛇”かは知らねぇが一つ言わせて貰うなら、あんな奴らより閣下の方がよほど“悪”だぜ」
「……………」
アポロガイストは、無言で男の脳天を撃つが男は笑ったままだった。
やはり、効いていない。
背後のメイドが特に動かない辺り、幾らやろうと無駄だと確信しているのだろう。
「だから、無駄だって。少なくともあんたにゃ絶対殺られねぇよ」
「…………戯言を言いにきただけでは無いのだろう。用件は何なのだ!!」
「せっかちだねぇ~まぁ単刀直入に言うならちょっと俺と手を組まねぇか?答えはすぐじゃなくてもいい。どうせなら閣下のラストゲームを見物してからの方が俺は聞きたいが」
「そんなもの………答えは決まってると思うが?」
「いいや、閣下のラストゲームを見たら気も変わるぜ。必ずな」
「…………ふん、面白い。ならば、付き合ってやろうでは無いか。貴様がそこまで言う、アジ=ダカーハの見物をな」
どの道、帰還するには力の回復が必要だ。
それまでは戯言に付き合ってやろう、そう思いながらアポロガイストは男と共に姿を消すのだった。
◆◆◆◆◆
「おい、映司!!起きろ!!」
アンクの怒鳴り声で映司は目を覚ました。
「ア、アンク?あれ?そういえば、俺って………あれ?」
「チッ、やっと起きたか」
アンクは呆れた様な顔をすると映司から離れていった。
映司が周囲を見回すとそこは暗闇だった。
比喩では無い。
周囲が把握出来るのが不思議なくらいに真っ黒だった。
まるで世界の全てが黒く塗り潰されたかのようだった。
そこで士近くにいるのに気付く。
「士さん!!」
「あぁ、目覚めたか」
「状況を聞いていいですか?クライス要塞から砲撃を受けたまでは、覚えているんですけど」
「そこまで記憶が正確なら問題無いな。そこで途切れてるのが普通だからな」
「どういう事ですか?」
「どうも俺達は砲撃を何とか凌いだが、時空の檻に閉じ込められたらしい。この空間そのものがあそこから少し“ズレ”た位相で、戻る為にはこの不完全な空間を崩さないといけない」
「その為にはどうしたらいいんですか?」
「空間の綻びを見付け、そこを中心的に攻撃するくらいしか無いな。今、綻びを見付ける為に手分けして探してる」
「そうですか………」
どうりで他の人が見当たらないわけだ、と納得する。
翔太郎、フィリップ、弦太朗、晴人、ダイゴは各々別の場所を探っているらしい。
とはいえ、この空間には何も無いのだが。
それから映司とアンクも捜索に加わるのだった。
◆◆◆◆◆
空中城塞の作戦会議室では、
クロア=バロン
東の階層支配者、“覆海大聖”蛟劉
南の階層支配者、サラ=ドルトレイク
北の階層支配者、コマンダーラプ子lll
“混天大聖”鵬魔王
女王騎士フェイスレス
そして、薬湯をすする逆廻十六夜が円卓を囲んで会議をしていた。
◆◆◆◆◆
「さて、“彼”との決着は付けるとして僕はどう動くかな」
各勢力の動きを逐一確認しながら海東大樹は呟くのだった。
◆◆◆◆◆
近隣の樹海。
そこでは天使との戦いが続いていた。
というより、殆ど一方的な戦いと化していた。
魔王マクスウェルは天使達を召喚した後、蒼白に輝く球体に身を包んで閉じ籠り、一向に動く気配が無い。
天使は時間を置く事に数を増している。
が、それは天道が様子を見る為に倒すペースを落としているからだった。
ザビーパワー!!
パーフェクトゼクターにザビーゼクターが取り付く。
そして、ハイパースティングが放たれて何体もの天使が貫かれる。
再生する前に機能を停止させられたのが、体を崩壊させて地に落ちる。
既に彼の回りには、天使の残骸が山を作っていた。
いつの間にか殿下達が姿を消しているが、おそらく近くにはいるだろう。
おそらく正体の考察でもしているのだろう。
そんな事は気にせず、天道は延々と天使を倒していた。
大体コツを掴んだので、倒すのに苦は無かった。
本体に手を出さないのは下手に手を出しては更に面倒な事態が起こる可能性があるからだ。
「おそらく“第三永久機関”そのものでは無いが、要因の一つではあるのだろう。更に召喚式の“nano machine unit”……大体は見えてくるがそれまでだな」
正体に関してはある程度の推測は可能なのだ。
ついでに“ウロボロス”の背後の神群も見えない事も無いが、それは今はいい。
何はともあれ、“あれ”を倒すには方法を選ぶ必要がある。
様子身を続行しようとした時に、何か近付いてくる気配を天道は感じるのだった。
◆◆◆◆◆
一方、殿下達及びジン&ペストは、突如現れた幻想の男の指示に渋々従う事になっていた。
殿下は、三頭龍と戦う事になり、その他は幻想の男と共に待機という事になった。
マクスウェルは、どうもどうやら幻想の男はクロア=バロンと交渉したらしく、春日部孝明に任せるのだった。
◆◆◆◆◆
空中城塞の厨房では黒ウサギが空いていた調理場を借りて、簡単な食事を作っていた。
卵と野菜で簡単なスープを作る。
香辛料は大量に積まれていたので、味付けには困らなかった。
続いて山羊の乾燥肉と卵を炒めて二品目を作っていた。
「これ少し貰ってくわよ~」
「はい、作り過ぎたのでどうぞ~」
調理の途中で話しかけられ、軽く答える。
スープは量の感覚を間違え、少し多目に作ってしまっていたのだ。
そこである事に気付く。
今、話し掛けてきた声には聞き覚えがあった。
そして、誰か思い当たり、慌てて振り返る。
「ちょ、ラッテンさん!?貴女は安静にしとく様に言われてませんでしたか!?動いていいのですか!?」
が、振り向いた時にはラッテンの姿は何処にも無かった。
残っていたのは、否、何も残ってなどいなかった。
「少し所か、全部持っていかれたました!?」
空っぽの皿を見て、悲鳴を上げる黒ウサギだった。
そんな黒ウサギを他所にラッテンは、黒ウサギの作ったスープを飲み干して、皿を厨房に返してから霧崎の元へと向かうのだった。
「まだ感覚が慣れないわね~」
◆◆◆◆◆
永遠に続く日々が終わると考えた三頭龍は、一人の女の影を思い浮かべていた。
全ての始まりは、その女の涙だった。
幾星霜という年月が経とうと、三頭龍は決して忘れはしない。
宝石の様な瞳から止め処なく流れていた涙の理由を。
その涙を拭うためなら、永遠を賭しても構わないと思った熱い気持ちを。
戦って戦って、永遠に等しい時間を戦い続けた。
その戦いが…………ようやく終わりを告げようとしている。
『_____裁決の時だ。箱庭の英傑たちよ。今こそ真価を見せるがいい……………!!』
導入回前半でした!!
アポロガイスト復活!!
スフィアとセルメダルで体を形成してますが、スペック的には変化はありません。
遊興屋が目を付けたのは“執念”です。
大雑把に飛ばしてる部分は原作通りと思ってください。
天道はひたすら天使を倒してる感じです。
慣れたので流れ作業に近いです。
それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。