問題児と000と弱者の箱庭物語   作:天崎

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ヒビと閃熱と助けを呼ぶ声

「ようやく見付けた、ここが空間の綻びだ」

 

視認出来るが見逃してしまいそうな空間の歪みをCJXが指差す。

CJXの検索を使ってどうにか見付け出したのだった。

そのままフィリップは説明を続ける。

 

「元々ここは急場凌ぎで作られた空間だ。だから、此処に一定以上の衝撃を与えれば…………」

「この空間ごと砕けるってわけだな、相棒」

 

「そういうことだね。でも、その為にはありったけの力が必要だ」

 

「つまり、俺達全員で全力をぶつければいいって事だな!!」

 

おそらく理解してない弦太朗が言う。

だが、間違ってはいない。

 

「それじゃあ、速い事やるとしようか」

 

「そうですね」

 

言いながら晴人がアックスカリバーを構え、映司がタジャスピナーにメダルを入れていく。

 

「やっと此処から出れるか」

 

「行くぞ!!」ファイナルアタックライド!!ディ、ディ、ディケイド!!

 

アンクの呟きを無視して、士がベルトにカードを投げ入れ、ライドブッカーガンモードを構える。

銃口と歪みの間にカード状のエネルギー体が現れる。

続く様にWはプリズムビッカーにメモリを入れ、

映司はタジャスピナーのメダルをスキャンし、

弦太朗はバリズンソードにコズミックスイッチを入れ、

晴人はアックスカリバーにインフィニティーリングをかざし、

アンクは怪人態となって炎弾を放つ。

 

サイクロン!!マキシマムドライブ!!ヒート!!マキシマムドライブ!!ルナ!!マキシマムドライブ!!ジョーカー!!マキシマムドライブ!!

プテラ!!トリケラ!!ティラノ!!ギン!!ギン!!ギン!!ギン!!

リミットブレイク!!

ハイタッチ!!ハイタッチ!!ハイタッチ!!ハイタッチ!!ハイタッチ!!プラズマシャイニングストライク!!キラッキラッ!!キラッキラッ!!

 

「ハァ!!」

 

「「ビッカーファイナリュージョン!!」」

 

「セイヤァァァァァァ!!」

「フン!!」

 

「ライダー超銀河フィニッシュ!!」

 

「ハァァァァァァ!!」

 

ライドブッカーの銃口から放たれた光弾はカードを通過する度に強化され、歪みへと向かっていく。

プリズムビッカーから四色の光線が放たれ、歪みへと向かっていく。

タジャスピナーから紫の光弾が放たれ、アンクの炎弾と重なりながら歪みへと向かう。

光を纏ったバリズンソードを振るい、青い斬撃状のエネルギーを放つ。

歪みへと向かい、アックスカリバーを投げ放つ。

歪みは数々の攻撃を受け、空間にヒビが広がっていく。

同時に存在を維持する魔力が減っていたダイゴが何故か赤い粒子となって姿を消した。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

放たれた攻撃を避け切れないと判断した三頭龍は防備を解き、三つある頭蓋の口内から炎熱を放つ。

三頭龍から吐き出された炎熱は強化された幾百の散弾を物ともせず弾き飛ばし、ロンドンの街を分割するほどの力の奔流となって顕現する。

着弾した地上は赤熱を放ち、視界が眩むほどの熱波を放つ。

だが、一部は霧崎の手で祓われていた。

とはいえ、分かっている事なので然程気にしない。

三頭龍には周囲を気にして加減する理由など無い。

立ち向かってくる有像無像に天災と称された力の全てを叩き付けるだけだ。

嵐の如く、津波の如く、雷雨の如く。

一切の感情を排した紅玉の瞳は淡々と主催者側の命を奪っていく。

 

(…………これでは効率が悪いな。奴も挑発には乗らんしな)

 

チラリ、と視線を霧崎の方へと向ける。

顔は相変わらず仲間が散っていくのを見て歪んでいる。

あの様子なら多少挑発すれば役目を放棄し、乗ってくるかと思ったが、存外冷静だったようだ。

とはいえ、主催者側を強化している者も体に負担が掛かっているのが目に見えている。

それらを合わせて見れば、役目を放棄しない理由も分かりはする。

次に気焔を放ちながら、眼下に視線を向ける。

空の部隊とは違い、地上の部隊はそこまで崩れていなかった。

赤い男が龍角を得た双頭龍を相手に圧倒し、女騎士が指示を出し、他の分身体を相手にしている。

三頭龍は少し考え、牙を剥く。

 

(地上の要は奴らか。ならば話は早い)

 

右腕を掲げた三頭龍は、左腕を裂いて鮮血を撒き散らす。

血は十体ほどの純白の双頭龍となって顕現し、地上へと落下していく。

赤い男は龍角の双頭龍だけで手一杯であろうし、この追撃を受ければ女騎士が指示している部隊も戦列が崩れていくだろう。

 

(とはいえ、ゲーム開始前にかなりの霊格を放出してしまった。これ以上の流血は避けるべきか)

 

先日の戦いでも余波だけで大量の血を流し、数百体分の霊格を既に失っている。

時間経過で霊格は回復するが、如何せん昨日の今日だ。

分身体に割ける霊格は残り僅かだろう。

 

(翼を持つ眷属は霊格を多く消費するが、こうも有象無像に群がられては手間が掛かり過ぎる)

 

どれだけ強化しようと三頭龍の敵ではないが、かといって無視出来るほどでもない。

慢心はどれほど優位であっても敗北の可能性を生む。

慢心ゆえに敗北した連中を三頭龍は幾つも知っている。

新たな分身体を生み出そうと右腕に力を込めたその時____三頭龍は、膨大な霊格の気配に気が付き、手を止めた。

 

「其処までだ、アジ=ダカーハ!!」

 

金糸と見紛う美しい髪をなびかせ、レティシアが龍影で強襲。

昨夜と同じように軽く受け流そうとした三頭龍だったが、予想外の鋭さに瞳を見開く。

 

『ヌッ……?』

 

龍騎士の龍影を、三頭龍の龍影で捌く。

影の牙は幾千の槍となって三頭龍に襲い掛かった。

その衝撃の重さは昨夜の比ではない。

三頭龍に届くほどの物ではないが、確実に霊格が肥大していた。

三頭龍が疑問を解決する間もなく、鵬魔王が襲い掛かる。

レティシアの切り札はまだ使うわけにはいかない。

二人は火龍に分身体の処理を指示する。

無尽の刃を連続して射出しながら三頭龍へと肉薄するレティシア。

鵬魔王は掻い潜る様に天を舞って距離を詰める。

金翅の炎で倒せない事は既に織り込み済みだが、どうしても試さねばならない件がある。

血を流させるだけが二人の目的ではない。

金翅の炎と龍影の刃で四方を囲んだ二人は、視線を交わして同時に仕掛けた。

 

(三頭龍を仕留める事は出来ずとも____)

 

(____せめて、背中の翼だけは破壊するッ!!)

 

全霊格を込めて翼となる龍影を狙い撃つ。

同系統の恩恵で撃退しようとしていた三頭龍は、そこで二人の狙いに気が付いた。

 

『貴様ら…………本当の目的は、私の翼かッ!!』

 

武には、武で、智には智を。

三頭龍は魔王として、相手の長所を砕こうとする。

ならば同系統の恩恵で仕掛ければ必ずや龍影の翼で応じてくると二人は読んでいた。

一時的にでも翼を失えば、地上には練達の実力者達が揃っている。

彼らならば確実に三頭龍の心臓を暴いてくれると信じ、二人は捨て身の突撃をかけた。

 

「地に落ちろ、三頭龍____!!」

 

対龍の恩恵を秘めた金翅の炎に巻き込まれ、レティシアの龍影が砕け散る。

だが砕けたのは彼女のだけではない。

三頭龍の右翼の龍影もまた、引き千切られた様に形を失った。

体勢を崩した三頭龍は驚愕した様に瞳を見開き____そして、嗜虐を込めて笑った。

 

『…………存外やるな。褒美だ。絶望をくれてやる』

 

何?と、肩で息をしていた二人に緊張が走る。

全戦力をつぎ込んだ二人にもう余力は残っていない。

反撃が来たら容易く葬られるだろう。

だが、落下する三頭龍は二人には目もくれずに回転し、別の方角を見た。

大地を呑み込む程の牙の中に、先程放った炎熱の数十倍の閃熱をため込んだ魔王が狙いを定めたのは____

 

「ま、まさか…………!!」

 

「空中城塞を落とすつもりか____!?」

 

____刮目せよ、愚かな挑戦者たち。

この炎こそ魔王アジ=ダカーハが固有で所持する最大の恩恵。

世界の三分の一を滅ぼすと伝承で伝えられてきた、閃熱系最強の一撃である。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

三頭龍の翼が砕けたのと、ほぼ同時に空間にヒビが入った。

三頭龍に気を取られ、それに気付く物は少なかった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

空中城塞の中庭。

激しい震動が城を襲う。

城の外の郊外に避難していたリリと年長組の子供達は、共に抱きしめあって支えている。

リリは戦いに参加している”ノーネーム”の主力たちを思う。

どんなに強大な敵でも彼らは臆さずに立ち向かっていった。

そして勝利してきた。

どんな厳しい状況でも、今までと同じ様に勝利してくれるに違いないと強く信じている。

 

「映司さん………早く来てください………」

 

そして、姿を消した男の名を呟く。

だが、現状は彼女達の想像より遥かに厳しい。

別の場所では震えてる避難民の子供をアスカが元気付けていた。

 

「大丈夫だ。あいつらを信じるんだ」

 

十六夜とクロアは異変を感じていた。

クロアから三頭龍のもう一つの切り札について聞く。

“覇者の光輪”、終末論の引き金を引く力を召喚し、炎熱として扱う恩恵。

それを聞いた十六夜が防ぎに行こうとするが、ラプ子IVに止められる。

そして、匿名での伝言と贈り物を受け取る。

十六夜は、納得出来ない者の“彼ら”を信じるしか無かった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

殿下は三頭龍の放つ極光と目の前の空間のヒビを見て溜め息を吐く。

この状況で出来る事など一つしか無かった。

 

「………ったく、やっぱり俺がやるしかないのか」

 

言いながら空間のヒビに手を突っ込む。

そして、全身から太陽光を放って告げる。

 

 

「____“アヴァターラ”起動。十天廻りて輝け、“疑似創星図”………!!」

 

 

直後に空間が砕ける。

同時に内側から爆炎が放たれる。

そして、空間の奥にいた者達が爆炎を突き破り、飛び出てくる。

殿下は“彼ら”が飛んでいく前に言う。

 

「今回は特別大サービスだからな。これは貸しにしておくから、後で返せよ」

 

「あぁ分かってる。借りは必ず返すよ」

 

そう言うと“彼ら”は急ぐ様に姿を消した。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

そして、誰かが呟くのだった。

「助けて、仮面ライダー」と。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

口内にため込んだ気焔を圧縮する三頭龍と空中城塞の間に彼らが現れる。

 

『貴様らが現れるか…………仮面ライダー!!』

 

「助けを呼ぶ声が聞こえたんだ、駆け付けないわけにはいかないだろ?」

 

『今更現れた所で無駄だッ!!貴様ら如きでは、我が必殺の“覇者の光輪”は止められんッ!!』

 

「いいや、止めてやるさ。俺がいや、俺達が!!」エクストリーム!!

 

「あそこには沢山の人がいるんだ、守ってみせる!!」スーパー!!スーパー!!スーパー!!スーパータカ!!スーパートラ!!スーパーバッタ!!スーパー!!タトバッ、タトバ、タットッバ!!スーパー!!

 

「俺達の絆は鉄をも砕くぜ!!」フュージョンオン!!

 

「最後の希望がお前の絶望なんかに負けるわけが無いだろ!!」チョーイイネ!!フィニッシュッストライク!!サイコー!!

 

三頭龍の前に現れたライダー達は次々と姿を変えていく。

Wは助けを呼ぶ声、そして風を受けてクリスタルサーバーが金色に変わり、サイクロンジョーカーゴールドエクストリームに、

オーズは未来のコアメダルを使って、スーパータトバコンボに、

フォーゼはフュージョンスイッチを使うと、同時にメテオスイッチ、なでしこスイッチがベルトにセットされ、メテオとなでしこの姿がフォーゼに重なり、メテオなでしこフュージョンステイツに、

ウィザードはフィニッシュストライクのリングの力で金色の装甲とドラゴンの頭部、爪、翼、尾を持つインフィニティードラコンゴールドに、

 

クウガ!!アギト!!リュウキ!!ファイズ!!ブレイド!!ヒビキ!!カブト!!デンオウ!!キバ!!ファイナルカメンライド!!ディ、ディ、ディケイド!!

 

そして、ディケイドはコンプリートフォームへと姿を変える。

三頭龍と仮面ライダー達は正面から睨み合うのだった。

 




ライダー達帰還でした!!
最初の攻撃で時空の檻にヒビが入り、殿下がこじ開けた感じです。


それでは、質問などがあれば聞いてください。
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