絶体絶命 作:ぴのこ
本日は、未来の術後の経緯にて。
※ランダム更新ですが進めてみたいと思います・・・
間黒男が中川未来の執刀にあたった術後
一旦は回復の兆しを見せた。
ところが、血をみると血圧が上昇し、目が血走り
呼吸が荒くなるという症状が現れた。
鎮静剤を打とうとしたとき、不覚にもBJは暴れる未来に噛まれてしまう。
その傷が原因となり、BJは破傷風にかかり危篤状態に陥る。
かすかな意識の中で、養子として迎えた酷仁が必死の看病を続ける。
「先生!おとうさん!しっかりしてください!あなたがいなければ
未来さんも助からないのです!」
「酷仁よ。おまえも知ってのとおり、数年以内に
未来を助けることができなければ、おまえの内臓を提供することに
なってしまう。しかしながら、その前に人間の生きた内臓を移植すれば
未来は助かる。
私はもう長くない。私の内臓を使いなさい。」
「お父さん!よしてください!お父さんは助かります!どうか気をしっかりもって・・・」
「酷仁よ。私はもともと命はなかったも同然であったが、本間医師によって
助けられたのだ。これまでの人生はおまけのようなものだ。だから、この内臓を
未来につかうことで、私も再度生きることができる。未来の中で生き続ける」
「てんてー!あたい、こんなに成長したんだよ!大学も受かったんだよ!
あたいを置いて逝ってしまうなんてゆるさないから!」
「姫乃子。よくがんばったな・・・勉強しはじめると高熱で倒れていたのに
金木君が提供してくれた血清のおかげで、おまえの症状は大分緩和されていった。
これからは、金木君や酷仁と力を合わせてがんばりなさい。」
「てんてーーー!!!!」
「お父さん!」
窓の木漏れ日が病室に降り注いぐ春の日、BJは静かに
息を引き取った。
中川未来の手術は直ちに開始された。執刀医は間酷仁。
助手には金木と姫乃子がついた。
8時間にも及ぶ手術が終わると、執刀医チームは
手術室から出るとすばやく着替え、食事へと向かった。
「疲れただろ。金木。助かったよ」
「酷仁君の方が疲れたでしょう。執刀医なんだから。
僕もあんな長いオペは初めてだったから、君の体力を心配していたよ」
「僕は、父の特訓のおかげで、長時間オペ自体はなんでもなかったけど
父の臓器を移植するという事実が、精神的にきつかったかな・・・」
「大丈夫よ!酷仁は優秀だから!君のおかげで、あたいも勉強
できるようになったんだから。」
「姫乃子さんも疲れたでしょう?ときどき倒れそうになっていたけど
踏ん張っていたよね?」
「姫乃子は、いつも無理するからなあ。『あたい大丈夫!』っていいながら
ぶっ倒れたこともあったしな」
「その話は言わないで!あたい自身も体が不完全だったんだから・・・
でも、今は大丈夫。金木君が開発してくれた新薬のおかげで
今はすっかり一般の人以上に丈夫になったんだから!」
「それはよかった!ぼくの研究が姫乃子さんに役だってくれてうれしいよ。
これでBJ先生にも恩返しができる。君たちには話していなかったかもしれないけど
先生は僕の奨学金を返還してくださったんだ。
その代わりにと、研究していた新薬を提供したんだよ。」
「僕たちは知っていたよ。な?姫乃子?」
「うん。むしろ、あたい達がお願いしたんだから!金木君は
研究熱心だし優秀だから、バックアップしてあげて!って」
「そうだったのか・・・ますますおしりを向けて寝ることができないな。
間家の方向に。それと、気になったことがあるんだけど」
「ん?なにか問題があったのかい?」
「酷仁君のオペ中に、BJ先生の臓器がおかしな反応を示していたんだよ。」
「「え???」」
「もしかしたら、BJ先生が大やけどを負ったときの手術中に
なにかあったのかもしれない。たしかBJ先生のオペを行ったのは
本間先生だったよね?」
「ああ、そうだよ。本間先生が養父を助けたんだ」
「・・・あくまで憶測に過ぎないが、もしかしたらBJ先生の
臓器は人工臓器かもしれない」
「え!!!まさか・・・どうみても人間の内臓だと疑わなかったが・・・」
「ぼくも最初はそう思ったんだが、サルかなにかの臓器を使って
人工臓器を作ったのではないかと思ったんだよ。ライトの光があたったときに
一部、黒っぽいオレンジ色に見えたのが、不可解だったんだ」
「臓器同士を繋ぐのが精一杯でそこまで気がまわらなかった・・・」
「当然だよ。酷仁君は、臓器設置に集中していたし、ほんの一瞬で
僕は反対側から見ていたから、君からは見えなかったと思う」
「あたいも気が付かなかった・・・でも、さすが金木君だね」
「もしかしたら、未来さんになにか異変が起きるかもしれない。
こまめに接触をとって、様子を聞く必要がある。もちろん
彼女が正直に答えてくれれば、対処も楽なんだが。」
「未来さんはかなり警戒しているからね。彼女のお父さんのことも
快く思っていないようだし・・・ピアニストの夢は叶ったけれど
グールとして生きることを強いられた事実を知ったあとは、かなり
荒れてたらしいよ。でも、金木の音楽家としての才能はすばらしいと
絶賛していたんだって」
「え?まさか・・酷仁君、それ誰からきいたの?」
「中川重蔵氏だよ。だから、これからもよろしくって」
「あのたぬき親父・・・適当なこと言ってんじゃないかな。
僕が未来さんに近づこうとしても、未来さんはいつもそっけないんだよ」
「はっはーーーん。未来ちゃん、金木君を意識してるんだよ!
だから、つんつん!なんだと思うよ。女の感だわのよ!」
「そ、そうかな・・・。とにかくめげないで、接触を試みてみるよ。
彼女のことも助けたいし、酷仁の内蔵提供、なんてことには
なってほしくないからね。」
「はっはっは!大丈夫だよ!そんなことになったら、姫乃子に
殺されちゃうからね!」
「殺したら意味ないじゃん!てか、なに言ってんの!わけわかんないぞ!
酷仁!!とにかく、あたいら優秀な医療チームの研究成果は、
インターナショナルメディカルジャーナルに載っちゃう程すごいんだから
不可能はない!金木君がいる限り、我々は不滅ですっ」
「ははは。自信がついたよ。未来さんにはぜひ定期検診を
受けてもらうように、また、細かい症状なんかも報告してもらえるよう
努力する。」
「2人が付き合えばいちばん話しはやいんだけどねっ」
「姫乃子さんやめてくれよ。そんな邪な考えで近づいたら、未来さんますます
不信感募らせちゃうじゃないか。」
「へ?邪なの?未来さんの事、好きじゃないの?金木君?」
「なっ・・・・・」
「はい、決まり。自分の顔を鏡でみてごらん!おさるの
おしりみたいな色になってるよ!」
「姫乃子、そんなにからかうなって。とにかくこれから
僕たちにはいろいろやることがあるんだから」
「はいはい。いとしのダーリン。わかりました!」
術後の緊張を解きほぐすかのように、軽口まじりの談笑をしてから
3人は帰途についた。
中川未来は事故後、一旦喰種の臓器を移植された。
後にBJの臓器と交換されたように思われていたが、
脳に流れる血液には、喰種の血液成分が残っていたため
未来は完全な人間ではなかったのだ。
金木が未来に接触していくうちに、その謎が明かされていく。